猪丸


 昔、都から一人の若い尼僧が、何の事情があってか、山奥の村を訪れた。
 山道を歩く道すがら、獣の鳴き声を聞いた尼僧がふと足を止め、見ると
そこには罠に足をとられて動けなくなったウリ坊が。
 尼僧は、罠を解き、そのウリ坊を逃がしてやった。
 薄暗闇が迫る中、ウリ坊の眼が赤く光って見えた。
 数年後、小さな庵に一人身を寄せる尼僧。
 ある月夜の晩、暗闇に光る赤い眼に気づいた。
 恐怖感はなく、
 「お前は、あの時の猪かえ?ならば、ひとつ頼みがある」
 そう言って、衣の裾を捲くり上げ、四つん這いになり、尻を高く突き上げた。
 「ここ何年も抱かれておらぬ」
 顔を床につけ獣に懇願する尼僧。
 すると、開いた股間に生暖かい感触が。
 「ああっ」
 思わず声を漏らす尼僧。
 『殿方の口吸いより感じる』
 そう思ったとき、開ききった女芯に突き刺さるような痛みが。
 「おおっ」
 思わず獣のような野太い声を上げる尼僧。
 同時にブキーッと言う獣の声を聞いた。
 女陰にドプドプと獣の精を注ぎ込まれ、気を失った尼僧。
 そのまま眠ってしまった。
 翌朝、目覚めると、夕べの事はすっかり忘れてしまっていた。
 数ヵ月後、突然の吐き気に襲われた尼僧。
 庵には、村の老婆がやって来た。
 『これはつわりかの?』
 首を捻る老婆。
 それからまた数ヵ月後、尼僧から赤ん坊が産まれてきた。
 ただ、間もなく尼僧は死んでしまった。
 産まれてきた子供は、猪丸と名づけられ、庵で老婆に育てられることになった。

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続き:  猪丸 2

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