妻は元彼と、僕とは出来ない体位でしていた


 真吾は、ビデオ試写店の個室の中でオナホを使って激しくオナニーをしていた。50インチの液晶テレビには、アダルトビデオが映っている。内容は、いつもの寝取られもののシリーズだ。夫の目の前で、他の男と子作りセックスをする……そんな、現実離れした設定の動画だ。
「あなた、見ないでっ! 声、我慢出来ない……あぁ、許して、感じちゃうの、あなたのじゃないのに、もうイクのっ!」
 泣きそうな顔で叫ぶ女優、迫真の演技だ。真吾は、その異常なシチュエーションの動画を見ながら、オナホを必死で上下に動かしている。早漏な彼なので、すでに射精を堪えているような状況だ。
 早漏なのがわかっているだけに、彼が使うオナホはいつもまったり系の緩いタイプだ。それなのに、5分も保たずに射精しそうになっていて、それを必死で堪えながら画面を見つめている。

「あぁ、雪恵……」
 真吾は、ほとんど無意識に妻の名前を呼んだ。彼がオナニーをしているとき、いつも女優と妻の雪恵を重ね合わせている。現実的には出来ないことを、イメージで実行する……そんなことがしたくて、時折個室ビデオ店でオナニーをするのが彼の楽しみになっている。
 画面の中では、バックで犯されている女優が、夫役の男優と手を握り始めた。男優の手を握りしめながら、泣き顔であえいでいる……。
「あなた、イク、イクのっ、許して、もうダメ、イクっ、イクっ、あなた、ごめんなさいっ! イクゥ!」
 女優は涙を流しながら叫ぶと、身体をのけ反らせながら痙攣しているように震えた。大げさすぎるリアクションに見えるが、女優の卓越した演技力で不自然さはあまりない。実際、真吾はその姿を見ながら射精を始めた。
 普段のセックスの時からは考えられないくらいに、大量の精液が射出されている。
──またやってしまった。雪恵とこんな事、出来るはずないのに……。
 真吾は、射精して急速に冷静になっている。雪恵に対して罪悪感を感じながら、オナホを引き抜いた。画面の中では、男優が射精しそうになっている。女優は必死の顔で、
「あなた、出されちゃう。中に出されちゃうっ! でも、欲しいのっ、中に出してもらいたいっ! あなた、許してくれますか? 他の男の子種で、妊娠しても良いですか?」
 と、訴えかけている。真吾は、雪恵がそんなことを言っている姿を想像してしまい、慌ててDVDの再生をストップした。

 真吾は、虚しい気持ちになりながらもオナホを備え付けのゴミ箱に捨てた。毎回、綺麗に中を洗い流して再利用しようと思って使い始めるが、射精するとどうでも良くなって捨ててしまう。
 あとでもったいないと後悔をするが、射精すると人格が変わるのは男の常だ。そして、まだ時間があるので、真吾は軽く仮眠を取った。短いコースで利用しても、いつも時間が余ってしまう。
 早漏は昔からだったが、寝取られもののアダルトビデオを見るようになり、さらに早くなった。興奮しすぎてしまうようだ。

 真吾が寝取られ性癖に目覚めたのは、個室ビデオ店が始まりだった。雪恵と結婚して3年ほど経ち、さすがにセックスの頻度が減ってきた頃、好奇心で立ち寄った個室ビデオ店でオナホの気持ちよさを知った。
 それから、ちょくちょく個室ビデオ店でオナホを使ったオナニーをしていた。人体ではあり得ない構造のオナホは、とにかく刺激が強くて気持ち良かった。
 キツいものや溝が固いもの、ヒダヒダが複雑に幾層にもなっているものなど色々試した。早漏の彼では、1分も保たないものも沢山あるほどだった。
 動画も、当初は女子校生ものや痴漢もの、ナースものなどを見てオナニーをしていた。女優の単体作品を見ることも多く、ごくごくノーマルな性癖を持っていた。
 そんなある日、真吾がファンになっていた女優の作品を無作為に見ているとき、寝取られものがあった。始めは、軽く嫌悪感を感じた。愛する妻をわざわざ他人に抱かせるという行為が、少しも理解出来なかった。
 そんな嫌悪感を感じながらも、いつもと違う演技をする女優の姿に興味を惹かれ、最後まで見てしまった。そして、寝取られジャンルが人気だという事に気がついてしまった。それからは、徐々にそのジャンルを見るようになり、今ではそのジャンルのものしか見ないほどになっていた。

──遅くなっちゃった。マズいな……。
 時計を気にしながら、慌てて帰り支度を始める彼。すっかりと熟睡してしまったようだ。DVDをパッケージに戻し、カゴに入れて受付に持っていく。
「はい、確認OKです! またのご利用お待ちしてます!」
 個室ビデオ店も過当競争なのか、店員の態度はとても良い。ただ、その元気の良さが場違いに思える。真吾は、店を出ると駅に急いだ。
 ほぼ満員の電車に揺られながら、さっき見た動画のことを考える真吾。周りはサラリーマンやOLなど、仕事を終えて帰る人に囲まれている。そんな中で、真吾は場違いに勃起しながら電車に揺られていた……。
──寝取られて欲しいなんて言ったら、離婚されるな。雪恵、真面目だからな。
 真吾は、そんな事を考えていた。以前は、ただ動画を見て雪恵を重ね合わせる程度だった。それが最近は、実際に雪恵が寝取られプレイをする妄想をしてしまっている。
 人間は刺激に慣れるものだし、欲望にもキリはない。それでも、自分の妻を実際に他人に出させる男は、ほとんどいない。真吾も、それがわかっているだけに、その妄想を振り払うように電車の中刷り広告などに目を向けた。

 そして、駅から出て自宅マンションを目指す。駅前の商店街は、人もまばらだ。まだ週の半ばの平日なので、賑わいも少ない。彼の部屋は、駅からは少し遠いが、賃料も安くて広い。良い物件を見つけることが出来たなと、常々思っている。
 オートロックを解錠し、エントランスに入ってエレベーターを目指した。遅くなっているので、どうしても早歩きになっている。
 この時間だと、帰宅する他の住人と一緒になることも多いが、今日は一人だ。エレベーターに乗るたびに、もしも雪恵が男を連れ込んでいたら、どうしよう? などと、あらぬ妄想をしてしまう。
 ドアを開けると、当然男物の靴などなく、雪恵の明るい声が響いてきた。
「おかえりなさ~い!」
 元気いっぱいの声で出迎えてくれる雪恵……スーツのスカートにブラウス姿のまま、エプロンをつけて夕食の準備をしている。雪恵も働いているので、食事は早く帰った方がするルールになっている。
 真吾は、寄り道をしたことに罪悪感を感じながらも、笑顔でただいまと言った。雪恵は、ショートカットが似合う、顔立ちの整った女性だ。可愛いではなく美人系だが、短い髪も相まって、イケメンという雰囲気もある。
 実際、性格もサバサバしていて、どこか男っぽいところもある。その割に胸は大きく、エプロンを大きく盛り上げている。真吾は、さっき見た女優の姿と雪恵を重ねてしまい、思わず勃起してしまった。慌ててそれを誤魔化すように、着替えてくると言って洗面の方に移動した。

 着替えを始めながら、いつものように洗濯カゴを見てしまっている。もしかしたら、この中にセクシーな下着が隠されているのではないか? 不倫をして、はしたない下着を身につけていたのではないか? そんな妄想をしてしまっている……。
 部屋着に着替えると、食卓についた。すでに食事の準備は終わっていて、雪恵も部屋着に着替えていた。部屋着になると、より胸我の膨らみが強調される。
 ブラトップ一体型の部屋着だが、生地が薄手なのでかすかに乳首も浮いている。真吾は、いつも以上にそれが気になっているようで、興奮した顔をしている。
 食事をしながら、それぞれの1日の出来事を話す二人。と言っても、それほど代わり映えしない1日だ。それでも雪恵は楽しそうに話をしていて、真吾もつられて笑顔になっている。
 本当に、夫婦仲は良い。セックスの回数こそ減ってはいるが、週末にデートすることも多いし、よく一緒に買い物にも行く。

 真吾は、妙に興奮したままだったこともあり、久しぶりにセックスを誘った。
「どうしたの? まだ水曜日だよ? でも、嬉しいな」
 雪恵は、キョトンとしながらも、嬉しそうに頬を赤くした。雪恵の方から誘うことはほとんどないが、真吾が誘うと毎回に嬉しそうなリアクションをする。
 雪恵は、もう少しセックスの頻度が多くても良いのになと思いながらも、言い出せずにいる。真吾はその気持ちに気がついていない。
 雪恵は、明らかに機嫌が良くなっていて、テキパキと片付けをしたり洗濯物を取り入れたりしている。ウキウキしているのが、ハッキリとわかる態度だ。本当に、真吾とのセックスが嬉しくて仕方ないようだ。
 そんな健気な態度を見ながら、真吾は反省していた。雪恵を他人に抱かせる妄想をしたことに、罪悪感を感じている。

 そして、真吾が先に風呂に入り、寝室で雪恵を待つ。雪恵は湯船につかることもなく、シャワーで身体を綺麗にすると、身体にタオルを巻き付けて急いで寝室に向かった。本当に、待ちきれないという健気な態度だ。
「ゴメンね、お待たせ」
 そう言って、ベッドに潜り込む雪恵。すぐに真吾に抱きつきながらキスをした。
──ノリノリすぎでしょ。
 真吾は、少し戸惑いながら舌を絡めるキスをする。彼は、この様子では不倫なんて絶対にないなと思った。そして彼は、雪恵のタオルを外して胸を責め始めた。乳首を舐めながら胸を揉むと、雪恵は吐息のような声を漏らす。
 真吾は、すでに固くなっている乳首を舐めながら、やっぱり雪恵が他の男に乳首を舐められている姿を想像してしまっていた。
 雪恵は、あえぎながら手を伸ばした。パジャマごと真吾の股間をまさぐると、
「固いね……カチカチだね。興奮してくれてるの? 私のこと、飽きてない?」
 と、可愛らしいことを言う。その健気な態度に、真吾は最高の幸せを感じながら雪恵の乳首を舐め続けた。

 雪恵は控えめなあえぎ声をあげながら、夢中で真吾の股間をまさぐる。固くなっているペニスに、喜びを感じているようだ。そして、雪恵は堪えきれなくなったように、真吾のズボンを下ろし始めた。そのまま一気にパンツまで降ろすと、勃起した物があらわになる。
 仮性包茎のそれは、勃起していても半分ほど亀頭が包皮に隠れている。雪恵は、すぐに握ってしごき始めた。乳首を舐められながら、興奮した顔でしごき続ける彼女。もう、入れて欲しいという気持ちになっている。
 すると、真吾が雪恵の秘部に手を伸ばし始めた。雪恵は、恥ずかしそうに内股になっているが、真吾の手が脚の間に差し込まれると、抵抗することもなく拡げていく。

 真吾の指先がクリトリスに触れると、雪恵は声を堪えることが出来ずにあえぎ始めた。
──メチャクチャ濡れてる……。
 真吾は、雪恵の溢れた蜜に興奮を隠しきれない。そのまま蜜をローション代わりにしてクリトリスをこする。
「あっ、んっ、うぅっ、真吾、気持ち良いよ」
 雪恵は、声を堪えきれない。そのまま真吾はクリトリスをまさぐり続けている。雪恵のリアクションに興奮しながらも、やっぱり他の男が雪恵を感じさせる姿を想像していた……。
「真吾、ダメ……イッちゃうよ。気持ち良いの」
 雪恵は、強い興奮を感じている。そして、本当にあっけなく身体を小さく震わせた。
「ゴメンね、私ばっかり気持ち良くなって。代わるね」

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