「父親」が存在しない社会とは?乱婚社会なのか?


人間社会の再生産は男女が性関係を持つ事によって保障されて来たのであり、男女が性関係を持つ事によってのみ「赤ちゃんが出来る」事は人類誰もが知る「常識」のはずである。
人類学者も当然そのように考えていた。
性交と妊娠の因果関係は昔から知られていた。
だが、性交と妊娠がどのようなメカニズムで結び付いているのかは近代科学が発達するまでずっと分からなかった。
今では誰もが知りうる、男女が性関係を持つ事によって赤ちゃんが出来る事、常識のはずである。
      
しかし、世界中の様々な社会を調べて行く内に、この常識が通用しない社会が存在するという驚くべき報告が寄せられた。
オーストラリア・アボリジニの社会やメラネシアのトロブリアンド諸島民の社会を調査した人類学者が、人々は性交と妊娠の生理学的因果関係を知らないと報告したのである。
例えば、20世紀初頭にトロブリアンド諸島民の間で人類学的現地調査を行ったマリノフスキーによれば、人々は「生物学的父子関係」を認めていない。
「生物学的母子関係」は漠然と認められているが、子供が出来ることに父親は関与しない、何らかの霊が妊娠を引き起こす、と考えているのだそうである。
      
従って、トロブリアンド諸島民の間では、「父親」という存在は「母親の夫」に過ぎない事になる。
このような報告を聞いて、そんな民族も地球上にいるのか、確かに母親から子供は生まれてくるから母子関係はすぐに分かるだろうが、生理学を知らなければ、妊娠に関する父親の役割というのはなかなか分からないかもしれないな、といった感想を持つのが普通であろう。
      
しかし、事はそれでは終わらない。
この報告は、我々が地球上どこでも当たり前に通用すると思っている「父母と子」という社会的再生産の基本ユニットが認定されていない社会が存在するという事を示しているのである。
     
     
https://jsog-k.jp/journal/lfx-journal_detail-id-18701.htm

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