伊勢長島一向一揆の大虐殺と捕らえられた少年カムイ..①


1574年、織田信長は8万の大軍を幾手にも分けて伊勢長島の国境を一気に侵入し、虐殺の限りを尽くしました。
当時は一向宗は権力者には都合の悪い宗教で大名たちはみな弾圧をしていたのです。
しかし民衆の信仰心は強く、弾圧する大名たちに反旗を翻し、一揆を起こします。
そしてこの伊勢長島の一向一揆は歴史的な一揆になりました。
小さな伊勢の村々は数百の柴田勝家の軍勢に包囲され、女子どもまで残らず切り殺されました。
柴田勝家の家臣の龍神寺一族は残虐さに異常な性欲の一族で担当の村は包囲した上、女子どもは助ける、と呼び掛けます。
最初は全員討ち死にを覚悟した村人たちも包囲され、水や食料を絶たれると恐ろしい飢えが始まり、やむを得ず女子どもを引き渡しました。
村からかなり離れた山の裏側に用意されたお寺の本堂に降伏した女子どもが集められ、姿形の美しい子どものみ残して後は皆、その場で首を切られます。
生き残った子どもたちも戦場のすさんだ兵士たちの慰み者として配れ、輪姦されて殺されました。
この龍神寺部隊の皆殺しの中で1人の少年が獅子奮迅の働きをし、数十人の武士を殺害し、逃げ回り、最後は龍神寺の弟の四郎まで暗殺したのです。
「おのれ、あのガキ、絶対に殺せ、必ず捕まえてわしの手で殺してやるわ」
龍神寺の当主正宗は怒り狂い、あらゆる手段でこの少年を追い詰めました。
少年はカムイ、まだ12才の美少年です。
両親や一族を信長に殺され、その復讐に燃えています。
今、カムイは大きな木の上に隠れています。
下を信長の甥の織田信包が通ります。信包は18才、鎧兜に身を包み、たくさんの武将に囲まれてゆっくり進軍しています。
木の上からカムイは矢を絞り、放ちました。
矢は正確に信包の首を突き抜き、信包は声も出さずに落馬して死亡しました。
武将たちが騒ぐ間にカムイは逃げ去ってしまいます。
信長は激怒し、その少年の素性を調べます。
「あの子は確か元々はここ一帯の領主の北畠一族の正房という少年です。北畠が滅び、逃げ込んだ村で可愛がられ、カムイ、と名乗りました」
「うむ、北畠の一族か」
「北畠一族は代々勇猛で尊皇の志しが篤く、涼やかな子どもが多いと聞く、そうだ、囮を使おう、北畠の捕虜の姫君を囮にして捕まえろ」
信長の命令でまだ13才の北畠の姫君が公開処刑される、と辻札が立てられ、処刑場は近くの小さなお寺が選ばれました。
処刑当日、姫君は真っ白な袷をまとい、後ろ手に縛られ、やがて十字架に掛けられました。
竹矢来には多くの村人や見物人が集まり、姫君の最後を見守ります。
そしていよいよ2人の足軽が処刑用の長い槍を振りかざした時に激しい爆発音が響きました。
真っ白な煙があがり、たくさんの悲鳴があがります。
警護の武士たちも抜刀して爆発現場に向かいました。
その隙にカムイ少年が素早く姫君を助け降ろし、背中に追って逃げ去りました。
「ええい、また失敗か、よりによって北畠の姫君まで一緒に逃げられるとは」
信長はさらに怒り狂い、特別な忍者部隊を投入します。
一方逃げたカムイ少年は安全な谷間の仲間の小屋に姫君を降ろします。
2日後、姫君はこっそり呼び寄せた家臣とともにカムイ少年に向き合いました。
「お願いがあります」

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