木の香りの旅館

こじんまりした旅館で、木の香りがまだ新しかった。
この歳でも、いまだに若い女性との混浴にはときめいた。
その人は広い温泉の中に立ち上がって、タオルで前を隠した。
おれは、男の興奮がわかる程度に両膝を拡げた。
 「立派ですね。男らしい」
その人がそう言った。
 「私、思うんです。哺乳類って、人間もそうだけど、
  哺乳類のオスが、メスの目の前で生殖器を興奮させるのは、
  生殖行為への自然なお誘いですよね。
  つまり、人間なら無言の告白です」
そう言いながら、おれの横に座った。
素肌がピンクに染まってた。
 「私ね、それを知合いのお医者さんに聞いてみたんです。
  そしたら『そりゃチン説(珍説)だ』って笑われちゃって。
  でも私、そういうことだって思うんです」
おれは、その人のタオルをめくり取った。
その人は拒まないで、手で隠しもしなかった。
目の前の雫が伝い落ちて、陰毛に吸い込まれた。
 「告白されたら、イエスかノーか返事しないとね。
  私の返事、イエスでいいかしら」
やっと聞こえる声で言った。
 「はあ、そりゃもちろん」
おれは答えた。
顎を上げて目をつむったので、抱き寄せて口を吸った。
木製の簀の子の上に仰向けになって、その人を見た。
その人はおれに股がりながら、長い髪と乳房を揺らした。
勃起が熱くなった女の器に包まれて、
そこにその人の体重がゆっくり乗ってきた。
ほんの1時間くらい前に知り合ったばかりで、
お互い、どこの誰だか知らない。