沈下橋の下で 後日談と訂正


前回:  沈下橋の下で

あんな自分でも何だかよくわからない話なのに、たくさんの『いいね』を貰えてビックリしました。多分、大勢の方に読んでもらえたと思います。

『後日談』と『訂正』です。

2022年9月20日
その前の週の金曜日に退院して土日と月曜日の休日を挟んですぐに登校した。
クラスのみんなに囲まれて
「死んだと思ったぞ」
「よく生きて帰ってきたな!!」
「お前、ホントは幽霊じゃないのか?」
「お前のせいで登校日と始業式がお通夜だったぞ!!」
「『臨死体験』は⁉」
って『言いたい放題』だったけど、何か嬉しかった。
「休んでる間の授業のノートを貸してやるよ」
とみんなが言ってくれた。
「クラス全員で進級しないと面白くないもんな!!」
って。

2022年9月23日
祝日に合わせて警察署の交通課に呼ばれて『事故調書の確認』に行く。

『令和4年7月23日午前8時00分、○○郡○○町(中略)の町道○○線○○橋上に於いて、対向から時速45kmで走行する○○○○○(83)運転の軽トラックを避けようとハンドル操作を誤り、下を流れる○○川に転落。5分後に川の中で失神しているところを近所の住民に救助され(後略)』

「間違いない?ま、ドライブレコーダーが一部始終記録されてたから間違いはないんだけど」
お巡りさんが言った。
「はぁ・・・。」
「間違いないならこれにサインして」
「車と接触は無いけど、徐行の標識を無視して狭い橋を大幅に速度超過して進入した軽トラックが起因したものとして、交通事故として処理するから」
サインするしかなかった。

「ところで運転してた人はどうしたんですか?」
「亡くなったよ」
「え?何でですか?」
「事故直後も呆然と立ち尽くすだけで、通報や君の救助も、異変を察知した近所の人がやってくれたんだよ。まぁ、おじいちゃんだから君を川から引き上げるのは難しかっただろうけどね。普段から血圧の高い人みたいで、俺もその場に居たから知ってるんだけど、事故翌日の実況見分中におじいちゃんは『真ん中走る自転車が悪い』と言ったんだ。そしたらうちの若いのが『欄干も縁石も無い、軽自動車同士がすれ違うのも怪しい狭い沈下橋だから誰だって真ん中走りますよ。橋の真ん中を走る自転車を確認しながら徐行の標識を無視して猛スピードで橋に入ったんですか?』と言ったら、言い返せなくなって脳内出血を起こして倒れちゃった。手術はしたけど、意識が戻らないまま8月31日に亡くなった」
「はぁ・・・」
「君が回復してくれたのだけが『唯一の救い』だよ。これで警察の仕事はおしまい。お疲れ様でした」

僕の『高1の夏休み』も『お姉さん』も最初から存在しなかった。
意識不明中の僕の脳内だけにしかなかったんだ。でも・・・。
肘に当たったおっぱいの感触も、お姉さんのいい匂いや膣内の感触も全部『ツクリモノ』だったのだろうか。じゃ、あの看護師さんは?

もうそんな事はどうでもいいや。
僕はひとりじゃなかったのだから。
ありがとう看護師さん。
さようならお姉さん。
(終わり)

訂正
>昨夜の間に自分に起こった事を聞かされた。
『7月25日朝に沈下橋から車を避けようとして転落して川底に頭を打ったり水面に3分以上うつ伏せで失神していたために意識不明の重体になった』

は間違いで事故が起きたのは
『7月23日の朝』
です。一番肝心なところをミスタッチしてごめんなさい。

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