ストーカーで悩んでいた姉さん


その夜、姉さんから電話があった。
「いまどこ?」
「うちに帰ってる」
「××のクラブにいるの。迎えにきてもらえない?」
姉さんはピラティスのインストラクターで、その日はわりあい近い駅のスポーツクラブに行っている日だった。時間は8時半過ぎだったかな。
おれは大学4年。姉さんはおれの3コ上。
姉さんはさばさばした性格で、姉弟でエッチ系の話題もよくしていた。スポーツブラにボクサー型のショーツで、うちの中を歩くのも平気だった。狭いマンションのせいもあるけど。
バスタオル巻いて風呂から自分の部屋に行くときも、おれの目なんて気にしない。裸族に近い。
「姉の下着にいちいち反応するんじゃない」とか、「ナイーブすぎる男の子ってガキだよ」とか、あまり姉さんに性的な気持ちを持たずにすむように、おれを「教育」していた。
おれが隠しているAVのことも知っていて、おれが高校生のときにオナニーのことをからかってきたこともある。いやがっている調子じゃなく、面白がって。
「ムサシ(おれのこと。仮名)は、どんなタイプがいいの? 巨乳? 貧乳系?」とか「お嬢様系なの? それとも姐御系がいいの」とか。
そんなわけで、おれは姉さんでオナったことはないんだ。姉さんの下着が気になったこともない。姉さんが健康的すぎるんだろう。
それでその夜の電話。
「どうしたの?」
「クラブのアルバイトに、いやなやつがいるの。誘って来るんで相手にしてなかったんだけど、きょうの雰囲気がなんとなくおかしい。ストーカーしてくるんじゃないか、心配なんだ」
姉さんは、中学高校と陸上の部活をしていたから、いまもスタイルはいいし(腿は少し太めだけど)、明るい性格なんで、中学のころから男には人気だった。いまはもっとだろう。髪はショートボブ。身長は163か4。
うちから20分くらいで、その駅に行ける。繁華街の中を歩いて、クラブまでは5分だ。場所は知っている。
「行くよ。一緒に帰ればいいんだね」
おれは身長が180あるから、ボディガードはなんとかつとまる。
「表に着いたら電話して」
着いて電話すると、姉さんがすぐロビーの中から出てきた。いつものレギパン。
「悪い。早かったね」
通用口は裏手にあるけど、どっちみちビルの入り口の前に出るんで、逃げるわけにはいかなかったそう。
姉さんはおれの腕を取って歩きだした。ちょっとびっくり。 姉さんはおびえていた。
「やっぱりいた。あの喫茶店の前にいる男がそうなの」
そいつは二十代後半かなという歳の男で、バスケットでもやってるのかという体型。
おれたちに目を向けてくる。目が合った。意外そうだ。
姉さんがそいつに声をかけた。
「あ、××さん、まだいらしたんですね」
その男は、偶然みたいな言い方をした。
「あ、△△さん、そうなんですよ」
姉さんはおれの腕をゆすりながら、おれに教えるように言った。
「クラブのスタッフさん」それからその男に「失礼します」
「じゃあまた」と男は言った。
通りすぎてから、姉さんは言った。
「自分がイケメンだと思って、うざいの。女は絶対に落とせると思ってるみたい」
「面倒にならない?」
「いや、もう引くと思う。バイトだし、辞めるかもしれない。ああいうのがときどきいる」
駅に向かう道、姉さんは振り返った。
「うざ、ついてくる」
「どうする?」
姉さんは立ち止まって、いきなりおれにキスしてきた。唇をくっつけるだけ。おれはびっくりして、棒立ち。姉さんはおれの背中にも手を回してきた。そこでやっとわかった。ストーカー男に見せつけているんだ。あきらめろって。
通行人がいたけど、姉さんは気にせずに、おれに身体をぴったりつけて、もう五秒くらいキスしていたかな。
身体を離してから、また腕を組んで歩いた。姉さんはしなだれかかるみたいにして。
ちょっとどきどきで、ストーカーが消えてほしいと真剣に思った。お前なんかにやるものかって言いたい気分だった。
駅前で身体を離して、うちの駅で電車を下りたところで、姉さんが言った。
「ご飯は?」
「食べたけど、少しなら入る」
「母さんには、いらないってメールしてたんだ。食べていこう」
創作なんとか料理とかいう、おサレな店に連れていってくれた。前にも入ったことがある店だと姉さんは言った。
姉さんはビールを飲んだ。
食事中の姉さんの話題は、いまのストーカー野郎のような困った会員とか、ちゃらいナンパ師のことが中心だった。エッチ系のきわどい言葉も出すので、ちょっとまわりが心配になった。
「よかったでしょ、とか、感じてたよねとか言って来る男って、二度としたくない」とか。
想像はしていたけど、姉さんはやはりけっこう経験があったんだ。
「ジムの鏡で、うっとり自分の身体を眺めてたりするの。あんなのとエッチしたくない」
姉さんの体験人数はどのくらいなのだろうと考えた。10人を越えているのは確実なんじゃないだろうか。20人以上かもしれない。
もともと早熟な姉さんだった。初体験は、中三、15のときのはずだ。
おれはソフトドリンク一杯だけなのに、姉さんは結局グラスでビールを二杯飲んだ。よっぽど緊張していたのだなとわかった。
店を出ると、「ちょっと酔ったかも」と言って姉さんはまたおれの腕を取ってきた。
「ムサシが来てくれて、ほんとによかった。ありがと」
ビルのエレベーターの中で、姉さんはまたおれにキスしてきた。おれも姉さんを抱き寄せ、エレベーターが止まる直前まで身体をくっつけていた。
うちに帰って自分の部屋に入ってから、姉さんのキスと身体の感触を思い出して、それが生々しかったんで抜いた。
一週間後の朝に、姉さんからメールがあった。
「きょう、また迎えに来て」
またご褒美のキスがあるかもしれない期待して、夜にクラブまで迎えに行った。あの男は辞めたという。
「なんとか解放されたと思う」と姉さんはうれしそうに言った。
「いや、まだ用心したほうがいいと思う」
「これからも、ときどき迎えにきてくれる?」
「いいよ」
「お礼しなきゃあね」
姉さんはまた腕を取ってきた。
「このあいだ、ごちそうになったよ」
「お礼はあんなものじゃ足りないよね。何か欲しいものある?」
おれは思わず言ってしまった。
「姉さんとまたキスしたい」
姉さんはおれの顔を見上げて笑った。
「そっちか。弟に無理だよ。常識外だ」
「このあいだした」
「お礼だった。ムサシ頼もしかったし」
「だから、もう一回キス。オカネもかからない」
「そんなの…」姉さんは困った様子。けっきょく「しゃあない」
姉さんはまわりを見回してから、飲食店の入ったビルの入り口におれを引っ張っていった。
ロビーの奥の階段の陰には誰もいない。
姉さんはすぐにおれの頭に片手を回してキスしてきた。
姉さんが口を離そうとしたんで、おれは姉さんの背中をぐっと抱き寄せて、離させなかった。それから、舌を入れようとした。姉さんは唇をきつく結んだ。いやだと拒んでいる。もっと抱き寄せて、顔の向きを少し変えて再トライ。姉さんはやっとおれの舌を受け入れてくれた。
舌の先で姉さんの舌を探っているうちに、姉さんもやっとからめてきた。バリア突破だった。姉さんも、そこでスイッチが入ったみたいだった。
おれの中に姉さんの舌が入ってきた。無茶苦茶に興奮した。ひとの気配があったけれども、おれたちは離れられない。一瞬でふたりともサカッてしまったみたいに。
姉さんはいったん顔を離して言った。
「だめだ。ムサシ、これやばいよ」
目がとろりとしている。
「ムサシとのキスが、どうしてこんなにいいのよ」
おれも、少し勃起している。そこを姉さんに押しつけた。
「何よ、ムサシ」
おれはそれ以上は言葉にすることができなくて、ただ姉さんを見つめて、目でお願いした。
「姉弟でまずいでしょ」と姉さん。
「キスはできた」
「そうだけど」
「カップルのふりもできた」
「ああいう場合だから」
「カップルみたいにしたい」
「姉弟なんだって」
「絶対いや?」
「ううん」姉さんの手はおれの尻を抑えている。「ムサシとならありかも」
「姉さんがいやがることはしない」
「なにかあったら、ムサシにレイプされたことにするからね」
どんなことを想像したのかわからないけど、おれはうなずいた。
「いいよ」
「きょうだけだよ」
「うん」
「場所探そ」
姉さんは、おれを引っ張るようにして、その繁華街のはずれのラブホ街に入った。ふたりでキョロキョロしながら一、二軒ラブホの前を通りすぎ、目立たない入り口のラブホに入った。
部屋に入ると、姉さんは言った。
「姉さんはシャワー浴びてきたけど、ムサシはここで浴びな」
もう吹っ切ったという顔だった。
おれがシャワーを浴びていると、姉さんが裸で入ってきた。
「やっぱり、お礼に洗って上げる。椅子に腰掛けて」
姉さんはあんまりキャシャじゃない。ヘアは剃られていて、パイパンだった。
裸で向かい合うと、やっぱりお互い照れた。冗談を言いながら身体を洗い合った。
「乳首見たのは初めてか?」
「初めてじゃないよ」
「ま、そうだね。だけど目が真剣だから」
「姉さんのだもの。こっちのはどう?」
「パンツの横から見えてたことあるよ」
「嘘だ」
「先っちょじゃなかったけど」
姉さんの身体は、張りがあった。かたちのいい乳房もだ。あんまりぷにょぷにょ軟らかいって感じじゃない。
そのうちに、おれも少しずつ大胆に姉さんを洗うようにした。
「こらこら、そんなとこ触るな」
姉さんの背中に回ったときは「硬いの、押しつけないで」
シャワーを浴びて、先に姉さんがバスタオルを身体に巻いて出た。おれも腰にバスタオルを巻いて出ると、姉さんはもうベッドの上にいた。
姉さんはおれの顔を見てから、悲鳴みたいな声を上げた。
「わ、やっぱしはずいわ。できるかな、ムサシと」
「もう遅いよ」
「まだ一線は越えていない」
「一緒にラブホに入った。お風呂で、裸を洗いっこした。越えてるよ」
「最後の一線」
「もうたいした違いはないよ」おれも懸命だった。
「これだけだよ。あとは忘れる。なかったことにする。できる?」
「できる、できる」嘘だけど。
「ゴムつけなよ」
おれは姉さんの中が濡れていることを確かめてから、前戯なしに正常位で挿入した。
姉さんは、しばらくのあいだおれを見なかった。横を向いている。おれはじっと姉さんの顔というか、反応を見つめてしまった。半分は、まずいことになったと意識していた。
途中で姉さんが言った。
「何かしゃべりな。気まずいから」
「姉さん、感じてるの?」
「うん。感じてるよ」
「よかった。どうなのか心配なんだ」
「感じさせようと頑張らなくてもいいよ。すごくいいから」
体位をいろいろ変えたりAVみたいなことはしなくてもいい、ということだと思った。
早々と射精になるんじゃないかと心配したけど、少し緊張しているせいか、けっこう続いた。そのあいだ何度かベロキスした。
姉さんはスポーツをずっとやっているせいか、そのあたりの筋肉が鍛えられていた。あんまり経験人数がないから比較はできないけど、あれって「締まりがいい」ってものだったんだと思う。ストレートに言えば、それまでで最高だった。
途中で姉さんが言った。
「姉さんを上にさせて」
姉さんが騎乗位になった。姉さんの顔を見上げていると、姉さんはおれの顔を手で横に向けた。
「見ないでよ」
感じていたんだと思う。その後、また正常位になった。
お互いに高まってきて、おれも射精まで近いところまできた。姉さんはおれの背中に手をまわし、長い足をおれの腰にからみつけてきた。チンポコがぐっと姉さんの奥に押し込まれた。「あ、いい。行く」
ベロキス。おれはピストンを速めた。そして、フィニッシュ。
意外なんだけど、エロっぽいというよりは、一緒に気持ちのいい汗を流したって感じのセックスだった。射精のときは、スマッシュ決めたって感じ。いや、その百倍くらいよかったけど。
終わったときは、握手とかハイタッチして、また次ねって言いたくなるセックスだった。
終わって横に並んでくっついていて、賢者の時間。言葉もなくて黙っていると、姉さんは言った。
「もしかして、姉さんとのエッチ、前から想像してた?」
「いいや。どうして?」
「きょう、ためらいがなかったじゃない。期待していたみたいだった」
「このあいだのキスのときから、期待し始めた」
「姉さんが火をつけちゃったのか」
「姉さんは女だって意識した」
その日の二回戦では、姉さんは最初から声を出した。
「あ、行く。あ、だめ」
終わって横に並んだときに姉さんに聞いた。
「やっぱりもうなしなの?」
「ううん」ちょっと困った顔になった。「ノーとは言いにくいな」
「おれ、無理言ってる?」
「そうじゃないけど、姉さんのこと嫌いになってない?」
「どうして!」
「あたし近親相姦しちゃうような姉だよ。ど淫乱とか、色キチとか思ってない?」
「思うわけないよ。逆だよ。おれたち、なんかすごく自然で、当たりまえのエッチしたような気がするんだけど」
「姉さんも少しそう思った。ムサシと、相性よかったね。ムサシ、ガツガツしていないのもいい」
「どうしたらいい?」
「またラブホにこよう」その気じゃん。
「こんどはいつ?」
「来週月曜なら、午後は予定なし」
早すぎると思ったけど、都合が悪いなんて言えるわけがない。
「バイト休むよ」
姉さんはまたシャワーを浴びてから、おれを横目で見ながら服を着始めた。
姉さんのグレーのスポーツブラとショーツが、この日は刺激的だった。その姿は家でも目撃していたのに。
ラブホを出て駅に近づいてから、姉さんはまたおれにしなだれかかって、おれの腕に胸を押しつけてきて言った。
「うちではベタベタしないでね。いままで通り」
「苦しいな」
姉さんと二回目のラブホテルのときは、姉さんはピラティスのインストラクターみたいにおれにいろいろ指示。
「それいらない」
「あ、そこもっと」
「そうそう、急ぎすぎないで」
おれも素直に従う。
帰る前の風呂の中で、姉さんが言った。
「ムサシとのエッチ、いままででいちばん楽しい。幸せだよ」
「ほんとに?」経験人数が多そうな姉さんだから、ちょっと信じられなかった。
「嘘じゃないよ。信じなくていいけど。自分が大事にされてる、アホ扱いされてないってわかるから」
スポーツやってる男には、まるでデリカシーのないのが多いんだそう。アクロバットみたいな体位でしようとしたりとか。
その次のときには、姉さんはベッドの中でおれにぴったり胸をつけて言った。
「いま、ムサシのことが、すんごく可愛いって言ったら、怒る?」
「子供扱いはいやだ」
「弟ってことを意識してるんだよ、いい意味で。ムサシが弟でよかったと思う」
「おれも、姉さんとこうなって、すんごくうれしいよ」
「姉弟だから、別れることもないよね」
「最強だよね」
「彼女いるんでしょ」
「彼女未満だよ」してることはしてるんだけど。「姉さんもいるんでしょ」
「この男って男はいない」
「彼氏できたら、こういうの、おしまいになるの?」
「エッチのこと?」
「うん」
「だから、あたしたちは姉弟だって。姉弟のあいだのことを、やめることはできないでしょ。ムサシが妬いたりしなければね。だけど、あんまりわがままは言わないでよ」
「大丈夫だよ」
今年になっておれは就職し、東京都内の会社借り上げのマンションに住むようになった。その部屋にときどき姉さんはやってくる。
「遅くなったんで、ムサシのとこに泊まる」と、母親にはあっさり連絡する。
「母さん気づいていないかな」とおれが心配すると、姉さんは言った。
「うすうす想像してるかもしれないけど、怖くてほんとのことを聞けないんだと思う」
「聞かれたら、ほんとのこと言う?」
「言わない。どんなに疑われても言わない。ムサシも言わないんだよ」
姉さんは、いまはおれとのことのカモフラージュで、現在進行中の彼氏のことをできるだけ話題にするようにしてるという。

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