映画館


まだ家庭用ビデオが普及してない頃、僕は高校一年だった。
その頃僕は休日に都市に出ると、まず成人映画館に行った。
小学生に見られる外見の僕だから、中に入れるわけはない。映画館の前を何度も往復して、映画の看板やスチール写真を目に焼きつけ、さりげなく街へと去っていくのだった。

  ━□━

その日、いつものように成人映画館の前を往復してた僕は、
「ちょっと……キミ。」
背広姿の男性に呼びとめられた。
「こっちへ来なさい。」
まずい、補導されることになった……と思いながら、男性について行った。
「ああいう、エッチな映画に興味あるのかね?」
男性に聞かれて、僕は
「はい……」と答えた。
男性は、
「ふむ、正直だね。」
と言うと、僕を古びた雑居ビルに案内した。

  ━□━

暗い場所だった。だけど造りは映画館に似ていた。
窓口で男性が奥の人に話しかけると、
「オーケイ」
と英語の返事があった。男性は僕の背中を押して、カーテンの奥へと進んだ。
確かにそこは映画館だった。頼りない電灯にうす茶色いスクリーンが浮かんでいた。急な傾斜に、背もたれの高い座席が並んでいた。
まわりを見ても、男性以外の客は見あたらなかった。
電灯がいきなり消えた。しばらく闇が続いたあと、映写機の音がして、スクリーンに映画がうつし出された。

《映画の場面》
外国の学校の教室の中。ふんいきから小学校だ。
座席にひとり長い金髪の、小学三年くらいの女の子がいて、何か問題を解いている。
女の子は問題がわからないのか、急に机に鉛筆をたたきつける。そして服のポケットからタバコを取りだして、火をつけて吸いはじめる。

(映画には音が入ってない。そして女の子がタバコを吸いだすと、客席のあちこちからタバコの煙が立ちのぼった。意外に多くの観客がいるようだ。)

《映画の場面》
教室にハゲた男が入ってくる。学校の先生らしい。
先生はタバコを吸ってる女の子を見て、何か怒鳴りつける。しかし女の子は無視して、タバコの煙を先生に吹きかける。
先生は怒ってなぜかズボンを脱ぐ。大きなチンチンがベロンと女の子の前に現れる。女の子は笑いながら、くわえタバコでそのチンチンを手にとる。

(僕はこれは『本物のポルノ映画』だと思った。だけど大人専用の映画に子どもが出てるのが変だと思ってた。)

《映画の場面》
先生は女の子に何か言う。女の子はタバコを手に持って、タバコのかわりに先生のチンチンを口にくわえる。
チンチンはみるみるうちに大きく上を向いていく。

(「これって『尺八』ってやつ?」エロ漫画でそれは知っていた。当時の僕には「フェラチオ」という単語はなかった。
僕のチンチンもズボンを破りそうなほど固くなった。チラリと隣の席を見ると、男性は背広の上着をひざの上にかけていた。だけどその中でチンチンをいじってることは僕にも察する事ができた。)

《映画の場面》
先生は女の子を軽々と抱いて、机の上に寝かせると、スカートとパンティーをはぎ取って下半身まる裸にした。

(僕は年齢に関係なく、初めて女のアソコを見た。僕たちが当時手にできるエロ本では、女のアソコは黒々と抹消されていた。)

《映画の場面》
先生は女の子の脚をひろげた。女の子はタバコ片手にニコニコしている。
先生は自分の手でチンチンを女の子のアソコに当てて、グイグイと押し込みだした。

(「ああ、これが『セックス』なんだ!」僕は思った。だけど僕にとってセックスは、大人の男と女のつながりだった。まさか大人の男と子どもの女に、セックスが出来るとは思わなかった。)

《映画の場面》
先生が女の子のアソコにチンチンを出し入れしてる。
やがて先生はアソコからチンを抜いて、その先から女の子の顔が隠れるほどの真っ白な流れを吹き出した。
アップになった女の子は、新しいタバコに火をつけて、カメラに向かってニッコリと笑いながら煙を吹きかけた……

  ━□━

「お客様、大丈夫ですか?」
僕は気がつくとデパートの階段で眠っていた。警備員に起こされた。

僕は、映画館の中にいっぱいになった煙を吸い込むうちに、気が遠くなったことだけ覚えている。

それきり僕は、成人映画館の前に行かなくなった。
もう「普通じゃないホンモノ」を見てしまったら、そのへんのエロでは満足できなくなったんだ。

良かったら「いいね」してください。誰でも「いいね」出来ます!


同じジャンルの体験談

トップページに戻る