高速エクスタシー


「ん…んぅッ…」
「シー。変な声出したら周りに気づかれちゃうよ」

一旦唇を離して、彪流くんが耳元でそう囁いた。
そしてまた、唇を重ねられる。
事態を未だ把握できないまま、ただひとつ、はっきりと思えたこと。
他の人に気づかれるのだけは…避けたい。
抵抗をやめた私を見て小さく笑みを浮かべた彪流くんは、反対側の手で太腿を撫でてきた。
軽く触れた状態でさわさわと這い回るその指先が、私を変な気持ちにさせていく。
ストッキングの上を滑る指の動きがいやらしい。

「ねぇ…、高校の時から蒼太と付き合ってるってことはさ…もしかしてさ…、蒼太以外の男を知らないってこと…?」

耳たぶをぺロッと舐められて、飛び出しそうになった声を慌てて飲み込んだ。
口を掌で覆って、彪流くんを睨む。

「そうなんだ?」

愉しそうに口元を歪めた彪流くんに、私は何も言えなかった。

「初めての彼氏しか知らなくてさ、しかも遠距離じゃあ……欲求不満、結構溜まってるんじゃない?」

太腿の上に置かれていた彪流くんの手がまた動き出す。
短めのスカートをまくられて、そこに入ろうとする彪流くんの手を、私は太腿をぴっちりと閉じて拒んだ。

「いや…やめて」
「だめ?」
「当たり前…っ」

太腿の手が離れ、諦めてくれたのかと思った矢先。
今度は頬に手を添えられて、また唇を吸われた。
彪流くんは完全に体を私の方に向け、覆い被さるような姿勢になっていた。
シートに体を押し付けられ、舌を絡められながら、今度は胸に手が伸びる。
ゆっくりと撫で回され、次第に力を込めて揉みしだかれる。
そして、中央の敏感な部分を爪で引っかかれるようにされて、思わず反応してしまった。

「服の上からでも感じる?」

私の反応を見て、彪流くんが嬉しそうに囁いた。
一番反応が良かった部分を、なおもカリカリと引っかく。

「ッ、や……」
「嫌?」

私の言葉を確認しつつも、彪流くんはやめてはくれない。
そのうち、私の背中に手をやって、器用にも服の上からブラのホックを外した。
そして、間髪入れずに服の隙間に手を入れてくる。

「……っ」

ひんやりした手の感触が、熱を持った肌に伝わる。
直に胸を包まれて私はまた掌で口元を覆う。

「ココ、すっげぇ硬くなってる…気持ちイイんだ?」
「違っ…」
「へぇ。じゃあもっとしちゃお…」

彪流くんはそう言うと、私に毛布を被せ、その中にもぐった。
そして私の服をまくりあげて、露わになったそこに口付けてきた。

「……ッ、やぁ、」

胸元に掛かる熱い息。
唇で乳房を食まれ、ねっとりと先端に舌を這わされる。
私は声を出さないように我慢するのがやっとで、身を震わせてただ、耐えていた。

「は…、は…ッ」

それでも漏れてしまう吐息。
目尻に涙が滲む。
声を出せない分、体の中に熱が溜まっていくようで息苦しさで気が遠くなりそうだった。
余裕のない私の隙をつき、彪流くんが私の太腿に手をかけた。
あっ、と思った時にはもう遅かった。

「だめ…!」

小さく抵抗してみたものの、もうすでに彪流くんの手がその場所へ到達していた。
指で触れられ、そこがもう濡れてしまっていることに気づかされる。
恥ずかしくて、太腿を閉じるように力を入れたけど、彪流くんに強引にこじあけられてしまった。

「すごいね、ココ…」

ストッキングの中に、彪流くんの手が入り込んでくる。
そして、手はそのまま下着の中に侵入してきた。
茂みを撫でて、さらに下へ。
クチュッと指が窪みに沈んだ。

「あ…っ」
「すご…結衣ちゃんの中、熱い…」

ぐるん、と中を一周かき混ぜられた。
内壁に感じた刺激に、腰がひくひくと痙攣する。

「やっぱ溜まってたんでしょ、結衣ちゃん」
「やぁ…違うっ…」
「恥ずかしがらなくていいよ。俺がヨクしてあげる…」

そう言って、彪流くんはゆっくりと私の中から指を抜き、手をクリトリスの方に移動させた。
愛液がべっとりと付着した指先が、茂みを割ってそこにたどり着く。
ヌルヌルの指で下から上へ撫で上げられて、私は思わず彪流くんの服をギュッと掴んでしまった。

「っは…、っ、ん」
「ん…、いいよ、俺に掴まってて」

ふるふると震える体。
唇を噛んで快感に耐える。
彪流くんの指は、規則的にそこを撫で続けていて、どんどん愛液が溢れてくる。
クリトリスが興奮しきって膨らんでいるのも自分でわかる。
円を描くように、指の腹で押すように。
弄られ続けて、おかしくなりそうで、うまく息ができない。

そのうち、彪流くんは指を増やして、さらに私を追い込んだ。
クリトリスを弄る指を親指に変えて、人差し指と中指で中をかき混ぜてきた。

「ふっ…、あっ…やっ…」

私はもう、完全に彪流くんに体重を預けてしまっていた。
彪流くんの胸に顔を埋めるような体勢で腰を浮かせ、彪流くんからの愛撫を受けていた。
周りの人にバレるんじゃないかという恐怖。
たまたま同じバスに乗り合わせた同級生と、どうしてこんなことに。
色々なことが頭の中に浮かんでは消えて、最後には、何も考えられなくなった。

「ん…やっ、やぁ…ぁんっ」

体が勝手にピクピクと震え、アソコにも力が入る。
彪流くんは、締め付けで動きづらくなった指を、強引にピストンし始めた。
ぐちゅぐちゅ…という音がアソコから聞こえる。

だめ…もうイッちゃう…!

彪流くんにしがみ付いて、訪れる最大の快感に備え目をきつく閉じた瞬間。
バスのスピードが急に落ち、同時に彪流くんの手の動きが止まった。

え……?

バスはサービスエリアに入り、停車した。
どうやら休憩らしい。
運転手さんから休憩時間が告げられる。
何人かは席を立ち、また、眠ったままの人も居た。
私は呆然とシートに座ったままで居た。
声も出せない息苦しさから解放された安堵の裏で、未だジンジンと熱を持っている下半身。
中途半端でモヤモヤする。
そんな私を、彪流くんは外へと誘った。
手を差し出されて、戸惑いながらその手を取る。

「そのままだと気持ち悪いでしょ?」

彪流くんが私に耳打ちした。
バスの外に出てみると、キンと冷えた空気が、濡れた下着の冷たさを際立たせた。
私の手を引いてトイレに向かう彪流くんは、至って普通に戻っていて。

……もうしてくれないのかな。

私はそんなことを思ってしまっていた。

トイレの前まで来て、それまでなんとなく繋いだままでいた彪流くんの手を離した。
そして、「行ってくるね」と一度彪流くんを振り返って、女性用の方へと足を踏み出したその瞬間だった。

「きゃ…!」

いきなり、強い力で腕を引かれた。
突然のことに驚いて、悲鳴を上げそうになった私の口を、誰かの掌が塞いだ。
力に翻弄されながら聞こえたのは、ドアが閉められるガラガラという音と鍵が掛けられる音。
そして目の前に広がったのは、車椅子用トイレの室内だった。
後ろから私の口を塞いでいるのは、他の誰でもなく彪流くん。
もう片方の腕は私の腰あたりに回して、しっかりと拘束されていた。

「何するの…!」
「シー」

首だけ振り返って抗議しようとした私の頬にそのまま手を添えて、彪流くんに唇を奪われた。
口をこじ開けられ、舌を絡められる。
途端にさっきまでの余韻が蘇ってきて、ゾクッと快感が駆け抜けた。

「んッ、んん…ッ」

キスしながら、彪流くんの手は私の体をまさぐり始めた。
コートの前を開けて、服とブラを一気にまくり上げる。
露わになった胸に彪流くんの冷たい手が触れて、いつもよりも敏感に反応してしまう。
たちまち息が上がってきた。

「イケなくて不満だったんでしょ?さっき」
「…っ」
「良い子だね」

満足気に呟いた彪流くんが私に近づく。
スカートを捲り上げた状態で、下着が丸見えの私の下半身。
彪流くんの手が、ストッキングごしに太腿を撫でた。

「もうこれ、破っちゃってもいいよね?」

私が返事をする前に、彪流くんがストッキングの股の部分に爪を立てて引っかいた。
ビリリ…と布が裂ける音。
そして、カチャ、とベルトを外した音がしたかと思うと、彪流くんが勢いよく後ろから貫いてきた。

「あうっ…あっ…んぁっ!」

ぐちゅ、という水音と共に下半身に衝撃が走った。
あけられた穴から下着を横にずらされて、そこにモノを押し当てられ、一気に貫かれた。
ものすごい圧迫感に、一瞬息が出来なくなる。
奥まで挿入すると、彪流くんは大きく息を吐いた。

「は…、めちゃくちゃ締まる……。ホントに全然使ってないんだ?」

使ってない、とか。
下品なこと言わないで…。
恥ずかしくて下を向くと、後ろから伸びてきた手に顎を掴まれた。
そのままクイッと顎を上げられると、洗面台の前の鏡が目に入った。

「見ろよ?今、何されてんの結衣ちゃん?」

そこには、胸を丸出しで。
スカートを捲くられ、着衣のまま彪流くんに後ろから覆い被さられて。
犯されてるみたいに激しく突かれている私が写っていた。
頬がカッと熱くなる。
目を逸らそうとしたけど、彪流くんの手の力がそれを許さなかった。

「ちゃんと見てろよ。彼氏以外の男にヤラれる自分の姿」

意地悪な笑いを含んだその言葉と同時に、私の中で彪流くんが暴れ始めた。
初めから、まるでクライマックスの如く、激しく突き上げてくる。

「ひあっ、あ、あぁぁんっ」
「こら、大きい声出しちゃダーメ」
「んむッ、んん、ふうっ、んはぁっ」

思わず声をあげてしまった私の口の中に、彪流くんが指を突っ込んだ。
人差し指と中指で舌を挟まれ、くぐもった声しか出せなくなる。
でも、彪流くんの腰の動きは激しくなる一方で、息をするたびに膝が震えてしまって、私は必死で洗面台を掴み辛うじて立っていた。

グチュッグチュッ、パンパンッっていういやらしい音が、トイレの室内に響く。
切れかけの蛍光灯の白い光が、やけに脳裏に刻まれる。
私は自由のきかない舌で、無我夢中で口の中の彪流くんの指を舐めた。

「結衣ちゃんの舌、やらし…」

鏡の中で彪流くんが愉しそうに笑った。
そして、私の舌をさらに指で弄ぶ。

「ふっ…ぅ、んはぅ…」

口の端から唾が零れる。
エロ…、と彪流くんがまた含み笑いした。

「あー…、ホントいいわ、結衣ちゃんの中」

しみじみという感じで呟きながら、彪流くんがぐるん、と腰を回す。
粘膜が彪流くんのモノでかき回され、私も意識が飛びそうなくらい気持ち良かった。
溢れた愛液が、太腿を伝っていく。

「もっと堪能したいけど…」

そう言って腕時計に目をやった彪流くんが、私の腰を掴んだ。

「そろそろお時間ですねー…」

残念そうに呟いた彪流くんが、また激しく動き出す。
硬くて太い彪流くんのモノは、全く衰え知らずで私を攻め立てる。

「ん、は、やっ…ん、あ…っ」

ズンズンと最奥を攻めてくる彪流くんの先端。
良いところに当たるたびに、アソコが締まるのを感じる。
彪流くんの息も上がってきて、背中にハァハァと熱い吐息を感じた。

鏡を、もう一度見てみた。
自分とは思えないくらいにいやらしい表情。
口を塞がれて…顔が真っ赤になって、目はトロンとしてる。
彼氏じゃない男の人に後ろから挿れられて感じてる、はしたない表情…。

「ん…、もっ、と」

彪流くんに犯されてるような感覚がたまらなくなって、無意識にそんなことを口走っていた。
一瞬動きを止めた彪流くんが、確認を取るように私の耳に顔を寄せる。

「もっと?どうして欲しいの…?」
「っ…、もっ、と奥…」
「奥?ココ?」
「あんっ…!ソコ…っ、いっぱい、突いてッ…ああうっ!」
「おっけ」

グイッと奥まで腰を進めると、彪流くんはソコばかりを狙って突き動かしてきた。
快感が一気に上昇して、たちまち達してしまいそうになる。

「あ、ああっ…!あ…すごいっ…!」

一番奥をゴツゴツ叩かれるような感じ。
突かれる度に背筋がゾクゾクして、身体が震えた。
気を失わないように保つのがやっと…

「はっ、ん、あっ」
「結衣ちゃんの好きな奥突いてるよ。気持ち良い?」
「んっ…き、きもち、い…ッ」
「淫乱ちゃんだな~。こんなとこ蒼太が見たらどう思うかなぁ?」
「や…っ、ん、はぁぁっ」

罪悪感を煽るそんな言葉にすら感じてしまう。
むしろ、快感を何倍にも増幅させていく。
自分の中にこんな一面が潜んでいたなんて、知らなかった…。

「あ、あぁっ、ダメ、イッちゃう…」
「ん…結衣ちゃん、誰のでイクの…?」

鏡の中の彪流くんと、目が合った。
意地悪な微笑み。

「……っ、……彪流くん、の、で」
「俺に何されてるの?」
「彪流くん…に、犯されて」
「俺に犯されてイクの?」
「はい…犯されてるのにイ…く…あっ!ああんっ!!」

私にそう言わせると、満足そうに口角を上げた彪流くんが、最後のスパートをかけた。
私の腰に手を回して、もう片方の手で胸をめちゃくちゃに揉んで。
私は与えられる衝撃に、ただ悲鳴みたいな喘ぎを出すしかできなかった。

「あっ、やぁ、イクっ…、あぁっ、イッちゃうっ…ああぁぁっんっ!」

多分、バスの中で焦らされた分の快感も、一緒にきたのだと思う。

「あああああーっ!いやああああぁっ!!」
「外に聞こえるでしょ」
「ふぁ、っん…む」

後ろから私の口を塞ぐ手がそれを途中でかき消した。
彪流くんの手の平で声を塞がれてるせいか、苦しいくらいに押し寄せる快楽がどんどん身体の中に溜まっていくような気持ちになる。
抵抗するヒマさえ与えられず、強引に高みへと連れていかれる快感に抗えなくなっていく。
足が震えて上手くバランスが取れないけど、彪流くんが割り込ませた膝でなんとか立ってる感じ。

「ホラ、もっと犯してやるよ」
「んっ、んっ、んんっ」

せりあがっていく被虐的な感情で生理的な涙が零れた。

「ん……ん……!」

後ろから抱きつくようにして突いてくる彪流くんの息が耳に掛かる。
力任せにめちゃくちゃにされてるのに、おかしくなってしまいそうなくらい気持ちがいい。

「鏡、ちゃんと見ろって」
「ん、ぁ、あぁ…ん…っ」
「声を出すなって言ってるだろ」
「……っ、ん……んん…ぅッ!」

口を覆う手がさらにキツくなる。
赤くした目から涙がこぼれ落ちて、塞がれた口から微かに声が漏れる。
ぐちゅぐちゅとかき回されるナカが、与えられる快感にびくびくと震えた。
気持ちいい、気持ち良過ぎて怖いくらい。

「ほら、自分のイってる姿見て。きっと可愛い」
「…ふ、……んん…っ!」

彪流くんに後ろから口を塞がれた私が、鏡の中で大きく背中を反らせた。

「んっ、ん、ンん…っ、んンー……っ!」

抵抗できない力で乱暴に気持ちいいところを突かれて、鏡の中の自分と目を合わせたまま今まで経験したことのないほどに、私は思い切りイッた。

そして私の膣に熱い液体が撒かれてるのを感じて、彪流くんも達したことを知った。

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