『偽愛/博愛/狂愛——雫の紅、夜に満つ』(2)


画々云々で———つまり、≪上≫を参照のコト、と。

そう———俺は、最早、還れぬ扉を開けていたのだ……。
「じゃ———お兄ちゃん。私の、アイの処女(初めて)もらってくれる……?」
どくん———心臓が撥ねる。躰中に血液が輸送される……ドクドクと……猛毒の様に。
びくん———肉棒が撥ねる。躰中に興奮が葬送される……ゾクゾクと……毒蛇の様に。

コトバハ———モウ———イラナイ……

ツマリハ。
つまりは。
———詰まりは、言葉、言語を放棄するという事は、思考する事を放棄する事だ。言葉は思考の為の道具だからだ。
俺は、此の時、倫理とか道徳とか、そういったモノを放棄していた。「廃棄」と言い換えてもいい———いや、凌辱モノを見ていた時点で、———だが、確か、まだ、分別が、———、———〝どうでもいいさ〟。
この間、実に13秒弱。・・・・・・短絡とも言える速度。音速だ。
そうして、答えた、「俺で良ければ」と。

……

「……じゃぁ、その、い、挿れるね……?」
おずおずと、しかし、はっきりと、言う。
「んっ、あ———!」
衝撃———頭が潰れたのかな。
「あっ、ああんっ!! ひゃっ!?」
驚愕———たったこれだけで。
「ん、ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
絶望———この快楽を知らなかった自分に。
「—————————————」
う、お———と言いかけて、声になっていない事に気付く。
苦しい。首を絞められているようだ。だが、次の瞬間に、それは間違いだったと思い至り。首を〝引き千切られそうだ〟と、訂正する。修正する。
「あ————————————」
喉許に穴が空き、其処から呼吸する、或いは、風穴と化して…………。
「う————————————」
嗚咽を堪える理性のような、鎖が砕け散り、鏤められて…………。
「お、おおおおおおおおおおお!」
総て幻想だ。凡て妄想だ。全て現想だ。
例え、「天国の様な」と比喩されるモノも、『其処』、『其時』に在る者にとっては、全てが現実だ。だから、俺は『今』、『天獄』に在る。
———血液が還る。そうして、霧散したモノが再集して、機能が起動する。ただし、脳髄、それに付随する神経系は完全にアウトだ。使い物になりゃしない。全部が全部、快感に支配され、俺を馴致しようと反乱を始めているんだから。
「ひゃぁあああああああああ!!! 
あ、ふぅうう……、お兄ちゃん、だい、大丈夫……?」
「とりあえず、俺は」
嘘だ。
「———アイは? 大丈夫か?」
「大、丈—夫、な訳、ないよ」
「は……?」
自分から咥えといて、それは無いんじゃないですか———
「って、血! 血が!?」
良く見ると(そう言えば、部屋は、相変わらず、暗いままだった)、結合部から、血が出ていた。やべー、どうしよう!?
「あ、当たり前でしょ! 私、初めてなんだから!」
怒られた。そう言えば、処女を貰うという話だったな。
つーか、これで、処女じゃなかったら、なかったで、ぶっちゃけ大問題だし。あー良かった。もし、純血流さなかったら、犯人捜して、打っ殺すとこだった。うん、良かった。目出度し、目出度。
「———ねえ。なんで、アンタは、嬉しそうなのよ! 妹が血ぃ流してるのに! もしかして、アレなの? へとまふぃりあ? そうなの? そうなのね、変態じゃない! 変態! 鬼畜! 異常者!」
目出度くなかった! 
「い、いや、その。なんつーかさ、お前の初めて貰えて嬉しい、っつーか……」
言い訳と詐称した本音を吐露する。してしまった、が正解だけど。
「っ—————!」
沈黙。静寂。だが、無音では無かった。鼓動が聞こえる。深く脈打つアイの心を聞く。
びくびくと、どくんどくんと、ばくばくと。
不安、快感、恐怖、期待、戦慄、欲望、希望、陥落。
ワケノワカラナイモノが渦巻く。瞳このまま、鏡映した様にアイと同じ目をしているのだろうか……? ———それは感傷だ。気にする事じゃない。———イマハ、タダ、オカセ。コノショウドウヲ、キワメロ。オンナヲ、ツラヌケ! ———あ。
何かが思考にアクセスした。それも気のセイだ。だって、こんなにも、繋がっているだけで射精しそうなのに、動かないなんて、寸止めの極みだ。
「だ、大丈夫か?」
慌てて聞く。思考と外界には時差がある。
「へーき! 平気よ!」
ああ。確かにお前のマンコは兵器だよ。致死量ならぬ致死圧。そして、膣圧とるルビるのかな。
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、はぁ、あ、ん、」
平気じゃない気がするけど、処女の膣はキツク、俺も平気ではいられない。正気ではいられない。狂気でしかいられない。
「え!? ゃ、や、ダメ! 勝手に、動いちゃ、ダメ、なんだ、から! あ! あんぁ…………」
「我慢、なんか、出来ない! アイがすごく良くて、可愛いから、もっと、可愛くなってほしいから!」
気障なセリフを吐く。でも、嘘は言って無い。
「にゃ、んで、そんな、こと、いう、の!? だめ、だよ。兄弟な、のに……愛しちゃうよ!」
———愛し愛し合えると言うの? 
そんな唄が聞えた。
彼女はそんなことを言いながら、腰を振る。———俺も思わず腰が揺れた。
彼女はそんなことを言いながら、涎を垂らす。———俺はその唾液が飲みたい。
だけど。唇は駄目だ。それは出来ない。
A———キス、
B———愛撫、
C———セックス。
順序立てるとこうなると言うけれど———キスこそがCではないのか。愛想笑いがあっても、愛想キスが無い理由。或いは、手で済ます理由。援助交際が主にBとCである理由。なぜなら、キスは聖域だからだ。そう、言われる迄も無く、俺達は兄妹だ。愛し合う事は叶わない。最近は、「義妹」などと言う便利な設定が有るが、それは、ボーダーなどではないだろうよ。
だから、もう還れない———。
「俺は———」
「私は———」
それでいい。
「愛して———」
「いる———!」
心を杖にして、荒野を彷徨う恋人達となりぬれば。
—————————————————————。
気のせいさ。
たかが5000歳の人間・理性如きが、4億歳の命・欲望———亦の名を、〝愛〟という———に、〝克てる〟訳が無い———。
愛し、愛され、愛し合う———なんて、たったこれだけの「真理」が、正に、自然の中の「生と死」の繰り返しと同じだけ繰り返されてきた。
此処には、全てがある。まるで、宇宙、自然、真理……と言う様な永久の世界。満たされる。目に見えるものなんて、風に掻き消されてしまうだろう。けれど、この心は消えない。或いは、深い傷痕のように焦がされた之は———、あゝ、これが愛か! 
大丈夫。
「ちゅ、ん、っふ、んんう、ぬぅ、ううっ! ぱぁあ、ちゃ、ちゅ、———!」
口内を蹂躙する。だが、互いに、その闖入者を文字通り温かく迎える。濃厚な持成し。強盗じみて荒らす口も、今や、ストックホルム。
「ふあぁ。ひゃんしんしゅりゅう……ちゅ、ぢゅ、あ———」
頸を絞めておくれ———膣が締めあげる。
この蠢きは最早、精液を逃すまいとするモノではなく、そう、既に、男根そのものを逃してなるものか、という願望の権化とかしていた。
かくいう、俺はそんな冷静でもなくて。
ゲテモノか、ケダモノだかみたいに、腰を振る。ただ、腰を撃つ。そう、それだけの行為。けれど、俺が撃ち込むのは、「陰茎」ではない。「俺の愛」だ。
伝え切れない言の葉を、刻み込み、めり込むように。そして、舞うように……。
「あ——! ああんっ! にゃぁ! ひゃんんあ、ひゃめ、しゅしゅごぉぅぃい! じゃいしゅ、———好き! あ、あ、大好き!!」
気持ちいい。それは肉体の歓喜というよりも、心の狂喜。
壊れてしまおう!
「アイ、愛してるぜ! 大好きだ、その貌も、何もかも——!」
吐き出す言葉は愛毒(ラブ・アディクション)。
突き上げる腰は愛毒。
口づける俺らは愛毒。
「んにゃぁああぁぁぁああぁあああ! あ! ぁあ、ひゃっ! りゃ、ひぇ! ん——んん、あ!」
秘孔を貪る肉棒は、軋みを啼(あ)げる。甘い甘い蜜が囁く。
———ぴちゃぴちゃ。くちゅくちゅ。
内臓を犯すように。
———ずぶずぶ。ねちょねちょ。ぐちゃぐちゃ。
神経に焼きが回る! 脳髄はパンク状態さ! 心は叫ぶ! 
「愛してる! 愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる!」
インフレしても構わないと。叫ぶ。叫び続けた。
「ひゃぁ! あちゃま、こわれしゃう、おかしぃくなっ、ひゃう!? にゃ、あああ———」
絡み合う蛇は、メビウス。永遠のシンボル。蜿蜒かつ永遠の愛。
「りゃ、らめ、もう! イっちゃう! あん、オマンコおかしくなっちゃう! オチンポ食い千切っちゃう! んんあ! ああぁ、ああん、いひ、A———!」
堰を切ったかのように、淫靡な言葉を口にする。
溢れるこの命は融け合うように。
「ん———ぱ、ああ、いきゅ、いく、逝く、だ、ら! ふぁっ、もう、限界!」
「俺も駄目だ、もう——射精る!」
「ひいよ、射精って、射精てって! にゃか、に中に! ん、、、ああああああああああ」
まずくね!? と思うのは回顧の時で。
「いくぜ、たくさん……!」
「たっぷり、いっぱい、いって、私の中で、はてて———!」
そして、喘ぐ中、息を吸いて。
「私のオマンコでしぼって、あげる! だから、たくさん出して! 子宮にちょうだい! 
んんっ! ———あん、ダメ、いく、いく、!」
「俺も! いっしょに———」
「うれしぃい! いっしょに、————ダメダメ、ああもう!
ああああ、あん、逝くぅぅぅぅぅぅ、んなぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
——どぴゅどぴゅどぴゅ。どくどくどく。びくんびくん。
放心する。解放された。
あ———、
「アイ……」
たった一言いってみただけ。
そこで、ようやく酸素をすっていなかったことを思い出す。
「たっぷり、でて、きもちよかった、よ。ふふ」
そっとほほ笑んだ彼女は、まるで、女神のようで。
「じゃ、もう1っ回、しよ?」
その実、悪魔以外の何者でもなかった。

宴は続く。終演を知らない月の螺旋は、廻り続ける。あの朱い月へは、まだ遠い。

***

後日談。といか今回のオチ。……パクリの上に、次回あるかわかんねえし!
だが、〝彼〟の様に、妹に朝起こされる訳もなく(そもそも、妹1人だし)、俺が起こす、のはいつものコトだけど。
しかし、だ。ここで逆説だ。何がパラドックスかはいいとして。
しかし、妹はもっと横虐者だった……! 
証言A。
『ねぇ、どーせ、私で性欲処理するんでしょ? だったら、もうコレいらないよね!』
いるよ! まだ、超必要! つーか、まだ、セックスする気あったんだ! ———なんて、反論出来る訳もなく、俺は、アダルトビデオを奪われ、それをアイの奴は中古屋で換金しやがった。総額が思ったより、低くて、更にへこんだ。かっこ泣き。
つーか、よく売れたな。お前まだ、じぇいけいじゃん。
……でも、ま。
いい買い物になったのかな———そんな所で、今回はここまで……だから、次回あるかわかんねえじゃん!

                                      FIN
All written by RASETSU. 2010.9.9(THU).
RASETSU is author. And all rights received.
This story is fiction that it base on the fact.

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