「念友との初夜 Ⅲ」


前回:  「念友との初夜 Ⅱ」

《意識の境を 揺蕩(たゆた)う》
忘我と解放を希むHさんは 抱き合うとその主観が、白い 無意識に向かいます。一方‥充足と癒安を願う私は 共存の感覚を愉しみ、その客観が (浅ましく 醜いものでも)一体化の絡みの中に、願いの実現‥日常的には考もし無い秘密の姿を 味わい尽くします。そこではもう異性間の‥煩わしい 微に入り細を穿つ気働きは不要です。〝気が合いさえすれば 相方も気にし無いで済む〟 澄み切った時間が持てるのです。(続く)

(承前)
【残涯の迷妄】 《メル友への アフター・メール(2日後)》
凄いですね!‥この処のMさんの私のブログの論評メールは 冴え亘っています。
Mさんの今度の「両刀・筆おろし」の感想は 私が狙った処をピタリと読み取って下さって、気持ちが良いくらい 余す処がありません。
一つ一つが急所に触って来て 久し振りに適確な論評を読む快感がありました。
また是非とも ほかの記事への論評もお願いします。

このメールが Mさんの嫉妬心を煽るか、あるいは共感を深めるか 軽蔑を招くかは、全く 見当が付きません。
でも‥ほかに話す人が居無いので 悪いけど‥聞いて下さい。
Mさんも仰るように 私も、「六さんのような方にめぐり合えれば 仕合わせですね、理想像として。」‥と思っていました。

「両刀‥」に筆を入れたときは まだ‥男は未経験でしたから、多分に 六さんの人物を理想化‥在って欲しいことを 現実のように書いていたのを認めます。
でもこの男同士の世界の行為は 生々しく現実的で、一つ一つのコトの重みが 重く心に圧し掛かって来ます。後悔もし無いし 永年の抑圧から開放された面もありますが、実際にはとても イキナリ「Mさん、よかったぜ!」とは云え無い気がしています。

初めてお会いした その方は、文通の印象通りの 50歳代の温厚なお人柄でした。事後の会食で名刺を交換したら やはり教育関係の仕事に携わっておられる方でした。
この段階で私は その方の〝これまでの 閉じた世界での交友〟を信じ、触れ合うときの 病気の心配を放念しました。
ただこの道に不案内な私は もうその方に何もかも‥お任せするよりありませんでした。

それからは総てが 初めての体験でした。色タイル張りで間口の狭い 目隠し壁の付いたホテルに這入り、着いた部屋のドアを開けると、中は白いシーツの掛かったダブルベッドの外は 通路分のスペースで、後は 冷蔵庫・浴室・トイレが並ぶだけの 当にソレ専用の部屋です。〝お前さんは 話しが合うから一緒に居たい‥〟などと 云うが、それは具体的には〝ホラ‥ こう云うことなんだよ〟と、誰かに宣言された思いでした。

頭では 判っているのです。だから 家を出る前の排便のときは、浣腸を入れて ブザマなことになら無いようにもして来ました。でも‥現実は 逃げようも無く進行します。男二人は 好意は持ち合っていても、部屋の中に二人で閉じ篭ると 一瞬‥気まずい気分が漂います。それを破るように 二人は黙って着衣を脱ぎ始めました。私はもう勃た無い‥と 告白済みなので、下から脱ぎ捨て下半身を丸出しにし シャツは後から脱ぎました。

脱ぎ終わって彼を見ると 彼も全裸になったところで、彼の日に焼けてい無い肌の下腹部には 既にマラが屹立していました。それまで私は 彼の人柄は信じていましたが、「フケ専」の存在については 〝世の中に こんな七十過ぎのジジイで勃つヤツが居るのかなぁ‥」と、聊か 半信半疑のところがありました。しかし私は その固く勃ったマラを見て、もう‥その疑いは霧散しました。

逆に〝こんな 老いさらばえたオレでも‥〟と 何か自己愛を擽られる思いがしました。
脱ぎ終わり お互いに顔を見合わせると、彼は私の肩に手を掛け 〝イイですか?‥〟と断りグイと私を引き寄せ、唇を合わせて舌を絡めて来たので 私も応じました。彼はそのまま ベッドの上掛けの上に乗り、両手を拡げたので 私はその懐に飛び込みました。二人はそのまま 裸の太腿を組み合わせ、お互いの身体を揉み合い 舌を絡めました。

少しすると彼は しゃぶってくれますか?‥と云い、厚い胸板に似合わ無い 細身の腰を私の目の前にズラして来ました。
そこだけ日に晒されてい無い 真っ白な局部の黒々とした陰毛の中から、比較的に反りの少ない マラがそそり勃っていました。私が躊躇わずにそれを咥えると 彼は私の勃ってもい無いマラを扱いてくれました。そして直ぐに体位を入れ換え 69が始まりました。

少し69を続け お互いが先走りを潤わせました。やがて彼は最初の頂点に達し 射精し始めました。私はそれを総て 口で受けました。射精のダクめきが終わったのを 見計らって、私は身体を起し 口に含んだ精液を彼の口に運び、全部‥口移しで 彼に呑ませました。彼はまた その精液を私の口に移し、精液は二人の口を往復し その中で二人の舌が絡みました。やがて目配せした二人は 同時に半分ずつそれを呑み干しました。

精液は聞いていたほどには 苦くありませんでした。そのときフト この味は彼の奥さんも知っているんだなぁ‥とあらぬことを思いました。
二人で彼の精液を呑み干すと 彼はティッシュを取って、精液だらけの私の口と顔を 丁寧に拭いてくれました。
顔を拭き終わった彼は 〝浣腸は‥ 持って来たけど‥〟と云います。

私が〝一応‥ 家で入れて出して来ましたが‥〟と云うと、〝じゃぁ‥ 風呂へ這入りましょう‥〟と、私を 風呂場へ誘います。
ザットとボディ・シャンプーで流して バスタブに這入ると、彼は向かい側に這入り 私に頭をタブの縁に拠り掛けさせると、私の両足首を掴み 足を彼の両肩に乗せて、両手の指を交互に使って 私のアナルを解し始めました。

鈍い感覚なので 良く情況は解ら無いのですが、暫くすると彼は〝後は 出てヤリましょう‥〟と云い タブから出ました。〝どんな格好をスレば良いんですか?‥〟と 私が四つん這いになるつもりで聞くと、〝イヤ‥ これに掛けて‥〟と(前から 妙な形だな‥と思っていた)真ん中に腕の太さの溝のある腰掛に 溝を股座に縦にして坐らせます。
そして彼は私の右側にしゃがみ込み 私の身体を抱き込む姿勢になりました。

そしてその胸を私の肩に当て 両手を、後ろと 前は睾丸越しに交互に使って、少し石鹸を使ったらしく ヌルヌルさせながらアナルを解します。途中で一度〝イタク‥ありませんか〟と聞いただけで それも思ったより短時間で済んで、彼が〝じゃぁ‥もう一度温まって 上がりましょう‥〟と 云いました。〝もう‥指が這入ったんですか?‥〟と聞いたら 彼は〝2本‥〟とだけ云いました。

私が温まってタブから上がると 彼は大きな湯上りタオルを取って、私の身体を 自分の作品のように、いとおしむように丁寧に拭いてくれ 大事そうに私をベッドに誘いました。
そして一度抱き合って舌を絡めた後 彼は私を仰向きに寝かせ、その股の間に膝立ちになりました。見ると‥何処から出したのか 小瓶のローションを出し、薄赤い亀頭から棹全体に塗り込んでいます。

そして私の両足首を持つと 大きく左右に押し拡げ、亀頭の先端をアナルに当て グイグイと押し始めました。マラは始め 雁首も這入らず、彼は一度挿入を中止して ローションを塗り直しました。そして再度‥挿入が始まると 彼はアナルの上‥マラの付け根を突き始めました。そのとき‥私はナント 思わず〝モット‥下を〟と叫んでしまい、あぁ‥オレは そんなに挿れてもらいたいのか!と、自分でも愕然とし 情け無くなりました。

やがて‥ニュルッと 奇妙な感触があって、今度は亀頭が這入ったらしく 彼は〝ホラ‥雁首が‥〟とか、少し小刻みに抽挿しながら 〝とうとう‥基まで這入りましたよ!‥〟とか実況を教えてくれます。
基まで這入ったと聞いて 私は左手を伸ばし、指先で アナルの口を探りました。確かにそこには マラの棹は無く、指に触るのは 彼の吊り上った睾丸だけでした。

そのとき‥とうとうオレも 七十歳を超えて尻バージンを失ったかと、感無量なものがあり 身体の底を繋げてキスを求めて来た彼が 無性に愛おしくなり、彼のハンドル・ネームを連呼しながら、彼を抱き締め より深く繋がるように、彼の尻を 引き寄せました。
それからの二人は 離れるまい‥離すまいと、腰を回して抽挿し 体位を換えては身体を揉み合いました。

彼が私の上で抽挿するとき 私は恥も外聞も無く、足首を彼の腰に組んで腰を使いました。彼に胡坐を掻いてもらい 嵌めて抱き付いて対向の坐位で腰を回しました。
思ったより アナルの快感の無い私は、焦れて騎乗位になり 彼の雁首で自分の前立腺を擦ってみました。最後にバックで四つん這いになったとき 乗り捲くった彼はガン突きして、私の背中で果て グッタリと崩れ落ちました。

その後‥彼と私は 萎れたマラを掴み合ったまま、時間一杯‥ 休みました。
小さな鼾を掻いて寝入った彼の 厚い胸に顔を寄せて、七十の皺だらけの爺も 少し微睡みました。起きてからの二人は 割引の限界時間が迫っていることもありましたが、「宴の後」の虚しさから逃げるように 無言で手早く荒らした部屋を片付け 着るものを着て身支度を整えました。

彼の注意で の別々にホテルを出た私たちは、近所の居酒屋で 軽く一杯やりました。
そこでは 普段の仕事の話をしましたが、〝話し合っている目の前の男と 少し前にマラを咥え合い、アナルを使って 狂ったように抽挿し合った〟‥ 事実を思うと、何だか 不思議な気がしました。
その後‥彼とは 駅で、思い入れ無しで 軽く‥万感を込めた握手をして別れました。

今度の私の七十を過ぎての 浅ましい愚かな経験は、今考えても 何の後悔もありません。こんな‥老いさらばえて醜い私の身体に触り 自分でもマラを勃ててくれた彼には、ただ‥ 感謝あるのみです。しかしとにかく 何もかもが初めての経験で、総てが 私の中に未消化で凝っています。それでも朧気げながら 彼もこれで普段の緊張と抑圧から 少しは解放されたことを感じ、そして私の孤独も 多少は充たされた‥気がしました。

しかし私は これで地獄の孤独から救われ、世間的な禁忌から解放され、自由にバイの経験を拡げられた反面に、新しい秘密を生み出し その重圧にどう対峙して良いのか迷っています。ある意味で私は」これから これまで生きて来た七十数年‥、身を持して来た 世の中に対峙する皮膚感覚を、改めて 再構築し無ければならないのです。
私の場合‥こうして客観的に書くことが 考えるのに一番良い方法のような気がします。

あるいはこれは 単なるバイの肉欲に、屁理屈を付けているだけかも知れません。でも当人‥私には 生まれて初めて男の前に、裸‥それも老いた醜い肉体を曝し お互いに抱き合い性器を弄り合うなんて‥、もう自分自身を 信じられ無くなっているのです。
半面に この地球のどこかに自分を、身体の底まで知っている男が居る‥と云う事実は、その男には見得も外聞も気にせずに居られる‥と云う 茫洋とした安心感もあります。

以上を 読み返してみたら、永年の身の持し方が一挙に崩れ、慌てふためいているジジイの みっとも無さと、その情事の経緯を誰かに聞いてもらいたい‥と云う お惚気半分の助平根性が入り混じって、どっち付かずの 奇妙な文章になっていました。
どうか‥お読みなって お感じになったことがあったら、またメールを下さい。
何なら‥勃ったでも 濡れたでも良いですよ。では また‥ (茫々録・鶏肋抄 より) (終わり)

 

良かったら「いいね」してください。誰でも「いいね」出来ます!


同じジャンルの体験談

トップページに戻る