家内の情事


中年夫婦の話ですので、多分おもしろくないと思いますが投稿させていただきます。

昨年末のことなんですが、家内の自動車が故障し
思い切って新車に買い替えることにしました。
家内は独身の頃からずっと利用していた自動車屋があったのですが、
昨年に廃業してしまったらしく、結局私が以前から懇意にしていた
ディーラーで購入することにしました。

年明けに店長に電話すると、すぐに営業担当がバンフレットを
持って自宅まで来てくれました。
店で何度か顔を見たことのある健太君という若い子でした。

健太君は数台の軽自動車の特長などを丁寧に私と家内にしてくれました。
家内は44歳で、もともと車に興味があるわけでもなく、
どれでもいいと言っていたのですが、
健太君の提案でせっかく新車を買うのだから試乗してから決めようということになり、
翌日パートが休みだった家内は早速試乗させてもらいました。

家内は2台試乗させてもらい、そのうちの1台に決めたようでした。
自慢ではないのですが、1000万ぐらいは
いつでもキャッシュで払える余裕はありましたので、
どれを選ぶかは家内に一任していたのです。

私は夕食の時に家内から購入の契約をしたことを聞きました。

「契約しちゃったけどいいでしょ?150万と少しかな」

「お前がそれでいいならいいじゃないか。新車なんだから大事にしろよ」

何気無い日常会話でしたが、その後家内が以外なことを言いました。

「あの営業の健太君っていう子、おもしろい子ね。
一緒に試乗してもらったけど、おもしろいことばかり言うから笑っちゃうのよ」

「へーっ、そうなのか、意外だな。
俺は面識はあったけど、挨拶ぐらいしかしなかったからな」

「やっぱり営業だから口がうまいのよね。
携帯番号とメールアドレス教えてあげたの。
またメールで爆笑を誘いますよ…なんて言うから」

私は家内からそんな話を聞いても、嫉妬とかまったく感じませんでした。
家内とは結婚して15年たち、中1になる息子がいます。
子供が産まれるまではセックスもそれなりによかったのですが、
子供ができてからは寝室も別になり、
子供が大きくなった今は家族3人が別々の寝室となってしまいました。
寝室が別になるとセックスの回数もめっきり減ってしまいます。
仲は決して悪くないのですが、家内とはいつのまにかセックスレスになっていました。
ですので、家内が若い男性とメールアドレスを交換したからと聞いても
何とも思わなかったのです。

その後家内は健太君と時々メールのやりとりをしていたようでしたが、
健太君を男として意識するような感じもなく、
メールの内容も私に話すほどでした。

家内から聞いた話ですが、健太君は32歳で独身、
マンションで一人暮らしをしているとのことでした。

両親が数年前に離婚し、お父さんは健太君より年下の女性と再婚されたらしいのですが、
一緒に暮らす気にもなれず独立したらしいです。
実のお母さんとは音信不通で、なかなか複雑な家庭環境で育ったようでした。
健太君はそんなことを感じさせない明るい好青年でしたが、
私自身特に興味があるわけでもなかったので、家内の話も適当に聞き流していました。

そんなある日、今年の1月の末ぐらいでしたが健太君と話をする機会がありました。
オイル交換のため健太君の店の隣に併設している工場に車を持って行った時のことです。
少し時間があったので、店舗の中でパンフレットを眺めていた時、
健太君が話かけてきました。

「上坂さん いつもお世話になります。ご無沙汰してます」

健太君はいつもの通り明るくハキハキとしていました。

「やぁ、どう その後は 車は売れてるかい?」

「ええ、おかげさまで。今月の月間目標も軽くクリアです。
その節は奥さんにも大変お世話になりました。
新しいお車の調子はいかがですか?」

「う~ん、何も聞いてないからいいんじゃないかな」

「そうですか、もし何かありましたら、何なりとお申し付けくださいね」

私はメールのことを思い出して、
ちょっと健太君をからかってやろうと思いました。

「ああ、何かあれば家内が直接連絡するさ。
メールの交換もしているんだろ?」

健太君は一瞬しまったという表情になり、深々と頭を下げました。

「申し訳ございません。上坂さんに何も言わずに
勝手に奥さんと連絡取り合ったりして、
失礼なことをしました。本当に申し訳ございません」

あまりに健太君が大袈裟に謝罪するので、逆に可笑しくなってしまいました。

「はははっ…俺は怒ってるんじゃないよ(笑) 
いいじゃないか 若い男とメールができて家内も喜んでいるさ」

「そうだといいんですが、でも上坂さんのご機嫌を損ねたとなると…」

「大丈夫 大丈夫 そんなに気にするなら
家内を一度デートにでも誘ってやれよ」

健太君が申し訳なさそうにしているので、
私は慰めるつもりで言いました。
私の言葉を聞いて健太君も明るい表情が戻っていきました。

「ありがとうございます。
奥さんとメールしていると本当に楽しいんですよ。
僕の話もいろいろ聞いてもらったりして」

健太君の家庭事情を思い出しました。
家内は健太君の悩みをいろいろ聞いてやっているのかもしれません。

「まあ、あんなおばさんでよけければ相手にしてやってくれよ」

「いやー、うれしいです」

「但し…だけど」

「えっ、何でしょうか?」

私はある考えがひらめきました。

「俺には絶対報告することだ。いいかい、できるかな?」

「わかりました。じゃあ、早速これから奥さんとのメールのやりとりは
全部上坂さんに転送します」

「よしっ、決まりだな。家内には内緒だぞ」

「ええ、了解です。男同士の固い約束ですね」

それから、健太君は家内とのメールをすべて私に転送するようになったのです。

健太君からは3日に1度ぐらいの間隔でメールが転送されてきました。
ほとんどジーンズしか履かないあの地味な家内が、
若い男性とどんなメールのやりとりをしているのか、
最初はすごく興味があり、
健太君からきた転送メールをドキドキしながら見たものです。

しかし、期待外れというか、中身はまったく他愛もないものでした。
゛今日はまた新車売りましたよ゛゛ヤッタネ!!おめでとう゛とか、
゛今日のニュース見た?ひどいよね~、シンジラレナイ~゛
みたいな感じでどうでもいいようなものがほとんどでした。
家内はさすがに主婦らしく、
若くて一人住まいの健太君の食事を気にしているようでした。
゛健太君 今日はなに食べたの?゛
゛え~と 朝はコーヒーだけ 昼はラーメン 夜はビールとコンビニ弁当かなー゛
゛何よそれ 野菜が不足しているわね だめよ そんなの゛
みたいな感じで健太君の食事の内容を聞いている日が多くありました。

そんなメールが続いていた矢先、健太君が
゛じゃあ、仁美さんの手料理ご馳走になっちゃうかな゛
というメールを送りました。すると家内は
゛そうね~、とても見ちゃいられないわ、自炊しなさいよ 教えてあげるから゛
と返事をしていたのです。
そのメールが転送されてきてからすぐに健太君から電話がありました。

「すみません、上坂さん。メールはご覧になりましたか?」

「ああ、見たよ。健太君 とうとう自炊するのか?」

「いえいえ、そんなのできないですよ。
自炊するようなやる気を見せて、
仁美さんの手料理をご馳走になっちゃおうかなと思って」

健太君はいつのまにか、家内のことを仁美さんと呼ぶようになっていました。

「本当にしなかったら家内のやつ怒るぞ。
あいつが怒ったら結構手強いからなぁ(笑)」

「エーッ、マジっすか。やばいかなー。それでですね、
仁美さんを僕のマンションにお招きしていいか、
上坂さんにお伺いしたかったんです」

健太君は家内を自分のマンションに呼んで、
手料理をご馳走してもらおうと思ったようでした。

「そうだな、家内がどう言うかな?
年は離れてても、男性一人住まいの部屋に行くわけだからな」

「ええ、もちろん仁美さんに断られればやめますし、
もし実現しても仁美さんには指一本触れませんから」

私は健太君と話しながら何となく胸騒ぎを覚えました。
44歳と32歳で年が離れているとはいえ、所詮は男と女です。

マンションの密室で二人きりになれば何かあるかもしれません。
まさか、自分の家内に限って、セックスレスで
そういうことにまったく興味を示さない地味な家内に限ってとは思いましたが、
やはり若干の抵抗もありました。

ただ、万が一健太君とそういう関係になれば、

その現場をどうしても見たいという気持ちも強くあったのです。
これが寝取られ願望というのでしょうか。

そこで私は健太君にまた条件を出しました。

「健太君、ビデオカメラ持っているか?」

「ええ、ありますよ。ハンディタイプのですよね」

「そう、家内にわからないように盗撮できるか?
君と家内が部屋でいっしょにいるところを見たいんだ。
それができるなら俺は了承するよ」

「ビデオ報告ってことですね。了解しました。
必ずしますよ。結構散らかってますから、
カメラは見えないようにセットできると思います。
後は仁美さん次第ということですね。今からでもメールしてみます」

健太君の声は弾んでいるようでした。
妻は果たして何と返事するのか、行って欲しいような
そうでないような複雑な気持ちでしたが、
行って欲しい気持ちの方が勝っていました。

そして話はトントンと進み、
翌々日に家内が健太君のマンションに行くことになりました。

家内が健太君のマンションに一人で行く、
私は今まで感じたことのない複雑な心境でした。
健太君は家内に指一本触れないと言いました。
しかし、そうは言っても果たしてそれで終わるのか、
アルコールが入ればまた状況が変わるのでないか、
指一本触れないと言ったところで何かの拍子に身体が触れ合ったら、
そのまま深い関係に陥るのではないか…私は心の中であれこれと考えていました。
しかし、私の心配をよそに家内はあっけなく健太君のことを話してくれました。

「明後日ね、健太君のお家に行って
一緒に食事を作ってあげようと思うの」

夕食を済ませて居間でテレビを見ながらくつろいでいた時に
家内が話しかけてきたのです。
私は一瞬ビクッとしましたが、何も知らない振りをして言いました。

「ほーぉ、食事をか?」

「うん、聞いてるとすごくひどいのよね。
コンビニ弁当とか簡単なものだけで済ませてるから。
今はまだ若いからいいけど、そのうちきっと身体壊しちゃうからね。
自分で何か出来るようにしてあげないと」

「そうだな、今の若い子の食生活はひどいだろうな。
まあ、いいことじゃないか」

適当に話を合わせておきましたが、
隠そうともせず私に言うぐらいですから家内自身変な意識は
まったくなかったと思います。

正直に話してくれてホッとした反面、少し残念な気持ちもありました。
そして当日の昼過ぎに健太君からメールが来ました。

゛上坂さん 今日は仁美さんにお世話になります。
今、夕方6時ぐらいに買い物してから行くからって電話をいただきました。
ビデオの方も昨晩確認して見えにくい位置にセットしましたし、
4時間は撮影できます。
僕もなんだかソワソワして落ち着かなくて、
3時ぐらいに早退して仁美さんをお待ちしようと思ってます。
お約束は必ず守りますよ。仁美さんが帰られた後にご連絡させていただきます゛

健太君のメールは気のせいか字が踊っているようにも思えました。
私もその日は仕事が手につかず、どこか上の空だったように思います。
やらなければいけない仕事もたくさんあったのですが、
5時には会社を出て6時前ぐらいには家に帰ってしまいました。

家内はもう健太君のマンションに行ったのか、
今頃何をしているのか、私はまったく落ち着きませんでした。
食卓には家内が用意してくれた夕食が置いてありましたが、
食事を食べる気にもなりません。
冷蔵庫からビールを出してきて、テレビを見ながらチビチビ飲んでいましたが、
どれだけ飲んだのか、テレビがどんな内容だったのかまったく覚えてないぐらいです。

今から思えば我ながら情けなかったと思いました。
こんなに落ち着かないぐらいなら、健太君の申し出を断ればよかったのです。
でもこんなに興奮して落ち着かない時間を過ごしたのは
生まれて初めてと言っても過言でなかったと思います。

時間の経過がものすごく遅く感じましたが、
9時を少しまわったところで携帯が鳴りました。
健太君です。
すぐにでて家内を待ち焦がれていたと思われたくなかったので、
着信音が5回鳴った後ぐらいに出ました。

「あっ、上坂さん お待たせしました。仁美さん 今帰られたところなんです」

相変わらずの明るい健太君の声でした。

「そうか、どうだ?少しは料理できるようになったか?」

私は他に聞きたいことがあったにもかかわらず、
どうでもいいことを先に聞いてしまいました。

「えへへっ、すみません。
結局仁美さんの手料理をご馳走になっちゃいました」

「へーっ、まあ、いいじゃないか。
俺だって料理なんか全然だめだからな」

「そうですよね、ところでビデオもバッチリ撮れてますけどどうしましょう?
DVDにでもダビングしてお渡ししましょうか?」

「うん、その方が都合がいいな。
健太君の悪党振りを拝見させてもらうよ」

「いやー、上坂さん ビックリしないでくださいよ。
じゃあ、明日の午後にでも外回りの合間に会社の方へお届けします」

ビックリしないでくださいか…
多分冗談でしょうけど何となく気になる健太君の言葉でした。

家内がその日帰宅したのは10時を過ぎていました。
健太君のマンションからだとそれぐらいでしょう。
寄り道せず真っ直ぐに帰ってきたと思います。

「ただいま~、ごめん 遅くなって」

居間に入ってくると、いつも持っている手提げ鞄を下ろしながら
家内が言いました。すぐにコートを脱ぎ始めたので、
無関心を装いつつもさり気なく家内の服装を見ました。
独身男性の部屋に一人で行くなら、
少しはきれいな格好をして行ったのかと思いましたが、
何度か見たことのあるセーターにジーンズでした。

「ああ、お帰り。結構遅かったなあ」

「そうなのよ、調味料もなにもなくてね、
普段からどんな生活しているかすぐにわかるわね。
一緒に作るとすごく時間かかっちゃったのよ」

「そうか、それで少しは健太君も自炊する気になったのかい?」

私は自炊する気がまったくないような健太君の言葉を思い出しながら聞きました。

「どうかな、でもこれから少しはするんじゃないかしら。
私に頼られても困るしね」

家内と話をしながら、私はつい顔の表情や身体の変化がないか観察してしまいました。
顔がいつもよりほんのりと赤いような気がしました。
どうもアンコールを飲んでいるように思えました。
ただ、あまり根掘り葉掘り聞くのはやめました。
家内が隠し事をしているかどうかは、
明日健太君が渡してくれるDVDを見ればわかることです。

「あなた、先にお風呂に入って。私 後片付けがあるから」

「そうだな、先に休ませもらうよ」

私は風呂に入った後、自分の寝室に入りましたが、健太君からメールが来ていました。

゛さっき仁美さんからメールが来ましたので転送します。
………………
たった今無事に家に帰りましたよ。
今日はどうもありがとう。すごく楽しかったです。
でも、今度は少しぐらい自分で作ってね。
早く食事を作ってくれる彼女ができるといいね。じゃあ good night ! ゛

どうやら、私が風呂に入っている間に送ったのでしょう。
ただメールを読んでみると、さっき家内から聞いた話と
微妙に違うことがわかりました。
一緒に作ったからすごく時間がかかって遅くなったようなことを言っていたのに、
メールの様子では家内が全部作ったような感じです。
確か健太君も電話で結局ご馳走になってしまったみたいなことを言ってました。
DVDがすべてを語ってくれるのでしょうか、
私は明日が待ちきれませんでした。

その翌日、私は朝からDVDのことばかり気になっていましたが、
会社に出勤すると電話や来客に忙殺され、
いつのまにか忘れてしまっていました。
昼前ぐらいになり、ようやく落ち着いて自席でほっとしていた時、
目の前の電話が鳴りました。一階受付の女子職員からの内線電話でした。

「今、一階ロビーに神崎様という方がお見えですが?」

私は一瞬誰かわかりませんでした。 神崎?? もしかして 健太君か…

「わかった、すぐ行くからしばらく待ってもらってくれ」

私は慌てて席を立つとエレベーターに乗り、
健太君の待つ一階へ急ぎました。
一階のロビーに行くと、健太君はソファに座っていましたが、
私の顔を見るなり立ちあがりました。

「すみません、お仕事中にお呼びたてしまして」

「いやいや、どうしたんだい?」

「はい、ご依頼の物をお持ちしました。
少しでも早いほうがいいと思いまして立ち寄らせていただきました」

私は手を差し出してソファに座るよう促しました。
健太君は会社での私の立場に配慮して、
笑みを浮かべながらも口調はビジネス的で、
いかにも取引先という雰囲気を出していました。
若いのになかなかやるな、私は感心しました。
健太君は鞄の中から自分の会社のネーム入りの封筒を差し出しました。
私は封筒を受け取って中身を確認しました。
中にはケースに入ったDVDが一枚ありました。

「ありがとう、早速後で確認しておくよ」

「どうかよろしくお願いします」

健太君は深く頭を下げた後、顔を上げながら小声で言いました。

「ノーカットでダビングしてます。
感想をお聞かせいただいていいですか?今晩にでも」

「そうだな、また連絡するよ」

健太君は爽やかで誠実そうな笑みを浮かべながら
会社を出ていきました。いい子だな、私は改めて思いました。
多分異性にもモテるんだろうけど、
あんな子がどういうつもりでうちの家内に好意を寄せているんだろうか、
そんなことを思いながら席に戻りました。
しかし、どうも仕事をする気になれません。
今から帰れば、家内も子供も家にいませんから
DVDをゆっくり見ることが出来ます。
私は、上司に急用ができたからと言い、
午後から半休をとり帰宅しました。

家に帰ると着替えをすることも忘れ、
居間でDVDを再生させました。いつになく緊張し、
心臓がドクドクと動いているのがわかりました。
映像に畳の部屋が出てきました。
その部屋の隅にビデオをセットしたのか、
和室の部屋とその奥にあるダイニングまでが映っていました。
健太君の後姿が見え、ダイニングの端にある入り口のドアを開けると
コートを着た家内が入ってきました。

「おじゃましま~す」

ボリュームをかなり上げないと聞こえにくいぐらいでしたが、
何とか聞き取れました。

「どうぞ、散らかってますけど」

「うわーぁ、ほんとに散らかってるわね。
いかにも若い男の部屋って感じ」

家内はコートを脱ぎながら言いました。
コートの下は昨日見た服装とまったく同じでした。

「さぁーてと…」

家内は買ってきた食材を出すとキッチンに向かいました。

「あれーーぇ、健太君 調味料は?お米もないけど…」

「いやー、そういゃあ ないですね。使わないし、腐っちゃうから」

「もーっ しょうがないわね」

家内はタイニングの椅子に腰掛けて、
紙に何かを書いて健太君に渡しました。

「ねえ、これ買ってきてくれる?」

「はーい、わかりました」

健太君は出かけていき、家内はキッチンに立って準備を始めました。
家内がキッチンに立つとカメラからは死角になって見えなくなりました。
心臓が高鳴っていた私も落ち着いてきて、画像を早送りしながら見ました。
しばらくして健太君が買い物から戻りましたが、
家内が食事の用意をする後ろでうろうろしたりする映像ばかりが続きましたので、
どんどん早送りさせました。
映像を見ながら自分がよからぬ期待をしているのを自覚しましたが、
まったくそんな雰囲気はありません。

やがて食事が出来あがり、
畳の部屋で向かい合わせで食べている映像が映りましたが、
食欲旺盛でバクバク食べている健太君の姿が印象的なぐらいでした。
やっぱりなにもなかったんだろうな、
ホッとしたようなガッカリしたような気持ちでした。

やがて、食事も終わって二人でテレビを見ていた時に、
健太君がサイドボードを指差しながら言いました。

「そこにお客さんにもらったワインがあるんですよ。
仁美さん よかったら飲みませんか?」

「へーっ、高級そうなワインね。
私 お酒あまり飲めないけどワインならいただいちゃおうかな」

ワインを傾ける二人の姿がしばらく続きました。

ワインをゆっくり飲みながら、二人が談笑する映像がしばらく続きました。

「あーっ、おいしい。すごく飲みやすいね。後がちょっとこわいけど」

「そうですよね。ワインは結構後から酔いがまわりますよ。
でもまあ、最後の一杯ということで」

健太君は家内のグラスにワインを注ごうとしました。

「えーっ、私を酔わそうとしているでしょ(笑)」

「まさか、とんでもないですよ!」

健太君は真顔で否定しました。

「あはは…それよりさ、健太君聞いてもいい?」

「ええ、何ですか?」

「健太君、彼女いるの?」

「う~ん、いないですよ。いない歴がもう2年かな」

「ホント?そんなふうに見えないわ。ねぇ、モテるんでしょ」

家内は少し酔っているのか、
ややテンションが高い感じで健太君を質問攻めにしていました。

「全然モテないですよ。僕、これでも奥手なんですよ」

「ふ~ん、でも好きな人とかいるでしょ?」

「ええ…いますよ。内に秘めてますけど」

健太君は視線をそらしながら言いました。

「なんだーっ、いるんじゃない。
じゃあ、さっさと告白しちゃいなさいよ。
誰なの?会社の女の子かな。
言えないなら私が言ってあげようか?」

すっかり家内に主導権を握られてしまったような健太君は、
やや言いにくそうに言いました。

「いえ、なんて言うか…
その人、結婚してるんです。だから…」

「へーっ、そうなんだ。叶わぬ恋ってやつね。
その人、お客さん?」

健太君は家内を見つめながら言いました。

「そうです、今僕の目の前にいます」

健太君の言葉に家内は凍りついたように動かなくなりました。
しかし、それはまったくの一瞬のことで、
やや気まずい雰囲気をかき消すように言いました。

「あはっ(笑) どうもありがとう。
うれしいわ、そんなこと言ってくれて。
今日食事を作ってあげたご褒美かな」

「あっ、いや、あの…仁美さん」

健太君は何か言おうとしましたが、
家内はそれ以上聞いてはいけないと思ったのか立ち上がりました。

「もうこんな時間だわ。健太君、私帰るね」

家内はコートを着ると、出口へ向かって歩き始めました。
健太君が『告白』をしてから一気に流れが変わったような感じです。
健太君は慌てて家内の後ろに歩み寄って言いました。

「仁美さん、あのぅ…また、来ていただけますよね?」

出ていこうとした家内は振り向いて、
笑みを浮かべながら言いました。

「そうね~、じゃあ次は健太君の手料理をご馳走になりに来るわね、じゃあね」

家内は手を振りながら出ていきました。
しばらくじっとしたままの健太君の後姿が映っていましたが、
DVDはそこで終わったのです。

心の中で良からぬ期待をして、
ドキドキしながら見ていた私にとっては
いささか拍子抜けの内容でしたが、
何となく爽やかなドラマのような感じでした。

私は感想を聞きたがっていた健太君に連絡を取りました。

「あっ、健太君、今いいかな?DVD早速見せてもらったよ」

健太君はあまりに早く私が電話をしてきたことにびっくりした様子でした。

「えっ!もうご覧になられたんですか。それで、いかがでした?」

「いやいや、健太君の言ってたように本当にびっくりしたよ。
一昔前にあった青春ドラマみたいだったよ(笑)」

「すみません、びっくりしますよなんて言ってしまって、
お恥ずかしいです。最後の言葉はちょっと余計でしたね」

健太君はやや申し訳なさそうに言いました。

「いや、いいじゃないか。
一回りも年下の男に好きだと言われて怒る女なんていないさ。
それにまた行くようなことを言ってたし、
家内も満更じゃないみたいだな。
それにしても、健太君は律儀だなあ」

「えっ、どうしてですか?」

「だって本当に指一本家内に触れなかったからなあ」

「ええ、でもそれは約束でしたから当然ですよ。
まして、上坂さんの奥さんですから…」

「本当は触れてみたかったんだろ?」

私はやや意地悪な質問をしました。
健太君の本音を聞いてみたかったのです。
健太君はしばらく黙っていましたが、ゆっくりと言葉を選ぶように言いました。

「それは、僕も男ですから。失礼を承知で申し上げますと…
仁美さんを抱きしめたかったです、すみません」

「謝ることはないよ。そんなに家内のことを思っているなら、
次は健太君の思いのままに接してみろよ」

自分でも信じられないような言葉がつい出てしまいました。
今まで48年の人生で思いもよらなかった寝取られ願望のようなものが、
私の中でフツフツと沸いていたのです。

「えっ…でも、それは いくらなんでも」

「但し、早まるなよ。あくまで家内の意思を尊重すること、
無理強いはだめだ。それとビデオ報告は必ずすること」

私は一応くぎを刺しておきました。
健太君はしばらく迷っている感じでした。

「ありがどうございます。上坂さんのご好意に感謝します。
でも、どうしてなんですか?
上坂さんにとって大事な奥さんが、
もし私と…なんて言うか、男と女の関係になってしまったら」

「う~ん、うまく言えないけどなあ。
家内は結婚してから俺以外の男性とは
付き合っていないはずだから、
本当に迫られたらどうするのか見たいし、
寝取られ願望みたいなのも正直あるし…
こんなことは誰にも言えることでないからね。
ただ、健太君が律儀で誠実な男であることはよくわかったから、
家内に乱暴したり無茶なことはしないだろうと思ってるよ」

「そうですか、わかりました。
今はまだ心の整理ができませんので
何とも言えないですが、また仁美さんをお招きしたいと思います」

果たして健太君はどうするか、しばらく私は静観していたのですが、
家内とのメール交換はその後も続き、
3月の中旬頃でしたが再度家内が健太君のマンションに行く日が訪れました。

「今晩また健太君のマンションに行ってくるね。
今日は健太君がご馳走してくれるって言うから」

当日の朝の出勤前に、家内はさらっと切り出してきました。
今晩誘っていることは健太君から事前に聞いていたのですが、
私はやや大袈裟に返事しました。

「本当かよ?あいつが料理をするのかい」

「ちょっとあやしいけどね。
今日は僕が作りますから試食してくださいって言うから、
それ試食じゃなくて毒味じゃないのって言っちゃった」

「ははっ(笑)お前もきついなあ。
まあ、食生活には十分気をつけてやれよ。
料理が出来なくても、牛乳とか納豆とか
身体に最低限必要なものを毎日摂る習慣をつけてやったほうがいいな」

「そうよね、夕食は用意しておくからお願いね」

家内と健太君はあの『告白』の日からも
メール交換は続けていたのですが、
健太君から転送されてきたメールを見る限りでは、
お互い核心に触れることを避けているような内容ばかりでした。
当たり障りのないような話ばかりで、
やっぱり健太君はこれ以上のことをする勇気はないのかなと
思っていたのですが、料理に挑戦するからということで
家内を誘ったようでした。

二度目の訪問、そして健太君の『告白』後初めて二人きりとなる日です。
しかも、無理矢理でなかったら何をしてもいいと了解したも同然ですから、
私は仕事中も落ち着きませんでした。
今日も早めに仕事を切り上げて家で家内の帰りを待とうと思い、
落ち着かないながらも仕事のピッチをいつになく上げて帰ろうとしたのですが、
夕方に取引先から思わぬクレームが入りました。
ミスをした部下と一緒に取引先を訪問し、
ようやく解放された時は夜の11時を過ぎていました。

取引先を訪問中は携帯を留守電にしていたのですが、そ
の間に健太君から着信歴が2回とメールが1回、
家内から着信歴が1回ありました。
私は取りあえず家内に連絡をとりました。

「すまない、急にクレーム処理が入って今やっと終わったところだ。
部下と一緒だから軽く食事をして帰るよ」

「そうだったの、お疲れさま。
私も1時間ぐらい前に帰ったんだけど、
弘毅がお父さんから連絡もないしまだ帰ってないって言うから心配してたのよ」

「連絡が取りにくい雰囲気だったからな、先に寝ててくれればいいよ、じゃあ」

家内は電話の感じではいつもと変わらない様子でした。
今日は一体どうなったのか、私ははやる気持ちを押さえながら、
健太君のメールを開けました。メールを受信した時刻は9時半過ぎでした。

゛上坂さん、お仕事中でしたら申し訳ございません。
留守電でしたのでメールを送らせてもらいます。
9時過ぎに仁美さんはお帰りになりました。
またDVD報告をさせていただきますが、
もしよろしければ明日昼食をご一緒させていただけないでしょうか。
会社の近くまで行きますので。今日は1歩前進というところでしょうか?゛

意味深な健太君のメールでした。
1歩前進ということは、健太君の『告白』に対して
家内が何らかの返事をしたか、
健太君が『告白』以上のことをしたか、
いずれかということなのでしょうか。
私は健太君に明日の待ち合わせ場所をメールをして、
帰宅したのは日付が変わってからでした。

私は深夜に帰宅しましたが、家内は寝ないで待ってくれていました。

「おかえり、大変だったね」

「ああっ、散々だったよ。今の時代はいろいろうるさいよ。
以前なら電話で謝ったら済んでいるのになあ…
それはそうと、どうだった?健太君の料理は」

「えへっ、もう笑っちゃうわ。
あれでよく食事をご馳走しますなんて言えたものね。
結局ほとんど私が作っちゃったわ。
でも自分でやろうとするだけでもいいことよね」

「そうだな、まあ本人が自分で食事に気を使うようになることはいいことだよ」

「そうね、いつまでも若くないしね」

「さぁ、俺は風呂に入るから先に休んでくれよ」

食事のことなどは正直どうでもよかったのですが、
家内がそれ以上何も言いそうな感じでもなかったので私は風呂に入りました。

翌日の昼、健太君は約束の時間に待ち合わせ場所の喫茶店に来ました。
DVDを受け取り、昼食を共にしながら健太君に聞いてみました。

「1歩前進か?どんな前進なのか楽しみだな、
ゆっくり見せてもらうよ。家内は特に変わった様子はなかったけどな」

「そうですか、むしろ変わっておられない方がいいですね。
何事もなかったかのように自然の流れとして受けとめていただければ、
僕もうれしいです」

「そうか、自然の流れの中で1歩前進か。ますます楽しみだな」

私は健太君に余裕の表情を見せていたつもりでしたが、
心の中では早くDVDを見たくてたまらなかったのです。
その日は7時頃に帰宅しましたが、
DVDを見ることが出来た時は11時を過ぎていました。
家内が寝室に入ったのを確認し、
私はボリュームを落してドキドキしながら再生させました。

DVDに出てきた健太君の部屋は前と何も変わっておらず、
ビデオが隠されている位置もまったく同じのようでした。
二人でキッチンに立って食事を作っているのか、
家内と健太君の姿が見え隠れし、時々話し声も聞こえてきました。

「ああっ、だめよ。それは先に煮込まないと」

「ちがう、ちがう、いいわ それは私がするから」

どうやら健太君が何とか自分でしようとしているのを、
家内は見ていられないといった雰囲気です。

その後は前と同じような光景でした。
二人で食事をしながら談笑し、その後はまたもやワインを傾けていました。

「健太君もやればできるじゃない、私 見直したわ」

「そうですか、でも全然ですよね。
仁美さんがいないと悲惨な料理になって
とても食べられたものじゃないですよ」

「いいの、いいの、食事に気をつけようと思うだけでも全然違うから」

家内に褒められて健太君はすごくうれしそうな顔をして笑っていました。
まさか、これが1歩前進なのかな、
そうだとしたらとんだ筋違いな前進だな…
そんなことを思いながら、
前とほとんど変わりないDVDに私も飽きてきたところでしたが、
健太君が家内に言いました。

「仁美さん、肩がこるんですか?」

家内がワインを飲みながら時々肩のあたりを触っているのをみて
健太君が声をかけたのです。

「うん、私 結構若い頃から肩がこるタイプなのよね」

すると健太君はちょっと深呼吸して言いました。

「そうなんですか、もし…よかったら僕が揉んであげましょうか?」

「ほんとに?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」

すると健太君は家内の背後にまわり、
後ろから家内の肩に手をおいてゆっくりと揉み始めたのです。
健太君が初めて家内の身体に触れた瞬間でした。

これか……確かに前に比べれば1歩前進だ、

健太君の手はやや震えているようでしたが無理もないでしょう。
指一本触れることが出来なかったのに、
今は堂々と家内の肩に触れているのです。
健太君の手には服の上からとはいえ
家内のブラジャーの感触も伝わっているのか、
顔が真っ赤になっていました。

家内もやはり最初は意識したのか、
やや恥ずかしそうにしていましたが、
じわじわと心地よくなってきた感じです。
やや顔を赤らめながら、
下向き加減で目を閉じて健太君の肩揉みに身を任せていたのでした。
大きな手でゆっくりと肩を揉みほぐした後、
健太君は左手を家内の左肩において支えると、
右手で首の下から背骨へとゆっくりと指を立てて
指圧するように摩っていきました。
すると、下向き加減だった家内は身体を反りかえらせて顔を斜め上に向けると、
目を閉じたまま思わず喘ぐような声を張り上げたのです。

「ああっ、ああっ、気持ちいいっ、すごく いいっ…」

健太君の右手は、背骨を摩りながらだんだん下がっていき
腰骨のあたりまできました。
家内の身体はますます反り返り、
健太君の左手のみで支えられていました。

健太君の右手は家内の腰のあたりまでくると、
さらにゆっくりと円を描きながら骨盤を刺激するように動きました。

「ああっ、ああっ、ああっ」

健太君の右手の動きに合わせるように
家内は反り返って喘ぎ続けました。
健太君の顔は真っ赤で、額にはやや汗が滲んでいるように見えましたが、
何かにとりつかれたかのように家内の下半身を刺激し続けました。

右手はしばらく腰のあたりを集中的に刺激した後、
徐々に下がっていきお尻のすぐ上までくると、
再び上へ移動し始めました。
すると今まではセーターの上から身体を摩っていた手が
セーターの中に潜り込み、背中を這うように上がっていったのです。
家内のセーターは少しずつ捲くれあがり、
白いインナーが見え始めました。
健太君の右手に翻弄され無抵抗状態だった家内は、
セーターの中に手を入れられていることに気がつきました。

「いやっ、やめてぇぇ」

健太君は一瞬ビクッとして動きを止めましたが、
再び右手が背中を這い上がり始めました。
右手が背中の真中あたりに辿り着いた時、
家内が再び声を張り上げたのです。

「だめぇぇ、おねがいぃぃ」

家内に再び制止された健太君はようやく諦めたのか、
右手をセーターから抜き取りました。
身体を反り返らせていた家内は、
やや捲くれあがったセーターを元に戻し
肩で息をしながら黙って下を向きました。
すると健太君は抜き取った右手を家内の首筋に持っていき
再び揉みはじめました。
健太君が服の上からではなく、家内の肌に直接触れたのです。

「ああっっ」

首筋を揉まれ始めると、家内は再び声を上げて
健太君のなすがままになってしまいました。
そして首筋に沿って上下動を何度か繰り返した後、
右手が家内の耳たぶを掴んだ時です。

「ああっ、そこはぁぁ」

家内は叫びながら一瞬にして健太君の方へ崩れ落ちました。

「あっ、仁美さん…」

家内がほとんど無抵抗であったため、
自分の思いのままに家内の身体に触れていた健太君でしたが、
崩れ落ちた家内にビックリして慌てて抱き留めました。
家内は健太君に抱かれた状態で目を閉じて大きく息をしていました。
二人は今までになく身体を密着させ、しばらく動きませんでした。
健太君は目を閉じている家内を抱き留めたまま、
しばらく黙って見つめていましたが、
ややおどおどしながら声をかけました。

「仁美さん…大丈夫ですか?」

家内はようやく目を開けて、健太君を見上げながら言いました。

「ごめんなさいね、少し酔ったみたい。
すごく気持ちよかったから、フラッとしてしまったの」

「いえ、僕が悪かったんです。
仁美さんのセーターの中に手を入れてしまったり、
耳たぶにまで触ってしまって。びっくりされたんですね」

「ううん、大声出してごめんね。
健太君に下着見られたくなくて、つい声を張り上げちゃったの」

「僕に気を使わないでください。下着ぐらい…」

「だって、いつも着けてる色気のない下着だから…
あっ、ごめんね、重たいでしょ?」

家内が起き上がろうとしたため、
健太君は家内の背中に手を回して起こそうとしました。
二人の顔が数センチの距離まで急接近したその時、
健太君は家内の唇に向かって自分の唇を近づけていったのです。

家内の唇が健太君に…しかし健太君の頭が死角となり、
二人の唇が直接触れ合うところが見えませんでした。
ただ家内は健太君の顔が近づいてくると避けることもせず、
そっと目を閉じてその時を待っていました。
健太君のキスを受け入れたのです。

二人はしばらくの間固まったように動かず、唇を重ねていました。
私は二人のキスシーンに興奮しながらも
早く離れてくれ と心の中で叫び続けました。

ほんの数秒間でしたが、ものすごく長く感じました。
やがて健太君がゆっくり顔を離すと、
家内は顔を隠すように真下を向いてしまいました。
長い髪が家内の顔をすっぽり覆ってしまい表情が見えません。
家内は顔を隠した状態でじっとしていました。

家内は今何を思っているのか、
独身の男のマンションでキスまでしてしまった背徳感なのか、
密かに健太君の次のアクションを期待しているのか。

長い沈黙の時が流れ、健太君が先に口を開きました。

「仁美さん、あのぅ、僕は…」

家内は下を向いたまま静かに言いました。

「もう、帰らないと…」

「あっ、ああ、そっ、そうですよね。駅まで送ります」

家内はコートを着ながら健太君を制止しました。

「ううん、いいから。じゃあ おやすみ」

家内はあっさりと健太君のマンションを後にしました。

DVDを見終えた時は既に午前1時を過ぎていました。
時間を忘れすっかり没頭しまっていたのです。

翌日の昼休みに私は健太君に電話をしてみました。

「まさかと思ったけどキスとは驚いたよ。
1歩どころか2、3歩前進じゃないか」

「はぁ、自分でもまさかキスまでできるとは思わなかったんですが、
仁美さんの顔が目の前にあって、つい…」

健太君はやや照れながら申しわけなさそうに言いました。

「確かに自然の流れだったけど正直妬けたよ、
早く離れろって思ったしな(笑)」

「すみません、仁美さんの唇すごくやわらかかったし、
大人の女性って感じの匂いがしました。
僕みたいな若造の相手をしてもらってすごく嬉しかったです」

家内と最後にキスをしたのはいつだったか覚えてないぐらいの私にとっては、
健太君の喜び方が新鮮でした。

「上坂さんに連絡しようと思ってたんですけど、
実はさっき仁美さんに電話したばかりだったんです。
キスをした後、あっさり帰られてしまったし、
あれからまだ何もお話してなかったから、声が聞きたくて」

「ほぅ、そうか。別に何も変わりなかっただろう?」

「ええ、いつもの明るい仁美さんでホッとしました。」

「それで、何か言っていたか?キスのこととか」

「ええ…案外手が早いのねって…、
次は罰金取られるらしいです(笑)」

「ははは…面白いじゃないか」

「そうですね、でも罰金で済むなら
僕 いくらでも払いますよ」

二人はこれからどうなるのか、このままいけばいつかは…
家内がどこまで健太君と深い仲になるのか、
私は少々のリスクを冒してでもどうしても見たくなりました。

年度末から年度始にかけて私は多忙な日々を送りました。
帰宅が深夜になることも多く、家には寝るためだけに帰るようなものでした。
私に合わせるかのように、健太君からもあの日以来メールが転送されることもなく、
家内と健太君の話をすることもありませんでした。

4月も中旬ごろとなり、仕事の方もようやく落ち着いてきました。
そういえば、健太君からはさっぱり連絡がなくなったなあ 
と思いかけたある日、久しぶりに健太君が電話をしてきたのです。

「上坂さん、お久しぶりです。結構仕事が忙しくて、
仁美さんとも全然連絡とってなかったんです」

「本当か? あれからさっぱり音沙汰なしだったから、
家内とこっそり逢引しているのかと思ったよ(笑)」

「あはっ(笑)そうだといいですけど、とんでもないですよ。
それはそうとして、上坂さんと仁美さんを
お食事にご招待したいと思うんですけど…」

「ご招待って…健太君がご馳走してくれるのかい?」

「ええ、お任せください!」

健太君の話では、昨年度営業の成績がすごくよかったので、
店長からペアのお食事券をプレゼントされたとのことでした。
家内と二人で行こうとも思ったようですが、
あまり二人きりばかりだと家内も外出しにくいのではとの配慮で、
私も誘ってくれたようでした。

「そりゃうれしいことだけど、ペアの食事券なんだろ?三人で行くとなったら、
一人分は自腹になってしまうじゃないか」

「ええ、もちろんその分は僕が出します。
上坂さんには大変お世話になってますから、ぜひご招待させてください」

家内に話してみるとぜひ行きたいとのことで、三人で食事に行くこととなりました。
場所は知る人ぞ知る有名な料亭とのことで、いつもはジーンズばっかりの家内も、
その日ばかりはスーツを着て出かけました。
確か二年ぐらい前に新調した春物のスーツですが、
家内にしては膝上の短いスカートでした。
ただ、あれからやや太ったのか、腰まわりがやや窮屈そうで、
本人は気づいていたのかどうかわかりませんが、
スカートには下着のラインが浮き出ていました。

落ち着いた雰囲気の料亭で出された創作料理は、
今まで味わったことのないぐらいの豪華料理で、私も家内も大満足でした。

しかし、こんな高価なものを若い健太君に一方的に
ご馳走になったままでは申し訳なく思い、
料亭を出た後私が仕事で利用したことのあるスナックバーに行きました。

カウンターで、家内を間に挟んで、家内の左に健太君 
そして右側に私が座りました。
料亭から少々アルコールも入っていましたので、
スナックバーでは三人ともややテンションが高くなっていました。

「健太君、うちの家内のことどう思う?」

私は少し酔った勢いで健太君に聞きました。

「う~ん、素敵な方ですよね。お母さんみたいに包んでくれそうな感じで」

「ええっ!お母さんですって!お姉さんでしょ もーっ、失礼ね(笑)」

「あっ、すみません、訂正します。お姉さんでした(笑)」

和気あいあいのうちに、あっという間に時間がたっていきました。
しばらくして、私の右側に顔見知りのアルバイトの女性が座りました。
家内の視線が気になりましたが、彼女は年令は家内より上でしたので、
まあいいかと思い私はその女性と話しこんでしまったのですが、
家内は私に嫉妬するどころか健太君に寄り添うように楽しそうに話していました。
家内は足を組んで座っていたので、
膝上のスカートは太股の三分の一ぐらいが見えるまでに上がっていました。
健太君にも家内の太股が見えているはずです。
私はキスシーンを見た時とはまた違う興奮を味わいました。

そろそろ息子が塾から帰る頃でしたので、名残を惜しみつつも
私と家内はタクシーで帰宅しました。
そして、ゴールデンウィーク中に健太君を
我が家に招待しようということになったのです。

4月の下旬でしたが、健太君が我が家にやって来ました。

「おじゃましま~す!」

健太君はやや照れながら、紙袋を提げて入ってきました。
もしよかったら泊まってもいいぞと言ってましたので、
着替えの用意をしてきたようでした。

「いらっしゃ~い」

家内は特に変わった様子もなく、にこやかに健太君を迎えてやっていました。
健太君を居間に案内した後、家内は焼肉の用意をしかけたので、
私と二人でしばらく雑談していたのですが、
健太君が庭の方を見ながら言いました。

「もしかして、息子さんサッカーされているんですか?」

庭に転がっているサッカーボールを見つけたようでした。

「ああ、まだ始めたばかりだけど。サッカー部に入ったらしいよ」

「へーっ、そうなんですか。実は僕もやってたんですよ。中学、高校と」

「そうなのか、ならちょうどいいじゃないか、ちょっと息子に教えてやってくれよ」

私は二階にいる息子を呼びました。

「健太です、よろしくね。サッカーやろうか!」

息子の弘毅はやや人見知りする方で、最初はややぎこちなかったのですが、
気さくな健太君にすぐに慣れて、健さん・健さんと呼ぶようになりました。
二人は時間も忘れたように夢中でサッカーをしていました。
4月の下旬でしたが、その日はいいお天気で、気温も高かったので、
二人は汗だくになっていました。

「なによ、あなたたち汗ビッショリじゃないの。シャワー浴びて着替えなさいよ」

夕食の支度ができたので庭に出てきた家内が言いました。

「うん、健さん シャワー浴びようよ」

すっかり健太君と仲良くなった息子が、健太君の手を引っ張りながら言いました。

「あっ、じゃあ ちょっとシャワーをお借りします」

「健太君、その服明日も着るんでしょ。脱ぎなさい、洗濯しておいてあげるから」

「あっ、ああ、すみません。じゃあ…」

健太君は風呂場の横の脱衣室まで行き、家内がその後に続きました。
脱衣室に入った健太君は服を脱いで、
脱衣室のドアを少しだけ開けて家内に服を渡しました。
そして、そのすぐ後に息子も脱衣室の中に入ったのですが、
しばらくして息子の叫び声が聞こえたのです。

「うわぁー!健さんの超デカイ!!」

息子の叫び声は居間にいた私にも聞こえましたから、
当然家内も聞こえているはずです。
超デカイと言ったのは、健太君のあそこを見て言ったのでしょう。
中学1年生ですから、そういうことにも興味が出てくる年頃です。
息子が見た正直な感想を口にしたのでしょうが、
それがどれぐらいのものなのか、私も少し興味がありました。

夕食の準備も整い、私と家内は二人が出てくるのを待っていました。
浴室からは時々笑い声が聞こえてきます。

「あの二人、すっかり仲良くなったわね」

「ああ、弘毅も一人っ子だからな、
いいお兄ちゃんができたみたいでうれしいんだろうな。
健太君も今時珍しいいい男だよ。また、時々食事に誘ってやろうか」

「そうね…」

家内はちょっと曖昧な返事をしました。我が家に招待するより、
健太君のマンションに行きたいと思っていたのかもしれません。

二人が着替えを済ませて出てきましたので、四人での夕食が始まりました。

「さぁ、健太君 どんどんやってくれよ」

私は健太君にビールを注ぎながら言いました。

「遠慮しないでたくさん食べてね。うんと栄養つけないとね」

「いやーぁ、すごいですね。ありがとうございます」

健太君は目の前の肉の山を見ながらうれしそうに言いました。

「どうだ、弘毅 少しはサッカー上達したか?」

「うん、バッチリだよ。健さんに教えてもらうと
なんだかすごく上手くなったみたいで。
健さん どうしてJリーグの選手にならなかったの?」

「あはっ(笑)俺ぐらいじゃ全然だめだよ。
プロの選手はやっぱり違うから。車のセールスマンでよかったよ」

「そうなの?もったいないなあ……あーっ、健さんの これぐらいだったかな~」

息子が皿の上にあった10センチ以上ある大きなフランクフルトを箸で摘みながら言いました。

「おいおい(笑) ここで言うなよ」

健太君はやや恥ずかしそうに苦笑いをしながら言いました。
私も思わず笑ってしまいましたが、家内だけが黙っていました。

夕食も終わりかけた頃に息子が家内に言いました。

「ねぇ、お母さん、僕 健さんと一緒に寝てもいいよね?」

「そりゃあ いいけど、健太君いいの?」

「ええ、いいですよ。じゃあ一緒に寝るか、でも俺のいびきで寝れないぞ(笑)」

結局その日は健太君と息子が同じ部屋で寝ることとなりました。
キスまでしたとはいえ、
さすがに我が家ではどうしようもないだろうと思っていましたが…

翌朝7時過ぎに目覚めて一階に下りてみると、
既に健太君は起きていて居間で新聞を読んでいました。
家内はキッチンに立って朝食の準備をしています。

「おはよう、健太君 早いじゃないか、
休みなんだからもっとゆっくり寝ていればいいのに」

健太君は私の姿を見ると新聞をテーブルの上において立ちあがりました。

「おはようございます。十分休ませていただきました。
ちょっと早く目が覚めてしまったもので…」

「そうかい?結構遅くまで弘毅と話していたみたいだし、かえって悪かったかな」

すると、家内がエプロンで手を拭きながらこちらを見て言いました。

「本当よね、逆に気を使わせちゃったみたいね。
健太君 朝ご飯食べたら少し休んだらどう?弘毅はまだ寝てるみたいだし」

健太君は大きく手を振りながら言いました。

「いえいえ、大丈夫ですよ。昨日はとても楽しかったです。本当にありがとうございました」

しばらくして息子も起きてきましたので、
四人揃って朝食を食べた後、健太君は帰っていきました。
朝食の間も、健太君と息子が楽しそうに話をしていたぐらいで、
私は何も思わなかったのですが、
健太君が我が家を出てから30分ぐらいたってからでしょうか、
健太君が私にメールを送ってきたのです。

゛上坂さん ありがとうございました。
すぐにお話したいことがあるんですが、
できれば駅前まで出てきていただけないでしょうか?゛

昨日から朝にかけて何もなかったように思うけど
話があるというのはどういうことだろうか…
とにもかくにも私は健太君に返信しました。

゛わかった、もうしばらくしたらそっちに行くから待っていてくれるか。
話というのはなんだい?相談なのか、報告なのか゛

゛報告です、相談もするかもしれませんけど。
僕は上坂さんにはすべてを報告する義務がありますから゛

健太君らしい律儀なメールでしたが、私は急にドキドキしてきました。
報告というからには昨日から今日にかけて、
健太君と家内の間に何かがあったということでしょう。

しかし、健太君は息子と一緒の部屋で寝ていたのは間違いありません。
隣の部屋で寝ていた私には、二人が遅くまで話をしていたのが
微かに聞こえましたし、家内は一階で寝ていたのです。
となると、息子が寝てしまった後に、
健太君が家内の部屋へ行ったということになりますが、
健太君がそこまでするとはどうしても考えられなかったのです。

私は家内に買いたい本があるから出かけると言って家を出ました。
駅前に着くと健太君が待っていてくれてました。

「お呼びたてして申し訳ありません。
上坂さんの家ではお話できないですから」

「いやいや、いいよ。とにかく喫茶店でも入るか」

私は健太君と近くの喫茶店に入りました。

「それで…なんだい、報告というのは?」

私ははやる気持ちを押さえながら健太君に尋ねました。

「最初に上坂さんに謝罪しないといけないんですが、
今回はビデオ報告はないんです」

「そりゃあ そうだろ。
何があったかわからないけど、
まさかそれを予定してビデオを持ってきていたわけでもないだろ。
それに我が家のことを知らない健太君が盗撮できるわけがないし」

「ええ、でもビデオ報告を条件に
仁美さんをマンションに招き入れることを
了解いただいてましたから」

「相変わらず律儀だなあ、君も。
まあ、いずれにしても一体なにがあったんだい?」

健太君はやや申し訳なさそうに話し始めました。

「上坂さんの家だったから、
仁美さんに何かしようなんて思わなかったし、する気もなかったんです。
でも、すみません…キスしてしまいました」

なんだ、キスか…私はホッとしつつも期待外れの気持ちもありました。

「キスだったら前と同じじゃないか。そんなに勿体ぶるなよ(笑)」

健太君は真剣な表情を崩しませんでした。

「同じキスでも前とは全然違うんです」

「違うって…もっと濃厚ってことか?
ディープキスってやつか?」

「…すみません。
かなりっていうか、結構激しかったと思います」

家内と健太君が濃厚なディープキス…
自然の流れだったのかもしれませんが、
我が家での出来事とは驚きでした。

「一体いつそんなことしたんだ?」

「今朝です、朝6時ぐらいです」

私は胸の高鳴りを覚えながら健太君に聞きました。

「健太君 もしかして家内の部屋まで行ったのか?」

健太君は首を振りながら否定しました。

「違います!僕 そこまでしないです。上坂さんと弘毅君がいるのに」

「僕 6時前ぐらいに起きてしまったんです。
まだ早いし、もっと寝ようと思ったんですけど目が覚めてしまって。
それで仁美さんが服を洗濯してくれるって言ってましたから、
取りに行こうと思って一階へ降りたら、
浴室で誰かがシャワーを浴びている音が聞こえたんです」

6時頃なら私も息子も寝てましたから、
シャワーを浴びているのは家内に間違いありませんでした。

「家内が朝からシャワー浴びていたのか、珍しいな」

「声をかけるわけにもいかないですから、
あたりを探してみたんですけど服が見つからなくて。
それでしばらく待っていたんですけど、
仁美さんを待ち伏せしているみたいに思われたくなかったから、
また二階へ上がって待ってたんです。
しばらくして、浴室を出て脱衣室に行く音が聞こえたんで、
わざと大きな足音をたてて階段を降りて脱衣室の前まで行って声をかけたんです」

『おはようございます』

『あれっ、健太君?どうしたの、早いじゃない』

「仁美さんはちょっとビックリした感じで、
脱衣室のドアを半分だけ開けて顔を出してくれました。
髪はボサボサで濡れてて、バスタオルで身体の前を隠してました。
僕は見てはいけないと思って顔をそらしながら言ったんです」

『すみません、あのぅ 僕の服はどこですか?』

『あっ、ごめんね、今出すからちょっと待っててね』

「仁美さん バスタオルで前は押さえてましたけど、
ちょっと慌ててましたから、胸の谷間がはっきり見えてしまって…」

「そうか、家内もまさか健太君がこんな時間に起きると思わなかったから
焦ったんだろうな」

「そうだと思います。慌てさせてしまって仁美さんには申し訳なかったんですけど、
僕 すごくドキドキしてしまって。
仁美さんの胸があんなに大きいと思わなかったんです」

「そうかい?ちょっと着痩せするタイプかもしれないけどな」

確かに家内は元々胸は大きい方でしたが、
ここ数年セックスレス状態でしたから、
私も家内の身体をしばらく見ていませんでした。
もう44歳ですから体型も崩れつつあるのが服の上からもわかりましたが、
健太君の話を聞いていると、今どんな身体になっているのか見てみたくなりました。

「僕 これ以上は見てはいけないと思って、
居間に行って待ってたんです。
しばらくして、仁美さんが服を持ってきてくれました」

『ごめんね、お待たせ。はい、これっ、乾いているからね』

「綺麗に折りたたんだ服を僕の目の前に差し出してくれたんですけど…
僕 そこで理性を失ってしまったんです。
上坂さんの家にいるということも一瞬にして吹き飛んでしまいました」

私は息が止まるような思いでした。

「理性を失ったって…どうしたんだ?」

「仁美さん 着替えて出てきたんですけど…
ノーブラだったんです。白いTシャツ一枚だけで、
下半身まですっぽり隠れてしまう大きいシャツでしたけど、
胸のあたりにポッチリと…」

「仁美さん 慌てて出てこられたので、
下着をつけてなかったと思うんですけど、
太股から下が丸見えで素足だったんです。
僕 もう自分を押さえることができなくて、
仁美さんが差し出した服を受け取らずに、
手首を掴んでしまいました。

仁美さんはビックリして離れかけようとしましたけど、
僕は手首を離さなかったんです。
もう自分で自分をコントロールできない感じでした。

もし、仁美さんに大声を出されて、
上坂さんや弘毅君に見つかってしまってもいいぐらいの気持ちだったんです。
僕は仁美さんの手首を引っ張って自分の方に引き寄せました。
仁美さんの身体が僕にもたれかかるようになって、
ふっくらとした胸の膨らみが僕のお腹のあたりに当たりました」

家内は二階で私と息子が寝ているのに何も抵抗しなかったのか、
家内ももしかしたらどうなってもいいみたいな気持ちになっていたのか、
私は複雑な気持ちでした。

「家内は、逃げようともしなかったのか? 抵抗はしなかったのか?」

一気に喋り始めた健太君を制止するように私は言いました。

「抵抗されたらやめていたかもしれないです。
でも仁美さんは僕の方に寄りかかったまま動きませんでした。
仁美さんが抵抗しないことをいいことに、
僕は仁美さんの顎に手を添えて顔を上に向けて唇を強引に押しつけました。
もうこの時を逃したら、二度と仁美さんと触れ合うこともないかもしれない、
見つかってしまったらもう会えないかもしれない…
そう思うともう後戻りできなかったんです。
僕は仁美さんの口の中に強引に舌を差し込みました。
仁美さんの舌を追いかけて何度か絡み合った後、
僕は仁美さんの舌を唇で挟んで思いきり吸いこみました。
何度も何度も吸って仁美さんの唾を飲み込みました」

その場の雰囲気がわかるような健太君の話に、
私は興奮しながら聞き入ってしまいました。

「数分間ぐらい仁美さんの唾をいっぱい飲んで顔を離しました。
仁美さんはうっとりした表情で僕の方を見上げながら言ったんです」

『…罰金…たくさん払ってもらうわね』

「仁美さんはそう言うと、僕の首に両手を回して、
少し背伸びをして今度は自分から唇を僕の方に押し付けてきたんです。
さっきとまったく逆でした。
仁美さんは僕の口の中に舌を入れてきて、
僕の舌を捕まえると思い切り吸い込んでくれました。
ゴクゴクと喉が鳴るぐらいいっぱい唾を飲み込んでくれたんです。
仁美さんが僕の唾液を美味しそうに飲み込んでくれている…
僕はもう爆発しそうでした。
僕は仁美さんの腰に両手を回しました。
手に仁美さんの下着の感触が伝わってきました。
上はノーブラでしたけど、下はパンティをはいているのがわかりました。
僕は仁美さんの腰を自分の方に引き寄せて、
極限状態にまで膨張している自分のものを押しつけました。
自分のものを仁美さんに誇示したい、
仁美さんに僕のものの形・大きさ・硬さを体感して欲しい、
そして仁美さんの中に…そう思いました」

私はしばらく言葉が出ませんでした。
いかに慌てていたとはいえ、
Tシャツ一枚でしかもその下はパンティだけという姿で、
わずかの間であっても若い独身男性に近寄ったことは
家内が軽率だったと思わざるを得ません。
しかし、家内は自分から健太君の唾を飲み込み、
健太君の若々しいものをTシャツ越しに体感したのです。
家内はどう思ったのか、このまま抱かれてもいいと思ったのか…
今まで遠慮がちな二人には想像できない行動でした。

私と息子が二階で寝ている、しかも明方ですからいつ起きてくるかもしれない中で、
家内と健太君は一階で濃厚な時間を共有していた、
私にとっては信じられないことでした。
ただそれ以上の進展はなかったのです。

「僕 夢を見ているみたいで、
このまま時間が止まって欲しいって思いました。
でも、夢のような時間はすぐ終わってしまって。
仁美さんが離れていったんです」

『早く着替えてね、もうそろそろ二階から起きてくるかもしれないし。
もう会えなくなってもいいの?』

『…わかりました』

「もう会えなくなるのは嫌ですから、
僕は服を持って二階へ行って着替えました。
着替えて降りてみると、
仁美さんも着替えていて何事もなかったかのようにキッチンに向かっていました。
僕 何もすることがなくて居間で新聞を読んでいたとき、
上坂さんが起きてこられたんです」

家内と健太君は最後の一線は越えていなかった…
私はホッとした反面、それに近いところまで二人の関係が深まった、
それも我が家の中で…そのことが私の心を強く刺激しました。

健太君は明方の一部始終を話してしまうとしばらく下を向いて黙っていましたが、
やがて深く頭を下げながら言いました。

「上坂さん 申し訳ありませんでした。
上坂さんと弘毅君が同じ屋根の下にいるのにこんなことしてしまって。
もし弘毅君に見つかっていたらすごく傷ついたと思います。
そんなことになったら、僕だけの問題じゃなくなりますから。
仁美さんと弘毅君の関係がおかしくなってしまったら、
弘毅君の将来にかかわってきます。
男としてすごく軽率な行動だったと反省しています」

真面目に謝罪する健太君に私は慰めるように言いました。

「健太君が一方的に無理矢理したことではないし。
それに、Tシャツ一枚で君に近寄った家内が原因を作ったようなもんじゃないか。
俺が健太君だったら最後までやってしまっていたと思うよ。
それより正直に話してくれて感謝しているよ」

しばらく沈黙の時間が流れました。
私は慰めたつもりでしたが、正直嫉妬もしていました。
これから二人はどうなるのか、
どうするつもりなのか…私は健太君に聞きました。

「健太君 これからどうするつもりなんだ、もう家内とは会わないのか?」

健太君はしばらく間をおいてから言いました。

「上坂さんがもう会うなと言われるなら会いません。
でも僕の正直な気持ちとしては会いたいです」

これからも二人が会うことになれば、
いずれは間違いなく男と女の関係になるでしょう。
それが嫌なら今ここで会うなと言えばいいことでした。
しかし、すでに寝取られ願望のようなものが強く芽生えていた私には、
会うなという言葉はなかったのです。
その一方で、一つ気になっていたことを健太君に聞きました。

「健太君 ちょっと聞きにくいんだが…」

「はっ、何でしょうか?」

「…健太君のもの…そんなに大きいのか?」

息子が超デカイと言ったり、
串つきのフランクフルトを摘みながらこれぐらいだと言っていたのを
思い出しながら言いました。
健太君はやや顔を赤くしながら言いました。

「人と比べたことないですからわからないですけど、
多分平均以上だとは思います」

平均以上…何を持って平均というのか、
それは誰にもわからないことですが、感覚的に平均以上と思ったのでしょう。

「今まで付き合った女性はいたんだろ?」

「ええ、僕も32ですから、そんなに多くないですけど…三人ぐらいです」

健太君はやや言いにくそうでしたが答えました。

「普通に…付き合っていたんだろ?」

「ええ、まあそうなんですけど…あまりいい思い出なくて」

私は健太君に悪いと思いつつも根掘り葉掘り聞いてしまいました。

「いい思い出ないって…どういうことなんだい、
あまり女運がよくなかったのかな?(笑)」

ちょっと真面目に聞きすぎたように思えましたので、
茶化し気味に尋ねましたが、健太君は笑いませんでした。

「あまり長続きしないんです。せっかく仲良くなって深い関係になっても
すぐ終わっちゃうんです」

「どういうことなんだい?それは…」

「経験のない女性はどうしても痛がってダメなんです。
経験のある女性でも結構きついらしくて。
だから女性と長い間親しく付き合った思い出ってないんです」

話を聞いているだけでも、健太君のものがかなり大きいものであることは想像できました。

「僕も男ですから、友人とかに誘われて風俗も何度か行ったことあるんですけど、
風俗関係の女性には結構ウケがよくて…
ソープの女性に真剣に付き合って欲しいって言われたこともあるんです。
もちろん付き合ようなことはなかったですけど」

素人の女性は痛くてダメで玄人にはウケがいい…ちょっと信じられない話でした。

「本当かい?それじゃ普通に結婚できないじゃないのか?
健太君 ちょっと大袈裟に言い過ぎだろ」

「上坂さんに嘘ついてもしょうがないし、
今までも正直にお話してきました。大袈裟に言ってるつもりはないんです」

確かに律儀な健太君のことですから正直に言っているのでしょう。
信じられない話ではあったものの、私は今後のことでやや不安が出てきました。
もし、家内と健太君が関係を持ったらどうなるのか、
風俗関係の女性に好まれるという巨大なものを家内が味わってしまったら…
その後私は思わぬ言葉を吐いてしまったのです。

「健太君、見せてくれないか?」

「えっ、見せるって…何をですか?」

健太君は怪訝そうな顔をして私の方を見ました。
今から思えばその時私はどうかしていたのか、
普通であれば恥ずかしくて言えないようなことを口にしてしまったのです。

「健太君の…ものを見せて欲しいんだ」

「そっ、それは…」

健太君はさすがに困った顔をしました。
無理もないことです。
いきなり下半身を見せろと言われれば誰でも躊躇するでしょう。
しかし、私はそんなことはお構いなしに健太君に頼んでしまったのです。

「見せてくれないか。もしかしたら、
いつかは家内の中に入ってしまうかもしれない健太君のものを
俺はどうしても見ておきたい」

ある意味変態と思われるようなことを私は口走ってしまいました。

「いくら上坂さんのお願いでも、それだけは…」

健太君は困り果てた顔をしました。健太君の困惑を理解しながらも私は続けました。

「男にこんなことを言われて、見せにくいのはよくわかるよ。
いつでもいいから画像をメールで送ってくれないか」

健太君はしばらく黙って考えていましたが、やがてゆっくりと口を開きました。

「上坂さんにお聞きしますが、もし僕がどうしても見せられないと言ったら…」

私は迷わずに思い切って言いました。

「それなら家内には会わないでくれ。
メールも電話も今後一切の接触を断るよ」

下半身を見せないなら今後一切会うな、
40代の男が言う言葉には思えません。
今から振りかえっても恥ずかしいような話です。
健太君は一瞬驚いた顔をして、しばらくうつむいて考えていましたが、
やがて決心したように顔をあげて言いました。

「そうですか、わかりました。じゃあ、今からお見せします」

健太君はそう言うと立ち上がりました。

「えっ!!今からって…?」

今度は私がビックリする番でした。

「画像じゃなくて、本物をみてください。生身の私のものをご確認ください」

主導権を健太君に奪われた格好になった私は途端にたじたじになってしまいました。

「今からと言っても…ここでは…」

「すぐ近くに量販店があります。そこの男子トイレに行きましょう」

健太君は挑むような目つきで私を見ました。

喫茶店の勘定を済ませ、我々は量販店の二階にある身障者用の広いトイレの中に入りました。
トイレの中で健太君と二人きりになると、
周りに人の気配がないことを確認し、健太君が口を開きました。

「上坂さん ちょっと生意気で挑戦的なことを言ってしまって
申し訳ありませんでした。
でも、仁美さんとの接触を禁止されてしまうことには
どうしても耐えられなかったんです」

「いや、俺も言い過ぎたかもしれないよ。
だから、何もここで見せてくれなくてもいいよ。画像でいいんだから」

「いえ、もうここまできたら上坂さんには
ぜひ直に見てもらいたいです。
僕が言ったことが大袈裟なのかどうかもご判断いただきたいです。
これから仁美さんとどうなるかわかりませんが…」

健太君はそう言うと、ベルトを外しファスナーを下ろすと、
あっというまにジーンズを脱いでトランクス一枚になりました。

「さすがに勃起はしていませんけど、どうぞご覧ください」

健太君はそう言うとトランクスを一気に脱ぎ捨てました。

私の目の前に健太君の下半身か露になりました。
やや毛深い陰毛に覆われながら、その見事な全容がさらけだされたのです。

「うっ…」

私は思わず声を上げそうになりました。

(大きい……)

もちろん勃起しておらず、だらりと垂れ下がってぶらぶらと揺れていましたが、
それでも私の勃起時と同じぐらい、いや多分それ以上でしょう。

(こんなに…大きいとは)

AVとかで外国人の勃起した巨大なものを見たことがありますが、
平常時でこの大きさということは勃起したら…
正直なところ、健太君は大袈裟に言っていると思ってましたし、
若いから少し自慢したいのかなと思っていたのです。
しかし、健太君のものは、昨日の夕食の時、
息子が摘んでいた串つきのフランクフルトをしのぐ大きさでした。

若い女性が痛がるようなものでも、出産を経験している家内が健太君に抱かれたら…
いずれ家内は健太君の虜になり、自ら望んで健太君の餌食になってしまうのでは…
健太君なしではいられない、
健太君に抱いてもらうためにマンションに通い続け性処理女になってしまうのでは…
私はこれからのことを考えると怖くなってきました。

「健太君 悪かったな。もういいよ、しまってくれ」

健太君のものに完全に圧倒されてしまった私は、やや視線をそらしながら言いました。

「あっ、はい。やっぱり照れますね、こういうのって…」

健太君はやや照れ笑いを浮かべながら、床に落ちたトランクスを拾い上げて履きました。
健太君のものがトランクスの中に納まってしまうと、
なぜか私もホッとしたのですが、それもつかの間、
トランクスの裾からずっしりとした亀頭がはみ出しているのが目に入りました。
もう見たくないと思っていたのに、最後にダメ押しで見せつけられたような感じでした。

「仁美さんにはお礼のメール送っておきます。では失礼します」

量販店を出ると健太君は何事もなかったかのように帰っていきました。
家内と会えなくなるのを避けるため、
恥ずかしながらも自分の下半身を見せてくれた健太君でしたが、
私に対して恩着せがましいことは一切言いませんでした。

(バカなことを言わなければよかったな…)

私は家路につきながらやや後悔しました。
結局健太君の下半身を見てしまったばかりに、
今後の二人の付き合いを認めてしまったようなものでした。

(次に二人が会えば、まず間違いなく家内は健太君のものを受け入れてしまうだろう。
しかし…それだけでは終わらないかもしれない)

私は一旦家に帰ったものの、息子はサッカーの練習で出かけていたので、
家内と二人きりになることを避け、昼食を済ませると再び出かけました。
どこへ行くあてもなかったのですが、
パチンコをしたりして時間をつぶして夕方に帰ったのです。

翌日、私は会社が休みだったのですが、家内はパートに行く日でした。

「雨は降らないと思うけど、洗濯物 2時くらいに入れておいてくれる?」

家内はそう言うと出かけていきました。

「ああ、今日は一日家にいるから」

私は昨日見た健太君のものがまだ頭の中に残っている感じで、
何をする気も起こらず居間でテレビを見ながらボーッと過ごしました。
2時を過ぎたころ、家内が洗濯物を入れるようにいっていたことを思い出し、
庭に出て洗濯物を入れかけたのですが、おかしなことに気づきました。

家内の下着が三枚も干してあるのです。
洗濯はほぼ毎日していたように思いますが、
私の下着も息子の下着も一枚ずつしか干してないのに、
なぜ家内のだけ三枚もあるのか、
三枚あるということは昨日二回着替えたということです。
なぜ、二回も着替えたのか、着替えなければならないようなことがあったのか…
私は異様に興奮してきました。

もしや…家内が…オナニーを??そうに違いありません。
家内は健太君の逞しいものを押し付けられ、
熱く火照った身体を鎮めるために、自分で…
もう家内の心は完全に健太君が占領してしまっているようでした。

私は家内の下着を眺めながら、あれこれと想像してしまいました。
家内はどんな場面を想像してオナニーをしたのだろうか、
健太君の巨大なものが身体を貫通し、
子宮が壊れてしまうぐらいに突かれているところなのか、
健太君に身体をもみくちゃに貪られて弄ばれているところなのか、
それとも健太君のものを美味しそうに頬張る自分を想像していたのか、
44歳の家内が誰もいない家の中で、
こっそりと健太君を思いながらオナニーしていることを想像し、
恥ずかしながら私も自分でしてしまったのです。
家内が想像していることが早く実現して欲しい、早く見たい…
しかしその後どうなってしまうのか…
家内は健太君から離れられなくなってしまうのでは…

私の複雑な気持ち・迷いをあざ笑うかのように、
その日は意外と早くやってきてしまったのです。

あの日以来、家内と健太君の仲は急速に深まっていった感じでした。
ゴールデンウィークだったこともありますが、
二人は頻繁にメールのやりとりをしていました。
特に健太君は今まではやや遠慮がちだったのが、
かなり積極的になっていることが転送メールからもわかりました。

゛仁美さん 今どうしてますか?僕は仁美さんのことばかり考えています。
会いたいなって…仁美さんのやわらかい唇に触れてみたいし、
思い切り吸ってみたい。ごめんなさい、昼間から変なメール送ってしまって… ゛

゛うれしいな、私のこと思ってくれているの。
私も健太君のこと 時々思っているのよ。
でもなんだか申し訳なくって。
こんなおばさんなのに、いいのかなぁなんて思ってます ゛

゛仁美さんはおばさんなんかじゃないですよ、
僕が今まで出会った最高の女性です、本当に…。
上坂さんや弘毅君には申し訳ないですけど、
もし許されるなら仁美さんを僕のものにしてしまいたいです。
何時間も何日間も仁美さんを抱きしめて、
僕の愛情を仁美さんの中にいっぱい注いでしまいたいです ゛

゛ありがとう、何て言っていいのかわからないけど…
健太君の愛情を受けとめてみたい ゛

そして、連休もあと二日になった朝に健太君よりメールが来たのです。

゛もうすぐゴールデンウィークも終わってしまいますが、
最後の日あたりに仁美さんとデートさせてください。
もちろん、仁美さんの気持ちが最優先ですが、
できれば僕のマンションにお誘いしようと思います ゛

健太君のマンションに家内を招き入れる…
何をしようとしているかは明白です。
私はドキドキしながらも健太君の申し入れを了承しました。

゛いよいよってことだな。ビデオ撮影を忘れないように頼むよ。
それと、家内にわからないように、
時々タイミングをみてメールか電話をくれないか?
今どこにいるとか、家内が今どうしているとか ゛

゛了解しました。できるだけその場の雰囲気をお伝えするようにします。
了承いただきありがとうございます ゛

正直なところ少し迷いもありましたが、
私はすんなりと了承してしまいました。
あの健太君の巨大なもの、あれがガチガチに膨張して
家内の中に入ったら果たしてどうなるのか、どんな反応をするのか、
痛がるのか、狂ったように喘ぐのか…早くみたい、とにかく見たい、その一心でした。

それから30分もしないうちに健太君が再びメールを送ってきました。

゛明日お会いできることになりました。
時間ははっきりと決めていませんが、お昼前後になると思います。
家のことを気にしておられるのか、
あまり長い時間は困るようなことも言われていましたので、
ちょっと迷いましたけど直接マンションに来てもらうことになりました。
上坂さん 邪魔しないでくださいね(笑) 冗談です…すみません ゛

あまりに早く明日のことが決まってしまったので私はびっくりしました。
家内はさっきまで洗濯をしているように思いましたが、
メールをしながら健太君と明日の約束をしていたのです。
しかも、直接健太君のマンションに行くことを了承したということは、
まさに抱かれるために行くようなものです。

私は心臓がバクバクしながらも健太君に返信しました。

゛今さら邪魔なんかしないさ。
家内が明日出かけるまでの様子をじっくり観察するよ。
それよりさっき言い忘れたけど、避妊はしっかりしてくれよ ゛

゛はい、それは必ず守りますのでご安心ください。
仁美さんが妊娠なんかしちゃったらすべてぶち壊しですからね ゛

「あー、忙しい、忙しい。次は掃除だー」

洗濯は一応終わったのか、家内は独り言を言いながら、
居間にいた私とは視線を合わさず足早に二階へ上がっていきました。
気のせいか明日の約束をしてから家内の動きがテキパキしているようにも思えました。

家内は昼食の間も明日のことは一言も言わず、
昼から買い物に出かけ、帰ってきてからも何も言わなかったのです。
一体どういうつもりなんだ、何とか言えよ、
言わないならこっちから言ってやろうか…
私はなんとなくイライラしてきました。
そして夕食も終わり、居間で私と息子がテレビを見ていた時、
ついに家内が話しかけてきたのです。

「弘毅は、明日は一日中サッカーの練習だったよね」

「ああっ、そうだよ」

「あなたは? 私 お昼前から出かけたいんだけど…」

とうとう言ったな…私は家内の方は見ずに、テレビを見ながら答えました。

「ああっ、連休の最後だし家でゆっくりするよ。
外に出て疲れたくもないしな。遅くなるのか?」

「ううん、ちょっとお友達と食事するだけだけど、
お留守番してくれるならゆっくりしちゃおうかな」

何がお友達と食事だ、健太君に抱かれに行くくせに…
家内の見え見えの嘘に嫉妬もしましたが、
時間を気にせず健太君に抱かれて痴態を晒せばいいさ…そんな気持ちが勝っていました。

そして、翌日家内は10時頃に出かけていきました。

「じゃあ、あとお願いね…」

いつもと変わらないジーンズを履いて、相変わらずの薄化粧でした。
もう少し綺麗な格好をしていけばいいのに…
それにしても緊張しないんだろうか、
女はいざとなったら強いもんだな…私は少しあきれました。

家内が出かけてしばらくしてから、私は健太君にメールをしました。

すると健太君からすぐに返信がありました。

゛おはようございます。仁美さんから先ほど11時ぐらいに
マンションに行くからって連絡いただきました。
今日のためにビデオをもう一つ購入して、
和室と寝室の二ヶ所にセットしました。
上坂さんにリアルな映像を必ずお届けします。
僕も今心臓が飛び出るぐらいドキドキしています。
時間がもったいないので、
仁美さんが来られたらすぐに抱きしめてしまうつもりです ゛

あと一時間もしないうちに、家内と健太君は…
私はいてもたってもいられなくなりました。

時間の経過がすごく遅く感じました。
まだ11時にはなっていませんでしたが、
私はそわそわして落ち着かず、携帯を握りしめ時計ばかり見ていました。
じたばたしてもどうしようもないのでテレビをつけましたが、
まったく何も目に入らない感じです。

そして、11時が過ぎました。家内が健太君のマンションに着くころです。
健太君は時間がもったいないからすぐに抱きしめてしまうみたいなこと
をメールで書いてましたが、もしかしたら今頃…
そう思うともう耐えられませんでした。
何でもいいから、今どうなっているのか、
何をしているのか、とにかく知りたい、知らせてくれ…
しかし、健太君からは何の知らせもありません。

11時半をすぎるともう我慢できなくなり、
健太君に電話しようと思った時に健太君からメールがきました。

゛上坂さん とりあえず第一報を送らせてもらいます。
仁美さんは今、シャワーを浴びています。
予定通り仁美さんを抱きしめてそのままと思ったんですが、
どうしてもシャワーを浴びたいと言われました。
僕も後でシャワーを済ませてから、寝室に連れていきます。
今からはうまくお伝えするタイミングがないかもしれませんのでご了承ください。では… ゛

仁美はもう自分のものだと言わんばかりのメールで、
年下の男にバカにされたようで腹が立ってきました。
しかし、もうどうしようもありません。

家内がシャワーを浴びている…もう間もなく健太君に抱かれるのでしょう。
もしかしたら、途中で気が変わって帰ってくるのでないかと期待もしました。
健太君に抱かれて欲しい、若い男に抱かれて家内がどうなるのか見たい、
しかし私には夫も子供もいますからと言って拒否して欲しい…複雑でした、
何とも言えない気持ちでした。

でもとうとう家内は健太君に抱かれる方を選択してしまったのです。

抱かれることがはっきりしてしまうと、
時間の経過が気になりつつも、私は不思議と落ち着いてきました。
結論が決まっているのだから、後は健太君を信用してその報告を待つしかない…
そんな気持ちだったのです。

私は食欲もありませんでしたが、
キッチンでインスタントラーメンを作って、テレビを見ながら食べました。
時刻が刻々と過ぎていきました。12時……12時5分……12時10分……
落ち着きは取り戻したものの、やはり気になりました。

家内は今頃どんな格好をしているんだろうか、
全裸で健太君の前にすべてをさらけ出し、健太君の逞しいものを…

ラーメンだけの簡単な昼食を済ませ、お茶を飲みながらボーッとしていた時でした。
もう帰る時まで何も連絡はないだろうと思っていたのですが、
突然携帯が鳴ったのです。
健太君からか?…私は慌てて携帯を見ました。
メールではなく電話でした。時刻は12時56分だったと記憶しています。

「もしもし…もしもし…」

しかし、電話からは何も聞こえてきません。
私はテレビを消して携帯を耳に押しつけました。

「もしもし…健太君か、どうしたんだ?」

すると、携帯からサワサワと布団が擦れ合うような音に混じって
微かに声が聞こえてきたのです。

「……ああっっ……ああっっ……」

こ、これは…家内の…声なのか?

「……いっちゃう……」

聞こえにくかったのですが、家内の声に間違いありません。
健太君は家内を抱きながら、携帯を通話状態にしているようでした。
私の心臓は飛び出るぐらいにバクバクしていました。
どんな小さな音でも聞き逃したくない…私は息を殺して携帯を耳に強く押し当てました。

「……いくわっ…いくわっ…また……いっちゃう……」

私は微かな声も聞き漏らさないように、
携帯が壊れそうになるぐらいに強く耳に押し当てました。
布団かシーツの擦れる音が邪魔でしたが、
その合間に家内の声が僅かに聞こえてきました。

「……けっ…けん…た……くん……もうっっ………ああっっ………」

声しか聞こえない私はドキドキしながら、
電話の向こうの様子を想像しました。
家内はもう健太君に身体のすべてを見られているのか、
健太君に迫られて惜しげもなく熟した肢体をさしだし、
若い性欲の餌食となっているのか…

「………もうっっ………わたし………ああっっ、ああっっ……」

もうすでに家内の身体には健太君の逞しいものが貫通してしまっているのか…
健太君の執拗な攻撃に翻弄されているような感じでした。
12歳も年下の健太君に許しを乞うような家内のあえぎ声…
しかし健太君の声はまったく聞こえてきませんでした。

私は今すぐにでも健太君のマンションに飛んでいきたいぐらいでした。
家内が健太君とセックスしている現場をこの目で見たい、
家内の身体が健太君の玩具になって汚されているところを見たい…
しかし見るのが怖い気持ちも強くありました。

現場は見れないまでも、健太君からはDVDでの報告はあるでしょう。
そこには変わり果てた家内がいるのかもしれません。
健太君の若い身体を堪能してしまった家内は、
健太君に抱いてもらうために、何でも言いなりになる女に…

健太君からの「携帯実況中継」は長く続きませんでした。

「……ああっっ……いくっ、いっっっっくぅぅぅぅぅ………」

家内が昇天するような喘ぎ声に混じって、
ガサガサと大きな音がして携帯が途切れてしまったのです。

「おい!おい!……」

私は思わず叫んでしまいましたが、
相手に切られてしまえばどうしようもありません。

くそっ!…よりによって今からというところで……
普段の地味な家内からは到底考えられない淫靡な喘ぎ声を耳にし、
興奮の絶頂にいた私には、山頂まで上り詰めたのに
帰り道が消えてしまったような感じでした。

私は我慢できずに健太君の携帯に電話しましたが、
呼び出し音が空しく聞こえるだけでした。
今、家内が健太君にいかされている……
身体中を触られ恥ずかしいところを舐められたり指を入れられているのか、
それとも今まで経験したことのない大きなもので突かれているのか…
いずれにしても二人の身体は一糸まとわぬ状態で絡んでいるのでしょう。

ああっ、耐えられない…見たい!
私はもう一度健太君の携帯に電話してみましたが結果は同じでした。

しかし落ち着いて考えてみれば、
家内はいかされてしまうメロメロになっているのに、
健太君は携帯の操作をしていることが不思議でした。
そこまで健太君に余裕があるということは、
もしや健太君は何か道具のようなものを使っているのではないか…
そう思うと腹が立ってきました。
家内を抱くことは了承したものの、最初から道具を使うとは…
もしそうなら許せません。
道具を使うなとは言われてないと健太君が言うならその通りかもしれません。
しかし、道具を使うということは家内の身体を玩具のようにしか考えていないということです。
私にはそれが許せないのです。
家内のことが好きだと言っていたのに…それならもっと大事にするべきです。

一体今どんな状態なんだ…私は落ち着きませんでした。
夢中で何度も健太君の携帯に電話しました。
そしてやっとつながったのです。さきほど電話があった時から
一時間近く経過していたでしょうか。
布団の擦れる音がかなり激しくなって、電話が揺れているような感じでした。
聞こえてきた家内の声に私は息を呑みました。

「……もうっっ……いってぇぇぇぇぇ……おねぇぇぇぇがいぃぃぃ……」

まだ…やっているのか?私は信じられませんでした。
最初の電話の時から一時間、メールを送ってきた時から二時間以上です。
一体いつまでするつもりなんだ…それにそんなに長い間…若い男の相手を家内が…

電話はそこでまたもや切れてしまいました。

携帯は切られてしまいましたが、私の興奮はなかなか収まりませんでした。
健太君のマンションの寝室で、家内は健太君と男と女の関係になってしまった……
家内は私と結婚してからは、私以外の男は知らないはずです。
それがいとも簡単に……こうなることを期待していたのに、
なぜか空しくて悔しい気持ちもありました。
自分の大切な妻を32歳の若造に取られてしまった気分です。

いろいろなことが頭の中を駆け巡りました。
家内は何の抵抗もせず、健太君に抱かれたんだろうか…
もしかしたら、抱かれるだけではなく健太君の逞しいものを口にしているのでないか…
健太君は本当に避妊したのか、私に内緒で中で出してしまっているのではないか、
もし万一妊娠でもしたら…家内は若い健太君に惚れこんでしまい、
もうこの家には帰ってこないのではないか…

とにかく早く帰ってきて欲しい、
もうどうでもいいから早く家内の顔が見たい…

そして、3時半を過ぎた頃、
待ち焦がれていた健太君からのメールがようやくきたのです。

゛上坂さん 長い間仁美さんにお付き合いいただきありがとうございました。
たった今、仁美さんをお見送りしたところです。
初めてお会いした時から憧れだった仁美さんと
夢のような時間をともに過ごすことができて僕は本当に幸せです。
失礼かとは思いましたが、途中で仁美さんの様子もお伝えさせていただきました。
もしご気分を害されたようでしたら深くお詫びいたします。
今、早速DVDへ編集していますので、
夜遅くでもよろしければご自宅の近くまで持参します ゛

この男が本当に家内とセックスしたのだろうか、
こいつが家内をいかせてしまったのか…別人かと思うような丁重なメールでした。

゛いい思いができてよかったじゃないか、
感謝しろよ(笑)。DVDは明日でもいいぞ ゛

私は早く見たくてたまらなかったのですが、
年下の健太君に対して虚勢をはったメールを送ってしまいました。
それよりも、今はとにかく家内の顔が見たい、
無事に家まで帰ってきて欲しい…その一心でした。
3時半に健太君の家を出たのなら、
4時半ぐらいには帰るはずです。私は家内の帰りを今か今かと待ちました。

「ただいま~…」

5時前でしたが、家内が帰ってきたのです。
居間に入ってきた家内は少しやつれた表情をしていました。

「おかえり…ゆっくりできたか?」

家内の顔を見て私はホッとしました。やっぱり帰ってきてくれた、よかった…
いつも通りの薄化粧であるものの、
やつれた表情の家内を見つめながら、私は話しかけました。

「うん、ありがとう。おかげてゆっくりできたわ。
友達といっぱいお喋りできたしね」

家内は椅子に腰掛けながら答えましたが、
私と視線を合わそうとしませんでした。

「どうかしたのか?ちょっと疲れているみたいだな…」

家内がどう返答するか私は試してみました。
家内は一瞬顔が引きつったように見えましたが、
私に背を向けてキッチンで水を飲みながら言いました。

「うーん、さっきまで出会っていた友達がね、
最近ダイエット始めたらしくてね。
それで彼女に刺激されちゃって、一駅手前で降りて歩いて帰ってきたのよ。
でも、だめね、急にそんなことしても…ヘトヘトになっちゃったわ(笑)」

(見え見えのウソだな。健太君の相手をして疲れてしまったとは
口が裂けても言えないだろうな。まあ、いいか…)

「バカだな、お互い40を超えているんだから運動もほどほどにしないと、逆に身体に悪いぞ」

「そうね、さぁーっ、夕飯のしたくするわね」

家内はそう言うと、エプロンを腰に巻いてキッチンに向かいました。
家内を見ていると、良心の呵責とか背徳感というものは
一切ないようにも見えました。ただ、私と視線を合わさないのは、
それなりに何かを感じているのでしょう。

私は居間でテレビをつけて、新聞を見ながら時々振り返って家内の様子を見ました。
家内は何も言わずに黙々と夕食の準備をしていましたが、
時々腰のあたりを押さえたりしているのが確認できました。
健太君とのセックスはかなり激しいものだったのか、
もしかしたら初めて交わったにもかかわらずいろいろ体位を変えたんだろうか…
早くDVDが見たくてたまりませんでした。

当たり障りのない会話に終始した家族揃っての夕食も終わり、
居間でくつろいでいた時に健太君よりメールが来たのです。

゛もう少しでお近くのコンビニに着きます。
上坂さん 出てきていただけませんか?DVDをお渡しします ゛

夜の9時を過ぎていましたが、
意外にも早く健太君がそこまで来ていることに私はビックリしました。
家内に煙草をきらしたからコンビニまで行ってくると言って、
はやる気持ちを押さえながら家を飛び出しました。

コンビニまで行くと、既に健太君が愛車に乗って待っていました。

「すみません、夜遅くに。少しでも早い方がいいかと思って…これです」

私はDVDを受け取りながら言いました。

「いやいや、至れり尽せりだな、ありがとう。それにしても『実況中継』にはまいったよ」

すると、健太君は頭を掻きながらやや申し訳なさそうな表情で言いました。

「すみません、生意気なことしてしまって…」

「まあいいよ、こっちも意外な展開だったから興奮させてもらったよ。
それにしても家内と初めてなのに…何て言うか、少しやり過ぎだな…」

すると健太君はやや真顔で答えました。

「やり過ぎって…時間は確かに長かったですけど、僕は一回しかいってないです」

私は健太君がうそをついていると思いました。

「ホントか?うそだろ…あれだけの時間で一回ってことはないだろ?」

「いえ、本当です。僕 ちょっと遅いんです。遅漏ってやつですかね…」

健太君の言葉に私はどう返答していいのかわからず、しばらく固まってしまいました。
遅漏なのか、健太君は……ということはあれだけの時間、健太君のものは家内の中で…

「そっ、そうなのか、 まあっ、そういう男もいるな…」

自分で何を言っているのかわからないぐらいでした。
動揺しているところを健太君に悟られたくない……私は必死に平静を装いました。

「じゃあ、僕帰ります。明日から仕事ですよね。
長いゴールデンウィークも終わりですからね」

「健太君にとってはいいゴールデンウィークだっただろう?」

すると健太君は満面に笑みを浮かべて言いました。

「ええ、そりゃあもう最高ですよ。
上坂さんが心の広いお方でよかったです。
上坂さん これからもよろしくお願いいたします」

健太君はそう言うと、頭を深く下げ愛車に飛び乗って帰っていきました。
これからもよろしくか…健太君はしばらく家内と付き合うつもりなのか…
健太君の最後の言葉が気になりつつも私は家路を急ぎました。

家に帰ると家内は居間のソファに座ってテレビを見ていました。

「遅かったわね。煙草買うだけだからすぐ帰ってくると思ったのに…」

「ああっ、すまない。ちょっとコンビニで立ち読みしてしまってな」

家内は先ほどとは違って、視線をそらすことなく私の方を見ていました。

「私 先にお風呂入っていいかしら?」

「ああ、いいよ。俺は少し目を通しておきたい資料があるから、先に入ってくれ」

とにかくDVDが見たかった私は、何とかして一人になる機会を窺っていました。
家内が風呂に入っている間に少しでも見れる…

家内が風呂に入るのを見届けて、私は居間でDVDをセットしました。
健太君のDVDを見るのはこれが3回目でしたが、
今まで以上に心臓がバクバクと高鳴っているのがわかりました。
このDVDの中に家内と健太君が愛し合っている映像がある……
私は震えが止まりませんでした。

DVDに出てきた映像は今までと同じで、
家内がマンションの玄関から入ってくるところから映されていました。

「うわぁーっ、ますます散らかっているじゃない?ひどいわね~」

玄関先で靴を脱ぎながら家内は言いました。
しかし、健太君はそれに対して何も答えず、
家内の腕を掴むと強引に自分の方に引き寄せました。
しばらく二人は無言で見つめ合っていましたが、
やがて健太君が唇を押し付けていきました。

健太君の唇が近づいてくると、家内は目を閉じて、
二人の唇が重なり合ったのです。
もうお互いの意思も確認でき、
これから身体の関係を結ぶことも決まっているかのような自然な流れでした。

重なり合った二人の口がもぐもぐと動きはじめました。
お互いの舌がお互いの口の中を行き来して、
お互いの唾液が混ざり合い、待ち焦がれていたかのように飲んでいるような感じです。

しばらく濃厚なキスが続くと、
やがて健太君の右手がやや遠慮がちに家内の胸に移動しました。
とうとう、健太君が家内の胸を触った瞬間でした。

カーディガンの上からでしたが、
健太君の手はゆっくりと家内の胸を掴むように揉みしだいたり、
円を描くように持ち上げたり、指の腹で表面を撫で回していました。
ゆっくりと時間をかけ、家内の胸の感触を楽しんでいるようです。

「ううっん……ううっん……ううっん……」

健太君と舌を絡ませながら胸を揉まれている家内は
もう感じてきているのでしょうか、僅かに喘いでいるようにも見えました。

家内の胸の膨らみをゆっくり堪能すると、
健太君の右手はカーディガンの上から
家内の身体をなぞるように感触を確かめながら下へ移動し、
お腹のあたりまでくるとセーターを捲り上げ、身体の中に侵入していきました。

家内のお臍の周りが白く妖しい光を放っていました。

家内の脇腹から背中に進んだ右手は、何やらモゾモゾと動いているように見えました。
どうやらブラのホックを外そうとしているようです。

やや外すのに手間取っている様子でしたが、何とか外れたのか、
右手は身体の前の方に移動しました。
ついに直に家内の胸を揉みしだき始めたようです。

「ああっっ…ち、ちょっと…………うぐっっっ」

家内は胸を揉まれながらも健太君の強烈なキスから逃れて、
健太君の右手を押さえながら制止しようとしましたが、
再び健太君に口を塞がれてしまいました。

家内とはここ数年セックスレスでしたから、
私自身も家内の胸はしばらく触っていません。
もう、44才ですから張りもなくなり垂れているのでしょうが、
健太君は家内の胸がよほど気に入ったのか、かなりの時間をかけて揉んでいました。

「健太…くん、ちょっと…待って…」

再び強引なキスから何とか逃れた家内が、
健太君を見上げながら哀願するように言いました。
しかし、健太君は何かにとりつかれたように、
無言で家内を見下ろしながら胸を揉みつづけました。

「お願いだから……待って」

「仁美さん、今日は逃がしませんよ。
今から僕だけの女になってもらうんですから…」

健太君はそう言うと再び唇を押しつけました。

家内の背中に回っていた健太君の左手が、
セーターを少しずつたくし上げていったのでしょうか、
家内の身体が少しずつ露になっていました。
やはりやや垂れているのか、家内の下乳が見え始めました。

そして胸を揉みつづけた健太君の右手が突然急降下し、
家内のジーンズの中に侵入したのです。

「ああっ、待って…シャワーを浴びたいの」

ジーンズの中に手を入れられた家内は、身体をよじらせながら言いました。

「お願い…健太君…」

訴えるように家内に言われた健太君は手を止めました。

「そっ、そうですよね…ごめんなさい」

健太君はジーンズから手を抜き取りながら言いました。

「シャワー借りるね」

とりあえず健太君の愛撫から解放された家内は、
捲り上がった服を直しながら浴室へ入っていきました。
すると家内の後姿を見届けた健太君は、
浴室とは反対側の部屋に入っていきました。

画面が一旦切れると、今度は洋間の寝室らしき部屋が現れました。
絨毯が敷き詰められた床は若者らしく散らかっていましたが、
奥に大きなベッドがありました。
ここで家内は健太君のものを受け入れるのか、
家内が結婚以来初めて私以外の男に抱かれるベッドなのか…私は画面を凝視しました。

やがて身体にバスタオルを巻いた家内が一人で入ってきました。
シャワーを浴びたので髪が少し濡れているようです。
胸から太股までタオルですっぽり隠れていましたが、
しっかり巻き付けているためか、胸の谷間が異様に目立ちました。

家内はやや不安そうな表情で部屋の中を見回しながら、
ベッドの端に座りました。両足をきちんと閉じ、
膝の上に両手をおいてうつ向いていました。
刻一刻と迫るその時を待っている感じです。

家内はしばらくじっとしていましたが、
何を思ったのか急に立ち上がり、ビデオが隠してある窓際までくると
カーテンを閉めました。
部屋の中がやや薄暗くなりました。

程なくして、腰にタオルを巻いた健太君が入ってきました。
すでにその気になっているのか、タオルの前が大きく盛り上がっていました。

「あれっ、カーテン閉めたんですか?」

「うん…ちょっと明るすぎるでしょ?」

「そうですか…でもちょっと薄暗いし。少しだけ開けますね」

健太君はそう言うとカーテンを少し開けました。
部屋の中がやや明るくなって画面も見やすくなりました。

健太君は家内のそばに近付くと、ピッタリ寄り沿うようにベッドに座りました。
家内の左側に座った健太君は、右手を家内の肩に回し、
自分の方に引き寄せました。家内の身体が健太君の方に傾き、
頭が健太君の顎の下に入ると、健太君はしばらく家内を抱きしめていました。
いよいよなのか…家内の身体は震えているように見えました。

やがて健太君は家内を抱き上げると、そのままベッドに横たわらせました。
タオルを巻いたまま横になった家内を、立ったまましばらく見下ろしていた健太君は、
何も言わずにタオルに手をかけると、ゆっくり解いていきました。
健太君のされるままになっていた家内は咄嗟に右手で胸を、左手で股間を隠しました。

「仁美さん…手を除けてください」

家内は健太君から視線をそらし壁の方を見ながら小さく言いました。

「……恥ずかしいわ」

「仁美さんのすべてが知りたいし、すべてが見たいんです」

家内はしばらく動こうとしませんでしたが、
やがてゆっくりと左右の手を身体の両側へ持っていったのです。

やや垂れた胸とその上にある黒ずんだ乳首、
そして股間にひっそりと生えている薄い陰毛が健太君の前に晒されました。

「…きれいです…すごく…想像していた以上です」

健太君はやさしく語りかけるように言いました。

「もう…若くないから…」

家内は顔が真っ赤になりました。

「仁美さんの身体を想像して…僕、自分で…してました」

「…うそでしょ…信じられない…」

「本当です」

健太君はそう言うと、腰に巻いていたタオルを取りました。

健太君が腰に巻いていたタオルを取った時でした。
DVDに夢中になっていた私の後ろの方で物音が聞こえたのです。
家内が風呂に入っていたことをすっかり忘れていました。

(これはさすがに見られてはいけない。すべてぶち壊しだ)

どうやら家内が風呂から出て脱衣室に入ったようでした。
私は慌ててDVDの画面からテレビに切り替えました。

「なーんだ、テレビ見ていたの。仕事の準備はいいの?」

家内はパジャマに着替えて居間に入って来ると、
洗髪した髪をタオルで拭きながら私の横に来て言いました。

「うーん、連休ボケだな。どうもその気にならなくて…まあ、明日何とかなるさ」

「長い連休だったものね、明日からまた大変だけど身体に気をつけて頑張ってね」

滅多に聞いたことがない家内の労いの言葉に私はつい反応してしまいました。

「へーっ、どうしたんだ、珍しいな。そんなやさしい言葉、
ここ数年聞いたことがないなぁ。何かいいことでもあったのか?」

言った瞬間ちょっと露骨過ぎたかなと思いましたが、家内はさらりと受け流しました。

「だって、弘毅の塾とかこれからもいろいろとかかるじゃない。
あなたにたくさん稼いでもらわないとね、じゃあ おやすみ」

家内はそう言うと寝室に消えていきました。
まだぎこちない感じが残っていましたが、
そんな中で労いの言葉をかけてくれたのは、
私に対して後ろめたさがあったのでしょうか。
私に対して申しわけないと思うようなことがこのDVDの中にあるのでしょう。

やはりかなり疲れていたのか、
家内の部屋から寝息が聞こえてくるのを確認し、私はDVDの続きを見ました。

タオルを取って全裸になった健太君は
ちょうどビデオに背を向けた位置に立ちました。
家内の目の前に、健太君の充血して膨張したものが晒されているのでしょうが、
死角になって見えません。
家内は視線を壁の方に向けたまま健太君の方を見ないようにしていましたが、
動揺しているのは明らかで、視線が定まっていない様子です。

健太君はベッドの上にあがり、家内の足元のあたりで膝をついて座ると、
家内の身体に自分の身体を合わせるように、
ゆっくりと上からのしかかっていきました。

死角になって見えなかった健太君のものが、動く度にチラチラと見えました。

赤黒くギンギンにそそり立った大砲のような竿、
その先には三角形に大きく膨張した鎌首が家内に狙いを定めて近寄っていきました。

(なんだこれは…デカすぎる……こんなものに何時間も狂わされたのか)

家内の身体と健太君の身体が一つに重なりました。
家内はまだ壁の方を見たままでしたが、
身体がガタガタ震えているようです。
健太君の大砲が家内の股間か太股あたりに直に触れているはずです。
その巨大な大きさを体感して震えているのか、
若い男と全裸で身体を重ね合わせていることに興奮と期待と不安が交錯しているのか…

健太君は家内の顔に手を添えて、自分の方に向けさせました。
震えて健太君の顔を正視できない家内が目を閉じると、
健太君は家内の唇に吸いついて舌を入れました。
再び濃厚なディープキスの始まりです。

キスをしながら健太君の左手が家内の胸にのびていきました。
下から持ち上げて鷲掴みにし、
何度も揉みほぐすと乳首を摘んで引っ張ったり人差し指で弾いたり…
家内の胸を自在に触りました。

「ううっ…ううっんん………」

激しく胸を揉まれた家内は健太君に唇を吸われながら呻き声を上げました。

しばらくの間キスをしながら家内の胸を弄んだ健太君は、
顔を家内の口から離すと、耳たぶを舐め、
首筋にキスをしながらだんだんと下がっていきました。
そして胸の上までくると、健太君は舌を出して
家内の身体を大胆に舐め始めました。

健太君の舌は、家内の右肩を舐めながら腕まで下がっていき、
指先まで辿り着くと家内の指を一本ずつ口に含み始めました。
親指・人差し指・中指……一本ずつ口に含み、味わうように吸った後、
今度は腕の裏側を這い上がっていき、腋の下までくると家内の腕を持ち上げ、
腋の下を全開させました。

「あっっ、ちっ、ちょっと……いやっ」

腋の下の手入れをしていなかったのか、
家内は焦って腋を閉じようとしましたが健太君は許しませんでした。
うっすらと毛が生えている腋の下に健太君は舌を這わせたのです。

「ああっっっ……」

腋の下まで舐められるとは家内は思っていなかったのでしょう。
身体を大きく揺らせて健太君の舌技に抵抗しましたが、
健太君にねじ伏せられるように、腋の下を舐められてしまいました。

やがて健太君の舌は家内の左肩へ移動し、
腕から指先まで辿り着くと左手の指をまたもや一本ずつ口に含みました。
そして左の腋の下も再び健太君の舌の餌食となりました。

家内の腕を制覇すると、健太君の舌は胸のあたりにまできました。
乳首を片方ずつ口に含み、ゆっくり口の中で転がせたり軽く噛んだりしました。
そして、両方の乳首を楽しんだ後、
左右の頬を乳房に擦りつけながら健太君が言ったのです。

「これが仁美さんのオッパイなんですね。ああっ、もう…たまらないです」

健太君は再び乳首を口に含み、両手を使って乳房を大きく揉みしだきました。
すると乳房に吸い付いている健太君の頭に家内がそっと手を添えました。
自分の乳房にむしゃぶりつく子供の頭を撫ぜるように、
やさしく健太君の頭に自分の手を回したのです。
健太君に母性本能を呼び起こされたのか、
こんなに自分の身体を愛してもらったのは初めてだったのでしょう。

そして健太君の舌が再び下りていきました。
臍のあたりにくると、健太君は舌を尖らせて臍の中に舌を差し込みました。

「ああっっ…」

家内は健太君の頭を持ったまま、上を向いて喘ぎました。

いよいよ…この後は女性の一番恥ずかしいところ、
健太君の舌がその秘部に近づいていきました。

しかし、健太君の舌は焦らすかのように秘部を避けて、
太股を下りていったのです。家内の身体に自分の唾を塗りつけながら、
健太君の舌は太股から足先へと移っていきました。

そして、足の先まで辿り着くと、手と同じように足指を一本ずつ口に含み始めたのです。

「ああっっ、健太君…汚いわ」

家内は膝を折り曲げて健太君から逃れようとしましたが、
両手で足を抱えられてどうにもなりません。
健太君は足指をすべて口に含んだ後、足の裏に舌を這わせました。

(なんという前戯だ……健太君は仁美の全身を舐めるつもりなのか……)

左右の足指を一本ずつ口に含み足の裏まで丁寧に舐めると、
健太君は足の内側をキスしたり舐めたりしながらだんだんと
股間に向かって上がっていきました。
ふくらはぎからゆっくりと太股へ…
健太君の顔が上がっていくにつれて、
閉じられていた家内の股がじわじわとこじ開けられていきました。
太股の真中あたりまでくると、健太君は家内の両膝を掴んで左右に広げました。

「あっっっ……」

健太君の目の前に家内の性器が露となった瞬間でした。
広げられた股の中央にある薄い陰毛は性器を隠すことができず、
黒ずんだ割れ目がはっきりと見えました。

家内は慌ててバスタオルを掴むと、
恥ずかしさからか顔が見られないように首から上を覆ってしまいました。

健太君が今自分の性器を見ている……
もう若くない、子供を産み、
黒ずんで周りがビラビラになってしまっている性器を見られることに
恥ずかしくて耐えられないのか…

やがて、健太君の顔は家内の股間に吸いこまれるように近付き……
ついに家内の割れ目と健太君の口が触れ合いました。
その瞬間家内の身体は電流を流されたかのようにビクッと動きました。

健太君は舌を出して割れ目に沿ってゆっくりと上下させました。

「ぅぅっ……」

タオルで覆われているため声がよく聞こえませんでしたが、
家内は健太君の舌の動きに微かに反応していました。

家内の性器をじっくりと味わうように舐めまわすと、
健太君の舌の動きはだんだんと激しさを増していきました。
一旦家内の性器から口を離すと、
再び両膝を掴んで180度ぐらいに思い切り広げて、
自分の顔を家内の股間にぶつけるように迫っていきました。

「ぁぁぁっっっ………」

健太君は家内の性器にむしゃぶりつき、顔を擦りつけました。
家内の性器から滴る分泌液を自分の顔に塗りたくるように…

「ぅぅぅぁぁぁ……」

(………すごい……これは)

私は画面に釘付けになりました。

家内は顔をタオルで覆い隠しているものの、
健太君の執拗な攻撃に感じているのは明らかでした。
身体がガクンガクンと揺れ、
身体を大きくよじりながらもう耐えられなくなったのか、
股間に吸い付いている健太君の頭を押して離そうとしましたが、
まったく無駄な抵抗でした。

そしてとうとう健太君のクンニにいかされてしまったのか、
しばらくすると家内の身体が痙攣したようになると、ピタッと動かなくなりました。

家内が動かなくなったのを見ると、健太君は顔を離して起き上がり、
肩で大きく息をする家内の左横に添い寝をするように横たわりました。

死角になって見えにくかった健太君のものが今度ははっきり見えました。
家内の性器を思う存分弄び、
鋼鉄のようにガチガチに硬くなっているのが画面からもわかりました。

健太君は家内の顔を覆っているタオルをゆっくり取りました。
すでにクンニだけでいかされてしまった家内は
顔を見られたくないのか横を向きましたが、
健太君は左手で家内の右手を掴むと自分の股間へ導き、
家内の手首ぐらいある赤黒い肉の棒を握らせたのです。

ギンギンにいきり立った健太君のものを握らされた家内は、
慌てて手を引っ込めようとしましたが健太君は手を離しませんでした。
それどころか、家内の手を自分の肉棒に押し当てると、
上から手を握り締めたのです。
家内は健太君の逞しいものを直に握らされる格好になりました。

何度か手を引っ込めようとしていた家内もとうとう観念したのか抵抗しなくなり、
健太君のものを握り締めたままになりました。
すると、健太君は右手を家内の頭の下に入れて、
そむけていた顔を自分の方に向かせ、家内の唇に吸いつきました。

家内に自分の逞しい肉棒を握らせたまま、再び濃厚なキスが始まりました。
キスをしながら健太君がゆっくりと左手を離し、
家内の胸を鷲掴みにしましたが、家内の右手はそのまま健太君のものを握り締めたままでした。
家内が自分の意思で健太君のものを握っている…
私のものとは比べものにならない若々しいものを家内は自分から握り締めながら、
いつのまにか健太君の唇を貪るように吸いついていました。

やがて健太君は起き上がり、
家内の足元にまで移動すると下を向いて何やらモゾモゾとし始めました。
どうやらコンドームを付けているようでした。
いよいよその時が………家内が健太君のものに貫かれる瞬間が来てしまいました。

私自身が期待していた瞬間ではありましたが複雑でした。
家内はこのままどうなってしまうのか…

コンドームを付け終えた健太君は、家内の両足を掴むとゆっくりと広げていき、
股の間を奥へ進んでいきました。
家内の膝を掴んでM字の状態に押し広げると、
右手を添えながら…家内の身体に被さっていったのです。

「ぐぐっっっ……うぐぐぐっっっ」

家内は声を出さないように、目を閉じて眉間に皺を寄せながら耐えていました。
健太君は家内を見下ろしながら、ゆっくりゆっくり腰を押し進めていきました。

「ぐわぁぁ………」

健太君のものがどのくらい入ったのか、目を閉じていた家内がパッと目を見開きました。
目の前には健太君の顔がすぐそばまで迫っていました。
家内は咄嗟に両手で顔を覆いました。

10歳以上も年下の男性のものを受け入れて乱れてしまいそうなところを見られたくないのか……

「ぐぅぅあああぁぁぁ……」

健太君の腰が少しずつ前へ進むに連れて、
家内の悲鳴のような声がだんだんと大きくなっていきました。

「ぐぅぅあああぁぁぁ……あああああ……け…け…け…んた……く…ん」

家内は必死に耐えながら健太君の名前を呼んでいるように見えましたが、
途切れ途切れで言葉になっていませんでした。
健太君は家内の悲鳴のような喘ぎ声を無視するかのように、
じわじわと家内の股間に腰を沈めていったのです。

やがて家内の膣の奥底に到達したのか、前へ前へ進んでいた健太君の腰が止まりました。

「あああぁぁぁぁ……そ……そ……そ…こぉぉぉぉ」

顔を覆い隠していた手を大きく揺すりながら、
家内は喘ぎました。感じているのか、痛がっているのか……
いずれにしても、家内が今まで経験したことのない大きく太いものが、
今 家内の膣に突き刺さっているのです。

やがて健太君はゆっくりと腰を前後に振り始めました。

「うぎゃゃゃあああ……ぐぐぐぇぇぇぇ……」

家内はもうなりふり構っていられないという感じです。
今まで感じたことのない激痛が身体中を駆け巡り、
家内を半狂乱状態にしてしまおうとしているようでした。

ゆっくりとピストン運動を繰り返す健太君は、
ほとんど自分を見失っている家内とはまったく逆でした。
とうとう自分の餌食になった家内を余裕の表情で見下ろしながら
腰をゆっくりと振っていたのです。
決して激しくはないものの、
休むことなくゆっくりと腰を振る健太君、
家内がいかされてしまうのは時間の問題でした。

「……も…もう……いっ……いっ…くぅぅ…」

私は初めて家内が『いく』という言葉を発したことに驚いて興奮しました。
私とのセックスで家内がいくことはもちろんありましたが、
『いく』というのは照れもあったのか、今まで聞いたことがありません。

昼間の『携帯実況中継』でも確かに家内の声で『いく』という声は聞こえてきましたが、
今 実際目の前の映像で家内が自分の口から『いく』と言っているのを確かに見てしまいました。
それほどまでに家内は自分を見失ってしまっているのか……

顔を覆っていた両手はいつのまにか健太君の両肩に移りました。
もう恥じも何もないのでしょう。健太君の両肩を掴みながら家内は喘ぎつづけました。

「…いっ…いっっ…くぅぅぅぅ……」

家内は健太君の肩を掴みながらいってしまったようでした。
肩を持つ手がぶるぶると震え、
健太君によって開かれた両足が一瞬ピンッと伸びました。

「ぐぐぅぅぅあああぁぁ……」

悲鳴とともに家内の全身の力が抜け、
肩を掴んでいた手は骨が抜き取られたかのように
健太君の肩から腕を滑るように落ちていきました。
クンニでいかされ、休む間もなく健太君の巨根でいかされてしまった家内の身体は
すでに体力の限界を超えているように見えました。

私とのセックスであれば、せいぜい前戯10分、挿入5分程度でしょうか、
しかもここ数年家内とは交わっていません。

久しぶりのセックス、しかも相手が体力のある若い男なら無理もないことでしょう。
今からさらに家内の経験したことのない
セックス三昧の世界に連れて行かれてしまうのでしょうか。

家内がいってしまった後も、健太君のゆっくりとしたピストンは続きました。
体力を消耗し、すでに限界を超えているはずの家内でしたが、
健太君の巨根から繰り出される大波に再び身体が反応し始めました。

「…あっ…あっ…」

肩で大きく息をしていた家内は、何度も健太君に子宮を突かれているのか、
再び喘ぎはじめました。

「……ああっっ……ああっっ………いっちゃう……」

健太君は相変わらず余裕がありました。呼吸の乱れもなく、
ゆっくりと腰を振り家内の乱れる姿を見ながら、
時々軽くキスをしたり、乳首を摘んで捻ってみたり……
射精するような雰囲気はまるでありません。

「……いくわっ…いくわっ…また……いっちゃう………    
けっ…けん…た……くん……もうっっ………ああっっ………」

(ん?…これは、もしや…)

どこかで聞いたことのあるような家内の喘ぎ声でした。
しばらくわからなかったのですが思い出しました、
あの時です。健太君が最初に私に電話をしてきた時に、
シーツの擦れる音に紛れて聞こえてきた家内の喘ぎ声でした。
よく見ると健太君は腰を振りながら、右手で枕元のあたりで何か触っています。

(この時だったのか……)

健太君は家内を巨根の餌食にしながら、
携帯を操作しているのでした。健太君が電話をしてきた時、
この時すでに家内は2回いかされ、そしてまたもやいかされようとしている時だったのです。

「………もうっっ………わたし………ああっっ、ああっっ……」

家内は頭を左右に大きく振りながら、
再び健太君の肩を掴んで巨根の洗礼を受けつづけていました。

「……ああっっ……いくっ、いっっっっくぅぅぅぅぅ………」

家内は大きく仰け反り、3回めの昇天を迎えました。

(…もう…やめてくれ…)

目の前のことがすでに過去のこととはいえ、私は祈るような気持ちでした。
健太君と家内のセックスは見せつけられるぐらいに充分見ました。
家内には言えない私の密かな願望も満たされました。
だからもうやめてほしい、もうこれ以上仁美を狂わせないでくれ、
もういいじゃないか、
仁美の身体を好きなだけ楽しんだのだから解放してやってくれ、たのむ……
しかし、私の願いも空しく、二人のセックスシーンは
その後も続いてしまいました。

テープを入れ替えたのか画面が一旦途切れましたが、
再び映し出された画面には扇のように股を大きく広げて、
健太君の巨根を受け入れている家内が現れました。
健太君の腰の振りは少しずつ激しさを増していきました。
ごく普通の正常位で腰を振るだけだったのが、
家内の足を掴んで逆八の字に大きく広げたり、
片足を担いで巨根を捻じ込むように腰を左右に振ったり……

「…だめっ……だめ……よっ……またっ………いっ……ちゃうぅぅぅぅぅ……」

家内はもう意識がなくなってしまっているのか、
今自分が何をしているのかどういう状態なのか多分わからないのでしょう。
健太君の腰の動きに合わせて悲鳴を上げたり、
何を言っているのかわからないこともありました。

部屋の中には家内と健太君の肌が擦れ合う鈍い音に混じって、
ヌチュヌチュという卑猥な音が響きました。

健太君の巨根を受け入れるために、
家内の膣から愛液がどんどん溢れ出ているのでしょうか。
これほどまでに長い時間、挿入したままで腰を振り続けたら、
コンドームが破れてしまうのでは…一体いつまで続くんだ、
私は恐ろしささえ感じました。

「……もうっっ……いってぇぇぇぇぇ……おねぇぇぇぇがいぃぃぃ……」

またもや健太君が枕元で何やらモゾモゾとしはじめました。
これは私がいてもたってもいられなくなって
携帯で電話したときだったと思います。『携帯実況中継』の2回目でした。
右手で携帯を操作し、左手で家内の胸を鷲掴みにする健太君は
私の知っている健太君ではなくまったくの別人、
数々の女を自分のものにしてきた好色男のようでした。

二人が全裸で抱き合い、動物的に交じり合う姿を見て、
私は次第に空しくなりました。私が一人で家にいる時に、
家内は健太君の巨根の餌食になり何度もいかされて、
私の妻であり弘毅の母親であることなど完全に忘れてしまっていたのでしょう。

もしかしたら、このまま健太君の女になってもいいと思ったのかもしれません。

目の前の画面で若い男とセックスしている家内……
これは本当に上坂仁美なのか…結婚してから
私しか知らないはずの仁美なのか…

そして、いよいよ…家内と健太君の濃厚なセックスシーンは
クライマックスを迎えました。

もうどれぐらいの時間が経ったのかわかりませんが、
家内は完全に健太君に翻弄されていました。
目の前の画面の中にいる家内は汗だくになり、
健太君の性欲処理女のようになつていました。
途中で一旦途切れましたが、1時間以上は挿入されたままなのでしょう。

さすがの健太君もいよいよ射精の時がきたのでしょうか、
腰の動きがだんだんと激しくなりはじめました。
家内の右足を自分の肩の上に置き、
股が裂けてしまうのではないかと思えるぐらいに大股開きにさせ、
腰を今までになく大きく振り始めました。

「ぐぅぅぅああああぁぁぁ…………」

何度もいかされて放心状態だった家内でしたが、
部屋中に響きわたるぐらいの悲鳴を上げました。
ゆっくりとしたピストン運動だったのが、
エンジンがかかったように高速回転になりました。

「けっ…けっ…けん……た……くん……もうっっっ……どうにか…してぇぇぇ」

家内は悲鳴を上げながら震える手を健太君の方に伸ばしましたが、
健太君は手を払いのけて腰を振りながら家内に覆い被さり唇を合わせていきました。
すると家内は健太君の口を貪るように吸い始めました。
健太君もそれに応えて家内の唇に唾液を垂らすと
家内は舌を大きく出して舐めまわしはじめたのです。

今まで腰を振るばかりで何も言わなかった健太君でしたが、
自分の唾液を貪る家内を見つめながら囁き始めました。

「仁美さん……僕の女になりませんか…いいでしょ」

一瞬私は耳を疑い、怒りが込み上げてきました。
何てことを言うんだ!この若造め、
人の妻を自分の女にするだと……
しかし、家内は健太君の唾液を夢中で飲みながら、
私の気持ちを嘲笑うかのようなことを言ってしまったのです。

「なるぅぅぅ………なるわぁぁぁ………なるから……」

家内は眉間に皺を寄せて、
健太君の強烈な突きに耐えながら言ってしまったのです。

「本当ですか!……いつもこんなこと、するんですよ。」

「なるからぁぁぁぁ……いってぇぇぇぇ……おね…がいぃぃぃぃぃ…」

家内は夢中で叫びながら、健太君の首に両手を回しました。
健太君は勝ち誇ったような表情になり、
まるで餌を与えるかのように何度も家内の顔に向かって唾液を垂らすと、
唇を使って家内の顔に塗りたくるようにしました。

そして、またしても耳を塞ぎたくなるようなことを家内は口走ってしまったのです

「すっ…すき……すきよ…健太君……いってぇぇぇぇ……おねがいぃぃぃぃ……」

「仁美さん!仁美さんは……僕の女だ!」

健太君は叫びながらとどめを刺すかのように強烈に家内を突き上げました。

「いっっっくぅぅぅぅぅ…………」

家内は悲鳴を上げて痙攣すると、やがて大の字になってのびてしまいました。

このあとどうなったのかわかりません。
しかし、DVDは消えてしまいました。

私は時間を忘れてDVDに見入ってしまってました。
見終わったときは深夜の2時を過ぎていたと思います。
途中で途切れたような感じで大いに不満が残りましたが、
明日から仕事ですのでもう寝ようと思ったものの、なかなか寝られませんでした。
健太君に突かれて喘いだり、唾を舐めまわしたり、
そして健太君の女になるとまで言っていた家内……
DVDで見た場面が次々と頭に浮かんできて、
とても眠れる状態ではありませんでした。結局その夜は一睡もできなかったのです。

ゴールデンウィークも終わり、再び普段の日常生活が始まりました。
私は会社、家内はパート、息子は学校…どこにでもある平凡な一家庭の生活です。
家内とセックスすることを容認したとはいえ、
私は健太君に対して問いただしておきたいことがありました。
『僕の女になりませんか』…その真意を確かめておきたかったのです。
しかし、いざとなると問いただす勇気がありませんでした。
もし、健太君に
『仁美さんは僕の女になりましたから…』
みたいなことを改めて言われたら、
自分は何と切り替えしたらいいのか、
その上に家内からも同じことを言われたら…私の立場はありません。
そのことを考えると健太君に連絡をとることを躊躇してしまったのです。

2日、3日と日が経過していきました。
家内は普段と何も変わりはなく、健太君からは何も連絡はありませんでした。
そして、ゴールデンウィーク後の最初の土曜の夜でしたが、
健太君から長文のメールが来たのです。

゛上坂さん その後いかがお過ごしでしょうか。
DVDはすでにご覧になられたかと思います。
敢えて感想はお聞きしておりませんが、
もしかしたら、上坂さん お怒りでないかなと思い、
メールをさせていただきました。
仁美さんの顔に唾をつけたり、僕の女になれ 
みたいなことを言ってしまって、さぞかしビックリされたのではと思います。
ただ、僕としては、本気で仁美さんを僕の女にしようなんか思っていませんし、
仁美さんもそんな気は絶対ないと思います。
あれは性行為の中で、つい出てしまったうわ言のようなものだと思っています。

仁美さんには翌日『ありがとうございました』
とメールをしておきましたが、『こちらこそ』 って返事が返ってきただけです。
もちろん、仁美さんのことは今でも大好きですが、
いつまでもこんなことをしていてはいけないと思ってますし、
自分の親父を見てきていますから、
人の道に反するようなことはしないようにと思っています。
仁美さんとのことは良き思い出として、
これからは改めて私の大事な顧客として、
上坂さんと仁美さんとはお付き合いをしたいと思ってますし、
仁美さんと陰で連絡を取り合ったり、お会いしたりすることは絶対ありません。
そのことは硬くお誓いいたします。
今後とも神崎健太ならびに我が社をよろしくお願いいたします ゛

俄かには信じがたいようなメールでした。
あそこまで濃厚なセックスをしておいて、
今後個人的には一切連絡をとらなかったり、会わないことなどできるのか。
それに、いかに健太君がそうであっても、
家内がどう思っているのか…
家内の方から健太君を誘うようなことがあれば、
それを言い訳にして逢引するのではないか…
私はしばらく様子を見てみることにしました。
もしこっそり会ったりしていたら、絶対許さないと思いながら…

5月が終わり6月になりましたが、
我が家は普段と変わらないまったくの「無風」でした。
家内は今までとまったく変わりはなく、
健太君のことはもう忘れてしまっていたのでしょうか。
健太君の言うように、
あれは良き思い出として、このまま何事もなく過ぎていくのかと思っていました。
健太君のことをきっかけに、寝取られ願望が芽生えてきた私にとっては、
少し残念な部分は正直あったのですが、
これぐらいで終わった方がいいのかなとも思いました。

しかし7月になり、家内と健太君はあることがきっかけとなり
再会することになったのです。

「健さん、最近どうしているのかな?」

7月のある日の夕食時に息子が発した一言からすべてが始まりました。

「あれから全然うちに来てくれないね…」

息子は私と家内の両方を見ながら話しかけてきました。
健太君の名前が久々に出てきたためか、明らかに家内の様子が変わりました。
健太君の話題から逃れるように、
何も言わずにすっと立ち上がって台所へ行くと、
戸棚を開けて何かを探すような素振りをしたのです。

「そうだなあ~、今は原油高で車も売れないらしいからなあ。
休みも返上して走りまわっているのかもしれないなぁ 」

私は明らかに健太君を意識している家内の様子を横目で見ながら、
息子の問いかけに応えました。

「そうなのかなぁ~、今度の総体 
健さんに見に来て欲しいんだけどなぁ」

「総体って、お前補欠だから試合なんか出られないだろう?
ベンチに座っているところを健太君に見てもらうのかい(笑)」

すると息子は口を尖らせながら反論してきました。

「見損なわないでよ、もしかしたら少しだけでも出れるかもしれないんだよ。
だから、健さんに来てほしくて…、ねぇ 健さんの携帯教えてよ」

家内は自分の席に戻ってきましたが、
黙って食事をするだけで会話に入ろうとしませんでした。

「ああっ、まあいいけど、あまり無理を言わないようにしろよ」

「えへへっ…」

息子は健太君の携帯番号を紙に書いて、
大事そうにポケットの中にしまいこみました。
本当に健太君を呼ぶつもりなのか、
もしそうなれば……私は何となくドキドキしてきました。

そして、総体の日、私は家内と一緒に競技場まで観戦に行きました。
あの日以来息子は何も言いませんでしたし、
私も敢えて確かめなかったのですが、
もしかしたら健太君が現れるのではと思いつつも、
息子が出てくるところを逃さないようビデオを構えていました。

試合は前半を終了しハーフタイムになりました。

「後半あたり 弘毅出てくるかな」

私は独り言のように呟きました。

「どうかしら…」

家内は私の話を聞いているのか、
何かを待っているかのように口数少なく応えたその時でした。

「こんにちは!!」

後ろから声が聞こえたので振り返ると……やはり健太君が現れたのです。

「上坂さん しばらくです。ご無沙汰してます」

仕事の途中なのか、ネクタイを締めたままの健太君は
私と家内を見ながら頭を下げました。
久しぶりに見る健太君は真っ黒に日焼けして精悍な雰囲気で、
イメージが変わった感じでした。

「わざわざ来てくれたのか、悪いなあ。仕事じゃないのかい?」

健太君は私の左隣に座りながら言いました。

「いえ、さっきまでお客さんの家にお邪魔してましたけど、
もう今日は終わりなんです。それより、弘毅くんはどうですか、もう出ましたか?」

「いやいや、弘毅がどう言って誘ったか知らないけど出られないんじゃないのかな…」

私を間に挟んで、右に家内、左に健太君という位置関係で試合観戦が続きました。
試合を見ながら、私は健太君と仕事のことや世間話をしていたのですが、
家内と健太君は不自然なぐらいにまったく言葉を交そうとしませんでした。

結局息子は後半の終了間際の1分ぐらいだけでしたが、試合に出してもらえました。
息子が出てくると我ことのように大喜びし、
大声で息子を応援してくれた健太君を見ながら、
改めて今時の若者には珍しいいい男だと思ったものでした。

息子との約束で、その日の夕食は息子のお気に入りの
ファミリーレストランに行きました。
健太君も快く誘いに応じてくれて一緒に来てくれました。
コの字型のテーブルに右から健太君、息子、私、家内の順に座りました。
息子は健太君にベッタリという感じで食事中もずっと健太君と話をしていました。

食事も終わり、一息ついていた時に息子がお腹を押さえながら、
トイレに走っていきました。

「しょうがないなあ、冷たい物を取り過ぎたんだな」

そう言いながら、私はその時ふと思いました。
今ここで自分がいなくなれば、家内と健太君が二人きりになる…
今日まだ会話らしいこともしていない二人がどういう態度をとるか…
そう思うと、二人がどうするのかどうしても見たくなりました。

「ちょっと表で煙草吸ってくるよ」

禁煙席に座っていたことをいいことに、私は立ち上がりました。

「ああっ、そうですか…」

健太君はやや慌てた感じで言いました。もしかしたら、
私に合わせて健太君も立ち上がるのかと思いましたが、
もともと煙草を吸わないしわざとらしいと思ったのかそのまま座っていました。

私はレストランの表に出ると、ウインドウ越しに家内と健太君の様子を窺いました。
二人の間には2m弱の微妙な空間がありました。
しばらく見ていても会話をしている雰囲気はなく、
キョロキョロしている健太君に対し、家内は下を向いたままでしたが、
やがて健太君が家内のほうを向いて何か話しかけているように見えました。
家内は下を向いたままでしたが、健太君を拒否しているという感じではなく、
少し笑っているように見えました。
何を話しているんだろうか、私はすごく気になりました。
約2ヶ月前に身体の関係を結んだとはいえ、二人ともぎこちなく、
お互いが相手に遠慮しているという感じでした。

しばらくして、息子がトイレから戻ってくる姿が見えましたので、
私も戻りました。再び家内と健太君の間には、
二人の゛邪魔者 ゛が入った格好になりましたが、
何となく和やかな雰囲気になったように思ったのは私だけだったのでしょうか。

健太君とも別れて家に帰ると、私は会話の中身を聞きたくて健太君にメールをしました。

゛家内と会うのは久しぶりだったんだろ、何を話したんだい? ゛

゛急にツーショットになっちゃったんで少し焦りました(笑)。
でも、上坂さんのご配慮だなと思ってそのまま座ってました。
大した会話じゃないんですけど、その後お元気ですか?って言ったら、
健太君も元気そうねって…日焼けして逞しくなったね、
可愛い彼女ができたんでしょ?って言われてしまいました ゛

゛そうか、それで本当に彼女できたのか? ゛

゛あははっ、できないですよ。
男ばっかりで海に行ってこんなにまる焦げになりました(笑)。
当分彼女はできそうにないですね。
仁美さんのこと、ちょっと引きずってしまっているようで… ゛

やはり、健太君の中にはまだ家内への思いが残っているようでした。
多分家内もそうなのでしょう。

そして、私はある行動に出てしまいました。

「俺の車、来月車検だから買い替えることにするよ」

健太君と久しぶりに出会った数日後の夕食の時に、私は家内に話しかけました。

「いいけど私にも運転できる車にしてね。
代わりに運転しなくちゃいけない時とかあるから…」

「ああっ、わかってるよ。健太君に連絡しておくかな」

車を買い替えるのは本気でしたが、
そのことをきっかけにして私はあることを考えていました。

それから数日後の土曜日の夜……早速私は実行に移しました。

「さっき、会社の常務から連絡があったんだけど、
急に明日出勤しないといけなくなったんだ」

「あらっ、そうなの?珍しいわね。一日中かかるの?」

あまりないことでしたので、ややわざとらしいかなと思いましたが、
家内は変に疑うこともありませんでした。

「う~ん、ちょっと取引先の方がご立腹でね。
どうなるかわからないけど、帰ってくるのはせいぜい夕方ぐらいだろうな。
明日は何もなかったよな?」

「ええっ、お買い物も今日済ましたし、弘毅は部活だからお留守番しておくわ」

これで条件は整いました。私は休日出勤、息子は部活、家には家内一人だけとなります。

翌朝、私は日曜にもかかわらず、平日のようにネクタイを締め、鞄を持って家を出ました。
いかにも会社へ出勤するような姿です。
見送ってくれた家内も疑いもしなかったでしょう、
この数時間後に起こることも…

駅に着くと、私はとりあえず会社とは逆方向の電車に乗りこみました。
時刻は8時を少しまわっていました。
あと2時間もすれば、家内から私の携帯に連絡があるはず…そしてその後どうなるか…
私はつり革につかまり、電車の外を眺めながら、これから起こることを想像していました。
ある意味家内を騙すことになります。家内に対しては申し訳ないと思いつつも、
私はどうしても自分の欲望を押さえられなかったのです。

健太君と再会した時、そして僅かな時間ではあったものの、
家内と健太君が二人きりで話をしているところをウインドウ越しに見た時…
この二人が再び交わるところを見たい、お互いの身体を貪るところを見たい、
健太君にもっと家内を汚して欲しい、もっと私を嫉妬させて欲しい……
その思いが押さえられませんでした。

私はどこへ行くあてもなかったのですが、
とにかく静かな場所へ行こうと思いました。
家の最寄駅から数駅過ぎたところで降りると、
駅前の静かそうな喫茶店に入りました。

もうすぐ家内から電話があるはず……
もしないようならこの計画が失敗したか、
もしくは思わぬ方向に展開したということになります。
コーヒーを飲みながら私はその時を待ちました。

そして、10時15分ぐらいだったでしょうか、
私の携帯がなりました。ディスプレイに表示された番号は
家の固定電話の番号でした。家内に間違いありません。
私は深呼吸をして落ちついて電話に出ました。

「もしもし…」

「あっ、あなた?今、お話して大丈夫?」

家内はやや慌てた感じでした。

「ああっ、大丈夫だけど…どうしたんだ?そんなに慌てて…」

「健太君が来ているのよ。あなた約束していたんじゃないの?」

「あっ!しまった!そうだったな、すっかり忘れてしまってたよ」

私は大袈裟に芝居をしました。

「もーぉ、どうするの?健太君かわいそうよ」

「そうだな、申し訳ないことをした。健太君に代わってくれるか?」

電話から保留音が流れてきました。
健太君が出てくるまで、私はドキドキして待っていました。
今回のことは、家内にはもちろんのこと健太君にも何も話していなかったのです。
すべて私が単独で仕掛けたことでした。
今まで何かする時は健太君と事前に話をしていましたが、
何も知らない二人がいきなり限られた空間の中で一緒になった時、
どういう行動に出るか…

「神崎です、おはようございます。上坂さん お仕事が入ったんですか?」

健太君はいつも通り元気な声でした。

「ああっ、ごめんよ。昨日急に入ってきてね。
健太君と約束していたことをすっかり忘れてしまって。
暑い中来てくれたんだな。本当に申し訳ないよ」

「いえいえ、サラリーマンであればやむを得ないことですよね。
では、パンフレットを奥さんにお預けしておきますので、
またご覧いただけますか?」

「うん、見せてもらって決めておくよ。
本当にすまなかった。もう一度家内と代わってくれるか?」

家内のみならず健太君も私の勝手な計画に引きずり込んでしまったことに
心の中で詫びながらも、私は計画通りにことが進んでいることに興奮しました。

「もしもし…」

「健太君からパンフレットを預かっておいてくれよ。
それから…この暑い中来てくれたんだから、
家の中で少し涼んでから帰ってもらってくれよ」

「…ええ、そうするわ」

家内は少し間をおいてから言いました。

果たして…二人はこれからどうするか…
健太君は家内に促されて、家の中に入って冷たいものでも飲むでしょう、
そして………日曜日の昼間に二人が我が家で交わるとは考え難いのですが、
それでも私は興奮しました。

私は喫茶店を転々としたり、本屋で立ち読みをしたりして時間をつぶしました。
家内には早くても夕方と言ってましたので電話がかかるはずはないのですが、
健太君から何らかの連絡があるのではと思い、
携帯を握り締めて時間が経過するのを待ちました。

そして、3時を過ぎたあたりで私は健太君に連絡を取りました。
もし家内と再び抱き合ったとしても、
さすがにもう帰っているだろうと思ったのです。
健太君はすぐ電話に出てくれました。

「今日はすまなかったね。今どこにいるんだい?」

「いえいえ、とんでもないです。
暑くて暑くてマンションの中で寝転んでますよ(笑)」

「そうか…ちょっと会えるかな?」

今日の結果を聞きたくて私は健太君を誘い出しました。

「やっぱり、そうだったんですか…」

喫茶店でコーヒーを飲みながら、今日の計画のことを私から聞いた健太君は、
やはりという顔をしながら言いました。

「実はそうかなっと思ったんです。ご自宅にお伺いする前から、
なぜかちょっと胸騒ぎがして…もしかしたら、
仁美さんが一人でいるんじゃないか、みたいな予感がしたんですよ」

「そうか…なかなか感が鋭いなぁ。それで……どうだった?」

健太君は少し笑みを浮かべて応えました。

「残念ながら…と言うべきでしょうか、
上坂さんが思ってらっしゃるようなことはなかったんです」

「そうか……そうだろうな…」

私はなぜか少し安心したものの、残念な気持ちでした。

「さすがに、上坂さんのご自宅では…それに昼間ですから、
もし誰か来たりして見つかったら仁美さんにご迷惑がかかりますし」

「そりゃそうだな。俺も無謀なことを考えたものだと自分で思うよ」

いい年の大人が馬鹿みたいなことを企んだものだと、
健太君に対して少し恥ずかしくなってきました。

「でも、僕にとってはすごくよかったんですよ。
上坂さんに感謝したいぐらいです。1時間ぐらいでしたけど、
仁美さんと久しぶりにゆっくりお話ができましたから」

「そうかい、どんな話をしたんだ?」

「今までのこといろいろお話しました。
上坂さんもご存知のとおり、仁美さんとセックスしてから、
逆に疎遠になってしまってたんですよ。
お互いこんなことしててはいけないって思ってたんですよね」

「家内もそんなこと言ったのか?」

「ええ、主人も子供もいるのに、健太君とあんなことしてしまって…
って言われてました。やっぱり上坂さんと弘毅君にはかなわないですよ、
僕は…。でもそういう律儀な仁美さんがすごく素敵なんですよね」

「健太君も律儀じゃないか。健太君の性格が違っていたら、
今頃展開が変わっていただろうと思うよ。今日のことにしたって…」

すると健太君が頭を掻きながら言いました。

「いやーぁ、そうでもないんですよ。実は僕、仁美さんにプロポーズしたんですよ」

「えっ!!プロポーズって?」

私は一瞬ビックリしました。

「えへへ…そうです、プロポーズですよ。もし生まれ変わったら、僕と結婚してくださいって…」

「それで…家内は…なんと?」

「謹んでお受けしますって言ってくださいました。
でも、主人より先にプロポーズしてくれないとねって…」

「そうなのか…」

生まれ変わったらとはいえ、健太君のプロポーズを家内は受けるのか…
やはり家内は今でも健太君にかなり好意を持っている…それは明らかでした。
私は健太君に言いました。

「健太君、いつか言おうと思ってたんだが…」

「はい、なんでしょうか?」

「家内に本当のことを言ってもいいかい?」

私の言葉を聞いた途端に、健太君の顔から笑顔が消えました。

「本当のことを…ですか?」

「そう…健太君と仁美のことを俺は知っている…そのことを言いたいんだ」

「そ、それって…」

健太君は黙りこんで下を向いてしまいました。
しばらく二人の間に会話がなくなり、
沈黙の時間が流れましたが、やがて健太君が顔を上げて言いました。

「上坂さん、どうしてなんですか?急にそんなこと言われるなんて…
もしかして、仁美さんが気づいておられるんですか?」

「いやいや、家内は気づいてないよ。これは何も急に思い立ったことじゃなくて、
前々から思っていたんだ。今まで健太君とメールや電話をして、
家内の様子を伝えてもらったり、
DVDで報告もらったりしていたけど、家内はそのことを知らないわけだから、
俺は家内に何も言えないし、家内も健太君のことは俺に何も言えないじゃないか。
夫婦の間にある程度の秘密はあってもいいと思うけど、
なんだかそれも嫌になってきてね。このままお互い秘密を持ったまま
一生終わってしまうのかなって思うとやるせなくてね…」

健太君は私の話を真剣な表情で聞いていました。

「そうですか……でも……一言だけ言わせてもらっていいですか?」

「うん、なんだい?」

「僕としてはできれば言って欲しくないですけど、
ご夫婦のことでもありますし、上坂さんがそうされるのならやむを得ないと思います。
ただ……仁美さんに本当のことを言われることで、
リスクを背負うのは上坂さんの方ではないんですか?
こういう言い方はあまりしたくないですけど、
僕はもし仁美さんに恨まれるようなことがあっても、
所詮顧客を一人失うだけですから……でも上坂さんの場合は……」

自分のことより私の立場を思いやってくれる健太君の言葉に感心しながら私は言いました。

「ありがとう…でも、それは健太君が心配しなくてもいいよ。
さすがにDVDのことまでは言わないつもりだし、
健太君のことを悪く言うつもりはないから。すべては俺が仕掛けたことだからね」

健太君は私の顔をじっと見つめながら少し間をおいて言いました。

「…わかりました」

私は健太君と別れて、5時過ぎに帰宅しました。

「ただいま…」

家の中に入ると、家内は買い物をして帰宅したばかりなのか、
冷蔵庫に食材を入れているところでした。

「あらっ、お帰りなさい。早かったのね…」

「うん、まあ…」

私はどのタイミングで切り出すか、
まだ自分の中で決めかねていたため、生返事をしてしまいました。
いつ言おうか…いっそのこと今言ってしまおうか、
迷いながら居間のソファに座り新聞を広げていた時に家内が近寄ってきました。

「はいっ、これ健太君から…」

家内が差し出したのは健太君が持ってきた新車のパンフレットが入った紙袋でした。

「ああっ、そうだったな」

「後のこと、きちんとしてあげてね。日曜日にわざわざ来てもらったのに…」

私は今だと思いました。

「仁美、ちょっとここに座れよ」

キッチンの方に戻りかけていた家内は振り返って戻ってくると、向かいのソファに腰掛けながら言いました。

「どうしたの?改まって…」

私は心臓がバクバクして緊張しているのがわかりましたが、平静を装って言いました。

「さっきまで…健太君に会っていたんだ」

「そうなの?謝っておいてくれたのね」

「うん、謝ったよ。仕事に行く振りをして家を出て、
健太君とお前をこの家に二人きりにさせたことを…」

「えっ????…」

家内は怪訝そうな顔をして私を見つめました。
私が何を言っているのか理解できないようでした。

「あなた何言っているの…今日は仕事じゃなかったの?」

「仕事じゃないよ。これは俺の一人芝居なんだ。
お前と健太君をこの家に二人きりにさせたかったんだ」

「どうして?あなたの言っていることがわからないわ」

訳のわからないことを言われ困惑している家内をよそに、
私はまくし立てるように言いました。

「俺は全部知っているんだ。
健太君のマンションに食事を作りに行ってキスしたこと、
健太君がこの家に泊まった翌日の明方に再び抱き合ってキスしたこと、
そして……健太君のマンションでセックスしたこと……全部知っているし、
すべては俺が仕掛けたことなんだ。俺が健太君に頼んだことなんだ」

「そっ……そんな……」

家内は大きく目を見開いて、凍りついたように動かなくなりました。

「……だから……二人が久しぶりに顔を合わして、
家の中で二人きりになった時、どうなるのか試してみたかった…」

凍りついたように動かなかった家内でしたが、
私に表情を見られたくないのか、下を向いてしまいました。
泣いているのか、少し肩が震えているように見えました。
私はどう話しかけたらいいのかわからず、しばらく黙っていました。

会話のない沈黙の時間が流れていきました。
エアコンをつけていたため窓を締め切った居間の中は物音一つしない空間となっていました。

どのぐらい経ったでしょうか、家内がゆっくりと顔を上げました。
目元が潤んでいるように見えましたが、涙がこぼれるほどではありません。
家内の視線は私ではなく、テーブルの一点を見つめていました。

「すまなかったな……今まで黙っていて……」

沈黙の息苦しさに耐えかねて、私は家内に対して謝罪の言葉を口にしました。
しかし、家内の耳に入っているのか、返事もなく視線も動きません。
私は再び言葉を失ってしまいました。

そして窓の外が薄暗くなりかけた時、ようやく家内が口を開きました。

「…やっぱり……そうよね……」

「えっ?」

私は家内が何を言っているのか、わかりませんでした。

「やっぱり………遊びだったのよね………健太君は…」

「遊びって?…」

家内は視線を動かさず、テーブルを見つめたまま言いました。

「…あなたに言われて……その気もないのに……そうよね、そうじゃないと変だし……」

家内は健太君に遊ばれていただけと思ったのでしょうか、
私に頼まれてその気もないのに健太君は家内を抱いたと思ったのでしょうか…

「その気になっちゃった……私がバカだった………そういうことかしら……」

私は慌てて言いました。

「そ、そんなことはないさ。確かに健太君に頼んだのは事実だけと、
健太君はお前のことを本当に……」

私の話しが終わらないうちに家内は立ち上がりました。

「さぁーて、夕飯作らなきゃね、もうすぐ弘毅がお腹すかして帰って来るわ」

顔に明らかな作り笑いを浮かべながら、家内はキッチンへ行ってしまいました。

失敗だったか、やっぱり一生内緒にしておくべきだったのかな……
私は本当のことを言ってしまったことを後悔しました。

家内の本当のことを話してから2日後ぐらいに健太君から電話があり、
私は一部始終を話しました。その気もない健太君に抱かれたと思われることは
健太君にとっても心外だったようで、
もう一度出会って話しをしたいと言ってきましたが私は断りました。
時が解決してくれるのではという甘い考えがあったのです。

その後も家内とは必要最低限の会話はありましたが、
なんとなくぎこちない日々が続きました。
一番辛かったのは家内と視線が合うことがなくなったことでしょうか。
私と話をする時も視線を合わさず話をするので、
会話をしていても心が通い合っていないというのが明らかでした。

これから自分たちはどうなるのか…
このまま殺伐とした仮面夫婦を続けるしかないのか…
身から出た錆びとはいえ、私は今後のことを考えると憂鬱な日々でした。

そして状況が急転したのは、家内に本当のことを話してから
2週間ぐらい経った日曜日の夜でした。
弘毅が2階の部屋に入ってしまってから、家内が話しかけてきたのです。

「あなた…お話があるの」

私は一瞬ドキッとしました。
もしや…離婚か…まさか…しかし…もしそうならそれもしょうがない…
弘毅はどうするんだ…一瞬の間にさまざまなことが頭を駆け巡りました。

私と家内は居間のソファに向き合って座りました。
そして、家内は相変わらず私の方は見ないで、
やや下を向いたまま口を開きました。

「今度の水曜日と木曜日……外出させてほしいの」

私は離婚の申し出ではなかったことに内心ホッとしました。
しかし、2日間外出とはどういうことなのか…

「そりゃあいいけど…外出って、旅行でも行くのか?」

家内はやや言いにくそうに続けました。

「旅行っていうほどのものじゃないけど…
2日間家を留守にしたいの。あなたと弘毅の食事は作れないけど」

「それはなんとかするさ。しかし…どこへ行くんだ?
健太君と…何か関係があるのか?」

家内はしばらく黙っていましたが、
顔を上げて何日振りになるのか私の顔を見ながら言ったのです。

「行き先は聞かないでほしいの。それと……
2日間私と健太君には連絡をとらないでほしいの」

2日間家を留守にする、しかもその間健太君と家内には連絡しない…
何をしようとしているかは誰でもわかります。
私は呆れてしばらく声が出ませんでした。

私が黙っていると家内が口を開きました。

「すごいわがまま言ってることはわかっているわ。
でも……行かせて欲しいの…」

家内の真剣な表情は何かを決意したようにも見えました。
しかし、夫としてこのままあっさりと行かすわけにもいきません。

「お前…何をしようとしているんだ? そもそもどっちが誘ったんだ?」

家内は表情を変えずに言いました。

「私から健太君を誘ったの、水曜日に会いたいって」

「もし…俺が絶対行かせないと言ったら…どうするんだ?」

家内は俯いてしばらく黙っていましたが、頭を深く下げて言いました。

「行かせてください…」

行かせてください…か、私はしばらく迷いましたが、
このまま家内を引き留めたところで我々夫婦の間は
このまま好転しないように思いました。
家内に行かないでくれと言うのも女々しくて
自分が情けないように思いますし、もう勝手にすればいい思いました。

やや突き放すような感じで私は家内に言いました。

「もういい…好きにしろ」

家内はしばらく頭を下げたままでしたが、ゆっくり顔を上げると言いました。

「ごめんなさい……木曜の夜には必ず帰ります」

「当然だろ」

そして水曜の朝…いつもの朝のように息子が学校へ出ていき、
その後に続くように私も家を出ようとした時、家内が小さい声で言いました。

「……よろしくお願いします……」

私は何も答えずに、家内のことなどまったく気にしていない素振りで家を出ました。
しかし、私の心の中は仕事どころではありませんでした。
あいつら、一体どこへ行くつもりなんだ、2日間も
一緒に過ごして何回抱き合うつもりなんだ…
今まで健太君と家内の行動はすべてわかっていたのに、
今日ばかりはまったくわかりません。
自分だけ除け者にされた疎外感が強くありました。
夜は息子と男二人でワイワイ言いながら食事を作ったりして、
それなりには気も紛れたのですが、一人になってしまうともう耐えられませんでした。

とてもじゃないが仕事をする気になれない…そう思った私は、
木曜日は午後から半休を取りました。かといってどこへ行くあてもありません。
電車に乗り家に向かって帰りかけたのですが、
ふと思い立ち健太君の店に寄ってみようと思いました。
もしかしたら…健太君がいるのではと思ったのです。

店の近くまで行き、中を覗いてみるとショールームに店長が一人いるだけでした。
なんとなく期待外れのような、それでいてホッとしたような気持ちで私は店に入りました。

「おやっ、上坂さんじゃないですか、今日はどうされたんですか?」

店長は私の姿を見ると慌てて駆け寄ってきました。
平日の昼間に訪ねていくことなど今までなかったことですから驚くのも無理はないでしょう。

「いやいや、会社を早退したものでね。
近くを通りかかったんで寄ってみようと思ってね」

「そうなんですか、ありがとうございます。
神崎から聞きましたけど、新車の方もお世話になるみたいですね」

「ああっ、もうほぼ決めたんだけどね。健太君は…今日はいるの?」

私は最も聞きたかったことを何気なく聞いてみました。
すると、店長は申し訳なさそうな顔をして言いました。

「いえ、それが休んでいるんですよ、昨日から。申し訳ございません」

やっぱりか…あいつら一緒にいるんだな…
あわよくば健太君がいればと期待した思いは一挙に崩れました。
私は残念な気持ちを顔に出さないように言いました。

「いや、いいんだ。まだ電話するから…」

「昨日は休暇届が出ていたんですけどね、今日は急だったんですよ。
朝に電話してきて休ませて欲しいって…」

そうか…ということは、今日は健太君には予定外だったということか…

「ほぅ、そうだったの。体調でも崩したのかい?」

「ええ、そうみたいで…」

私は店長に、今日来たことは健太君には黙っておいて欲しいと頼んで、店を後にしました。

健太君の店を出た後、私は一旦家の方向に向かって帰りかけましたが、
このまま誰もいない家に帰ってもしょうがないと思い、
自然と足は家とは逆方向に向いていました。

今頃あの二人はどうしているんだろうか…
恋人同士のように二人だけの時間を楽しみ、
抱き合って身体を貪りあっているのか…
健太君は昨日は休みを取っていたらしいが、
今日は急に休ませて欲しいと連絡してきたと店長は言っていた…
これは一体どういうことなのか…旅行というのは日帰りだったのか、
それともまったくの嘘なのか…それなら家内は昨日どこで泊まったんだ…
まさか二人で駆け落ちしたんじゃないのか……
私はトボトボと歩きながらあれこれと考えていました。
考えれば考えるほど頭の中が混乱し、悪い想像ばかりしてしまっていたのです。

行くあてのない私は本屋で立ち読みをしたり、パチンコをしたり…
しかし何をしてもまったく上の空でした。今日一日が早く終わって欲しい…
もうコリゴリでした。

確か家内は夜には帰ると言っていたものの、それが何時なのかまったくわかりません。
となると夕食の準備もしなければならず、
何をする気にもなれない私に追い討ちをかけるような嫌なことでした。
止む無くスーパーで夕食の惣菜を買った私は、
残暑が厳しい中汗だくになりながら家に向かいました。
夕食を何にするかを考えるのも面倒くさいし、
まして誰もいない家に一人先に帰って家族の帰りを待つ…
当たり前のことのようですが、家内はこんなことを毎日しているのかと思うと、
改めて家内の存在の大きさ・有り難さを実感しました。

夕方5時を少し過ぎたあたりにやっと家に着きました。
惣菜を持っていたため、玄関ではなく裏の勝手口にまわって家に入ろうとして
鍵を取り出した時でした。

゛……なんだか…変だ……゛

家の中で何やら人の気配がしたのです。

゛…もしや……泥棒……か? ゛

私は勝手口のドアノブにそっと手をかけました。

゛開いている…… ゛

私は泥棒に入られたと確信し、家の中に飛び込みました。

その時でした。

「きゃーーーぁぁ!!」

勝手口につづいている台所から悲鳴が……

その悲鳴の主は………家内だったのです。

家内は台所のテーブルに隠れるように身を屈めて、こちらの方を見ていました。
私がものすごい勢いで勝手口から飛び込んできたので、
さぞかしビックリしたのでしょう。
しかし、ビックリしたのは私も同じです。
てっきり泥棒かと思い、家に飛び込んでみたら、
帰っているはずのない家内がいたのですから…

「お、おまえ…帰っていたのか…」

家内は両手で胸を押さえて、気を静めるようにゆっくり立ち上がりながら言いました。

「あ~っ、ビックリしたわ…誰が入ってきたのかと思った」

「それは、こっちのセリフだよ。夜遅いと思っていたから…いつ帰ったんだ?」

「3時ぐらいよ。洗濯して、お掃除して…あなたは、今日はどうしたの?早いのね」

「俺は……昼から早退したんだ、仕事に身が入らないからな…」

すると家内はキョトンとした顔をして言いました。

「あらっ、風邪?熱でもあるの?」

私は家内の暢気そうな言い方に一瞬にして切れてしまい、
今まで我慢していたことが一気に爆発してしまいました。

「バカ言うな!!自分の妻が若い独身男性と1泊2日の旅行に行っているんだぞ。
それも行き先も告げずに、一切連絡も取るなと言われて…
これで仕事に打ち込めるような男がいたらお目にかかりたいもんだ!
いいかげんにしろ!!」

「ちがうわ!ちがうのよっ!」

私に罵声を浴びせられて家内は身を縮めるようにしながらも、
両手を振って必死に反論しようとしました。

「何がどう違うんだ!説明してみろ!」

私は家内に言い訳の隙を与えまいと、一気にまくし立てました。

「ほらっ、早く言え!何とか言え!何も言えないのか!
何回抱かれたんだ?一緒に泊まって風呂に入って、
若い身体を楽しんだのか?身体を弄ばれて喘ぎまくったのか?
この恥知らずめ!若い男がそんなにいいのか、この売女!!」

まくし立てた瞬間に私は しまった、言い過ぎた とも思いましたが、
すでに自分をコントロールできる状況ではなかったのです。

しばらく沈黙の時間が流れました。家内は立ち尽くしたまま、
私は興奮して肩で大きく息をしながら家内を睨みつけていました。

興奮状態の私に何を言っても無駄と思ったのか、
家内は下を向いて動きませんでしたが、
やがてゆっくりとその場に座ると、正座をして私を見上げながら言いました。

「あなた、落ち着いて聞いてほしいの。私 本当のことしか言わないから…」

一気にまくし立てたことでやや落ち着きを取り戻した私は、
家内を見下ろしながら言いました。

「ああっ、言えよ。下手な言い訳でも何でも聞いてやるよ」

家内はゆっくりと話し始めました。

「私 昨日から実家へ帰っていたの」

瞬間的に私は見え見えの嘘だと思いました。

「ふ~ん、実家か、よく使う手だな。
都合の悪い時は何かというと実家だな。
まあいい。それで、健太君とはどうしたんだ?」

「会ったわ。昨日のお昼前に出会って一緒に食事して、それで別れたの」

私は聞くのもバカバカしい感じで言いました。

「じゃあ、それだけのためにわざわざ健太君を誘ったのか?
健太君は仕事を休んだんじゃないのか?」

すると家内は私に訴えるような表情で続けました。

「そうよ…それだけよ。でも私にとってはすごく大切なことだったの。
健太君にはっきりさせてほしいことがあったから……」

「何だよ?はっきりさせとほしいことって…」

家内は少し深呼吸して言いました。

「……私のこと……本当にどう思っているのか聞きたかったの。
健太君はあなたに言われて私に接近して…
それでこんなことになったのかなって思って…
健太君の本心を聞きたかったの」

健太君の本心を聞く……これは主婦でも母でもない、
一人の女としての意地・プライドなのでしょうか…
私にはすぐには理解できないことでした。

私は怒りもほとんど収まり、いつのまにか家内の言葉に聞き入っていました。

「それで……健太君は何と言ったんだ?」

家内は下を向いて顔を隠しながら言いました。

「゛仁美さんがもし誤解されていたら僕はすごく残念です。
確かに上坂さんから、それらしきことも言われたのは事実です。
でも、僕が今までしたことはすべて僕の意思でしたことです。
僕は……心の底から仁美さんを好きになってしまいました゛
……って言ってくれたの」

私は何も言えず言葉を失いました。そして……家内は続けて言いました。

「゛生まれ変わったらプロポーズしますって、いつか言いましたけど、
誤解されるぐらいなら今プロポーズします。
仁美さん、上坂さんと別れて僕と結婚してください。
上坂さんより仁美さんのこと大事にします。
絶対幸せにします。弘毅君のことも僕が何とかします゛……って」

その時、私の中には嫉妬という気持ちはなく、焦りという嵐が吹き荒れました。

このままでは…すべてを健太君に取られてしまう…
家内も、そして弘毅までも、すべて…

言葉を失った私は、しばらく呆然として立っていたと思います。
どのぐらいの時間が経ったのか自分でもわからないぐらいでした。
健太君にすべてを取られてしまう…情けないことですが、
それだけ自分に自信がなかったのです。
いくら戸籍の上で家内と婚姻関係にあり、
その間に弘毅という子供がいても、
気だてのいい好青年の健太君の前では脆くも崩れ去ってしまうのではないか…
焦り、そして軽はずみなことをした後悔の気持ちが、私の身体の中を駆け巡りました。

「あなた…聞いてくれている?」

私は家内の言葉で我に返りました。

「……うっ、…うん……それで、お前は何て答えたんだ?」

一時の興奮状態からかなり落ち着きを取り戻した私を見て、
家内はやや安心した表情をして言いました。

「゛ありがとう、そこまで言ってくれて…
でもプロポーズは受けられないの。
私は上坂の妻であり、弘毅の母親です。
これからも、ずっと… ゛って言いました。
そしたらね、健太君ったらね、
゛あわよくばって思いましたけど、やっぱりそうですよね ゛
って言ってくれて……だから、食事した後も笑顔で別れたのよ。
でも健太君 ちょっと体調悪かったみたい。
なんだか身体が重そうだったから…誘ったりして悪かったかなって思っているの」

「…そっ、そうか…」

家内の言葉を真に受けてよいのかどうか、
私にはわからなかったのですが、
こうして無事に家に帰ってきてくれたことだけでも
感謝する気持ちも出てきていました。
ただ、私にはどうしてもわからない、
腑に落ちないことがあったのです。やや、
安心して余裕の出てきた私は家内を見つめながら言いました。

「お前……最初から健太君と旅行になんか行く予定じゃなかったんだろ?
なのに行き先は言わないし、連絡もしてくれるなと言うし……
実家に帰るならなぜそう言ってくれなかったんだ?」

すると家内は瞬きもせずに真正面から私の顔を見て言いました。

「あなたを騙して心配させたかったの」

「えっ!騙す?」

家内の予想もしない言葉に私は驚きました。

「そう、だって私もあなたに騙されていたのと同じだもの。
健太君とキスしたり、その後のことも……
あなたは全然知らない振りしていたけど全部知っていたし、
あなたが健太君にそうさせていたなんて……」

「いや…それはだから…させていたということじゃなくて」

私は家内の言葉に押されて、ややしどろもどろになってしまいました。

「だから…今度は私があなたを騙して…
思い切り心配させて困らせたかったの。
私のことももう一度見つめ直して欲しかったし……」

私には返す言葉がありませんでした。
確かに騙されたと言われても止むを得ないことです。
すべてはあの時…健太君の店を訪れた時、
家内からのメールはすべて転送するように健太君に言ったことから始まったのです。
それにしても、行き先も告げず一切の連絡も断って…
そこまで嘘をついて私を騙した家内の執念……
私はただただ圧倒されるしかありませんでした。

「そうか…わかった。もう昨日と今日のことは何も言わない。
じゃあ、これでお互いチャラ……ということだな」

すると家内は間髪いれずに言いました。

「とんでもないわ!」

私がチャラと言ったことに家内が過剰に反応したために、
私は一瞬しまったと思いました。
やっぱり…これでは虫がよすぎたのか…
自分が今まで家内には内緒にして、
健太君にアプローチさせたことに家内はかなり傷ついていたのかも知れません。

しかし……家内の口からは意外な言葉が出てきたのです。

「健太君と旅行に行くような振りして、
あなたを騙して心配かけても…チャラになんか絶対ならないわ。
いくらあなたがけしかけたとしても………私は…健太君とセックスしたのよ、
自分の意思で、おばさんのくせにすっかりその気になってしまって……
健太君といっぱいキスしたし、抱いて欲しいと思ったから
健太君のマンションにも行ったのよ。
あなたと弘毅のことを忘れて……健太君に夢中になってしまったのよ……」

家内はそう言うと、正座をしたままその場に倒れこむように身体を折ると、
額を床に擦りつけました。

「いやっ、そ、それはもう、いいじゃないか…」

私は慌てて言いましたが、家内は土下座するように
身体を折り曲げたまま動きませんでした。

「仁美、いいんだよ…」

家内の傍に近寄り、肩を抱いて起こそうとしましたが、
家内は起き上がろうとしません。少し泣いているのか、肩が小刻みに震えていました。

私はしばらく何も言わず見守りましたが、
家内の肩に手をおいて語りかけるように言いました。

「仁美…そんなに自分を責めるのはやめてくれ。
俺も…悪いんだ、いや、俺のほうがもっと悪い。
仁美は俺にとってかけがえのない存在だけど、
若い健太君に抱かれて欲しかったんだ。
俺にとって大切なお前が若い男に抱かれて…
身体中を貪られて汚されてしまう……その嫉妬と興奮を味わいたかった、
それだけなんだ。だから…仁美は全然悪くないんだ。
俺の思惑通りにお前は行動した…ただそれだけなんだ」

私は、今 家内の心を支配している罪悪感を取り払らおうと懸命でした。
夢中で家内に話しかけました。

やがて家内はゆっくりと顔を上げはじめました。
目から大粒の涙がこぼれ、顔を濡らしていました。
私はこれ以上何を言っていいのかわかりませんでしたが、
お互いに重苦しい雰囲気になってしまったのを何とか変えようと思いました。

「さーぁ、腹減ったなー、今日は仁美の手料理が食べられるんだろな」

相変わらず顔を伏せて涙を流していた家内でしたが、
私の言葉にやっと反応してくれました。

「…そうね…ごめんね、もう支度しないと弘毅が帰ってきちゃうね」

「そうだよ。俺はやっぱり料理の才能はないよ。
昨日も散々だったし…もう自分でご飯を作るのはこりごりだ(笑)」

家内は少し笑みを浮かべてようやく立ちあがると、
私が買ってきたお惣菜の袋の中を見ながら言いました。

「へーっ、こんなの買ってきたの?」

「しょうがないじゃないか。
今日も弘毅と男二人で下手でまずい晩飯を覚悟していたからなぁ~」

「あはっ(笑)、じゃあ支度するわ」

家内はそう言うと、さっとエプロンを腰に巻いて台所に立ちました。
家内の後姿を見ながら、私はホッとしました。
家内があそこまで自分を追い詰めていたことに驚きましたが、
私は家内のことを責める気などまったくありませんでした。
それに、私にはまだ隠していることがありますから…

家内も少しずつ明るさを取り戻し、
その日の息子を交えた3人の夕食は久々に楽しい感じがしました。
旅行の土産がないことをぶつぶつ言いながらも、
家内の作った夕食をあっという間に平らげてうれしそうにしている息子を見ながら、
私はホッと胸をなぜ下ろしました。

そして、夕食も終わり息子が風呂に入っている時、
私は台所で後片付けをしている家内に向かって声をかけました。

「仁美…今日から一緒の部屋で寝ないか?」

家内とは息子が幼児のころから別の部屋で寝ていました。
息子が産まれてからも3人同じ部屋で寝ていたのですが、
どういうきっかけだったか、まず私だけが別の部屋に移り、
そのうちに息子も個室に移り、今となっては3人が別々の部屋で寝ていました。

さすがに夫婦とはいえ、また同じ部屋で寝ることに
家内がどう言うか私はドキドキしました。
家内は私の問いかけに一瞬手が止まりましたが、
私の方を振り向いて少し笑顔を見せながら言いました。

「……うん……じゃあ1階でね……」

その日から私と家内は再び同じ部屋で寝起きすることとなったのです。
それを契機に我々の夫婦生活は新たな展開を迎えることとなりました。

何年振りかで家内と同じ部屋に寝る…夫婦にとっては当たり前のことですし、
誰にも咎められないことですが、私はなぜかドキドキしましたし、
それは家内にとっても同じようでした。
一緒に寝ようと言って家内も了承したものの、
その後ピタッと二人に会話がなくなってしまったのです。
私は家内に何を言っていいのかわからず、
家内も黙ったままキッチンで後片付けをしていました。

息子も2階に上がっていなくなった後、
私が先に風呂を済ませると、その後に家内も風呂に入っていきました。
居間でテレビを見ていた私は、家内が風呂に入るのを見届けてから2階に上がって、
自分の布団を1階の家内が寝ている部屋に運び込みました。
やがて家内が風呂から出てきましたが、
何も言わず居間にいる私の前を素通りして部屋に入っていきました。

そして、家内が部屋に入った10分後ぐらいに私も部屋に入りました。
家内は鏡台に向かって化粧水を顔に塗っていました。
私は黙って布団に入り、しばらく天井を見上げていました。
夫婦なのに、どうしてこんなに緊張するのかな……そ
んなことを思いながら家内が来るのを待ちました。

化粧水をつけた後、ガーゼのようなもので顔を丁寧に拭いて、
家内は布団の方に近付いてきました。

「電気消していいよね?」

「…うん…」

家内が手を伸ばして蛍光灯の紐を引っ張ると、
部屋の中が真っ暗になりました。
やはり家内も少し照れがあるのでしょう。
私自身も部屋が真っ暗になると、なんだか落ち着いてきました。

家内は私の隣に敷いた布団の中に入ってきました。
真っ暗な部屋にしばらくの間沈黙が流れました。
二人しかいない部屋の中に、異様な沈黙の時間が流れ、
私は耐えきれなくなり家内に声をかけました。

「仁美…こっちへ来いよ」

すると家内は何も言わず、やや遠慮がちに私の布団の中に入ってきました。
私は家内の頭の下に左手を差し込んで、
顔を自分の方に向かせると、右手を家内の背中に回して身体を私の方に向かせました。
家内の身体からは、シャンプーと石鹸と化粧水の入り混じったほのかに甘い香りが漂い、
私の鼻を刺激しました。
その瞬間、やや緊張していた糸が一瞬にして切れたように思いました。
私は家内の身体に覆い被さると、
家内の唇に自分の唇を押し当てて舌をねじ込みました。
家内も私の口の中に舌を入れてきました。

その時、私の脳裏に健太君の顔が浮かんできたのです。

゛この唇を……俺の大事な仁美の唇を……
健太君は何度も吸ったんだ……
身体を舐めまわして…そしていきり立った若い肉棒で……
仁美を何度もいイカせてしまいやがった……゛

あのDVDの映像がちらつき、私の身体の底から炎が点火すると、
一瞬にしてメラメラと燃えあがりました。

私は家内と舌を絡ませながら唾液を何回も吸いましたが、
久し振りの家内との濃厚なキスもそこそこに起き上がって、
二人を覆っていた布団を部屋の隅に投げ捨てると、
再び家内の身体に襲いかかるように馬乗りになり、パジャマを荒々しく脱がしました。

「ああっ、あなた! ち、ちょっと……」

私は家内の言葉はまったく耳に入りませんでした。
何かに取りつかれたように家内のパジャマと下着を強引に剥ぎ取って全裸にさせると、
自分もパジャマを脱ぎ捨てて身体を押し付けながら、
家内の身体をもみくちゃに愛撫しました。

この身体…この豊満な熟した身体は俺のものだ!!……
私は家内の胸を鷲掴みにしながら、全身に舌を這わせていきました。
今までにないほどに興奮し強引に身体を貪る私に、家内も反応しはじめました。

「ああっ……あなたっっ……すごぉぉぉいいいっっっ…」

私はあのDVDが頭から離れませんでした。
こんなもんじゃ…だめだ…健太君に負けてしまう…仁美が取られてしまう
家内の身体を舐め尽くした私は、密かに用意していたコンドームのことも忘れ、
家内の両足を大きく広げると、
今までの人生で初めてと言えるぐらいに硬くそそり立った肉棒を、
そのまま家内の膣にぶち込みました。

「ぐぅぅぅああああ!!!!」

家内は身体を反り返らせながら雄叫びのような悲鳴を上げました。
そして家内の両足を肩に乗せると、
身体の重心を預けるようにしながら全身を使って思いきりピストンを繰り返しました。

「ああっっっ…すごくっっっ、いいっっ!!」

家内は私の強烈なピストンに喘ぎまくりました。
しかし…私の中には何の満足感も達成感もありません。
こんなもんじゃだめだ…もっともっと……健太君にできないことを…
私は家内の膣の中に深々と挿入したまま、
身体を裏返しにすると、バックからガンガン突きはじめました。

「ああっ…あっ、あっ、あっ、あっっ……」

そして…バックから突きながら、家内のお尻を掴んで両側に広げた時でした。

「あっ!だめっ!だめっ…だめっ…」

お尻を広げられたことに家内が異常に反応したのです。
私は家内の様子を見て、お尻への過激な攻撃をはじめました。
バックで強烈に突きながら、左手でお尻を広げながら右手の人差し指を肛門に這わせました。

「いやーーーぁぁぁ!!!だめぇぇぇぇぇ!!!」

お尻への攻撃で異常な反応を示した家内……
今まで見たことのない家内の過剰な反応に私自身も異様に興奮し、
肛門の入口に這わせた指を思わず中に入れてしまったのです。

「ぐぐぐわわわぁぁぁぁ……ぐぐぐええぇぇぇ……」

四つん這いの家内は、身体を仰け反らせながら獣のような叫び声を上げました。

なんだ、こいつ…よーっし、もっと………もっと攻めてやるぞ!!

しかし、2階に息子がいることをふと思い出した私は、途端に冷静さを取り戻しました。
……これ以上はよくない……お尻への攻撃を止めて家内を再び仰向けにすると、
上から覆い被さって家内にキスをしながら、正常位でピストンを繰り返しました。

「ああっっ…あなた……いいっっ……いいわ」

「……ひっ、ひとみ……」

間もなく射精感を覚えた私は、膣からペニスを抜き取り家内のお腹の上に放出しました。

久し振りのセックス……私も家内もしばらく放心状態のようになり、
布団の上に仰向けになって黙って天井を見ていました。
肩で大きく息をしていた家内も落ち着いて寝てしまったのか、
スースーと寝息を立てているようでした。

「仁美…寝たのか?」

家内は我に帰ったように言いました。

「あっ、ごめんなさい……少しウトウトしていたの…」

しばらく沈黙の時間が流れました。久し振りのそれも濃厚なセックス、
そして意外にも乱れたことに家内はどう思っているのか……

「どう…だった?久し振りだったな…」

家内はしばらくして小さい声で応えました。

「……うん……よかった……」

「お前……すごかったぞ……」

すると家内は布団で顔を隠しながら言いました。

「いやよ、もーぅ、言わないで、そんなこと」

「いや、本当さ。あんなの初めてだな」

「だって……あなたがあんなことするから…」

あんなこと……それは紛れもなくお尻のことです。
家内にとってお尻は初めてだったのか…
それにしてもあの反応は異常としか思えませんでした。
言いにくかったのですが、私は思ったことをそのまま口にしてしまいました。

「…仁美…おまえ、もしかして…」

「なに?」

「健太君に…お尻まで入れられたのか?」

私が聞いたことに家内が返事するまでかなり時間があったように思いました。

「……………わからない……………」

「わからない?わからないとは…どういうことだ?」

「だから………わからないの……わからないっていうか…………覚えてないの」

私は家内が嘘をつこうとしていると思い、少しムッとなって言いました。

「覚えてないってことはないだろう?どうして今更嘘をつくんだ!」

「本当よ、本当にわからないし…覚えてないのよ、ただ………」

「ただ…?どうなんだ」

「……お尻には……入れられてないと思うわ」

「わからないと言っておきながら、どうしてそんなことが言えるんだ?」

家内は顔を半分布団で隠したままで言いました。

「……だって…………あとでシャワーを浴びている時に、
お尻触ってみたんだけど…異物が入ったような感じはなかったし……」

「………………そうか………それなら……」

家内は健太君にアナルまでは犯されていなかった……
私はややホッとしたような安堵感を覚えました。
しかしながら、どうも釈然としない感じが残りました。

「じゃあ……どうして、わからないとか覚えてないとか言うんだ?」

家内は少し間をおいてから言いました。

「…言わないと…いけないの?」

「ああっ、言えよ。今更何も隠すことなんかないだろ」

布団で顔を半分隠していた家内は、私とは反対側に身体を向けて、
私からは顔が見えないようにして言いました。

「……私、あの時……途中から何も覚えてないの…」

「どういうことだ?」

家内は更に小さい声で言いました。

「健太君のが…………すごく…大きくて……
身体中が痺れるぐらい最初は痛かったんだけど………」
「子宮が破裂しちゃうぐらい……何度も突かれて…………
でも、それが……だんだん…よくなってきて……」

やっぱり……健太君のあの巨大なものは家内を狂わせてしまっていたのか…

「…そのうちに…健太君の指がお尻の穴のあたりにきてから………
私、健太君にしがみついちゃって……何も覚えてないの」

「……………………………」

私は返す言葉を失いました。
やや中途半端に終わったようなあのDVDはやはり最後まで映していなかったのです。
ビデオの残量がなかったのか、健太君が意図的に隠したのかはわかりません。
DVDの中では、家内は健太君に何度もいかされているように見えました。
しかし、二人の営みはその後も続き、健太君の手は家内の肛門まで伸びていたのでした。
健太君は自慢の巨根で家内の股間を犯しながら、同時にお尻も攻めていたのでしょうか。

あの後もお前達はよろしくやってたんだな…
決して口に出しては言えないことを、私は心の中で思いながら家内に聞きました。

「健太君のものって…そんなに、大きかったのか?」

「……………」

「どれぐらい大きかったんだ?」

私は量販店のトイレの中で見た健太君のものを思い出しました。
まだ勃起していなくてもずっしりとしたフランクフルト大のもの……
それがDVDの中では赤黒く膨張して大砲のようになり、家内の身体を串刺しにしたのです。

「どのぐらいって……わからないわ」

「わかるだろう……仁美が普段目にするものにたとえてみたら…どうなんだ?」

自分のものははるかに劣ると思いつつも、家内がどういう感想を持ったのか、
家内自身の口から聞きたくて、私はしつこく聞きました。

「………掃除機の……ホースぐらい?でもそんなには……」

「…そうか……立派なもんだな」

掃除機のホース……家内の手であれば握ってもまだ余りあるぐらいだろうか…
そんなものを経験してしまって、今は何も思わないのか…

次の瞬間、私の口から自分でも思いもかけなかった言葉が出てしまいました。

「お前……もう一度健太君に抱いてもらえよ」

自分の口から思わず出てしまった言葉でしたが、
私に背を向けていた家内はビックリしたように振り向きました。

「あっ、あなた…何を言うの?」

「健太君ともう一度セックスしたらいいじゃないかって言っているんだ。
お前もその方がいいんだろ。健太君のことが忘れられないんだろ」

私は家内の気持ちを無視して決めつけるかのように言ってしまいました。

「変なこと言わないで、私はそんなこと思ってないわ。
一度だけ過ちを犯してしまって、あなたに申し訳ないって思っているけど……
また健太君となんて…だめよ、だめだわ」

「いいじゃないか。俺は何も怒っていないし、
若い健太君と付き合うことで
お前が一人の女として今まで以上に綺麗になってくれたら俺は嬉しいぐらいだよ。
健太君は今時珍しいぐらいのいい男だし、
いずれは結婚するだろうけど、お互い迷惑がかからなければ
しばらく付き合ったらいいじゃないか」

人妻が独身男性と付き合う……道徳的には許されないことでしょうし、
普通ならあってはならないことですが、
自分の家内をそんな境遇においてみたい、
そのことで私も含めた3人がどうなっていくのか試してみたい…
そんな気になりながら、家内に健太君ともう一度交わることを勧めてしまっていました。
ただ、そう言いつつも、もし家内が健太君の虜になってしまったら、
健太君なしでは生きていけないような身体にされてしまったら…
という一抹の不安があったのも事実でした。

家内はしばらく黙ったままでしたが、何かを決心したように私の顔を見ながら言いました。

「あなた……本気なのね?」

「ああっ、本気だ。でも、お前が健太君に何回抱かれて何回いかされても、
俺はお前を誰にも渡さないよ。一生俺の妻だし、弘毅の母親なんだから…」

強がりともとれる言葉が自然と自分の口から出ていました。

「………………………………わかったわ……………………いいのね」

「ああっ、ただし、健太君のマンションに行くのはダメだぞ。
これからは健太君にここに来てもらうことにするから」

「えっ?じゃあ…どうするの…弘毅もいるのに、そんなこと…」

「たしか来月サッカーの遠征試合があるって言ってただろ」

「うん、2日間試合が続くから遠いし部員全員泊まるみたいだけど……
その日にするの?でも、健太君の都合もあるし…」

「電話すればいいじゃないか」

私はそう言うと近くにあった家内の携帯を掴みました。

「健太君の番号知っているだろ?電話しろよ」

「えっ、今から言うの?…ちょっと待ってよ」

「いいんだよ、こういうことはさっさと決めてしまったらいいんだよ」

家内は私に急かされ健太君に電話をしましたが、
私は家内の手から携帯を取りあげました。
健太君はすぐに電話に出てくれましたが、
家内の携帯なのに私の声が聞こえたためかなり驚いているようでした。
私は聞き耳を立てる家内の前で、
今までの経緯そして電話の用件を健太君に伝えました。

『そうですか…わかりました。特に用事はないですし、
喜んでお伺いしますが…上坂さん、本当にいいんですか?仁美さんは?』

『いいんだよ。俺のことは気にしなくていいし、
仁美も望んでいることだから。我が家の中限定ということになるけど、
恋人のように振舞ってくれていいから…』

そして翌月の当日夕方……健太君が久し振りに我が家にやってきました。
私も家内もそして健太君も、言葉では言えないような照れがあり、
ぎこちなさがありましたが、夕食を一緒に取りながら
少しずつ硬さが取れていく感じでした。
3人とも核心に触れるのを避けるかのように、
いつになく当たり障りのない話をしながら饒舌になりましたが、
健太君の隣に座って何かと世話をやく家内を見ていると微笑ましい感じもしました。
健太君は大好物の焼肉を口いっぱい頬張りながら、明るく振舞っていました。

「ほらーっ、健太君 こぼれてるわよ」

「あっ、すみません!」

「もうーしょうがないわね(笑)」

家内は健太君のジーンズに付いた焼肉のタレを布巾で拭きながらも、
すごく楽しそうでした。少し年の離れた姉と弟、
見方によっては仲のよいカップルにも見えました。

夕食も終わると、私が先に風呂に入り、次に健太君が入りました。
そして、最後に家内が入っているときに、
私は改めて健太君に自分の思いを伝えました。

「仁美のことは任せたから…」

健太君はいつになく真剣な表情でした。

「わかりました。お言葉に甘えてさせてもらいます。
今夜は仁美さん 寝られないぐらい思いきり愛してしまうつもりです。
上坂さん 見に来られますか?」

「さあ、どうかな。気分次第で覗くかもな(笑)」

「じゃあ、僕も上坂さんに見せつけるぐらいのつもりで仁美さんに迫ります(笑)」

私は2階の部屋に入りました。家内と一緒に1階で寝るようになっていましたが、
今日ばかりは私は邪魔者です。
私は部屋のドアを少しだけ開けて、1階の様子を窺いました。
健太君の寝る部屋は2階の私の部屋の隣に用意してありましたが、
2階に上がってくる様子はありませんでした。

もう家内は風呂から出たのかな…私は時計をチラチラ見ながら
落ち着かない時間を過ごしました。
10分…20分…30分……家の中は物音もしないぐらいに
静まり返っていました。

そして、私が2階へ上がってから1時間ぐらい経った頃だったでしょうか、
1階から家内の悩ましい声が聞こえてきたのです。

「あああっっ…あああっっっ…」

1階から聞こえてくる家内の悩ましい喘ぎ声は、
私の気持ちを大きく揺さぶりました。
今、家内は自分の部屋で健太君に抱かれて身体を貪られているのか…
それとも、もうすでに健太君の逞しいものを受け入れて喘いでいるのか……

私は2人の様子を覗いてみたい気持ちが抑えられず、
自分の部屋を出ました。真っ暗な階段を踏み外さないよう、ゆっくりと降りていきました。

「ああっっっ……あああっっっっっ……」

階段を降りる間も、家内の喘ぎ声が途切れながらも聞こえてきました。
1階まで辿り着くと台所も居間も真っ暗でした。
心臓が飛び出すのではないかと思うぐらいバクバクしているのを感じながら、
私は家内の部屋に近寄りました。

ドアを開けたい…中を覗きたい……ドアの引き戸に手を掛けた時でした。

「あああっっ……あっ・あっ・あっ・あっ………いいっっっ……」

家内の声が一層大きくなり、私はドアを開けることをためらってしまいました。
ドアの向こうで繰り広げられている家内と健太君の営み……
お互い生まれたままの姿になり、身体を貪り合い……
そして家内は健太君の若さ溢れる性欲を身体いっぱい受け止めているのでしょう……

過去のことではない、DVDではない、
現実に今ここで自分の妻が若い男に抱かれている……

私は家内と健太君がお互いの身体をぶつけ合い、
欲望のままに相手の身体を求め合っていることを思うと、
なかなかドアを開けることができず、
しばらくその場で部屋の中の様子をうかがいました。

ムチュッ……ムチュッ……ムチュッ……

「あああっっっ……すごぉぉぉいいいっっ………いいっっくぅぅぅぅ……」

クチュッ……クチュッ……クチュッ……

家内の喘ぎ声が漏れ聞こえたかと思うと、
しばらく何も聞こえなくなり、
ほどなくすると濃厚なキスをしているような音が聞こえたり……
しかもその間には肉体と肉体がぶつかり合うような鈍い音が聞こえてきました。
ただ、健太君の声はまったく聞こえませんでした。
余裕で家内を弄んでいるのか…それとも私に気を使っているのか…

なかなかドアを開けられない私は気持ちを落ち着かせるために、
居間まで戻ってソファに腰掛けました。

その後も私の気持ちを嘲笑うかのように、
部屋の中では44才の熟妻と32才の独身男性の濃厚な営みが続いたのです。

私は結局部屋を開けることができず、2階の部屋に戻ることにしました。
階段をゆっくり上る間も、階下からは全裸となって
もつれ合う男と女の妖艶な雰囲気がムンムンと伝わってきました。

寝られるはずもなかったのですが、私は布団の中に潜りこみ、
家内と健太君の様子を想像しながらも、いつのまにかウトウトとしていました。

ふと気づいた時は翌朝の6時でした。
部屋を出て廊下に出てみると、隣の部屋から健太君のいびきが聞こえてきました。

さすがに最後は家内と同じ部屋では寝なかったんだな……

私は安堵感のようなものを感じながら、
1階に降りて家内の部屋に近付き、そっとドアを開けてみました。

部屋の中は荒れた様子もなく、家内は布団に入って寝息を立てていました。

昨日の…昨晩の営みは…夢だったのかな…
そう思ってしまうほどの静かな朝だったのです。

私は家内と健太君を残して家を出ました。当
然行くあてもないのですが、わざわざ2人を起こすことも気が引けましたので、
喫茶店にでも行こうと思ったのです。

寝不足の身体を目覚めさせるため、
徒歩で駅前の喫茶店まで辿り着き、渋いモーニングコーヒーを飲みながら、
昨日のことを考えていた時……7時半ぐらいでしたが、家内が電話をしてきました。

携帯の画面には『仁美』の文字。
私は家内がかけてきたことに少し安堵しつつ、
何を言うのかややドキドキしながらボタンを押しました。

「・・・もしもし」

「あっ、あなた・・・どこにいるのっ?」

「どこって・・・今、駅前の喫茶店だよ。朝のモーニングタイムだよ」

私は平静を装い、わざと暢気そうな感じで言いました。
家内は電話の向こうでハーッとため息をついたようでした。

「もーっ、朝起きたらどこにもいないし、ビックリさせないでよ。
どうしてそんなところにいるのっ?」

「いいじゃないか、たまには・・・休みの朝に外を散歩するのもいいものだよ」

「子供じゃないんだから、何も言わないで外に出ないでよ、ねぇ」

家内は少し心配していたのか、その反動ですぐに怒りも収まらないという雰囲気でした。
ここは謝るべきかなと思いました。

「そうだな・・・すまなかった」

しばらく沈黙が続いた後、私は話題を変えるように言いました。

「そうそう、健太君はどうしてる?」

「うん、朝ご飯食べてもらって、今帰る準備しているわよ。
お客さんのところに行く約束があるらしくて。電話代わった方がいい?」

家内もようやく機嫌を直したようでした。

「いやっ、いいよ。また夕方にでもこちらから電話するって言っておいてくれ。
それより、お前こっちに出てこないか?」

「・・・そうね、私も散歩に付き合おうかな。
今、お洗濯しているところだから、ちょっと待っててね」

家内はその1時間後ぐらいに待ち合わせ場所の公園にやってきました。

「お待たせー!」

少し早足で来たのか、顔はほんのりと赤くなっていました。

「もぉーーーっ!!」

家内はそう言うと、肘で私のお腹を突きました。
心配かけられたことに対しての、ほんのささやかな抗議なんでしょうか。
私は大げさに、イテテッと言って家内の頭を撫ぜました。

「少しブラブラするか?」

「うん、サンセーイッ!」

私と家内は、紅葉がきれいな公園をゆっくり歩きました。

「ねぇ、あなたとこうして歩くのって久しぶりよね」

「そうだな、新婚の時以来かな・・・」

少し歩いてから、ベンチに並んで座り、私は家内に聞いてみました。

「昨日の晩は・・・どうだった?」

家内は顔を伏せながら言いました。

「あなた、聞いてたでしょ・・・・・・
すごく、よかったよ、詳しく言った方がいい?」

「いやっ、いいよ、仁美の艶っぽい顔ですべてがわかるよ。
ホント、綺麗になってきたな、健太君と知り合ってからは特に若々しくなってきたよ」

すると、家内は顔を上げて笑顔で言いました。

「あらっ、そんなこと言ってもらったの何年ぶりかしら」

「そうかい? 俺はいつもそう思ってるよ、俺の大事な奥さんだからな」

「褒めてもらってもなにも出ないわよ(笑)」

しばらく、2人とも黙って紅葉を眺めていたのですが、家内がポツリと言いました。

「でも・・・もう終わりよ、あんなことは。健太君のためにも・・・」

私はそれには何も答えませんでした。

その日の夜、私は健太君に連絡を取りました。

「すまなかったね、朝突然いなくなって・・・」

健太君は私のことを気遣いながらも、相変わらず明るい声でした。

「ビックリしちゃいましたよ。やっぱりまずかったのかなって思って。
僕、調子に乗りすぎちゃいましたか?」

「いやいや、そんなことじゃないんだよ。2人とも寝ていたし、
ただなんとなく、外に出たくなってしまってね。それより家内とはどうだった?」

「ええ、聞かれているかもしれないですけど、
もうなんて言っていいかわからないぐらい最高の夜でした。
2回目でしたから、お互いぎこちなさがとれて、
自然に仁美さんと1つになれたって感じでした」

私は家内には詳しく聞かなかったものの、
健太君にはもう少し感想を聞きたくなってしまいました。

「そうか・・・じゃあ、前よりもかなり良かったみたいだな」

「ええ、仁美さんも積極的にお相手してくださって。
前は僕も夢中で仁美さんを抱いたって感じでしたけど、
昨日は裸でずっと抱き合ってた時間が長かったですね。
フェラチオまでしていただいて、すごく気持ちがよかったです」

健太君のものを咥えたとは・・・家内に敢えて聞かなかったものの驚きでした。

「ほーっ、いいじゃないか。俺はもう何年もしてもらってないなあ(笑)」

私は平然を装って言いました。

「そうなんですか~、すみません。
上手っていうよりすごく丁寧ですね。
隅々まで舌が絡まってくる感じが最高ですよね。
ホント、上坂さんが羨ましいですよ。僕にとってはいい思い出になりましたけど」

「・・・まあ、そうかな」

私は家内が口を大きく開けて、健太君の巨根を咥えている姿を想像しながら、
適当に話を合わせるしかありませんでした。
家内が自分から咥えたのか、それとも健太君に頼まれたのか、
もしかしたら健太君の精子を飲んでいるのかも・・・・・・
家内の艶っぽい表情はそのことを物語っていたのかもしれません。
しかし、そこまでは聞けませんでした。

私は家内が、もう終わり、と言ったことも言おうかと思ったのですが、
健太君のいい思い出という言葉を聞いて、
もうこんなこと止めようって2人で話しているのかと思い、敢えて言いませんでした。

その後・・・健太君と我々家族は、その後も営業担当と顧客という関係以上に、
いい意味での付き合いが続きました。
家内と健太君が交わることはありませんでしたが、
息子の弘毅は健太君にベッタリという感じで、
サッカーのことをいろいろ教えてもらっているようでした。

そして、年が明けて、少し春めいてきた頃です。
ある日健太君より、私の携帯に連絡がありました。

健太君とはあの時以来たまに顔を見ることはあっても、
ゆっくり話すこともありませんでした。

「なんか久しぶりだな。どう、元気にしてる?」

「ええ、おかげさまで仕事もバリバリやってます。
上坂さん、よろしければ近いうちにお食事でもご一緒できませんか?」

「おおっ、そうだな。一杯やるかい?」

「はい、ぜひ・・・あのぅ、
できれば仁美さんもご一緒していただければ嬉しいのですけど、いいですか?」

家内も来てほしいという健太君のリクエストを聞いて、私は少しからかってみたくなりました。

「ああっ、いいよ。仁美も喜んで付いてくるさ。
もしかして、また口説こうとしているのか?(笑)」

「あははっ、そうですね、久しぶりに・・・・・・
なんてとんでもないですよ。実
はもう1人連れていきたいと思ってるんです。女性なんですけど・・・」

「ほぉーっ、もしかして・・・彼女かい?」

「ええっ、僕付き合っている子がいるんです。
一緒に連れて行こうと思ってるんですよ。いいですか?」

少し照れているのが電話でもわかるほどでした。

「おーっ、いいじゃないか、ぜひ連れておいで。4人で食事しよう」

その1週間後ぐらいでしたが、健太君と彼女、そして我々夫婦の食事会が実現しました。
健太君の彼女は、絵美さんという子で27才
かわいい感じで明るい子でした。
友人の紹介で知り合ったようで、もう半年ぐらい付き合っているとのことでした。
半年前というと、家内と2回目の営みがあった頃かなと心の中で思いましたが、
目の前の2人は本当に仲がよさそうでした。
絵美さんがトイレに立った時、私は健太君に聞いてみました。

「彼女とはどうなんだ、結婚するつもりかい?」

「ええ、多分そうなると思います。
まだはっきりとプロポーズしたわけじゃないですけど・・・
彼女もなんかそんな雰囲気だし・・・」

すると、隣から家内が声をかけました。

「うん、絶対お似合いよ、早くプロポーズしてあげなさいよ。
絵美さん、きっと待ってるわよ。私が見てもそんな感じがするわ」

健太君はやや顔が赤くなりながら言いました。

「そうですか・・・じゃあ、がんばります」

2時間ぐらいゆっくり食事をして、健太君たちとは別れました。

そして、その日の夜、私は半月ぶりぐらいに家内を抱きました。
健太君とのことがあって以来、
我々夫婦の営みの頻度も少し増えていました。
健太君がよい刺激になっていたのかもしれません。

若いカップルに刺激されたのか、その日はいつになく激しいものとなりました。
私は家内の脚を大きく拡げて、家内の中に熱いものを何度も打ち付け、
家内も何度もいきまくったのです。

「仁美・・・・・・もしかして、妬いてるのか?」

「まっ、まさかっ・・・そんなこと・・・」

家内は喘ぎながら否定しましたが、膣の中は洪水のようになっていました。

「もう・・・健太君とは・・・できないぞっ・・・いいのかっ」

「あたり・・・まえよっ・・・それで、いいのっ・・・」

「ほんとは、残念なんだろ? どうだっ・・・」

私は家内にわざと嫉妬させるようなことを言い続けました。

「今頃、健太君と絵美さん、同じことしているぞ、どうだっ、
健太君を・・・取られてしまったぞ」

「だから・・・それでいいのっ・・・ああっっ・・・いくっ」

その日から、健太君と絵美さんのことを想像させながら、
激しく交わることが多くなりました。
もう2度と家内が健太君に抱かれることはないと思うからこそ、
そんなことが言えたのかもしれません。

この先、思いもよらない展開になることなど、その時は想像もできませんでした。

いずれ健太君から良い知らせがくるよ・・・
そんなことを家内と話しながら過ごしていましたが、
その後健太君からは一切連絡がありませんでした。
若い2人のことですから、結婚に縛られずに独身を楽しんでいるのかなとも思いましたが、
なにも音沙汰がないので私も家内もいつのまにか忘れてしまい、
健太君のことが話題になることもなくなりました。

それから、数カ月後のことだったと思います。
健太君の店にぶらっと立ち寄った時ですが、店長と話をする機会がありました。

「そういえば最近健太君見ないけど、元気にしてる?」

「神崎ですか・・・おかげさまで、それなりにはしてますけど・・・」

「それなりって・・・どうかしたのかい?」

「普通にはしてるんですけどね、あいつにしてはちょっと・・・ってところですよ。
いろいろプライベートであったみたいで・・・」

「そうなの、プライベートって?」

店長は少し言いにくそうに語ってくれました。

「神崎は上坂さんにお世話になってますから言いますけど、
聞かなかったことにしておいてください。あいつ、
付き合っていた子がいたみたいなんですけどね、どうやら別れたみたいなんですよ」

「・・・そうか・・・そんなことが・・・」

私は初めて聞くようなふりをして、店長の言うことに聞き入りました。

「そんなこと、若い子たちにはありうることなんですけどね。
神崎の場合、結婚まで考えていたみたいなんですけど、
相手の両親に反対されたみたいなんですよ」

「そうなのかい、どうしてなんだろうね、
あんな気立てのいい若者はなかなかいないけどね」

「ほらっ、あいつは両親が離婚しているでしょ。相手の両親はなかなかお堅い家柄らしくて、
頑として反対されたみたいです。両親が離婚しているような家庭はだめだって」

「本当かい?そんなことで・・・今時離婚なんてどこでもあり得るよ。
そんなことで反対されたら、やってられないよ」

人ごとながら、私は店長の話を聞いて無性に腹が立ってきました。

「ですよね、私もそう思いますよ。でもこればっかりは当事者同士の話ですからね。
私も神崎から聞いて、相手の両親を許せないと思いましたけど、
どうしようもないんですよ」

「しかし・・・それにしても、そんなことで・・・・・・それで健太君は?」

「何度か彼女の両親に会ったみたいですけど、だめだったらしくて・・・
そのうちに彼女の心も離れていって・・・」

「・・・そんなことって・・・」

私は腹立たしい気持ちのまま店を後にし、帰宅してから店長に聞いたことを家内に話しました。

「なによ、それ、ひどいわ、ひどすぎるわよっ!」

私の話を聞いた家内は、私以上に興奮して、見えない相手に対して怒りをぶちまけていました。

「健太君がかわいそうだわ。どうしてあの子がそんな目に遭うの・・・」

「どうしようもないみたいだ・・・所詮結婚は当人同士の問題だよ」

時間が経っていたので、私は少し落ち着いて家内をなだめるように言いました。
家内は目を少し潤ませていました。

「なんとかできないのかしら、ねぇ 健太君に連絡取ってみたら?」

「そんなことできるか、健太君が相談してきたらまだしも、
こちらから言えないだろ。今はそっとしておくことだよ」

「・・・でも・・・」

私も家内も、健太君をなんとかしてあげたいものの、
何もできないもどかしさを感じていました。

健太君はどうしているのか、あの明るい健太君もさすがに落ち込んでいるのでないか・・・
そう思うと、励ましてやりたいと思いつつも、
こちらから連絡を取ることは躊躇していたのです。
健太君から自分から言ってくるまでそっとしておこう・・・
そう思った矢先、健太君と偶然会う機会が巡ってきました。

会社の同僚と一杯やった帰りでした。電車の改札口を入ろうとした時、
切符を購入している若者の後ろ姿にピンッときたのです。
あれは・・・健太君では?・・・私は改札に入るのをやめて近づきました。

「おいっ・・・健太君じゃないか」

健太君も少しアルコールが入っていたのか、
振り返った顔はやや赤みを帯びていました。

「あっ、上坂さん・・・どうも、ご無沙汰です」

「一杯やっていたのかい?」

「ええ、友人たちとやってました。今別れたばかりなんです」

心なしか、酒を飲んでいたとは思えないぐらい、
健太君は元気がない感じでした。私は、いい機会だと思い、健太君を誘いました。

「そうか、俺も同僚と飲んでいたところだよ。どうだい、2人で続きをやるか?」

すると、健太君の顔がパッと明るくなりました。

「いいですね、行きましょう」

私は健太君と近くの居酒屋に入りました。
私からは敢えて聞くつもりはありませんでしたが、
少し酒を飲んだ後、健太君は絵美さんとのことをポツポツと語り始めました。
そのほとんどが店長から聞いていたことと同じだったのですが、
私は初めて聞いたかのように健太君の話に聞き入りました。

「・・・そうか・・・そんなことがあったんだな・・・
それで、絵美さんとは、もう・・・」

「ええ、きっぱり別れました。でも・・・・・・
なんか釈然としなくて。さっきも友人に愚痴をこぼしてたんです」

私はどう言っていいものか、健太君を励ます気のきいた言葉も言えなかったのですが、
努めて明るく振舞いました。

「元気出せよ、健太君はまだ若いし、これからいくらでもすばらしい女性が現れるさ」

「そうだといいですけど・・・」

その時、私はふと思い立って、健太君に向かって言いました。

「よーっし、続きは我が家で飲もう」

「ええっ・・・これからですか?」

「そうだよ、家内も入れて3人で宴会だよ、行くぞ!」

時間はすでに夜の10時を過ぎていましたが、
私は半ば強引に家内の待つ我が家に健太君を連れて帰りました。

「ただいまーーっ、おーい、仁美 お客さんだぞっ」

家内は少し慌てた感じで、台所から玄関まで小走りできました。

「えーっ・・・こんな時間に・・・・・・・ああっっ、健太君じゃないの 久しぶりーーっ」

「仁美さん、すみません、こんな時間に・・・」

「今から3人で宴会だ! 仁美、酒の用意をしてくれっ」

私は少し酔った振りをしていたのです。

「はいはい、健太君 さあっ、入って」

文字通り3人での宴会が始まりました。
2階でテスト勉強をしている子供に気を使いつつ、やや物静かな宴会でした。

当たり障りのない世間話をしながらも、
話は自ずと健太君と絵美さんのことになっていきました。
家内ももちろん知っていることではありましたが、
居酒屋での私のように初めて聞くように振舞ってくれました。

私は家内と2人で、健太君を励ますような言葉を並べていたのですが、
そのうちになんとなく雲行きがあやしくなってきました。
家内と健太君が少し言い争うような雰囲気になってきたのです。

両親に反対され、結局離れていってしまった絵美さんに対して、
健太君が少しなじるようなことを言ったので、
家内が女性の気持ちを分かってないと反論したのが原因だったのです。

「『女心と秋の空』なんて言いますけど、ホントそうでしたよ。
彼女があんなに簡単にあきらめちゃうなんて、思いもしませんでした」

「そうかしら、誰だって両親に反対されたらそうなってしまうと思うわ」

「そうですかね、とにかく残念ですよ。あっさりあきらめてしまうんですからね。
僕が彼女の立場なら、必死に両親を説得しますよ、それなのに・・・」

「きっと、絵美さんも悩んだと思うわ。健太君もそれを分かってあげないといけないわ」

「僕にはとてもそんなふうには思えないですよ。
まあ、所詮僕とは遊びだったんでしょうけどね」

2人の言い争いはしばらく続き、アルコールの勢いも手伝って
険悪なムードになってきました。
この時、私が間に入って止めるべきだったのですが、
どちらの言うことにも一理あるように思えて黙っていたのです。

「どうして、絵美さんのこと、そんなに悪く言うの。
結婚の約束までして信頼し合ってたんでしょ」

「別に悪く言ってないですよ。その程度の女だったんだなって思っただけです」

「健太君、もっと絵美さんの立場に立って考えてあげたらどうなの。
それに、あなたは自分の勝手な理想像を作って、
そこに絵美さんをはめ込んでしまっていると思うわ」

「僕 なにも独りよがりなこと言ってませんよ、
それに・・・そんなこと仁美さんに指図されたくないです。余計なお世話ですよ」

「あなたってそんな男だったの、最低ね、見損なったわ」

家内の最後の言葉は、健太君の心に深く突き刺さったような感じでした。
健太君はしばらく下を向いて唇を噛みしめながら黙っていました。

「・・・すみません・・・僕 帰ります。お邪魔しました」

「おっ、おいっ、健太君」

私は慌てて引き留めようとしましたが、
健太君は走るように玄関に向かうと、風のように出ていってしまったのです。
後を追うように、玄関から外へ出ましたが、健太君の姿はありませんでした。

私は健太君を追うのを止めて、家の中に戻りました。
リビングでは家内が黙って下を向いてソファに座っていました。

「どういうつもりなんだ、こんな時間に俺が健太君をなぜ家まで連れてきたのか、
わかっているだろ?」

「・・・わかってるわ・・・」

「じゃあ、なぜあんな言い争いをするんだ?」

「・・・ごめんなさい、つい・・・」

家内は下を向いたままで、聞き取れないぐらいの小さな声で言いました。
大人げない家内の態度に腹が立ちましたが、
ここで家内を怒鳴りつけても何の解決にもならないと思い、気持ちを抑えながら言いました。

「仁美の言ったことは決して間違ってないと思うよ。
いや、むしろ正しいかもしれない。
それに、今日の健太君の態度や言い方は、
俺から見てもあまり褒められたものじゃないと思うよ。
でも今ここで、健太君と言い争うことはないだろ。
彼は彼なりに考えて、絵美さんの両親に何度も出会って・・・
そして結局だめだった。絵美さんも離れていってしまった・・・
今回のことで、健太君はかなり傷ついているかもしれないぞ。
そんな時は、温かく迎えてやるべきだろう? 
間違ったことを言っているなら、また落ち着いた時に諭してやればいいじゃないか。
さっきの仁美の態度は、健太君をますます傷つけるようなものじゃないのか」

家内の目は少し潤んでいるように見えました。

「・・・ねぇ・・・私 どうしたらいい?」

家内は訴えるように私に向かって言いました。

「もう少ししてから、健太君に電話してやれよ」

「・・・なんて言えばいいの?」

「仁美が言ったことについて、
あれは間違いでしたみたいなことは言わなくていいよ。
それより、せっかく来てくれたのに、言い争いしてしまったことについて、
正直に謝ったらいいさ。
それでも、あいつが理解しないようなら・・・俺に代わってくれたらいい」

私はそこまで言うと、家内をリビングに残したまま寝室に入りました。
私がそばにいては家内が電話しにくいだろうと思ったのです。
私は寝室のドアをわずかだけ開けて、家内の様子をうかがっていました。
しばらくリビングからは何の声も聞こえなかったのですが、
やがて家内の声が聞こえてきました。

「・・・もしもし・・・・・・うん・・・私・・・今、どこ?」

「うん・・・さっきは、ごめんね・・・」

「・・・うん・・・うん・・・・・・ううん、
私が悪かったの・・・ほんとに・・・ごめんなさい」

「・・・そう?・・・ありがとう。えへっ・・・健太君って相変わらずね」

健太君が何を言っているのかわかりませんでしたが、
家内の感じからしてどうやら仲直りはできたようでした。
2人の話はしばらく続いていたのですが、またもや雰囲気が変わってきました。

「・・・ええっ・・・・・・そんな・・・・」

「うそでしょ・・・・・・・・・そんなのって・・・・・・」

先ほどのような言い争いではなく、家内の声はだんだんと涙声になっていったのです。
でも、それは健太君に泣かされたというものではなく、
どうやら健太君のことを悲しんでいるようでした。

「・・・・・・・・・ひどい・・・・・・どうして・・・
どうして健太君がそんなこと言われなきゃいけないの・・・」

「・・・・・・かわいそう・・・そんなことまで・・・
健太君、じっと耐えていたのね」

私は部屋のドアを少しだけ開けて、家内の様子をうかがいました。
私に背を向けた状態で、表情まではわかりませんが、肩が小刻みに震えていました。

しばらくリビングは静かになり、家内が鼻をすする音だけが時々響きわたりました。

「・・・うん・・・・・・もちろんよ・・・私にできることなら・・・
うん・・・うん・・・うん・・・・・・・・・じゃあ・・・・・・」

家内は電話を切った後も、しばらくソファから動こうとしません。
私は部屋を出て、家内の肩に手をおいて言いました。

「どうしたんだ? 仲直りはできたんだろ」

膝の上においた家内の手は涙でベットリと濡れ、
なおもポタポタと涙がとめどもなく落ちていたのです。
家内はしばらく黙っていましたが、小さい声で話し始めました。

「・・・できたよ、仲直りは・・・」

「それで・・・?」

「絵美さんのご両親とのこと、健太君が話してくれたんだけど・・・・・・・
もうっ、かわいそうで・・・健太君、すごくひどいこと言われていたの」

「・・・それは・・・どんな?」

家内は健太君から聞いたことを話してくれたのですが、
それはここではとても書けない内容です。
また、書いても削除されてしまうような言葉ばかりですので、
割愛させていただきますが、それは健太君の親族のみならず、
健太君自身の人格も否定するような言葉で、私も絶句してしまいました。

「・・・・・・ひどすぎる・・・・・・」

「若い子を傷つけてしまう大人って許せないわ、これじゃ健太君が・・・」

しばらく、2人とも何も話すこととなく黙ったまま健太君のことを思っていました。

「健太君は・・・他には何か言ってたのか?」

家内もやや落ち着きを取り戻して言いました。

「うん・・・また、相談に乗ってくださいね・・・って」

「そうか・・・じゃあ、今日のリベンジで、なんか旨いもの食べに行くか、3人で・・・」

「うん!」

数日後私と家内は、健太君とステーキハウスで落ち合いました。
私が接待で何度か使ったことのある、かなりの高級店です。

「すごいお店ですね。上坂さん、すみません、なんだかすごく気を使っていただいて・・・」

少し照れた様子で頭をかきながら現れた健太君は、
思った以上にさっぱりした感じでやって来ました。

「遠慮しなくていいよ、今日は健太君の激励会だぞ。
さぁ、ここの肉はかなり旨いから、どんどん食べようか」

長方形のテーブルに健太君を正面に見ながら、私と家内は隣り合って座りました。
赤ワインで乾杯した後、私は思い出したように家内と健太君を交互に見ながら言いました。

「おおっ、そうだ。今日は2人とも、この間みたいな言い争いはNGだぞ。
もしまた言い争いしたら、店からつまみ出してステーキも食わさないぞ(笑)」

すると、家内は健太君の方を見て、微笑みながら言いました。

「しないわよーっ、ねえっ、健太くんっ」

「しない!しない!絶対しないです! 誓います(笑)」

健太君が選手宣誓をするかのように大げさに右手を上げて言ったため、3人で大笑いでした。
我々は和やかに、そして楽しく食事をしました。

「おおおっ、すげーぇ・・・こんな肉初めてですよ!」

健太君は分厚いステーキにご満悦の様子でした。
いつも通りの旺盛な食欲の健太君を見ながら、私と家内は微笑みあいました。
普段の明るい健太君がそこにいました。

そして食事も終わり、デザートと飲物を飲みながら談笑していた時でした。
健太君が少し真剣な眼差しで、私を見ながら言ったのです。

「実は・・・上坂さんにいずれお話したいと思っていたことがあるんですけど・・・」

「どうしたんだい? 改まって・・・」

「僕・・・今の会社を変わることになったんです」

私は飲みかけのコーヒーをおいて聞きました。

「変わるって・・・退職ってことかい?」

「いえ、退職じゃないんですけど、グループ会社に転籍することになったんです。
転籍ですので、今の会社での退職金とか積み立てた分は引き継がれて、
次の会社に移籍するみたいなものですね」

「そうなのか。そんな制度があるんだな。それで、その会社はどんなところなんだい?」

「一応今の会社の親会社になるんです。店長から前々から言われてたんですけど、
いつまでも車ばっかり売るのもどうかということで、
転籍の制度があるっていうことを聞いたんです。
それで、いろいろと配慮も頂いて。
この間、適性試験とか面接を受けて合格したんで、転籍することになったんです」

「そうか じゃあ、出世したようなものじゃないか。おめでとう!」

「ありがとうございます」

私と健太君の話を黙って聞いていた家内は、
口では『おめでとう』と言いつつ、少し浮かないような表情でした。
健太君の新たな勤務先は、近くの県ですが、ここからは車で3時間以上かかるところでした。

「じゃあ、健太君 引越しするの?」

「そうですね、ここからじゃちょっと通えないし。
心機一転で引っ越そうと思ってます」

「そうなんだ・・・じゃあ、もう会えなくなるね」

「・・・ええ・・・でもまだ決まっただけなんで、しばらくはここにいます」

健太君がこの地を離れると聞いて、3人とも黙ってしまい、
少ししんみりとした雰囲気になってきました。
私はそんな雰囲気を振り払うかのように言いました。

「別に会えなくなるわけじゃないから、いいじゃないか。
新しい門出に別れはつきものだし、また新たな出会いもあるもんだよ」

「そうだよね、健太君 これから出世して偉い人になるのかな」

家内は成長して巣立っていく若者をいたわるように見つめながら、少し笑顔で言いました。
すると、健太君は謙遜するように両手を振りながら言いました。

「とんでもないですよ。そのうち挫折して、
また車売ってたりするかもしれませんけど、その時はまた僕から買ってくださいね(笑)」

「そうと決まったら、健太君の壮行会でもするかな。どうだい?」

私は口数が少なくなった家内を見ながら言いました。

「うん、そうね。健太君が行くまでに・・・」

健太君と別れて、私と家内はゆっくりと家路につきました。
健太君の仕事のこと、そして引越しをすることを聞き、
しばらくは2人とも交わす言葉がないような雰囲気でした。

私は近くに見えてきた喫茶店に家内を誘いました。
向かい合わせで座った家内は、やや下を向いて相変わらず黙ったままでした。

「健太君もいろいろと大変だな。グループ会社といっても、
職場が変われば気を使うことも多いだろうし、まして親会社ならプレッシャーもかかるだろうな」

家内は黙ったまま、私の話を聞いていました。
私はコーヒーを一気に飲み干して、思い切って言いました。

「仁美・・・健太君を支えてやれよ」

家内は少しハッとした表情で、私の顔をまっすぐ見ました。

「今日の健太君はかなり元気になっていたけど、
時々ふっと辛そうな表情もしていただろ。まだ、絵美さんのことを引きずっているんだよ。
健太君は身近に相談できる女性がいないんだ。
再婚した今のお母さんじゃ若すぎるし、健太君とは合わない。
健太君を元通りにできるのは、仁美しかいないだろ?」

「・・・・・・」

「彼が自分で決めたことだけど、転職・引越し・・・
そして絵美さんとのことで傷ついている。
男の俺にはできないことでも、仁美ならできる。
健太君を癒して支えてやってほしい。もう家族みたいなものだよ」

「・・・・・・うん・・・」

家内は、心の中でもやもやとしていたものがふっ切れたようでした。

それから約半月後、我々と健太君はとある温泉街にあるやや高級な旅館に向かいました。

転職することとなった健太君の壮行会を兼ねて、
3人で高級旅館に行くところから再開させていただきます。

知り合いの旅行社に強引に頼み、
予約した部屋は和洋折衷のかなり広い豪華なものでした。
部屋に入ってすぐ右側に8畳ほどの和室、
正面にはおおきなリビング、そこを通り抜けると、
やや奥まったところにベッド2つの洋間があり、
そこからは海が見える景色のいいところでした。
5人程度の家族でも十分すぎる広さがある部屋に、我々は3人で入りました。

夕食前、私は健太君を誘って、露天風呂に行きました。

「すごい旅館ですね。それに豪華な部屋だし。
もしかして、上坂さんの『顔』で取れたんですか?」

健太君は湯船につかって汗をかきながら言いました。

「あははっ・・・そんなもんじゃないよ。
ささやかな健太君の壮行会だよ」

「そうなんですか、でも店長がいつも言ってますよ。
上坂さんはお金があるから、困った時は頼っていけって・・・。
あっ・・・いけねーっ、これ言っちゃまずかったですか?」

「そうなのかい? 店長もしょうがないなあ。でもまあいいよ。
困ったことがあったらいつでも連絡してくれよ」

「ありがとうございます。もう、上坂さんには頭が上がらないですよ」

しばらく景気を眺めながら、2人でゆっくりと温泉に浸りました。

「あーっ、なんか身体中の悪いものが全部出ていくぐらい気持ちいいですね」

そう言いながら健太君は立ちあがりました。
私は反射的に、健太君の身体に目線を移してしまいました。
引き締まった身体の下半身には、健太君の自慢の一物が、
滴を落としながらぶら下がっています。
いつだったか量販店のトイレで見せてもらい、
また健太君のマンションで家内が抱かれる瞬間をDVDで見て以来ですが、
そのずっしりとした存在感・重量感は何度見ても圧倒されるほどでした。
2人は今夜はどうするつもりなのか・・・もし2人が望むなら、奥の洋間の部屋で・・・
私はついそんなことを思ってしまいました。

風呂で気持ちよくなった後、我々は
海の幸・山の幸に溢れた豪華な食事に舌鼓をうち、
そして帰らなくてもいいという気楽さからか、大いに飲みました。
普段あまり飲まない家内も、楽しそうにビールを飲み、少し顔を赤くしていました。

「仁美さんも結構飲まれるんですね」

「今日は特別よ。普段はもっとお淑やかなんだから(笑)」

「仁美さんが酔ったところ見てみたいな~」

健太君はそう言いながら、家内にビールを注ぎました。

「あらっ、私を酔わせてどうするつもり? 酔った勢いで口説くのはだめよ(笑)」

「仁美も堅いなあ、今日は特別ありにしてやれよ」

「やーだよーっ」

家内もいつになくノリノリでした。
仕事も何もかも忘れて、楽しいひと時が流れていきました。

食事を終え、部屋に戻った私はマッサージを呼びました。
私がマッサージを受けている間、家内と健太君は
リビングでテレビを見ながら、夕食の延長のように盛り上がっていたのです。
どうやら、バラエティ番組を一緒に見ているようで、
2人の笑い声が和室にまで聞こえてきました。

「あはっ、あれって変だよね。なんかおかしいわっ」

「そうですよね、僕ならあんなことしないですよ。笑っちゃいますよね」

2人の楽しそうな話し声が漏れ聞こえてくる中、
私はマッサージで気持ちよくなり、酒の酔いも手伝って少し眠っていました。

「お客さん、終わりましたよ」

どれぐらいたったのか、マッサージ師さんの声で目が覚めました。

「・・・えっ・・・ああっ・・ありがとう」

マッサージ師さんが帰っていくと、
部屋の中が静かになっていることに気がつきました。
リビングを開けてみると真っ暗です。
家内と健太君は・・・もしかして2人でどこかに行ったのかと思いました。

今頃2人は・・・そう思った時、奥の洋間で人のいる気配がしたのです。
真っ暗なリビングを抜け、カーテンで仕切られただけの洋間をそっと覗くと・・・
家内と健太君が窓から海を見ながら2人並んで立っていました。

部屋の中はベッド近くに備えてある行灯が灯っているだけで薄暗かったのですが、
窓から差し込む月の明かりが2人の姿をはっきりと照らしていたのです。
私は2人の邪魔をしてはいけないと思い、
声をかけずにカーテン越しに様子を見ていました。

「きれいな景色ですね」

家内の左に立っている健太君が、話しかけるように言いました。

「・・・うん・・・すごく、きれいだね・・・」

沈黙の時間が流れ・・・やがて健太君が口を開きました。

「・・・仁美さん・・・」

健太君が家内の方を向き、肩に手をかけようとした時でした。
そのまま家内は抱き寄せられてしまうのかと思った瞬間、
健太君の手を払いのけたのです。

「バカ!」

家内はそう言って、拳で健太君の胸を突きました。
健太君は一瞬後退りし、そのまま固まったようになってしまいました。

「バカ! バカ! バカ! バカ!・・・・・」

家内は気が狂ったように、健太君の胸を何度もたたき続けたのです。

どのくらい叩き続けたのでしょうか、
健太君はその間何の抵抗もせず、黙って家内を見下ろしていました。
身体の大きい健太君は、家内に叩かれてもびくともしません。
しかし、あれだけ長い間叩かれれば、多分胸は真っ赤になっていたでしょう。

ようやく家内は叩くのをやめ、叩き疲れたかのように、肩で大きく息をしていました。

「もうっ・・・お願いだから、あまり心配かけないでっ・・・」

「・・・すみません・・・いつも気にかけていただいて・・・」

健太君は申し訳なさそうに言いながらも家内を正面から見つめていました。

「もう終わりですか? もっと叩いてください。
なんなら殴ってもらっても、蹴られてもいいです。
それで、仁美さんの気が済むなら・・・」

健太君の呼吸は少し乱れていましたが、落ち着いて言いました。

すると・・・・・・家内は健太君の浴衣の襟のあたりを掴んで、涙声で叫んだのです。

「もうっっ・・・私は胸が痛くなるまで・・・
締め付けられるぐらいに・・・健太君のこと心配してたのよ! 
それなのに・・・どうしてそれなのに・・・遠くへ行っちゃうの!」

家内は健太君の襟を掴んでいた手を離すと、顔の涙を拭いました。

2人とも何も言わず立ったままでしたが、
どこからか波の音だけが微かに響いていました。

窓からの月明かりで、2人の姿はシルエットのように浮き上がっていて、
それはまるで映画の1シーンのようでした。

「・・・すみません、上坂さんと仁美さんにはすごく感謝しています。
僕もいろいろ考えたんですけど、私生活は別として、
仕事の面ではもっと飛躍したいと思って決めたんです。
でも・・・少しぐらい遠く離れても、これからも会えます。
いや、僕は会いに行きます。たとえ何があっても、
どこにいても、仁美さんに会いに行きます」

興奮気味の家内をいたわるかのように、健太君は優しく語りかけました。
その時の2人は健太君の方が年上に思えてくるような感じでした。

そして、健太君は家内と身体が触れ合うぐらいに近付いて言いました。

「仁美さん、僕と付き合ってください」

家内はハッとしたように健太君を見上げました。

「これからも、上坂さんの良き奥様、
そして弘毅君のかけがえのないお母さんのままでいてください。・・・
そして、今のままで・・・そのままの仁美さんのままで・・・
僕と付き合ってください。僕の恋人になってください」

健太君の思わぬ申し出に、こっそり覗いていた私は思わず息をのみました。
自分の妻である仁美に若い独身男性が堂々と交際を申し込んでいる・・・・・・
多分私に聞かれているかもしれないし、
むしろ私に聞こえるかのように言ったのかもしれません。

しかし・・・私の中には僅かな嫉妬と測り知れない興奮がありましたが、
健太君に対して腹立たしい気持ちは一切起こりませんでした。

それよりも、健太君の申し出に対して家内がどう応えるのか、
固唾をのんで見守りました。

家内は健太君の熱い視線から逃れるかのように、しばらく下を向いていました。
健太君の気持ちにどう応えたらいいのか、迷っていたのかもしれません。

どのぐらい時間が経ったのでしょうか・・・ようやく家内が口を開いたのです。

「健太君、私と付き合って・・・どうするの?
こんなおばさん、連れて歩いたら・・・・・・笑われるよ・・・いいの?」

「いいもなにも・・・僕は自慢しますよ、僕の彼女だって。友達にも紹介しちゃいますよ」

「もうっ・・・私が恥ずかしいわ」

「仁美さんが嫌なことは絶対しません。
でも、僕は仁美さんと普通にデートしたいです。
手をつないで歩いたり、映画見たり、買い物したり、
ドライブしたり・・・一緒にいろいろしたいです」

またもや、沈黙の時間が流れました。
家内は健太君の強い気持ちに押されている感じでしたが、
自分なりに考えていることもあったようです。

「・・・わかったわ・・・」

家内は顔を上げて、健太君を見つめながら言いました。

「・・・じゃあ・・・一つだけ約束して」

「どんな・・・約束ですか?」

「健太君には早くいい人見つけて、普通に幸せになってほしいの。
絶対に・・・。だから・・・いい人が見つかるまでの間なら・・・
あなたの彼女になるわ」

「ホントですか?」

家内は、そこで釘を刺すように言いました。

「でも、いつまでも続けられないから・・・
長くても今日から一年だけにしましょう。
一年経って健太君にいい人が現れなくても・・・もう終わりよ」

健太君はしばらく黙ったままでしたが、意を決したように言いました。

「わかりました、約束します」

健太君はそう言うと、右手の小指を突き出しました。

「僕と仁美さんの、2人の堅い約束・・・ですね。絶対守ります」

家内も黙って健太君を見つめながら、右手の小指を差し出して、
健太君の小指と絡めていきました。
約束の指きりゲンマンだったようです。
しばらく小指を絡め合い、
やがてゆっくりと手を引きながら健太君が言いました。

「仁美さん、2つ聞いていいですか?」

「うん・・・なに?」

「僕のこと・・・どう思ってくれていますか?」

「そんなこと・・・今さら言わなくても・・・」

「聞きたいです。仁美さんの口から聞かせてください」

家内は少し間をおいて言いました。

「・・・好きよ」

「僕も・・・仁美さんが・・・大好きです。
好きで好きで・・・たまらないぐらい・・・」

「ありがとう・・・」

「じゃあ・・・もう1つ聞きます。
さっき、今日から一年って言われましたよね・・・
今、この瞬間から、僕と仁美さんは、
恋人としてお付き合いが始まっているんですよね?」

「・・・・・・そうよ・・・もう私は健太君の彼女よ」

「今日はこの部屋に僕と一緒にいてください。
これから、仁美さんとたくさんの思い出を作っていきたいです。
その最初の日だから・・・一緒にいてください」

「・・・うん・・・一緒にいる・・・」

しばらく2人は見つめ合ったままでしたが、
ゆっくりと健太君が家内に近付き・・・
家内の浴衣の腰紐に手をかけました。

健太君が腰紐を自分の方に手繰り寄せると、
スーッと解けていきました。
それと同時に、家内が着ている浴衣の前がわずかに開き、
白い下着が見えました。

家内は少し震えているようにも見えましたが抵抗するような素振りはなく、
健太君にすべてを任せているような感じでした。
健太君は手を止めることなくスムーズな手つきで、
それからも家内の浴衣を剥いでいったのです。

やがて、腰紐も浴衣も床に落ちてしまい、
家内はブラとパンティだけの姿にされてしまいました。
月の明かりを浴びて、家内の下着は白く妖しく光っているようにも見えました。

家内はどちらかというと薄い色の下着を付けていることが多かったように思いますが、
この日の純白な下着は家内の気持ちを表しているようにも思えました。

今までことはすべてリセットし、
真っ白なまま健太君にすべてを委ねようとしている・・・
そんなふうにも思えたのです。

健太君は家内を見つめながら自分も浴衣を脱ぎ始め、
あっという間に黒のブリーフ一枚の姿になりました。

下着だけの姿になった2人はしばらく見つめ合っていましたが、
どちらともなく近寄っていきました。

健太君は家内の背中に両手を回し、包み込むようにやさしく抱き締めました。
家内も身体を押しつけるように、健太君の胸に顔を埋めていきました。
頭が健太君の顎の下にすっぽり入る感じで、
健太君という大きな巣の中に入っていったような感じでした。

しばらく2人は抱き合ったまま、言葉を交わすこともありませんでしたが、
健太君が家内の身体の感触を確かめるように背中や腰を擦りながら静かに言いました。

「仁美さんと知り合うことができて本当によかったです。
僕にとっては運命的な出会いでした」

家内は何も言いませんでしたが、
健太君の胸に頬を擦りつけながら、
手はブリーフの上をさまよっていたのです。
若い身体の感触を楽しんでいるようにも見え、
いつになく大胆な家内の態度に私は見入ってしまいました。

「仁美さんと・・・一つになりたい」

今までにない家内の態度に健太君も興奮したのか、
一層強く抱きしめながら家内の耳元で囁いた後、
家内の顎を持って顔を上向きにしました。
2人の唇はあっという間に触れ合い、
舌を絡めた濃厚なキスがしばらく続きました。

健太君も家内も舌を出したり絡め合ったり・・・
そうかと思うとお互いの唇を激しく吸いあいました。

「仁美さんを・・・食べてしまいたい・・・」

健太君は家内の背中を擦りながら、
少し乱暴に家内のブラを剥ぎとっていきました。
白くふっくらとした家内の乳房が露わになり、
健太君の手が荒々しく鷲掴みにしました。

「ああっ・・・健太くんっ、ああうっ・・」

家内は健太君の唇から逃れ、上を向きながら喘ぎましたが、
すぐに健太君の唇に塞がれてしまいました。

やがて健太君の手が家内のパンティにかかると、
それに合わせるかのように家内の手も健太君のブリーフにかかりました。
そして、お互い待ちきれないかのように、
パンティとブリーフを引き下げていきました。

前屈みになり下着を脱ぎ捨てて2人とも全裸になると、
再び引き合うように濃厚なキスが延々と続きました。

まるでAVのような濃厚なラブシーンに、私は我を忘れて興奮しました。

今までは健太君が隠し撮りしたDVDであったり、
家の部屋でドアを隔てて2人が愛し合うのを聞いていただけでしたが、
今、目の前で繰り広げられる愛妻と独身男性の絡み合いは、
自分が仁美の夫であるという立場を忘れてしまうぐらいでした。

健太君はパンパンに膨張した巨大棒を家内の下半身に押し付け、
今にも入れるぞとばかりに腰を左右に揺すりました。

すると、少しずつ健太君に主導権を握られ、
メロメロになりつつあった家内が、人が変わったようになったのです。

健太君は大胆に腰を振りながら、
家内に下半身を押し付けていましたが、
自分もつい興奮してきたのか、
家内のお尻を両手で鷲掴みにし、
グイッと自分の方に引き寄せました。

「あああっっっ・・・だめぇぇぇぇ・・・」

家内は健太君の首にしっかりと両手を巻きつかせながら、
上半身を仰け反らせて喘ぎはじめました。

そして、しばらくの間、
健太君に翻弄されていた家内が訴えるように言ったのです。

「ねえっ・・・ちょっと、待って・・・お願いっ」

家内の必死の言葉に、健太君が一瞬力を緩めると、
家内はその場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んでしまいました。
挿入もされていないのに、健太君にいかされてしまったのか・・・
そう思った瞬間でした。
家内は立ったままの健太君の太股にしがみつき、
そそり立った健太君の巨大棒に頬を寄せていったのです。

「ああっ・・・仁美さんっ・・・」

健太君はびっくりして家内を見下ろしましたが、
家内は健太君の逞しいものに頬ずりをし始めました。
自分の顔の長さぐらいある大蛇のように黒光りした肉棒に、
愛おしそうに右の頬、そして左の頬を擦りつけると、
健太君を見上げながら大きく口を開けて含んでいきました。

「あああああっ・・・」

家内は健太君のものを含むと、
口をすぼめたり膨らませたりしながら、
味わうかのように咥え続けました。

「ううっっっ・・・」

健太君は目を閉じて、時々家内の頭を撫ぜたり、
髪の毛を触りながら家内の心をこめたフェラチオに酔いしれていきました。

家内は時折大きく膨張した亀頭を口から出して、
念入りに表面を舐め、そしてまた口に含む動作を繰り返すと、
顔を傾けて根元からゆっくりと舌を這わせていきました。

それは、いつこんなテクニックを覚えたのかと思ってしまうような光景でした。

唾を塗りつけるようにしっとりと舌を絡ませ、
根元から先まで何度も往復しながら、丁寧に舐め上げていったのです。

「仁美さん・・・気持ち良すぎます・・・僕、もうっ・・・」

家内は手を休めることなく、キャンディーを舐めるかのように、
舌を出して亀頭を美味しそうにペロペロと舐め、
舌を尖らせて尿道口を何度も刺激していました。
まるで攻守が逆転し、
健太君が翻弄されているような様子がしばらく続いたのです。

「ううっっああ・・・」

健太君は髪の毛がボサボサになってしまうぐらいに家内の頭を掴みながら、
感じまくっていました。

そして、家内が最後の仕上げとばかりに口を一層大きく開けて、
健太君のものを少しずつ飲み込んでいきました。
やっと半分ぐらい飲み込んだときでしょうか・・・

「ゲボッッッ・・・」

喉につかえてしまい、家内は咳き込んでしまったのです。
その瞬間でした。

「ああっっ・・・」

健太君は家内の腋の下に手を入れて立たせると、
家内を軽々と持ち上げてしまいました。

「やめてっ、健太君、怖いよっ」

健太君は、家内の頭が天井に触れるぐらいに高々と持ち上げて、
しばらくそのままで見上げていたのです。
家内は脚をバダバタさせながら言いました。

「ねえっ・・・お願い、降ろして」

やがて健太君は家内をゆっくり降ろしていきましたが、
すかさずお姫様だっこの状態に家内を抱きあげました。
健太君は自分の腕の中にいる家内を見つめ、軽く顔にキスをして言いました。

「仁美さん、僕メチャクチャうれしいです。すごく気持ちよかった・・・」

「まだ・・・よ。もっと・・・したかった・・・」

「もうダメです。これ以上されちゃうと僕がイッてしまいます。
次は、僕が仁美さんの身体を味わいます」

健太君は家内をベッドに運び、共に身体を横たえると、
家内の身体に覆いかぶさりました。

何度目かの濃厚なキス・・・そして耳たぶを噛み、
首筋に舌を這わせ・・・健太君は野獣のようになり家内の身体を貪り始めました。

「ああっ・・・健太くん・・・もっとぉぉぉ・・・」

健太君に抱かれるのも3度目になる家内は少し余裕がある感じで、
目を閉じてこの瞬間を楽しんでいるようにも見えました。

家内の胸がかなり気に入っている健太君は、
両手で乳房を鷲掴みにして乳首を交互に何度も吸い上げていました。
何度も吸われた家内の乳首は大きく膨張したようになり、
それでもなお吸われることを期待するかのように、ツンッと立っているような感じでした。

「僕とデートの時は、ブラなしで来てください。
ずっと触っていたいし、吸っていたいです」

それからも、健太君は家内の身体を裏返して背中を舐め回わすと、
再び仰向けにしてお腹から下半身を舐めていき、やがて股間に顔を埋めていきました。

「あああっ・・・いいわっ・・・」

そして、健太君は家内の股を割っていき、
両脚を大きく拡げさせて、自分の巨大棒を押しつけながら言ったのです。

「仁美さん・・・今日は僕のすべてをそのまま受け止めてください」

健太君のすべてをそのまま受け止める・・・・・・
それが何を意味するのかは言うまでもありません。

私は2人がどうなるのか、どう結ばれるのか、見つめるしかありませんでした。
もちろん、止めようと思えば止められますが、そ
の時の私にはそんな気はまったくありませんでした。
家内は40代半ばでまだ生理がありますので、妊娠の危険性はあります。
しかし、ここで止めに入って雰囲気を壊してまで危険性を排除する気もなく、
むしろ家内が受け止める瞬間を見たいという気持ちになっていました。

自分の妻が、自分以外の男性の精子を受け止める・・・
もし妊娠したら・・・その焦りの気持ちが、むしろ興奮を呼び、
この場では何もできない、若い男に妻を好き放題にされてしまう夫、
そんなみじめな気持ちに自分を追い込んでしまいたかったのかもしれません。

家内は健太君の言葉には何も答えず、
下半身を押し付けられながら、激しくキスを続けていましたが、
やがて健太君の背中に手をまわし、しっかりと抱きついていきました。

それが、家内の無言の答えだったのでしょう。

健太君は自分の下半身に手を伸ばし、
手を添えながらゆっくりと家内の中に入っていきました。

「あああああっっぅうううぐぐっっ・・・・・・」

家内の悲鳴に近い声が部屋の中に響き渡りました。

健太君は家内に覆いかぶさり、ゆっくりと腰を振り始めました。

「あああっっ・・・あっ、あっ、あっ・・・・・」

家内は目を閉じて眉間にしわを寄せながら、
健太君のものをそのまま受け入れていました。
2人とも正常位から体位を変えることもなく、
ただひたすら純粋にセックスを楽しみ、
家内の膣の中で直接肉体が触れ合うことを楽しんでいるかのようでした。

しばらくの間、部屋の中に家内の喘ぎ声、
肉体が擦れ合う音、そして健太君の巨大棒を家内の膣が飲み込み、
愛液が溢れ出るような音が続きました。

「仁美さんっ・・・いきそうっ・・・」

20~30分経った頃、ずっと腰を振り続けていた健太君が、
少し上ずった声で言いました。

「・・・・・・・・きてっ・・・・・・」

自分から中出しを望むような家内の声・・・まるで夢を見ているようでした。

目の前で健太君の巨大なものを受け入れ、
今まさに自ら望んで若い精子を注入されようとしている・・・
もしかしたら夢ではないのか・・・

家内の言葉が終わるやいなや、健太君が一層激しく、
そして大きく腰を振り始めました。
引き締まった腰に、全エネルギーを集中させたかのように、
健太君の腰は大きな振り子のようになって、家内の股間を突き上げていきました。

「ああっ・・ああっ・・・子宮がぁぁぁ・・・熱いぃぃ・・・ああっ・・・」

膣の奥深く突き刺して、子宮はおろか内臓までもえぐり取ってしまうかのような腰つきに、
家内も悲鳴に近い喘ぎ声を発しはじめたのです。

「あああっっっ・・・わたしも・・・いきそうっっっ・・・」

健太君は両腕を家内の膝の下に入れて、
家内の身体をくの時に折り曲げるような体勢になり、なおも家内を突き続けました。

健太君の巨根は、家内の膣の奥深く、
子宮を突き破ってしまうほど奥にまで届いていたのかもしれません。

そして・・・・・・健太君が家内の両膝から腕を抜き取り、
再び家内の身体に覆いかぶさると、家内の両脚が健太君の腰に絡みついていったのです。

「ああああっっ・・・仁美さん・・・
すごく締まるっっ・・・もうっっっ・・・いくっっっ・・・」

健太君は雄たけびのような声を上げました。

「ああっ・・・ああっ・・・出るっ・・・
仁美さんの・・・中で・・・あああっっーーーーーつ・・・」

「出してぇぇぇぇ・・・・・・・・・」

「仁美さぁぁーーんっ・・・・」

激しいピストン運動が一変して、ゆっくりとした運動に変わっていきした。

「ううっ、ううっ、うっ、うっ・・・・」

健太君は放出しながら、呻き声を上げました。

「あああっっっ・・・いっぱい・・・出てるぅ・・・・」

家内は眉間にしわを寄せながらずっ目を閉じていましたが、
その瞬間カッと目を見開き天井を見つめながら叫びました。

健太君の良く引き締まったお尻が、
一突きするたびにギュッ・ギュッとなお一層に引き締まり、
そのたびに家内の膣の奥底に、若い濃い精子を放出しているのが手に取るように分かりました。

今、家内の身体の中に、健太君の精子が注入され・・・
膣の中を溢れるほど満たし・・・精子が子宮に到達し・・・
やがて卵子と結合して・・・新たな生命が家内の中に宿ってしまうのか

家内の膣の中に存分に放出した健太君は、力を使い果たしたかのように、
家内の身体に覆いかぶさった状態になり、
2人とも荒い息のまま、しばらく動きませんでした。

その後も、2人の下半身はつながったままで、
しばらく余韻を楽しんでいるかのようでした。
一滴も残さず家内の中に放出し、
漏れないように膣に栓をするかのように・・・
まるで2人とも妊娠することを望んでいるかのようにじっと動かなかったのです。

やがて、健太君は家内の身体から自分のものをゆっくりと抜き取り、
家内の隣に横たわりました。

M字の状態になっている脚の真ん中に見える膣は、
巨大なものを飲み込んだ後だけに、ポッカリ開いた状態になっていました。
そして、溢れてしまうぐらいの白い液体が見えました。

もしや・・・・と思いましたが、やはり健太君は家内の中に射精していました。

健太君はしばらく横たわっていましたが、
足元にある毛布を引き寄せて、自分と家内の身体を覆い隠しました。
2人の身体は毛布で隠された状態になりましたが、
やがて毛布の中で2つの肉体が寄り添い絡み合うのがわかりました。

絡み合ったまま、2つの肉体はそのまま動かなくなりました。

毛布の中で絡み合ったままの2人がどうなるのか・・・
私はしばらく息を潜めて見守りました。

しかし、2人は固まったように一向に動く気配はありません。
もしかしたら、このまま寝てしまうのか・・・
お互いしたいことを存分にやって、終われば寝てしまうとはいい気なもんだ・・・

覗き見ていた私はなんだかバカバカしくなり、
一旦リビングに戻ったのです。

備え付けの冷蔵庫から缶ビールを出して一気に飲み干し、
さっきまでの家内と健太君のセックスシーンを思い出しながら、
ソファでぼんやりとしていました。

すると・・・・・洋間から話し声が聞こえてきました。

「仁美さん・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫って?」

2人の会話は、さっきまでの濃厚なセックスとは打って変わって落ち着いていました。

「仁美さんが・・・・・・妊娠してしまうのかと、思って・・・」

家内はしばらく間をおいて言いました。

「もし・・・私が妊娠したら・・・どうする?」

「それは・・・・・・」

私は僅かに聞こえてくる2人の会話に聞き入っていました。

「ねえっ、答えて・・・」

「もちろん・・・・・・産んでほしいです。
仁美さんが僕の子供を産んでくれるなんて・・・
でも、本当にそうなったら、どうしていいか・・・」

「ありがとう・・・健太くん・・・」

「えっ?」

「私が妊娠したら・・・産んでいいのね」

「産んでいただけるのですか?
本当に僕の子供を、仁美さんが産んでくれるのですか?」

しばらく2人の会話か途切れてしまいました。

家内は何と応えるのか・・・
私は息をするのも忘れてしまうぐらい、
聞き洩らさないように耳を傾けました。

長い間、家内は何も言わず黙ったままでした。

すると、健太君が待ちきれないように言いました。

「仁美さん・・・本当に妊娠しそうなんですか?」

家内はやっと口を開きました。

「・・・安全日だから・・・しないと思うよ。ごめんね・・・」

「仁美さんが謝らなくても・・・ホントなんですね」

「弘毅を産んだのが15年前だし、もう妊娠はしないわ。
変なこと言ってごめんなさいね。でも・・・すごく嬉しかったよ」

「嬉しかったって?・・・」

「だって・・・健太君、もし私が妊娠したら・・・
産んでほしいって言ってくれたでしょ」

「ええ・・・その気持ちに変わりはないですよ」

「それが、すごく嬉しいの。
もし、すぐに堕ろしてくださいなんて言われたら、いやだし・・・」

「僕そんなこと・・・絶対言いませんよ。
でも・・・もし子供ができたとしたら、女の子がいいかな。
仁美さんに似た気立てのいい子ができそうですね。
男の子だったら、やっぱり僕や弘毅君みたいにサッカーしてほしいな」

しばらく、また会話のない時間が過ぎていきましたが、
毛布が擦れ合うような音に混じって、
舌を絡めあっているような雰囲気が伝わってきました。

家内の生理はほとんど狂うことがなかったように思いましたので、
私はややホッとして和室に戻って寝ようかと思った時でした。

「私ってね、本当は妊娠しにくいみたいなの。
結婚して弘毅ができるまで2年かかったしね。
体型は安産型って言われるけど・・・」

「へーっ、確かにそう見えますね」

「何よ、それどういう意味?」

「いててっっ・・・すみません(笑)」

やや湿っぽい雰囲気だったのがいつもの明るい2人になり、
やがて静かになっていきました。

私も和室に戻り、いつの間にか深い眠りについていました。

すでに恋人同士になったような家内と健太君のセックスを、
数メートル先で見たばかりでしたが、
私は信じられないぐらいぐっすりと眠ることができました。

それから何時間経っていたのでしょうか、
私はふと脇腹あたりになにやらゴソゴソと
異物が当たるのに気がついて目が覚めたのです。

なんだ・・・これは?

思わず布団を捲り上げると・・・そこには家内がいたのです。

「あっ、ごめん・・・起しちゃったかな」

「どうしたんだ? こんなところに潜り込んできて・・・」

家内は悪いことをして見つかってしまった子供のように、
顔を隠しながら布団の隙間から私を見つめていました。
シャワーを浴びたばかりなのか、髪の毛は少し濡れており、
シャンプーと石鹸の匂いがほんのりと漂ってきました。

「ううん、なんでもないよ。ここに入りたかっただけ・・・」

私の脳裏には、目の前で見た2人の全裸で愛し合う姿が浮かんできました。
家内も一部始終を見られていたことを知っていたのでしょうが、
私は敢えて何もなかったかのように言いました。

「変な奴だな、こんな狭いところに入ってきて・・・」

「いいでしょ、狭いけど・・・・・・やっぱりここが落ち着くわ」

家内はそう言いながら、何も言われないことに少し安心したのか、
私の胸の上に頭をおいて目を閉じました。

しばらくそのまま、私と家内は1つの布団の中で抱きあうようにしていました。

「健太君はどうしてる?」

「もう、ぐっすり夢の中よ。実はね、あの子のイビキがうるさくて、
私眠れないのよ。だからここに来ちゃった。やっぱり、あなたのそばが私の定位置かな」

いつになく、家内の可愛い言い方に、私は思わず抱きしめて、頬にキスをしました。

「俺のそばの定位置は、ずっと・・・一生・・・仁美のためにあけておくよ」

「うん、今まで通り・・・これからも・・・あなたの奥さんだし、
弘毅のお母さんだから・・・追い出さないで・・・」

家内の言葉に、少しグッとくるものがありました。
一年限りの恋人宣言をしても、家内は決して家族のことは忘れていないと思ったのです。

「弘毅も今年はいよいよ高校受験だな、早いもんだ」

「そうだね、いいお母さんでいないと・・・」

数時間前に家内を抱いた健太君が近くで眠っている中で、
今から思えばなぜそんな会話になったのか不思議でしたが、
私は家内の頭を撫ぜながら、しばらく家族のことをポツポツと話し合っていました。

しばらくの間、私は浴衣の上から家内の身体の感触を確かめるように抱き締めていました。

「ねえ・・・妬いてる?」

「ムチャクチャ・・・妬いてるよ、妬かない方がおかしいだろ?ただ、
俺が健太君を癒して支えてやれって言ったからな。
少し複雑だけど、かなり興奮もしているよ」

「健太君の恋人になるなんて・・・想像してなかったでしょ?」

「ああっ、まったくの想定外だよ。
でも・・・こういうのって・・・自分の奥さんが他の男の恋人になるっていうのは
すごい刺激だな。多分、仁美はこれからすごく若返ると思うよ」

「そうかしら・・・でも長くても1年だけよ。
それに、あなたがやめろって言うならいつでもやめるわ。
こんなことでお互い不幸になりたくないし・・・」

「まあ、その時はその時で考えればいいさ。
仁美・・・そろそろ健太君のところに戻ってやれよ」

すると、家内は起き上がって、私の顔を覗き込みながら言いました。

「うん・・・行くよ」

家内は布団から出ると少し微笑んで、
はだけた浴衣の前を合わせて健太君の元に戻っていきました。

また、行ってしまったな・・・
やはり家内がいなくなってしまうと少し寂しさがありました。

ほどなくして、家内の声か聞こえてきました。

「いや~ん、もーっ、朝からエッチなんだから!」

おやおや、朝から始めるのかな・・・
私はしばらく布団の中でボーッとしていたのですが、
もう2人のセックスを見る気にもなれず、逃げるように朝風呂に行きました。

早朝の温泉は誰もいなく、湯船の中で私は1人で大の字になって浸かっていました。
今頃、あの2人また楽しんでいるのかな・・・
まあ、今日は好きにしたらいい・・・
そんなことを思っていた矢先に、誰かが入ってきたような気配がしました。

ふと、振り返ると・・・・・・健太君が入って来たのです。

「上坂さん、おはようございます!」

「あれっ、どうしたんだ?」

「どうしたって・・・朝風呂ですよ、
上坂さんがいらっしゃらないので、ここかなと思って・・・」

健太君はタオルで前を隠しながら、私のそばまで来ました。

「・・・あのぅ、上坂さん・・・僕・・・」

私は健太君が言おうとしていることがわかったので、制止するように言いました。

「いいよ、何も言わなくて・・・」

「すみません・・・もう、なにからなにまで・・・」

「それはそうと、『彼女』はどうしてる(笑)?」

すると、健太君は少し照れるように言いました。

「はぁ・・・それが・・・部屋から追い出されたんです。
僕のイビキで安眠できなかったって言われちゃって。
朝からもOKかなと思って、ベッドに誘ったんですけど、
ピシャリとやられちゃいました。しばらく1人で眠るから邪魔って(笑)」

「はははっ・・・あいつはなかなか手ごわいところがあるからな。
健太君、案外尻に敷かれてしまうぞ(笑)」

「ですね・・・でも、僕にはああいう女性がいいです。
仁美さんのような人が現れてほしいな・・・」

私と健太君は湯に浸かりながら、家内の性格や機嫌が悪い時の対処法など、
とりとめのない話をしました。

その後、私は併設しているサウナ風呂に入ったり、
マッサージルームでゆったりと過ごしましたが、
健太君は一足早く部屋に戻りました。

これは後で聞いたことなのですが、健太君が部屋をノックすると、
少し眠って気分がよくなった家内が、優しく健太君を迎え入れてあげたようでした。

せっかくの壮行会ですから、最後はよい思い出にして終わりたかったのでしょう・・・
部屋が明るいにもかかわらず、家内は自分からすべてを脱ぎ捨てて全裸になり、
健太君に抱きついていったようです。

その後のことは言うまでもありません。
一度は断られて部屋を追いだされたことで、
健太君は異様にまでに燃え、部屋のカーテンを開け放した状態で、
窓に全裸の家内を押し付けるようにしてバックから挿入し、
家内の中に大量の精子を放出したのでした。

3人にとって、これからの人生を左右しかねない壮行会が終わりました。

前回までで健太君の壮行会の様子までお伝えしてきましたが、
それが約1年半ぐらい前のこととなります。
これまでお伝えした中で、かなり省略した期間もありますが、
特にここで書くようなこともないのでご容赦願います。

最終章として、壮行会の日から今現在の我々の状況までを
お伝えして終わりにしたいと思います。
なかなか状況をうまくお伝えできず、正直なところ書くことに疲れてきましたが、
いつもご声援いただいているごく一部の方のために完結させるつもりです。

もう少しで終えることができ自分も少しホッとしていますが、
最後までよろしくお願いします。

壮行会からしばらくして、健太君は新天地に旅立っていきました。

晴れて(?)家内と健太君は恋人同士となったものの、
車で3時間ぐらいかかるやや遠距離恋愛をどのように付き合っていくのか、私は何も言わずに見守っていました。

最初は予想外に静かなスタートという感じでしょうか。
引っ越ししてすぐに、身の回りの後片付けを手伝うために、
家内が健太君の新居に行きましたが、
約1カ月ぐらいはメールや電話でやり取りをするぐらいで、
それ以外に出会うことはなかったようです。

家内が新居に行った時は、当たり前のようにセックスはしたようでしたが、
健太君はあまり元気がなかったようでした。
やはり、親会社で働くということで健太君もかなりナーバスになっていたようです。

壮行会の後、家内は生理があり妊娠はしなかったのですが、
今後のことも考えて避妊薬を服用し始めていました。
健太君にもそのことは伝えていたようですが、
しばらくは仕事のことで頭がいっばいという感じだったようです。

そんな日がしばらく続きましたが、2ヶ月めぐらいからは仕事にも慣れ、
それとともに家内との付き合いも積極的になってきました。
ただ、そんな中でも、2人とも高校受験を控えた弘毅のことを気にして、
あまり目立たないようにデートをしていました。
健太君が車で近くまで迎えに来て、休日を取れる時は平日の昼間に出会ったり、
時には土日のいずれかの昼間に会うようにしていたようです。

会える日が限られてくると、逆に出会った時はお互いかなり激しく求めっていたようです。
健太君からはいつものように報告メールが来ていましたし、
家内も家に帰ってくると何も隠さず話してくれたのですが、
デートといっても健太君のマンションで過ごすことが多く、
数時間2人でいる間はほとんどセックス三昧のようでした。
家内はデートというよりも、健太君の性欲処理に出向いているという感じでしたが、
2人にとってはそんなデートがよかったのでしょう。

そんな感じの付き合いがしばらく続いた影響なのかどうかわかりませんが、
家内は次第に艶っぽくなっていきました。
化粧のノリがよくなったと自分でも言っていましたが、
私が見ても肌のハリが良くなったように思え、胸も少し大きくなった感じでした。

月2~3回のデートでは、毎回健太君の精子がなくなるまで中出ししてもらい、
残りは絞り出すように飲み干していたのが、
家内の体調には良かったのかもしれません。

報告をもらうばかりで2人のデートを目の当たりにすることはなかったのですが、
健太君から新居にも来てくださいという誘いを受けて、
私は一度だけでしたが行ってみました。

ある日曜日の朝、私は健太君のマンションに向かって愛車を走らせました。
家内は前日の土曜日から、すでに健太君のもとに行っていたのです。

この時はすでに弘毅も高校生となっており、
中学から続けていたサッカーの遠征試合でいなかったので、
それなら・・・ということで外泊していました(はっきり言って最低の親ですが・・・)。

思えば、家内と健太君が初めて2人きりで夜を共にする日でもありました。
家内が泊まると決まった時は、健太君は子供のように喜んだようです。
その日の早朝、健太君からメールが来ていたのですが、
メールの字が躍っているように見えました。

『おはようございます。今日は遠方までご迷惑をおかけしますが、
仁美さんと2人でお待ちしております。予定通りお昼前ぐらいにお越しですよね?
昨晩は仁美さんに泊まっていただき、
新婚気分で2人だけの時間を楽しませていただきました。
ちょっと仁美さんに無理をお願いして、
部屋にいる間は何も着ないで過ごしてもらいましたから、
僕も仁美さんの中で7回も発射しちゃいました。
仁美さんは今、僕の腕を枕にしてお休み中です。寝顔もホントに素敵です。
ますます綺麗になっていく仁美さんにゾッコンです。
では気をつけてお越しください』

安全運転のつもりでしたが、つい気持ちが早まってしまい、
2時間半ぐらいで到着しました。

「ご無沙汰してます。お待ちしてました、どうぞ!」

もしかしたら、朝から絡み合っているのかとも思いましたが、
健太君はスキッとした笑顔で迎えてくれました。
マンションの中に入ると、奥の部屋から家内も出てきました。

「あっ、いらっしゃい、早かったね。」

家内にいらっしゃいと言われると、
なんだか複雑で私は苦笑するしかありませんでした。

家内は部屋の掃除をしていたようで水色のエプロンを付けていましたが、
私はあることに気がつきました。
今まで、健太君からはメールでの報告、そして家内からもデートの内容を
聞いていたのですが、ここに来て初めて新たな発見をしたのです。
一見普段と変わらない家内でしたが・・・身も心も健太君の恋人に徹している家内が
そこにいたのです。

「いい部屋だな、日当たりもよさそうだし・・・」

私は健太君に勧められてソファに腰を下ろし、部屋の中を見回しながら言いました。

「そうですね。前のマンションより少し狭いですけど、
1人暮らしには十分ですよ。2人ならちょうどのスペースですから、
夫婦で住んでいる方も結構多いみたいですよ」

「そうか、それなら早く一緒に住んでくれる人を見つけないとな(笑)」

私はそう言いながら、もしそうなれば恋人関係も終わりだなと思い、
我々に背を向けてキッチンに立っている家内の方を何気なく見たのですが・・・
家内の下半身に釘付けになってしまいました。

前から見るとエプロンでまったくわからなかったのですが・・・
膝上20センチぐらいの真っ赤なミニタイト・・・
そして、ニットの生地なのでしょうか、
身体に吸いつくように貼りついたスカートからは、
ふっくらとしたお尻の形がはっきりわかりました。
キッチンを右へ左へ歩くと、お尻の割れ目まで見えそうな艶めかしい姿に、
私はドキドキするばかりでした。

我が妻ながら、一瞬見てはいけないものを見てしまったような気持ちになり、
慌てて目をそらすものの、視線は家内のお尻を追い続けてしまいました。
その後も健太君の目を盗むようにチラチラ見ていたのですが、あ
るはずの下着のラインが見えなかったのです。

しばらくして、家内がこちらを振り向いて、お茶を持ってきました。

「はい、粗茶ですけど、どうぞ・・・」

「ありがとう」

家内が湯呑を持ちながら差し出した右手の薬指にはシルバーの指輪、
そして同じものが健太君の右手にも輝いていました。
そして、普段付けている左手薬指の指輪は外されていました。
2人に見せつけられるような雰囲気の中、
私は腹立たしさを通り越して、むしろ心地よさ、
そして少し挑戦的でもあり、被虐的な気持ちにもなっていました。
もっと見せつけてみろ・・・いや、見せつけてほしい・・・
もっと仁美を好き放題に、やりたい放題にしているところを見せてみろと・・・

家内も健太君の恋人になりきり、言われるままに、
求められるままになってしまうことに、もしかしたら快感を覚えていたのかもしれません。

私の気持ちを見透かしたかのように、その後も2人はもっと見せてつけてくれました。

「じゃあ、食事に行きませんか?美味しい和食の店に車でご案内しますよ」

しばらく談笑した後、健太君の案内で食事に行くことにしました。

「仁美さん、着替える?」

「この近くじゃないよね。いいよ、このままで・・・」

家内はそう言うとエプロンを脱ぎ始めました。
一瞬、私の視線を意識したような素振りをしましたが、
エプロンを脱いだその姿にあっと声を上げそうになってしまったのです。

白いカーディガンを羽織っていたのですが、
その下は胸の大きさを強調するかのような身体にフィットした黒のタンクトップでした。
タンクトップは胸元が大きく開き、白いふっくらとした胸の谷間が見えかかるほどです。
ポチッと乳首が浮き出ており、この時家内がノーパンノーブラであることがわかりました。

健太君が駐車場から車をまわしてくる間に、一瞬でしたが夫婦の会話になりました。

「よく似合うよ」

少しドキドキしながら嫌味っぽく言ったのですが、家内の方が堂々としている感じでした。

「ここでは健太君の彼女だから」

家内は車に乗る時も助手席に、そして食事の間も健太君の横に寄り添うように座りました。
健太君はさりげなく私に見えないように、家内の太股に手をおいたり、
少しスカートを捲って手を入れたりしていたようです。

健太君にこっちの気持ちを見透かされてしまったかな・・・
少し情けないような気持にもなったのですが、
目の前で下着を付けていない自分の妻を好き放題にされるという屈辱は、
口では表現できないような快感もありました。

ゆっくりと食事をした後、もう少しだけここにいるという家内を残して、
私は1人で健太君のマンションを後にしました。
マンションの前で2人は手を振りながら見送ってくれましたが、
しばらく走った後信号待ちで後ろを振り返った時、
家内の腰に手をまわしてマンションの中に消えていく
健太君の大きな背中が見えました。

家内は2日間で10回以上健太君の精子を受け入れていました。
こういうふうに表現すると、
健太君は底なしの性欲でかなりの好色男のように思えるかもしれませんが、
家内のことが大好きでたまらなかったようです。

その日、家内は夜9時頃に帰宅しました。

「ただいま、これ健太君からお土産もらったよ」

家内は大きな紙袋を持って、少し疲れた感じでリビングに入ってきました。

「ああっ、おかえり・・・」

私は今日のことは何も言うつもりもなかったのですが、
家内が出かける前と同じ少し地味なワンピースを着ていたので、
ちょっとからかってやろうと思ったのです。

「なーんだ、あのミニスカートのままで帰ってきてほしかったな。
この家でも着てみたらどうだ?」

すると、家内は微笑みながら切り返してきました。

「いいわよ、ここではあなたの奥さんなんだから、
言う通りにするよ。あなたが恥ずかしくなかったらね。
ミニスカートの私を連れて、手をつないで歩く?」

「冗談だよ(笑)、それにしてもすっかり見せつけられたよ」

家内はそのことには何も答えず、私の隣にすり寄るように座って言いました。

「・・・ごめんね・・・」

私は思わず家内の背中に手をまわして自分の方に抱き寄せました。

「謝ることはないよ、向こうでは健太君の彼女だから・・・」

しばらく2人とも黙ったままでしたが、やがて家内がぽつりと言いました。

「私、今すごく幸せなのかな・・・2人の男性に愛されて・・・」

「そうだな・・・人生最高の時かもな」

「でも・・・もう、それも長くないと思うよ」

意外な家内の言葉に、思わず顔を覗き込みました。

「どういうことだい、喧嘩でもしたのか?」

「ううん、喧嘩なんかしてないし、仲はすごくいいよ。
そんなんじゃなくて、私の勘なんだけど・・・
健太君、最近少しだけ焦っているような気がするの。
時間に追われているというか、私との時間をすごく惜しんでいるような気がして・・・
昨日からいつもよりすごく激しかったし・・・
自分の中で終わりの時を決めているような感じがするの」

「でも、まだ9カ月ぐらいだろ。あと・・・3か月あるじゃないか。」

家内は少し間をおいて言いました。

「きっといい人が現れたんじゃないのかな、そんな気がする・・・」

健太君にいい人が現れた・・・家内の勘は当たっていました。

その後1ヶ月近く、家内と健太君が会うことはなかったようですが、
健太君から私に2人で会いたいと連絡があったのです。
平日の夜でしたが、健太君は私の会社の近くまでわざわざ車を飛ばして来てくれました。
一緒に食事をしながら、健太君はこれまでの家内との付き合いについて、
丁重にお礼を言った後、改まって切り出してきたのです。

「実は、まだ付き合ってはいないんですけど、
この人なら・・・と思える女性がいるんです」

私はもしかしたらと思っていたことを健太君が話し始めたので、
黙って聞き入りました。
その女性は健太君の会社の取引先に勤めている女性のようで、
いままで2回ぐらい食事を共にしたようですが、付き合ってはいないようでした。

「そうか・・・それで、どうするんだい?」

「はい、付き合ってみたいとは思っていますし、
彼女の方も満更ではないようなので・・・
僕より年上ですから、付き合うことになれば、
当然結婚になると思います。それで・・・
仁美さんのことなんですが、最後のわがままを聞いてもらっていいですか?」

最後のわがまま・・・一体何なのかと一瞬思いましたが、
最後の2人の思い出に旅行したいと言ってきたのです。

「なんだ、そんなことか。いいじゃないか、行ってこいよ」

「ありがとうございます。仁美さんにはすべてをお話しした上で誘います。これが最後だってことも・・・」

「そうだな、それと健太君、もう俺に報告とかはしなくていいからな。
旅行の間は2人の時間を楽しんだらいいよ」

そして、その半月後ぐらいでしたが、2人は最後の1泊2日の旅行に行きました。
私が言った通り、旅行中人2人から連絡は一切ありませんでした。
無事に着いたのか、事故でもあったのではないか、
もしかしたら・・・このまま駆け落ちしてしまうのではと思うぐらい、
メールも電話もなかったのです。

私の僅かな心配をよそに、家内は無事に帰ってきました。

その日の夜、家内は寝室で私と2人だけになると、正座をして言いました。

「今日で健太君とはもう完全に縁を切りました。あなた・・・今までごめんなさい」

家内は少し涙声のようでした。

「いやっ、仁美が謝ることは何もないよ。元々はすべて俺が仕掛けたことだから・・・」

「これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ、もう健太君の恋人ではない、
純粋な俺の奥さんになったんだな・・・」

私は何故か涙が出てきそうになりましたが、
ぐっとこらえて家内を抱き締め・・・思わずそのままパジャマを脱がせて全裸にしました。
健太君のキスマークでしょうか、胸の周りとお腹のあたりに数か所の赤いアザがありました。

「健太君のこと、忘れられるか?」

家内は私を見上げながら言いました。

「忘れるよ、でもあなた次第かな、あなたに捨てられたら、思い出すかも・・・」

「じゃあ・・・絶対忘れさせてみせるよ」

自分の手元に戻ってきたような家内と、その日は時間を忘れて愛し合いました。

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