今ではスキーはバスで整備されたゲレンデに行きますが、私が若かった頃は、仙山線で山形のスキー場へ行きました。雪の季節には電車は大きなスキーや荷物でものすごく混雑していました。そんな若い頃の思い出を書かせて頂きました。
車窓から見える風景が厚い雪で覆われた中を、電車はゴトンゴトンと響かずに、コツコツと短い音を立てて走っていました。雪で反射する光で車内は妙な明るさになり、ケイ光灯の光がくすんで昔の電球の光のように見えました。
正月明けの四日は帰京する人達に加えて、蔵王で正月を迎えた若い人達もいて空席はありません。主人と勤め先の若い人達がスキーに行くのに、久し振りのスキーを思い立って二泊で参加し、用事のため主人達と別れて先に帰る途中でした。私はボンヤリと全部真っ白でん薄っぺらな景色を眺めている内に、魔法にかかったようにスゥーッと眠りに吸い込まれて、膝がガクンと抜けるようによろめいてしまったのでした。ハッと気を取り直した時、隣に立っていた若い学生風の体格のガッシリした男の人に支えられて、
「疲れているんでしょう。僕のザックにでも腰を下ろすと楽ですよ」
わざわざ荷棚から大きなザックを下ろして下さいました。
「どうも済みません。有難う御座います」
勧められるままにザックに腰掛けさせて頂きました。程無く、体中の力が抜けて夢の中に引き込まれてしまいました。
何年か振りのスキーで、もう忘れてしまったかと思ったのに、意外と体がすぐに思い出し、若い人たちにも付いて行けた楽しい二日間でした。主人と別れて先に帰る今朝は、まるで最後の一滑りを祝うようなこの時期には珍しい青空でした。若い人達に連れて行って貰ったお地蔵さんは、昔のように雪の上に、薄汚れた赤い頭巾を載せて頭だけを出していました。
夢の中をさまよい歩いている内にフト目が覚めてみると、なんと額をさっきの男の方の腰の所に押し付けて、眠っているではありませんか。多分私が寝込んで船を漕いだのを、足を出して支えて下さったのと思いましたが、私の頬の辺りに、ズポンの上からもはっきりと判る位硬くなったセックスが、当たっているのです。一寸驚いたのですが、眠った振りを続けながらそのままにしていました。電車の揺れに逆らいながら、上手に私の頭部を支えてくれながら、さり気無く腰を私に擦り付ける仕草をしています。
「ウフフ、彼氏いやらしいことをしているな」
と思うとちょっと悪戯気が起こり、頭を少しずらして唇をその脹みに移し、軽くつつくようにしたのです。すると、彼が大きく動いて、アノラックの裾で私の頭を隠したのです。
外から見えないのをよいことに、鼻や唇を大胆に使って強く刺激してみました。明らかに彼は感じていて、腰は動くのですが決して離れず、むしろ押し出すようにしたのです。東京では電車では痴漢には会いますが偶然とはいえ全く逆の立場にたったのです。
年末から二人とも忙しくって、セックスしていない処に、スキーのような激しい運動をして私の体が活性化して、セックスが欲しくなっていたのかもしれません。彼に悪戯している内に、私の方が変な気持ちになってしまったのです。彼もごそごそとポケットに手を入れて操作して、それをブリーフから引き出してしまったのです。いくら地の厚い冬のズポンとはいえ、布一枚で接しているその動きはよく判ります。
ピクンピクンと跳ねるように動き、もう射精寸前の状態です。何度も何度も擦ったり熱い息を吹きかけたり、ついに軽く歯で噛んで刺激してあげました。そのうちに、彼も耐えられなくなってしまったらしく、大きく腰を引いて逃げてしまったのです。
「もっと気持ち良くして上げるのに。弱虫さん」
と思いつつ、それを機に目を覚ました振りをして、
「アーラ、ぐっすり眠ってしまったわ。お陰様で、随分と疲れが抜けましたわ。有難うございました」
と礼を言いつつ彼の顔を見ると、真っ赤になっています。
「暑いのかしら。お顔が赤いわ」
からかうともう、汗が吹き出しそうにさらに赤くなって、『カワユイ』感じ。電車の揺れた拍子に、
「あっ、危ない。ごめんなさい」
スラックスの前に手を延ばして、セックスを握ってしまうと「キャッ」と言わんばかりに、急いで腰を引いてしまいました。
「もう、仙台ですよ。お荷物下ろしましょうか?」
とその場をつくろうように、でも明らかに興奮して喉に詰った声で、荷棚から私のザックを取ってくれました。
「純情なのかしら、それともずうずうしいのかしら。さっぱり判らないわ」
と心の中で思いつつ、乗り換えの用意をしたのです。
雪一面の世界から、いつの間にか乾いた灰色の世界に着いた電車は、コツコツと言う音からガタンガタンに変わっていました。

