実はエロい 古代のエッチ満載の 万葉集は性におおらか 4


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なお、野暮な説明ですが、歌の「紐解く」とは物理的な意味ではありません。
「その時の行為」を象徴した言葉です。
              
今更、説明する必要もないでしょうが、「恋」と云う女性が発する言葉は、
今に置きかえると「Hをしましょう」と云う意味です。
       
そうした時、万葉集の歌が実に「性におおらかである」と云う意味が判ると思います。
       
また、ここで「Hをする」と云う言葉を使いましたが、
これもある種の現代語での「性交渉」、「愛撫」、「性戯」や
「挿入」などの一連の行為を示す隠語です。
       
       
万葉集の歌に「劔 鞘納野(つるぎたち鞘に入りの)」と云う言葉があるように男女の関係を詠う歌で剣や太刀の言葉は男根を暗示する隠語です。
これを前提で集歌2636の歌を見て下さい。
この歌はその次に紹介する集歌2498の歌を元歌とするような本歌取りの歌です。
ただし、女性の積極性は大きく違います。
集歌2498の歌は「男根が触れて」と解釈するのが良いと思いますが、集歌2636の歌は「上に行き男根に触れたい」と解釈するのが相当と思います。
それも「去觸而所」と解釈する場合、「行き触れにそ」と訓みますから、「にそ(にぞ)」と云う語尾には強い願望や強調したい原因があるという心理があると思われます。
その時、取る体位で云うと集歌2498の歌が正常位を示すなら、集歌2636の歌は騎乗位です。
自ら積極的な騎乗位の形を取りたいと望む女性の言葉ですと、この「にそ」と云う語尾表記は的確にその状況を示す言葉ではないでしょうか。
       
さらに、歌に歌人の個性が出るとしますと、集歌2498の歌も集歌2636の歌も共に女性が詠う歌です。
そこには、思わず、歌に日頃の癖や好みが出たとも解釈が出来ます。
       
       
集歌2636 剱刀 諸刃之於荷 去觸而所 殺鴨将死 戀管不有者  (殺は、煞-灬の当字)
       
訓読 剣太刀(つるぎたち)諸刃(もろは)し上(うへ)し行き触れにそ死にかも死なむ恋ひつつあらずは
       
私訳 床に置く貴方の剣太刀の諸刃の上に行き触れたい。
貴方の“もの”でこの身を貫かれ、その男女の営みで死ぬなら死んでしまいたい。
この恋と云う「愛の営み」を続けることが出来ないならば。
       
       
集歌2498 釼刀 諸刃利 足踏 死ゞ 公依
       
訓読 剣太刀(つるぎたち)諸刃(もろは)し利(と)きし足踏みて死なば死なむよ君し依(よ)りては
       
私訳 貴方が常に身に帯びる剣や太刀の諸刃の鋭い刃に足が触れる、そのように貴方の“もの”でこの身が貫かれ、恋の営みに死ぬのなら死にましょう。貴方のお側に寄り添ったためなら。
       
注意 万葉集の歌には「下半身」を「脚」の漢字で表記したものはありません。
原文の「足踏」の「足」には女性の下半身(内股)の意味も含まれるようです。
参考に、当時の流行歌に「劔鞘納野(剣太刀、鞘に入りの)」なる言葉があります。
そこからの妄想です。
       
なお、集歌2498の歌と集歌2636の歌とは共に巻十一に載る歌で、共に詠み人知れずの歌です。
ただ、集歌2498の歌は人麻呂歌集に分類される歌ですので、場合により人麻呂とその恋人、軽里の妻との相聞歌なのかもしれません。
そうした時、集歌2498の歌と集歌2636の歌との間に、その表記の類似性や作歌時の発想の共通性を想像する時、集歌2636の歌は集歌2498の歌の推敲であるのかもしれません。
もしそうであるなら、二人の関係において夜を共に過ごす回数が増すに連れ、女性は好きな男に抱かれると云う行為だけでは物足らず、次第に、心を満たされるだけでなく、体も満たされることを求めるようになったのかもしれません。
俗に云うと「欲深い女の性」ということでしょうか。
       
遊びの最後にその「欲深い女の性」に焦点を当て、初々しい時代から、もっと、お願いという時代までを並べてみました。
解説は無しで、意訳のみです。
       
       
集歌2655 紅之 襴引道乎 中置而 妾哉将通 公哉将来座
       
訓読 紅(くれなゐ)し裾引く道を中置きに妾(われ)や通(かよ)はむ公(きみ)や来(き)まさむ
       
私訳 紅色の裳裾を引いて歩く道を奥の部屋に置きました(=成女式の裳着の儀式が終わりました)。
もう、女となった私へ貴方は妻問いが出来ますよ。
さあ、貴方はお出でになるでしょうか。
       
       
集歌2627 波祢蘰 今為妹之 浦若見 咲見慍見 著四紐解
       
訓読 はね蘰(かつら)今する妹しうら若み笑(ゑ)みみ怒(いか)りみ着(つ)けし紐(ひも)解(と)く
       
私訳 成女になった印の「はね蘰」を、今、身に着ける愛しい貴女は、まだ、男女の営みに初々しいので、笑ったり拗ねたりして、着ている下着の紐を解く。
       
注意 「慍」の文字には怒りの意味がありますが、これは怨むと云う感情を含む怒りです。
男女の営みに慣れない若い女性が性交の時に相手の男性に対して示した態度を表した漢字です。
潤いが不足していたり慣れていなくて、楽しみより痛みの方が勝っていた時期と思って下さい。
       
       
集歌2916 玉勝間 相登云者 誰有香 相有時左倍 面隠爲
       
訓読 玉かつま逢はむと云ふは誰(たれ)なるか逢へる時さへ面(おも)隠しする
       
私訳 美しい竹の籠(古語;かつま)の中子(身)と蓋が合う、その言葉ではないが、貴方と夜に逢いましょうと云ったのは誰ですか。
こうして抱き合っている時でも、貴女は顔を隠す。
       
       
集歌2554 對面者 面隠流 物柄尓 継而見巻能 欲公毳
       
試訓 対(こた)ふ面(つら)面(おも)隠さゆるものからに継ぎて見まくの欲(ほ)しき公(きみ)かも
       
試訳 貴方にまじまじと見られると、恥ずかしくて私の顔を隠してしまうのですが、これからもずっと夜床を共にしたいと私からおねだりする貴方です。
       
注意 原文の「對面者」は、一般に「あひみては=相見ては」と訓みます。
ここでは「對面」の語感を尊重して試訓を行っています。
       
       
       
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