それからは午前中はまたゲレンデへ滑りに行きました。
お昼ご飯を食べにペンションへ帰るころには主人もH美さんも仲良くなっていて、H美さんのスキー板を主人が直してあげたりスキー靴を脱がしてあげる場面もありました。
食堂へ着くと今晩泊まるお客さんなのか30歳前後の二組の夫婦が、そのうちの一組には小学校へ入る前の子供もいました。
すでにチェックインを済ませているようで、別々のテーブルに座っていたので知り合いではなさそうです。
子供は食べ終わるとすぐに娯楽室へ向かいゲームをしています。
私達も食事が終わりコーヒーを頂き少し休憩をすると、「さあ、夕方まで頑張って滑ろうか。」と主人が張り切っているんです。
ほかの二組のご夫婦も私たちの言葉につられて「私たちも滑りに行きましょうか。」と言い、子供を呼んで二組の夫婦は部屋へ着替えにいきました。
私はふと、そう言えば昨日一人の50歳前後の男性がいたことを思い出しました。
食べ終わった食器をキッチンへ持っていくときに奥さんに聞くと、「ああ、、あの人。近くの町に住んでいるんですが、時々一人で来ては夕食を食べて夜に帰っていくんです。昨日もお客さんたちがカラオケで歌っているときに帰っていきました。」と、前から知っている方のようで、一人暮らしで寂しいから来ているのかなと思ってしまいました。
それからは夕方まで滑りペンションへ帰ってきたころには膝がガクガク痛くなっていました。
さっそく着替えて体を温める為M男さんとお風呂へ向かうと、露天風呂のドアーともう一つの大きい方のお風呂のドアーにも使用中の札が、二組の夫婦が先に入っているのだなと思いました。
仕方なくタオルと着替えを持ったまま娯楽室へ行くと子供が一人でゲームをしながら遊んでいるんです。
子供を置いて夫婦で入っているのかなと思い念のために子供に聞いてみました。
「お母さんとお父さんは?」と聞くと、「二人でお風呂に入っている。」と、子供が言うんです。
でも、「まだ、お父さんじゃないよ。もうすぐ結婚するけれど。」と。
「僕は一緒に入らないの?」と聞くと、「寝る前に入るの。」と言って私の顔も見なくゲームに夢中なんです。
すでに一緒に住んでいるのか、つも二人でお風呂に入っているのか、ここへ来たから一緒に入っているのか、それは分かりませんが仲のいいカップルだと思いそれ以上は詮索しませんでした。
しばらく待っていると子供の母親ともうすぐ父親になる男性が来ました。
「聡(子供の名)、お風呂から出たから部屋に帰るわよ。」と、声を掛け「ごめんなさい、露天風呂の方、空きました。」と知らせてくれたんです。
私がタオルと着替えを持っていたからお風呂を待っているんだと分かり声を掛けてくれたんだと思いました。
「ありがとう、いいお子さんね。」と言うと、お母さんも「ありがとうございます。」と言ってくれました。
子供はもうすぐお父さんになる男性に手を繋がれ、3人で部屋へ戻っていきました。
そして私はM男さんと露天風呂へ行ったのです。
露天風呂から出るときに、隣の大きなお風呂から女性のあの時の声が聞こえてきました。
もう一組の夫婦かと思い、M男さんと顔を見合わせクスッと笑ってしまいました。
しかし、食堂に前を通るとあの夫婦が湯上りのビールを飲んでいるんです。
だとするとあの声はH美さん、ようやく主人とH美さんが一つになれたんだと安心するやら嫉妬するやら、、
すぐにM男さんと部屋に戻り抱き合ってディープキスをして繋がってしまいました。
時間になり夕食を食べに食堂へ行くとすでの主人もH美さんも、あとの二組の夫婦と家族も来ていました。
H美さんに顔からは笑みがこぼれ、お風呂でのことを思い出している様なんです。
私がわざと「H美さん、何かいいことあったの。」と聞くと「うんん、何でもないの。内緒。」と言っているのですが、すべてバレていました。
キッチンの方では奥さんが食事を作っています。
それをオーナーがエプロン姿で各テーブルに食事を運んでいるのです。
ビールを飲みながらの食事がとてもおいしくて普段家にいるときと違い上げ膳据え膳でついつい多く食べてしまいそうでした。
「あなた、今夜はあまり飲み過ぎたらだめよ。」と私が言うと、「分かっているよ。」と、主人が。
ついついH美さんの代わりに言ってしまったのです。
楽しい食事が終わると主人とH美さんはさっさと部屋へ戻ってしまいました。
すでにカラオケは夫婦に占領され若いだけあって私達には回ってこないようです。
私とM男さんが娯楽室へ行くと子供連れカップルが遊んでいました。
私はお母さんと世間話をしたり子育てのことを話ししたりしていると、M男さんは漫画を読み終わるとすぐに部屋へ行ってしまいました。
子連れカップルの男性もしばらくは子供と遊んでいたのですが、子供もスキーで疲れたのか眠そうにしているので、「聡、一緒に風呂に入るか。」と言って、部屋に着替えとタオルを取りに行ってしまいました。
「かわいいお子さんね、しっかりしていて、、」「そうですか。甘えん坊で、、」
「そんなことないですよ。それより、おめでとうございます。ご結婚なさるんですね。」と、つい余計なことを話してしまいました。
「えっ、それって、、」
「ごめんなさい、聡君が言ってたのもで、、いけなかったかしら。」
「いいえ、そんなことないんです。聡がどう言っていたんですか。」
「まだお父さんじゃないけどもうすぐ結婚するんだって、、」
「そうですか、そんな事言っていましたか。」「それって、、どうして、、」
「結婚はするつもりなんですがまだ聡に入っていないんです。前に旦那は結婚するまではそうでもなかったんですが、結婚してから乱暴になってそれでも子供が出来たら変わるかなと思っていたのですが、子供が大きくなるにつれて子供にまで手を上げるようになってそれで別れたんです。聡もそのトラウマから最初は彼に懐かなくて、それでも彼ったら根気よく聡と遊んでくれて、、いつ話そうかと彼と相談していたんですが聡には分かっていたんですね。」
「聡君は賢い子ですよ。お母さんと彼が仲よくしていたら分かるんですよ。彼も子供好きみたいだし。」
「そうなんです、私にはもったいない人で、、」
「まあ、ごちそうさま。」何て良い話を聞き、部屋へ戻るとM男さんが私を待っていたかのように手を引いてベッドへ誘ってくるんです。
私とM男さんはそのままベッドへ雪崩れ込んで裸になって抱き合っていました。
しかし、またまたベッドのギシギシした音が、すっかり忘れてしまっていて慌てて床に敷いてあるお布団の方へ移って抱き合っていたのです。
夜中にトイレに行き帰るとき、子連れカップルの部屋の前を通ると扉が少しだけ空いていて、中は薄暗くて見えなかったのですがお母さんのあの時の声が聞こえてきました。
「ああ、、いい、いい、、いく、、いく、、ああ、、すごい、、」
「ああ、、沙智子、、俺たちの子供も作ろうな。」
「当り前じゃない、聡に弟か妹が出来たら、、ああ、、いい、、いく、いく、いくううう、、」
そんな会話も聞こえてきて、「幸せになってね。」と思っていました。
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