「二人はどうなったかしら。こっちの部屋のはずよ」
と奥さんがノブを廻すと音もなくドアが開いた。部屋のライトは消えていたがベッドサイドのスタンドがこうこうと明るく、光の中のベッドで二人はセックスの最中だった。
膝を折曲げて足を大きく開かされた妻の顔が小山さんの大きな背中の向うに見えた。目をかたくつぶり額にしわを寄せていた。小山さんのゆっくりしたリズムの抽送につれて妻の体が揺れていた。小山さんは妻の両側に手をついて広い背中と大きな尻を見せているが、抽送のたびに尻の筋肉に力が入った。
「アラッ、もうはじめちゃっているわ」
奥さんはすがりつくように小声でささやいたが顔は二人のほうをあっけにとられたように見ていた。その声が聞えたのか小山さんが動きながら私たちの方を振りむいた。顔は真赤でまるで怒っているような目だった。小山さんの体の向きが変ったためか妻が突然声を出した。
「アーツ、イイッ、アッツ、アッツ」
小山さんはまたセックスに集中しだした。
後ずさりするように私と奥さんは部屋を出た。そっとドアを閉めると二人とも無言で足早やにベッドに向った。ブランケットを奥さんが大きくめくるもそこそこに抱き合ってベッドにころげ込んだ。顔をぶつけるようにしてキスをはじめ舌が互いの口の中をうごめいた。バストへの愛撫もむしろ握るような有様で、すぐにセックスに手を延ばした。今見た妻と小山さんのシーンにあおられて、少し乱暴に愛撫を加えていたが、奥さんは足を大きく開いて受け入れるのに一所懸命な様子だった。でも感じ方はいま一つ物足りなかった。その時はっきりとした声で、
「イックウーツ」
と妻の声が聞え思わず声のほうを振り返ってしまった。そして愛撫の手がとまってしまった。間のドアはブラインドのようなドアなので声ははっきりと聞えてくる。
「アナタッ、アナタッ、イックウー」
「奥さん、奥さん」
とご主人の太い声もはっきりと判り、奥さんも半身を起き上るようにして声の方に向いた。いよいよフィニッシュらしいご主人の、
「オクサン、オクサン」と妻の、
「アナタ、アナタ」
という声が入り混じった。妻が首にすがりついて両足で腰をかかえ込んでいる、イクときの姿が手にとるように判った。
そして急にシーンと静かになった。
「あっちは終ったみたいね」
「初めて聞くけれどすごいもんですね。頭に血が昇っちゃったみたいで」
「私も、初めて。なんだかカッカツしてるわ。あら、あら、明りつけ放しだわ」
ルームライトを消すのも忘れていた。部屋を暗くし、スタンドの光も少し落してまた奥さんの側へもぐり込んだ。二人共妻たちにあおられてバスルームでの興奮がさめてしまった。

