浮世絵の女 2


 「って。まじか」
 古内君は子ナシじゃなかったのか。
 頭頂部の汗が冷たいものになって、首筋まで流れ落ちた。
 急に気分が悪くなり、私はトイレに駆け込んだ。
 目の前が一瞬暗くなった。
 気がつくと病院のベッドで横になっていた。
 「命に別状はありません」
 とのことだった。
 
 妻の智美が駆けつけてきた。
 「しっかりしてください。お腹の子はあなたの子ですから」
 その話は聞きたくなかった。
 
 「いらしてくれたのね」
 白のショートパンツに黄色のサマーニットには見覚えがあった。
 子供がないせいかアラフォーとは思えない若さだ。
 「注射はしないでくれよ」
 すでに他界していた奈菜さんの父親は、かつて私の上司だった。
 通された居間でふと見ると水彩の裸婦画が。
 「夫は、絵師なんですよ」
 モデルは妻の智美だった。
 
 「私、子供ができない身体なんですよ」
 騎上位で激しい逆ピストン。
 逝きそうになっていた。
 「だからたんとお出しになってください」
 奈菜さんの中から吹き出る愛液のシャワー。
 あえなく果てていた。
 「ということは・・・」
 そのときはそれ以上のことは考えられなかった。
 
 
 
 

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