慰安旅行の夜(1)


慰安旅行の夜(1) 内田守衛

オレ今はガードマンやってるけど、前は土建屋に居たんだ、社員40人ばかりの。
毎年恒例の慰安旅行の幹事をその年はオレにやれって言うから引き受けたよ。
旅行会社が選んだ旅館の下見に、奥湯河原だったけど。
オレ責任感強いから休み返上で行ってきたよ、タダで。

そしたらひでえんだよ、そこが。
山ん中でまわりに何ーんにもねーの、浴衣で散歩するとこなんか何処行きゃいいんだよ。
部屋行ったら風呂場のタイルにヒビ入って、端っこには蜘蛛の巣だよ、蜘蛛の巣。
見本の料理を食わせるのだって、団体が来てるから広間が一杯だあ?
きったねー布団部屋みたいな処に小っちゃい卓袱台おいてそこで食えってんだよ。
いくらタダだからって、冗談じゃねーよ。

翌日、旅行会社に出向いてスッタモンダのあげく、強引にキャンセルしてやったよ。
会社でオレは言ったね、課長に。
課「何、U田くん!奥湯河原の旅行、勝手にキャンセルしたって?」
U「そーですよ。止めましょーよ。下見行ったんですけど碌なもんじゃないですよ」
O「なに?旅行キャンセルしたって?」
積算のO山さん、出てくるなよ、ここで。
O「おまえ、キャンセル料が掛かるんだよ。分かってんの?」
U「分かってますよ。20万です」
O「20万?誰が払うんだよ、それ」
って、誰があんたに払えって言った?
U「僕が払いますよ。課長、給料から引いて下さい。5万づつ」
きついけど。
O「おまえ焼け起こすなよ。復活しろよ奥湯河原。悪いこと言わねえからよ」
課「そうか、分かった。ま、U田くんが幹事なんだから任せようよO山さん」
O「任せらんないから言ってんだよ」
O「代わりの行き先は何処にすんの?まさか中止じゃないよな。楽しみにしてんだぞ、みんな」
/(゜〇゜;;)それ考えてなかった!
U「わ、分かってますよ。それくらぃ....」
課「まぁ、まぁ、O山さん。U田くん、新しい旅行先早く決めてくれよ」

というわけで、その翌日。
U「O山さん、奥湯河原の旅行やっぱ行きましょうか」
O「エ゛ー?だってキャンセルしたんじゃないのか?」
U「いっしょに行ってくれませんか?旅行会社。謝りに」
O「エ゛ー?手みやげ持ってか?」
というわけで奥湯河原復活!

その当日。
課「(^^)天気がまぁまぁで良かったな」
U「それだけが救いですよ。なんせひどいとこですから」
O「うちはバス1台だろ?全部で5台止まってるぜ」
U「旅行会社の添乗員さん、他に団体来てるの?」
旅「エエ、生命保険会社の団体だそうです」

ま、とにかくおまいらは部屋行って落着いたら風呂入ったり、会社にいる時と同じにバカの一つ覚えの将棋でもやってりゃいいよな、オレは幹事だから忙しいよ。
エロ8mmも準備しなくちゃなんないし、添乗員さん、花電車手配してくれた?

社「おい、たいへんだよ!ここ混浴だよな」
なんだよ社って?社員か、ただの。
U「大浴場も露天風呂も混浴ですよ。チン×見られるの恥ずかしかったら部屋にも風呂ありますから」
社「それが、いま大浴場行ったら女だらけで、女湯だと思ってびっくりして出てきちゃったんだよ」
全「エ゛ー!女だらけ−?!」(全はその場にいた全員てことです)
社「なんでも生保レディの団体200人来てるって」
全「エ゛ー生保レディ−!?200人!にひゃく?!」
(ホントは生保レディじゃなくて○○○○おばさんだったんだけど、会社特定しちゃうとマズイから)

2007.09.10

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