憧れの先輩に告白したくて


俺の名前は松永亘一、荻野市立陽成高校の1年生だ。
俺は昔から運動が苦手で、小学校の頃から今まで体育の授業が大嫌いだった。
小学校の時、金曜日の6時間目が体育で、それが嫌で嫌で仕方なかった。当時の担任の先生が、これがまた凄い運動神経がいい元気で若い先生で、高校の頃に川で泳いでいたような人だった。
そんな俺には憧れの存在、というか恋愛感情を抱いている異性がいる。
彼女の名前は宮島雅代。彼女はうちのバレー部のOBで、時々試合を見に来ている。
俺がいる軽音楽部は体育館裏の階段を上がったところに部室がある。その階段の途中の小屋がバレー部の部室だ。

恋愛感情を抱いたのは三週間前の火曜日、女子バレー部の部室を茶髪のボブパーマの女性が入っていくのを見た。すごくかっこよくて、正直憧れた。
俺は小学校から一緒だった友人の菅野に、あの人が誰だか聞いた。

「か。菅野さん…」
「どうしたんだお前。いつもみたいに菅野じゃないのか?」
「菅野…あのさ、さっきの女バレの部室に入ってきたお姉さんって誰なの?」
「宮島さん。宮島雅代さん。うちの高校のバレー部のOBだよ。たまに来るんだ。」
「へーそうなんだ。ありがとう。」
「お前あの人のこと狙ってるの?w」

一週間前の学校の帰り、俺はまた宮島さんと遇った。

なんつーか、被庇護欲を掻き立てられる。あのかっこいい顔面、自立してます感、背の高さ、俺みたいなやつが惚れる女っていうより「女が惚れる女」って感じだ。
「あ、宮島さん…」
「どうして私の名前知ってるの?」
「バレー部の知り合いに教えてもらったんです…」
「そう。で、どうしたの?」
「今日…これから予定あります?」
「ないけど、どうしたの?」
「ちょっと…なんか話しません?」
「え…いいけど…」

俺は宮島さんと近くの公園に行った。
「あの出しゃばった真似をして悪いんですが…」
「なあに?」
「宮島さんって…彼氏いるんですか?」
「私って性格悪いからさ…彼氏いないのよ」
「そんな…僕の誘いに付き合ってくれるあなたが性格悪いわけないですよ」

(告白しろ!松永!俺は宮島さんのことが好きですと言え!勇気を出せ松永…!)

「あの…宮島さん…。僕…宮島さんのこと…」
「え?君もしかして…」
「………………
カッコいいなって思ってます。」
「…ふーんそうなんだ。」

クソ!なんて不甲斐ないんだ俺は…!
でも、釣り合うわけないよな。俺みたいな陰キャと、宮島さんみたいな明るいサバサバ女子が、釣り合うわけがない。
今日公園で宮島さんと話したのはたった一度だけ見た夢。幸せな夢だったんだ。
今日あの人と話した夢は忘れて、俺はこれからも、宮島さんへの好意を隠して生きていこう。

 *******
数日後
バレー部女子A「ねえねえ××、1Bの松永ってさ、絶対みやさんのこと好きだよ。」
バレー部女子B「えマジで?」
バレー部女子A「マジ。アイツみやさんの前だと挙動不審じゃんw好意って態度でわかるよ。」
バレー部女子C「私たちの話松永が聞いたら絶対恥ずかしがるよ。恥ずかしすぎて死ぬかもw」
バレー部女子A「私たちだけの秘密にしましょ。ね?」

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