金魚鉢の女 5


 「お疲れ様でした」
 女性の声は久しぶりだった。
 いつもは掲示板のポスターのアイドルの顔アップに
 「おはようございます」
 深々と頭を下げることはあっても挨拶というものをトンとしたことがなかった。
 まして、されたことなど、会社に入ってこの方一度もなかったのではないか。

 『今日は、お疲れ様、をゲットしたぞ』

 しかし、その日はまだ続きがあったのである。

 

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