モシモシ探偵社 2


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 「春色の列車で旅がしたいわ」

 電話のベルが鳴りました。

 「はい、モシモシ探偵社レナです」

 春先は電話が多いわね。

 「白い小型のハイブリッド(ってどこにでもあるわね)、ですね。・・・あ~。みんなうるさい!」

 Hさんは年配の方でしたが、趣味は変装、いや女装でした。

 「Hさん。仕事です。いつものラブホで張り込みよ」

 「あ、私もいっしょに行きます。レスビアンカップルのノリで」

 「普通のカップルってことでいいじゃないか。着替えるのめんどくさいし」

 白い小型のハイブリッドはホテルの駐車場に停まっていました。

 近くにこちらの車を停め二人が出てくるのを待ちます。

 「おつきあいをしている女性が男とラブホに入っていった」

 
 女性が出てきました。

 黒いロングコートにベージュのニット。

 カメラのシャッターを切りまくります。

 すると、ほどなく太った男が息を切らせて階段を下りてきました。

 女性の運転で二人は立ち去りました。

 「今日は夕方からデートの約束なのに、真昼間からラブホとは。なんとなくほかの男のにおいというか、仕込みというか、は感じていたんですがね」

 写真の男はわからない。クライアントの男性は途方に暮れるばかりです。
 
 「調査を続けますか」

 「いや。この辺が潮時でしょう」

 「そうですか」

 発展性のない話をしてしまいました。

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