「嵐の夜に」途中放棄版


「嵐の夜に」※未完

今年の梅雨は遅れて来たと聞く。
最近の地球はオカシイな、などとカレンダーを見やる。もう7月になろうかという時期に、梅雨は続くようだ。いい加減、ウンザリする。夏が待ち遠しいわけではないが、早く過ぎぬかと、切に願わずにはいられない。
しかし、そんな梅雨にも、思い出はある。——こう言うと、安っぽくなるのだけど——忘れられない思い出が。

***

ゴゴウォーン。
ソラが吼えた。煌めく稲妻はソラを奔る。いくつもの稲妻が、まるで、竜が翔んで、舞っているかのようだった。そして、その舞台たるソラは、黒く渦巻いていた。または、降り頻る雨。時益しにも、それは強く強くと、次第に、窓がノックされた音楽が部屋に響く。それは、ちょっとしたホラーだったのかもしれない。俺にとって、ではなく——妹にとっては。
「ねぇ、雷って、いつまで続くのかな……?」
「ん? 明日には黙るんじゃねーの?」
「ちゃんと、答えてよ!」
適当に、受け流すのは、そろそろ気まずい御年頃だからか。でも、揄[からか]いたくなるのは常であった、まる。
「なんだよ、中3になっても、雷が怖いのか?」
「——なッ!? ちょっと、そんなワケないじゃない!」
「必死になってまで、否定するなよ。冗談だったのに、ホントにビビってるかと思うじゃんかよ? え、そうだったん?」
「ば、バカにしないでよねっ!? な、何よ、その表情……頭にキました」
そう言って、襲撃された。
「痛い!」
——なんて、取りあえず言ってみたり。実際、中3女子に打たれたくらい大したダメージにならないけど。早く、この紛争を終結させるための知恵だ。つーかですね、兄が妹に反撃するというのは、世間的に犯罪なのは、どうかと思いマス。だってこの妹、尊属殺人スレスレのコトしてくるのに。あと、リモコンは地味に痛いので、止めてください。
それは、さておき。
俺が先程から、誰と会話していたかと訊かれれば、「妹」と答えるのか。応えてはいても、答えてはいないのだけど。
「月明」——それが、彼女、妹の名前だ。「月明かり」と書いて「あかり」と読む。因みに、と言うか、まぁ。名字は、当然のことながら、俺と一緒。

月明は、まだ、怒って攻撃を続ける。降伏しようかと思ったけど——。
妹の背後の窓で、稲妻ヒカル。第2撃の音が轟く。
「きゃっ!?」
さっきまでの凶暴さは、何処へ行ったのか。随分と可愛い声が出るな、と。俺のしてやったりな笑いを受け、一瞬の、蒼白じみた顔は、やがて赤みを取り戻し、勢い余って、噴火する。
「知ってたなら、教えなさいよ! バカ!」
「え、怖くないんじゃないの?」
「そ、それはそうだけど……! こ、怖いと驚くは、別よ」
疑いたっぷりの視線を月明に投げかける。——あ、ケータイがなった。月明が少しびくっとなった気もしたが……メールは、母からだった。
「月明」
「別に驚いて何か——」
「いや。母さんがメールしてきたんだけど……」
「なんて?」
「『今日は雨がひどいので帰りません。お父さんもです』だってさ」
「えぇ~。お兄ちゃんと二人きり?」
「今の今でそうだったじゃねーか」
「そうだね」
どこか、嬉しそうで。
——と、それから暫く会話を続けた。

ところで、だ。思わぬ事態が起きた。
停電。
部屋は闇に染まり、ソコに棲む魔物が鎌首を擡[もた]げる——。
TVは勿論、エアコン、扇風機はアウト。窓を開ければ、雨が勝ち込んで来る。部屋は蒸し風呂とか、サウナとかいった次元の話だった。家はマンションの一室。自慢ではないが、大した広さではない。
つまり、暑い。蒸し暑いのだ。
そして、やはり雷が怖かったのか、月明は、俺にくっついている。そこで、一言。
「離れね? 暑いんだけど」
「だって、雷が家とか壊すんだよ?」
「お前が、雷で、電波怪人になったんじゃねー?」
「違うもん」
——こんな感じで、会話をし、雷鳴のたびに、俺の腕を圧迫する——胸が押しつけられる。或いは、言葉を吐き出すたびに、俺に熱い吐息が降り懸かる。月明は、なかなかに成長した肉体の持ち主だった。ただ、バカでかい胸だとか、そう言った類の色ではない。体のラインがキレイで、適度に引き締まり、かといっても、柔らかく、熱を感じさせるような——妹は〝女〟だった。
だから、何というか、要するに——〝俺は、妹に欲情していた〟と。
それは、一体どんな意味を持つのか。
だから、それは、言うまでなく——〝俺は、男を滾らせていた〟と。
それは、古い吊り橋のような危うさ。
だから、彼女が、それを知る時——〝俺は、兄でなくなるのだ〟と。
思考が渦巻く、ソラのように、黒々と。バレナイデクレも、バレテシマイタイも、等価に過ぎなかった。俺は、雷なんかよりも、怖いものがここにあったと知る。
しかし、人間は良く出来たモノで、「ダメだ、ダメだ」と思えば思う程、事態は悪くなる——そこが〝良く出来た〟ではなく——この事態を「愉しい」と思うのだ。息が苦しい、汗が滲む、血は滾[たぎ]る。
稲妻が駆ける、爆音を引き連れて。
今度のは、少し大きかった。
「きゃぁっー!!」
そうして、抱きつく妹は、さっきよりも大胆に俺に……。
〝それ以上は……!〟
しかし、そんな思いとは裏腹に、妹は、「あ。」という声を零した。間違いなく、死刑が確定した瞬間と覚悟したけど——
「お兄ちゃん、興奮、しているの……?」
「………………………………………」
終始無言に努めた俺は、ヘタレか。チキンか。ワカメなのか。
「ねぇ、お兄ちゃん。答えよ」
月明の顔は、ゼロ距離だった。吐息が混ざり交[あ]う。
「あぁ——」
自然に洩れた承諾。
「やっぱり♪ だって、私もそうだから」
〝……え?〟
「今何て——!?」
言葉は最後まで、言えなかった。口が使えないんじゃ、仕方ないか。
妹の舌は、俺が口内を泳ぎ、激しく——脳が、咀嚼される。もう、考えるコトは放棄させられた。俺も、月明の口を犯す。そして、絡み合い、酸素を奪うように、求めたった。
部屋に響くは〝ちゅぱ、ぴちゃ、ちゃ、はぁ、んふぅ〟という卑猥な水音と甘い吐息。
「お兄ちゃんのアソコ、とっても、熱い。見るね、」
そう言って、ジャージ(部屋着)を下ろす。男根が、微かな光にテカり、自分でも、こんなに興奮していたのか、と驚く。まじまじと見る月明の呼吸が、男根を蓋[おお]い、圧迫する。
「す、すごいね……苦しそう……」
初めて見る男根。自らの兄の男根。それは、好奇心にも似た興奮だったのかもしれない。
「な、舐めたら、気持ちいいの?」
「あぁ……」
「それじゃ、行くね——はぁっ、っぷ! ちゅぱ——」
妹主導の交わり。ここは、兄らしく指導すべきか。——この時既に、〝ここは、兄らしく止めるべきか〟という選択肢を見失っていた。その理由は、こんな感じの空間にいれば、誰しも抗うコト能わず、というコトだ。部屋に満ちた熱気と欲望は外のソラの様に、渦巻き、俺の脊髄には、稲妻のように、戦慄が奔る。飽和した雨の様に、汗と唾液と愛液とが噴出される。
「ずっっ! んぉお、お、じゅぶ、むう、ちゅぱっ、ぅぁ……う、ぬうぅう、はゃぁあっ——ぁあ、あ! にぇへぇ、きもひぃい?」

・・・・・・・・・・・もう、おもいつかねぇので、ここでやめます。もうしわけないっす。

そこで、誰か、続きを作ってくれることを願うばかりです。募集中です。

 

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