元妻の告白 2


前回:  元妻の告白 1

結婚して10年、夫と息子との3人家族、平凡で幸せな家庭の専業主婦としての私、そんな生活を破壊され妻として母として、そして良心的な社会生活にはもどれない。切っ掛けは、15年ぶりに再会した高校時代の同級生との再会だった。半年前の夕方、買い物をするためスーパーの屋上駐車場に車をとめエンジンを止めようとして隣の車からの視線を感じ顔を向けた。隣の車から同年配の女性と目線が会った。見覚えはあるのにどこで会った誰だかわからない・・よくあることだとさほど気にしないで車を降りドアロックをして店内に入ろうとした時、隣の車から降りてきた女性が「芳江ちゃん?」と声をかけてきた。一瞬「どうして私の名前を知っているの?この人は誰?」驚きと妙な不安が気持ちになったが「そうですけど」と答えた時「私よ悦子よ。高校の同級生の!」・・高校の同級生だった悦子だった。お互いに買い物をする前にお喋りしようとスーパーの店内に入っているファーストフード店でコーヒーを注文して昔話に華が咲いた。15年ぶりのお喋りは楽しかった。「芳江ちゃん、今どうしてるの?」と彼女の問いに高校を卒業して公立の大学に進んで公務員として働いていた職場で今の主人と出会い結婚、出産を機に退職、今は専業主婦の私の今までのを話した。高校当時、彼女は綺麗で活発な女の子だった。私と対照的だったから仲が良かったのかもしれない。よくお互いの家を行き来し2年生の夏休みには2人でテーマパークに遊びに行ったこともあったが3年になるとお互いに受験勉強が忙しくなり私は地元公立の文系大学へ、彼女は関東の私立の短大へ進み疎遠になっていった。彼女は都内で3年間の結婚生活の後、離婚し現在は地元に戻りパートナーの男性と生活していた。彼女は高校生の時に大学生の彼氏と付き合い、離婚の原因も彼女の男性関係だった。「今、私のお店を手伝ってくれる人を探してるの。お給料は良いはずなのにすぐ辞めちゃって」私は話を聞いても店員はおろか接客経験のない自分には無縁に思えた。1時間ほど話し、再会を約束しお互いの携帯アドレスを交換して彼女と別れ買い物をし帰宅した。1週間ほどして彼女から「私のお店に遊びに来ない?」とメールが届いた。私の家から車で10分くらいの駅前のテナントビルに入っているお店だった。昼間は喫茶店、夜はスナックに変身するオシャレな30人も入れば満席になるような店のカウンターに並んで彼女がいれてくれたコーヒーを飲みながら「ねぇ、このお店どう?手伝ってくれない?」と言い出され、「私、こう言うお店でアルバイトしたこともないし、働いたのもお役所に3年だけだし、無理」と断った。「もしかしてスナックのお店って恐いとか思ってない?水商売だし、一日2時間だけでのいいの、それにカウンターの中だけ、お酒飲まなくてもいいから、お願い」時給2500円は高いのかどうか分からなかったが「主人に聞いてみる」としか答えられなかった。「電話してちょうだい、いい返事をまってるから」と言われお店を後にした。

ダメだと思って夫に話してみた。返事は意外にも『いいよ、家事がおろそかになったりに迷惑をかけないなら』『一日中、家にいるのも退屈だろうし専業主婦のストレスって凄いと言うし』夫は酒を飲まない。私の同級生が経営しているスナックだと言うのも安心だったのだろう。次の日、私が電話する前に彼女から電話があった。私は一日2時間、夕食の準備を終えて8時から10時までお店を手伝うことになった。スナックの仕事は初めて、どんな服装で行けばいいのか、何をすればいいのか分からない私に彼女は「ホントありがとう、洋服はこっちで準備するから、最初は何も分からなくて当たり前だよ、徐々に覚えてくれたらいいから」電話の声は嬉しそうだった。週に5日、2時間のスナックでのお仕事は慣れないことの連続だった。お客さんの「タバコはおいてある?」にもタバコを吸わないので銘柄も分からない。5センチくらいのパンプスしか履いたことがない私には10センチのハイヒール、膝丈のスカートも恥ずかしかった。カウンターの中だけと言う約束も他の女の子が急に休んだり貸し切りのお客さんの時はフロアに出て接客もさせられた。お酒が飲めない私に無理意地するお客はいなかったが2時間の間に何杯もウーロン茶を飲むのは辛かった。彼女のスナックは評判が良かった。良心的な料金と色気を売りにしない上品な店と言うのが売りだった。

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