私撰・エロチックな短歌


    
私撰・エロチックな短歌
      
      
ブラウスの 中まで明るき初夏の陽に けぶれるごとき わが乳房あり
                      河野裕子
      
蒼(あお)みゆく われの乳房は 菜の花の 黄の明るさと 相関をせり 
                      阿木津 英
      
魂を 拭えるごとく 湯上りの 湯気をまとえる 乳をぬぐえり  
                      阿木津 英
      
湯を透(す)きて 心(うら)つつましき 己(し)が胸の  ち房みれば 今もやさしも 
                      今井邦子
      
乳ぶさおさへ 神秘のとばり そとけりぬ ここなる花の 紅(くれなゐ)ぞ濃き  
                      与謝野晶子
      
プールの日 替えの下着を入れ忘れ 帰りの私 マリア・シャラポワ  
                      眞鍋かをり
      
雨も降り 夜も更けにけり 今更に 君行かめやも 紐解き設(ま)けな  
                      万葉集(巻12)
      
雨上がりの 楓(かえで)のように ぬれしまま 君が浴室よりもどりくる  
                      河野小百合
      
みだれごこち まどひごこちぞ 頻(しきり)なる 百合ふむ神に 乳(ちち)おほひあへず  
                      与謝野晶子
      
今刈りし 朝草のような匂ひして 寄り来しときに 乳房とがりき  
                      河野裕子
      
文明がひとつ滅びる物語 しつつおまえの翅(はね)脱がせゆく  
                      谷岡亜紀
      
私をジャムにしたなら どのような 香りが立つか ブラウスを脱ぐ  
                      河野小百合
      
指からめあふとき風の谿(たに)は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ  
                      大辻隆弘
      
春みじかし 何に不滅の命ぞと ちからある乳(ち)を 手にさぐらせぬ  
                      与謝野晶子
      
水蜜桃(すいみつ)の 汁吸うごとく 愛されて 前世も我は 女と思う  
                      俵万智
      
全存在として 抱かれいたる あかときの われを天上の 花と思わむ  
                      道浦母都子
      
朝寝髪 われはけづらじ うつくしき 君が手枕 触れてしものを  
                      万葉集
      
さ寝そめて いくだもあらねば 白たへの 帯乞うべしや 恋も過ぎねば  
                      万葉集
    
きみ恋し おぼろ月夜に 濡れつきぬ 一人慰め女せつなや  
                      与謝野晶子
      
黒髪も この両乳(もろちち)も うつし身の 人にはもはや 触れざるならむ  
                      原阿佐緒
      
森深かく 独り居りつつ ひそやかに 我が両乳(もろちち)を もちて寂しむ  
                      原阿佐緒
     
     
     
     
     
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