バナナ釣り日和


 黒のタンクトップに花柄のハーフパンツ。
 ご丁寧なことにはパープルのゴム長靴まで履いている。
 脚はどこで焼けたのか小麦色の肌がのぞいていた。
 暑さ対策なのかグリーンのキャップ。
 髪は茶髪だった。

 おもむろにチェーンソウで植え込みの刈込を始めた。

 夏休みで帰ってきたんですね。
 お隣のT裕さんだった。

 最近の僕はしかし引きこもりニート生活。
 T裕さんのまいた餌に食いつく余裕はなかった。
 いつものP店で出会ったのはU美さん。
 顔を合わせるのは久しぶりだった。
 今日はミニじゃないんですね。
 うん。
 見るとおなかが膨らんでいる。
 なんといっていいか複雑な気分だ。

 しかし、台を離れ帰ろうとしたところに
 「止めるの」
 と声をかけてきたのはM来さんという妊婦さんだった。
 「いい台だからやったほうがいいよ」
 そういって店を出たのは11時頃だった。

 こんな日に釣り糸を垂れたらお魚は無理でもバナナくらいだったら釣れるんじゃないか。
 

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