エロい歌集といえば湯浅真沙子の『秘帖』


       
エロい歌集としては、湯浅真沙子の「秘帖」というのが有名です。
       
<引用>
自らの性生活を歌に遺し、若くして夭折した幻の歌人。
富山県出身、日大芸術科出身以外の経歴は不明である。
       
〈作品より〉
       
日記帖に印す×の意味はふかし
その夜のかずと知らば笑はん
       
風呂のなかで誘ひたまへど出来ざるを
二人声立て笑ひけるかも
       
朝あけに君なつかしむ
わが床に乱れてちりし桜紙かな
       
眼つむりて君たはむれの手に堪へず
思はず握る太しきものよ
       
<引用2>
       
「ヘアピンをこころみたれどももの足らぬ
おもひを君の夢に馳せてん」
       
「握りしめわが陰部(ほと)の辺(へ)にあてがひて
入るればすべてを忘れぬるかな」
       
これが発表されたのは昭和26年末で、歌集の名は「秘帖」という。
作者は湯浅真沙子といい、日大の芸術学部に学び、その後結婚したが死別しダンサーとなり、20代で死んだ。
この初稿であり、遺稿でもある歌集は刊行され、発禁処分を受けるまで短歌集としては珍しく2万数千部を売り切っている(何やら、俵万智に似ているが)。
       
「二度終へてまだきほひ立つ玉茎の
尺八すればいよいよ太しき」
       
「灯を消して二人抱くとき
わが手もて握る玉茎太く逞し」
       
「中途にてなえたるときの憎らしさ
辛(いら)さを君は知るや知らずや」
       
短歌としては、そのまま過ぎてあまり評価されていないというが、今読むと、健全な性の讃歌として読めるのではないか。
もう一つ、
       
「いくそたびいだき口づけ乳ふれて
つひにかしこにふれにけるかな」
       
これは同性愛を詠んだものだが、率直に詠んでいて、かえって、好感が持てる。
       

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