家の神様だから妻を「かみさん」と呼ぶ


     
縄文時代、まえにご紹介しましたが、足形付き土器なるものも発掘されています。
土で幼な子の足形や手形をとって、焼いて土器にしたものです。
これなども、おそらくは(昔は子供はよく死んだので)失った子供を偲んで、その思い出をたいせつにとっておいたものなのであろうと考えられています。
     
そういう、女性や子供をとても大切にした社会が、実は日本では、縄文時代という2万年近く続いた長い長い時代の中で、綿々と育まれてきたわけです。
     
最近では、結婚したカップルのことを「夫婦(ふうふ)」といいますが、これなども、戦後の言葉です。
戦前までは、「めおと」と言いました。
漢字で書いたら「めおと」は「妻夫」です。
妻が先です。
     
男性は、妻のことを「かみさん」と呼びます。
家の神様だからです。
そしてなぜ神様なのかというのは、縄文時代の土偶をみたらわかります。
子を産む力は、女性にしか備わっていないからです。
命を産み出す力は、神様の力です。
     
ところがいまから1400年ほど前に渡来した仏教では、女人五障説などというものがあって、女性は穢れていて精神的向上ができず、成仏も悟りを開くこともできない、などと説かれたりしているそうです。
そうでなく、女性が悟ったときには男性より高みに登れるという宗派もあるのだそうですが。
     
キリスト教では、イブは、アダムの肋骨の一本から生まれたもので、神の戒めを破ってリンゴの実をかじり、エデン追放の原罪をつくり、さらに有名なマルチン・ルターは、「女児は男児より成長が早いが、それは有益な植物より雑草の方が成長が早いのと同じである」という言葉を残しているのだとか。
よく西洋では、レディー・ファーストといって、女性をとても大切にするなどという人がいますが、その哲学の根源になっている宗教観では、明らかに女性蔑視の思想があるように見受けられます。
     
イスラムでは、コーランに、「女は男の所有物である」と書かれているのだそうで、仏教、キリスト教、イスラム教のいずれにおいても、不思議なことに男女は「対立的な存在」として描かれているようです。
     
ところが日本には古来、こうした「対立」という概念がありません。
男女は「対立」するものではなく、「対等」な関係であり、共存し、共に励んで栄える存在です。
     
女性には子を産む力が備わり、男性には体力があります。
女性が安心して子を産み育てることができるよう、外で一生懸命働いて、産屋を建て、食料を生産し、互いに役割分担して共存し協力して、たいせつな子孫を産み育む。
ですから現代日本においてもなお、日本人の家庭にあっては、夫も妻も、互いに相手の尊厳を認め合い、助け合い、支え合う対等な存在と、現実には一般に認識されています。
     
だいたいキミマロ漫談でないけれど、結婚前には「俺は亭主関白になる」などと大見得をきっていた旦那も、頭に白いものが混じるくらいの年代になると、その間に外でした色々な失敗が全部女房にバレていて、次第に頭が上がらなくなり、定年退職して家にいるようになると、多くの場合、出しても誰も持ってってくれない粗大ゴミになる。
世界中どこの国でも同じ態様です。
     
要するに、男女とも、同じ人です。
ただ、性差から来る役割が違う。
互いの違いをきちんとわきまえて、互いにできることを最大限活かし、助け合って生きる。
それが「対等」ということだし、人としてあたりまえのことです。
     
男尊女卑だとか、女尊男卑だとか、あるいはジェンダーフリーだとか、基本的に「対立」がその発想のもとになっています。
けれど、そもそも「対立」と考えること自体が間違っているわけで、たいせつなことは、互いの違いをしっかりとわきまえ、お互いにできることできないことを区別して、互いの良い点を活かしていく。
根っこのところに、そういう「対等」という観念がないから、話がおかしな方向にすすむのだと思います。
     
一万年以上もの昔から、女性にある種の神秘を感じてきた日本人。
男女とも互いに対等であり、互いの違いをきちんと踏まえて、お互いにできる役割をこなしていくことで、共同体としての日々を重ねてきた日本人。
     
日本人の知恵は、この何十年かに外来でけたたましくおこっている女性差別云々などよりも、はるかに深くて温かいものなのではないかと思います。
     
これからの日本は、単に「外国でこう言っているから」という、外来文化をただ無批判に受け入れるだけではなく、日本的文化や価値観を、逆に世界に向けて堂々と発信していくことが必要なのではないかと思います。
これからの時代、ますますそういう姿勢が、日本には求められる。
そのように思います。
     
     
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