昆虫採集の女


 初夏の山。
 木々の緑が目になじんで癒されます。
 昔の話ですが、私が女子大生だったころの話です。
 高校時代から同級生だったひろみさんと入学した大学で、同じ学部、同じゼミで卒論のため、昆虫採集をすることになり、二人で雑木林を歩いていました。
 「作業着ってダサクネ」
 『ってゆーか、ひろみちゃん巨乳過ぎ』
 「いいなあ。ともみちゃんは痩せててさあ」
 『はいはい。ちっぱいですよ』
 「でも、花でいったら、アサガオだよねえ」
 『その心は』
 「わからないけど」
 アサガオな私って。
 道の脇にバンが停まっている。
 二人は歩くのをやめて、立ち止まりました。
 男の人が向こうを向いて用をたしている。
 お空はピーカン。
 ひろみさん、どーしたの。がん見しちゃって。
 見ると博美さんの視線のかなたで、男の人は、挙動不審の右手の動きをしているではありませんか。
 「やばい。やばいよ」
 『その心は』
 (つづく)
 

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