マッサージの出前


『マッサージの出前』

俺の整体の師匠は怪しげではありますが、自称ゴットハンドと名乗っていて
そこそこイケメンなのでおばちゃんに人気があって忙しいもんで出張治療によく行かされました。
まだ駆け出しだった頃、初めて行ったのは近所で顔見知りの奥さんの家でした。
小島さんていう家だったんですが・・

師匠から言われたのは、俺には骨盤調整とか難しいとこは無理なんで、痛いところにはなるべく触らないようにして、全身の血流を高めるようにと。
体操は自分でやるマッサージ、マッサージは人にやってもらう体操、ということで。

「ごめんくださーい、撫岡(なでおか)治療院です」
声をかけると奥さんがジャージにカーディガンを羽織って出てきた。
「あら!木ノ下くん?撫岡先生は?」
「予約でいっぱいで俺に行ってこいって」
「あなた整体できるの?」
「基本的なことは一応」
「しょうがないわね、じゃやってもらおうかしら」

部屋に入ると座椅子で何か食べながらテレビでも見ていたらしく、テーブルにみかんとポテトチップとカリントの袋がありました。
「奥さん、どこが悪いんでしたっけ?」
少し遠くまで歩くと腰が痛くなるそうなので、
師匠の真似をして、まず前屈と後屈をやってもらいました。
いままで悪い姿勢で座っていたので、身体が硬くなっていてほとんど曲りません。

つぎに靴下を脱いでもらって足ツボから始めました。
「木ノ下くん、痛いのは腰なのよ」
「分かってますよ、痛いところには触らないようにって師匠に言われてるんで」
「そおなの?」
足先から脹ら脛、膝の上までやってから、背骨の両脇をなでるようにマッサージしました。

「奥さんの背中、柔らかくて暖かいですね、揉んでて癒されます」
「そお?あたしも気持よくなっちゃった」
ついでにお尻も触ってみたい欲求に駆られたけど何とか堪えました。
「どうですか?」
「さぁ・・」
「さぁって、立って歩いてみてくれますか?」
「あら、何か身体が軽いわね」
「よかった、さっきのように前屈と後屈もやってみてください」
「あら、不思議だわ、こんなに曲る!木ノ下くん上手なのね」
これで出張代をもらって帰れるのでホッとしました。

「ねぇ木ノ下くん」
「なんですか?」
「こっちもやってくれない?」
「え?胸ですか?お乳の出が悪いとか」
「そうじゃないわよ、サービスで、いいでしょ」
「うーん、そこ痛みますか?」
「痛くはないけど・・」
「痛くないんだったらやりますよ、師匠にそう言われてるんで」
何気ないように言ったけど、おっぱいなんか揉んだことないのでドキドキしました。

「こんな感じでいいですか?」
「もうちょっとやさしく、そう」
柔らかくて重量感のあるおっぱいでした。
ジャージを脱がせて直接触ってみたい衝動に駆られたけど堪えました。
「あの、木ノ下くん」
「え?他にもなにか?」
「この辺も痛いんだけど」
「足の付け根ですか?(触りたいけど)痛いところは揉むなって師匠に言われてるんで」
「あら、撫岡先生は前にやってくれたわよ」
「えっ師匠が!そこ触ったんですか?(あのスケベ野郎)」
「この辺にリンパがあって循環にいいって」
「じゃ、僕もやらせてもらいますよ、及ばずながら」
「お願い、ほらやって」
奥さんが足を開いたので、内腿から足の付け根あたりまで手を往復させました。
ジャージの上からですが、興奮して手が震えました。
「こんな感じですか?」
「ううん、もう少し強くやって」
「このくらいで?」
「あ、そんな感じで、いいわ」

柔らかい内腿の感触を味わいながらしばらく揉んでいると
奥さんが俺の手を掴んで
「ねえ、こっちも揉んで」
「え?だってそこは、おま、まずいですよそんなとこ」
「いいからッ、お願い」
「そうですかあ・・」
ほんとは嬉しかったんですが、表面的にはクールに対応しました。
でも、奥さんが
「ハァ、ハァ、木ノ下く〜ん」なんて変な声出すし
ジャージ越しに触ってると奥さんのアソコの形がはっきり分かっちゃって
気が付いたら夢中でこすってました。

すると奥さんが
「ねえ、木ノ下くん、立ってるでしょ?」
図星だったんですが
「はぁ?いえ、そんなことないです」
「ほんとう?」
「あっ、触らないでください!」
「やだ、立ってるじゃない、こんなに」
「すみません」
「どうするの?それ」
「どうするって言われても」
「ねえ、脱ぎなさいよ、私も脱ぐから」
「え!?じゃあ・・!」
まさかこんなことになるとは・・
「抱いてよ、もう、ここまできたら」
「そうですか?いいんですか?」
奥さんがジャージを脱ぎだしたんで、
もはやこれまでと思ってズボンを脱ごうとしたら玄関で人の声が・・

「おーい、居るのかー?」って、まさか・・
「シーッ、主人よ」
「ご主人って、確かタクシーの」
「時々夕食に帰って来るのよ」
奥さんは大慌てでジャージを着ながら
「ハーイ!」って返事してバタバタ出て行きました。

「おお、居たのか、ん?木ノ下くんも?何してたんだ二人で」
「あの、今ね、マッサージしてもらってたの」
「ほう、木ノ下くん、マッサージできるのか?」
「ええ、まあ、いま撫岡治療院で働いてます」
「そおかあ、じゃ俺もやってもらおうかなあ」
「いえ、きょうはこれで・・」
「やってもらいなさいよ、気持いいわよー、私濡れちゃったぁ」
「濡れちゃったって!?おまえ・・」
「あの、すみません、性感マッサージもちょっと」
「へえ、そんなこともやるの?お前んとこ?」
「普通はやらないんですけど、裏メニューで・・」
「ふうん、だったら俺もやってもらおうか」
「男性にはやってないんですよ」
「ん?なんで出来ないんだ」
「男性には回春マッサージっていうのがありまして・・」
「回春マッサージ?」
「あら、いいんじゃない?私たち近ごろご無沙汰だし」
「じゃそれ頼もうか」
「それは・・担当が梢さんって元看護婦で、その人前立腺もできますから」
「ふうん、女か?ならその方がいいなあ」
「じゃ、帰って言っておきます、僕はこれで」
「おい!ちょっと待てよ」
「えっ、ほかに何か?」
「ついでに肩ぐらい揉んでけよ」
(僕って冷や汗者です)

そういう訳でやっと治療院へもどってきました。
「ふうん、じゃ小島の奥さんとは何もなかったんだな」
「ええ、危なかったですけど」
「お客さんとは絶対だめだぞ、一線超えたら」
「分かってます」
「超えてな、相手が満足すればいいよ、満足させられなかったら一変するぞォ、態度が」
「気をつけます」
(なんか、師匠も経験あるみたいだな)

と、そこで電話がなって師匠が出た。
「いつもどうも、はい居ります、え?これからですか?」
相手にちょっとお待ちくださいと言って
「どうする?小島の奥さんから、お呼びだぞ」
「代わってもらえますか」
耳もとで奥さんの甘ったるい声が、ご主人が出掛けたからマッサージのつづきをだって。
今度はスカートを穿いて待ってるって?!

と、ここまで書いたところで夕食に呼ばれたので、つづきは省略します。

2020/12/27

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