ナンパされた妻 ④


前回:  ナンパされた妻 ③

あの一件があって一週間が過ぎました。 その間、有希の様子にも、特に変わったところは
見受けられなかったので、私の気持ちの中に巣くった「寝取られ」に対する嫉妬や異様なドキドキ感
は少し薄れていました。
土曜日の飲み会でまた飲みすぎた私は、朝から布団の中で頭を抱えていました。 子供はいつもの
友達の家に遊びに行き、妻有希もバイト先のコンビニに出勤する為、身支度を整えています。
いつもと変わらない日曜の朝の光景でした。 妻があのことを切り出すまでは・・。
妻 「ねえ、パパ。 今日バイトが終わってから、友達と食事して来るから。」
私 「うーん、 何?」
妻 「だから、由美子と駅前の・・なんだっけ・・この前出来たばっかりの・・居酒屋ぽん・・ポン・・」
私 「ポン太?」
妻 「そうそう、そのポン太に行ってくるから、健ちゃんお願いね。」
私 「ポン太がどうしたって?」
妻 「ちゃんと聞いてよ、もう・・ 由美子とポン太に行って来るの、前から約束してたし。」
私 「こないだ出来たばっかりなのに、前から約束?」
妻 「だーかーらー、食事する事を前から約束してたの!」
あれ? もしかしてこれか? いよいよ来る時が来たのか! 私は二日酔いの事など完全に忘れ、
来るべき時をとうとう迎えた事に、内心ドキドキしながらも、冷静さは失わないように落ち着いた
口調で返事をしました。
私 「まあ・・楽しんでおいで。 早めに帰ってくるんだよ。」
妻 「はーい。 わかってまーす。 夜なんか適当に食べてね。」
私 「・・有希・・キスしてよ。」
妻 「はぁ? なんで? やだァ。」
私 「いいから・・しないと飲みに行くことは許可しないよ。」
妻 「変なパパ・・」
妻は、仰向けになっている私にそっと顔を重ねて、おずおずと唇を合わせてきます。
うっすらコロンの甘い香りが鼻をくすぐります。 あの大学生と逢う為に、こんな香水まで付ける妻に
無性に腹が立った私は、妻の顔を両手で押さえて動けなくし、無理やり舌をこじ入れると、
妻の舌をからめ捕り吸い付きました。
妻 「あーん・・ダメダメ・・もう行かなくちゃ・・」
身体を入れ替えて本格的にセックスになだれ込もうと手を離した隙に、素早く妻は起き上がり、慌てて私から
離れると髪や服を整えながら、部屋を出て行ってしまいました。
妻 「お酒臭い人とは、キスしませーん。 行って来まーす。」
しばらく廊下をパタパタと慌てた様子で走る音や玄関や自転車の鍵のかちゃかちゃ擦れ合う音がしていましたが、
玄関のドアがバッタンと閉まった音と同時に、家中が急に静かになりました。
私 「行っちゃった・・か・・」
布団から起き上がり、パジャマのままタバコを持って外に出ます。 玄関脇の隅っこに新婚旅行で買ったアロハと
書かれたガラス製に灰皿が置いてあります。 ここが私に許された我が家で唯一の喫煙スペースなのです。
一本取り出し、火をつけます。 塀の上に、いつもやって来る大きな顔をしたドラ猫があくびをしながら座っていました。
お向かいの定年を迎えたご主人が家庭菜園に水をやっています。 近く高校のブラスバンド部の楽器の音が
風に乗って聞こえてきます。 
(いつもと変わらない日曜の朝か。)

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