局の女


 深夜の牛〇屋でいつものように入り口付近のカウンター席に着いて、普通盛を食べていました。
 するとついたてで見えない奥の席からこんな声が聞こえてきたんです。
 「おれ、平〇さんが好きだな」
 「おれも」
 「おれも好き」
 若い男の子が3人勤め先の会社の話で盛り上がっているようでした。
 平〇さんって私も平〇だけど。
 
 会計を済ませ外に出ると入り口付近の灰皿で一服。
 「あ~。たまらない」
 至福のときでした。
 「平〇さん」
 聞き覚えのある声は職場の係長でした。
 見ると他の二人も、部所は違いますが、同僚及び新人でした。
 
 職場の更衣室で同僚とする下ネタ話。
 「お宅の係長さんってどーてーじゃない」
 白石さんの辛口下ネタにどう答えていいかわからない私。
 「私んところの新人もどーてー」
 斉藤さんがあわせます。
 『私と入ったときが同じの某同僚もどーてー』
 私年齢はもう30歳です。

 「平〇さんてタバコすうのか」
 係長が言います。
 「イメージと違う」
 同僚が遠慮なく言います。
 一方黙り込む新人。
 突然土下座したんです。
 「平〇先輩、お願いします」
 4人顔を見合わせました。

 「酔ってるの」
 新人の肩に手をかけました。
 「立ってよ」
 『酔ってはいないようね』
 
 車で4人向かったのはエアコンの効かない私のアパート。
 ドアを開けるとむっと熱気が返ってきました。
 「雑魚寝なら何とか4人寝れるわよね」
 
 蒸し暑い高校バレー部の更衣室で、そこには壁や天井、床にまで意味不明の穴が開いていました。
 好きだった先輩。部室を出ると先輩は、呆然と立ちすくんでいました。鼻からは血が。
 
 「ねえ、したい」
 係長はわざとらしく寝返りを打ちました。
 しかたなく新人のほうを向くと聞いていたのか抱きついてきました。
 「いいのよ、いらっしゃい」
 こうして結局3人の初めてをいただいてしまいました。

 「よかったよ。でも、おれたち兄弟になっちゃったね」
 『だいじょぶ。私、社長ともできているのよ』
 
 

 
 
 
 
 

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