たぶん、M (3)


前回:  たぶん、M (2)

またベッドへ移動しました。

今度は、私もKさんの愛撫に自然に応えました。
Kさんの股間に手を伸ばして、いつの間にか互いの大事な部分を愛し合う形になってた。

長い間、無言でそれぞれを味わって。

やがて指と舌で追い立てられ、我慢できずに、私のほうから「欲しい」と口にしてしまった。

「素直になったね」
優しくキスしてくれるKさんを迎えて、疼いた部分を深く埋めてもらいました。

またスローテンポのSEX。
お互いを会話と行為で確かめ合うのが心地いい。

「髪、触ってばかりいる」
「好きなんだよ。いい匂いするし」
「髪フェチ?」
「だね」
「お尻とスーツもフェチ」
「スーツってか、着てすると萌える」
「コスプレ好きなんだ」
「仕事のときのままの○○さんがフェラしてて興奮した」
「……あれは意地悪すぎ」
「あのまま口の中に出したかったな」
「ほんとは、あたしに飲んで欲しかったんでしょ」

悪気はなかったのだけど、Kさんはムッとした様子で、「今度、飲ませる」って。
私は「いや。絶対」と、かぶりを振った。
“今度”ってことは、これで終わりにしないつもりなんだと思った。

Kさんは心の中を見透かされて怒ったのか、意地悪モードになってきて。

アレを引き抜いて、また入れてくる。
「入る瞬間、すごくいい顔する」って。
何度も何度も繰り返された。

「遊んじゃダメ」
そう言っても止めてくれない。
「可愛いのが悪いだろ」って。
ゆっくり侵入してきたり、入ってこなかったり、あてがったところから一気に突き刺してきたり。

じれったくって泣きそうになってきて。
気がついたら、「抜かないで。そのままして」って、お願いしてた。

「また俺の前でイキ顔晒したいの?」

強烈な一言でした。
言われた瞬間、全身に怖気が走った。このときは絶対忘れられないです。
Kさんが動き出したら、頭の中が真っ白になった。

「今度はごまかせないよ」と言われました。

     ×     ×     ×     ×

「調教されてる気分はどう?」
「調教なんて、そんなこと」
「誰が見たって調教中だろ」

カラダの相性とかよくいうけど、確かにそれはあるのかも。
自分のMっけはわかっていたけど、こんな感じでいじめられると我を忘れてしまうのだと、
はっきり気づいてしまった。

この関係に溺れたらヤバイと何度も脳裏をよぎっては、快感に打ち消される。
やたらと激しくしてこないじれったさにハマってる。

「いいの……当たる」
「●●くんのより大きいから当たるんだよ」
「……」
「大きくないの?」
「……大きいかも」
「大きいの好き?」
「わかんない、そんなの」
「わからないのにいいんだ?」
「あたしが彼女じゃないから、いじめるんでしょ」
「彼女にしたら、もっといじめる」

私からキス。
キスしてる間は意地悪言われないから。
たまに重たくピストンされて、泣かされる。
そんなことの繰り返し。
昇りつめたくなってきてるのに、焦れた動きで高まったままが続いてる。

ついに理性の糸が切れてしまって、

「あたし、ダメになりそう」
「イキたいの?」

はっきり口にしたくはなかったので、「辛い」か「限界」か、そんなことを伝えた気がする。

「じゃ、終わりにしようか。最後にイッていい?」
「好きにして」って答えた。

四つんばいになるように言われて。
さっきイッたときも後ろだったし、Kさん、バックが好きなんだって思った。
さんざん抱き合ってなんだけど、、こんなに明るい場所で、初めてする人に無防備にお尻を
差し出すのは、そのときでも抵抗がありました。
全て晒してしまったと思ったら、顔から火が出そうだった。

「彼氏より大きいものでイカせて、って言って」
「意地悪しないで。我慢できないの」
「好きにしてって言ったろ」
「やだ。絶対言わない」
「強情だね。お尻の穴からフトモモまでたれてるのに」
「そんなところ触らないで」
「言うまで止めない」
「あたしが本気でイヤがることはしないって約束した」
「言って楽になれよ」

羞恥心と屈辱感でどうにかなりそうなところに、追い討ちをかけられました。
「言わないと、俺に狂わされたこと、みんなに話すよ」

もう、本当に頭がおかしくなりかけて、今にも負けてしまいそうだったけど、
「これ以上されたら、Kさんを恨む」
って言ったら、やっとやめてくれた。

Kさんは「ゴメン」って背中にキスしてから、私の中に入ってきました。

最後はすごく激しくて、壊れそうなくらい手加減無しでされました。
彼氏のことなんて、頭から飛んじゃってた。
腰をつかまれ、肩を押さえつけられて、髪まで引かれて。
逃げたくても逃げられず、強引にイカされて、イったあとも続きました。
息が出来ないくらい苦しくて、辛くて。
こんなSEXがあるなんて、思わなかった。
私は乱れ泣いて、グシャグシャになってた。

どのくらいの時間かわかりませんが、体感ではとても長かったです。
「もう無理。許して」ってお願いしたのに、Kさんがイクまで止めてくれませんでした。

     ×     ×     ×     ×

行為が終わったあと、しばらく放心状態で、正直に「こんなの初めて」って漏らしたら、
髪の毛をクシャクシャに撫でられました。

それから、シャワーを二人で浴びました。
Kさんが私にシャワーをかけながら、知られてしまった感じるポイントを撫でてきて。
ダメ、もう終わりって言っても、メロウなキスに阻まれてしまう。

こすりつけるように抱き合って、互いを感じ合うアフタータッチ。
終わったはずなのに、余韻を体に刻まれて、疼かされてしまう。
本当にヤバイ人と関係を持ってしまったと思った。

「またしようね」
「……彼に悪いから」
「俺のがいいって言ったクセに」
「無理やり言わせたんじゃないですか」
「俺にイカされた」
「やめて」
「彼氏じゃ届かないところに当たるって言った」
「そんなこと言ってない」
「もう許してって泣いた」
「やめてってば」
「○○さんの正体、暴いてやった」
「……」

何も言えなくなった私のあそこを触って、「ほら、言葉で責めただけで濡れるMだ」

Mだとか調教だとか言われて、私、ホントにそうなのかなって。
MっぽいとMでは、かなり違うと思うので。言われてショックでした。
浮気したことも後悔だけど、M認定されたことも引きずってしまいそうで。

悶々とした気持ちのまま、ホテルを出る頃には空は明け始めてました。
長い時間Kさんのそばにいたんだと、改めて思いました。

     ×     ×     ×     ×

帰りの車の中で私が無口だったので、「ちょっと無理しちゃったかな」って謝られました。
可愛かった。またこうして会いたい。
今の彼と別れたら、自分と付き合って欲しいとも。

でも、嘘ですよね。
雰囲気に流されて浮気するような女だとわかって、なのに彼女にしたいなんて。

冷静になったら、疲れたのと罪悪感がひどく重くて、会話をする気力がありませんでした。
彼氏の浮気で悩んでた自分が、逆に流されるままに浮気して、快感に負けて溺れて。
それどころか、カレを裏切っている気持ちを媚薬にして感じてしまった。
されたこと、言われたこと、言わされたこと、自分から求めてしまったこと。
それが頭の中を巡って離れずにました。

「気持ちの整理ができたら連絡しますから」とだけ言って、車を降りました。
Kさんと肌を重ね合わせていた間も、帰りも、携帯に彼からの連絡がなかったことだけが救いでした。

     ×     ×     ×     ×

直後に、彼氏とは別れました。

向こうが浮気を認めて、「相手の子のこと好きになった」って。
泣いた私を慰めてくれたけど、悲しいから泣いただけじゃなくって、正直ホッとしてしまった
自分が情けなくて泣いた。
私は、結局カレを裏切ったことは伝えられずじまいで。
友達も、私が「捨てられた」と思い込んでしまい、友人間で少しゴタゴタがあって、それも気が
重かったです。
普段気が強いふりして、肝心なところでジメジメしてる。

耐えられず、自分からKさんに電話してしまいました。
カレとお別れしたこと、裏切ったことを伝えられなかったこと。
彼だけが悪いわけじゃないのに、周囲に言い出せなかったこと。

Kさんのマンションで、全部話しました。

「苦しめちゃったね」
そう言って、ハグしてくれた。

たまらなくなって、私から「一緒にいて」ってお願いしました。
おもちゃにされてもいいと思った。
でも、その日は静かに愛してくれました。

それから、Kさんと一緒にいる時間が増えました。
事情を少し知っている人には、彼氏彼女関係だと思われてたけど、私はそう思ってなかったです。

彼のオンナであったとは思う。
でも、彼女じゃなかった。

Mだって決め付けられて、酷いこともされました。
怖かったのは、要求がエスカレートすること、それを受け入れてしまうこと、受け入れて
当然のように振舞われることです。
環境になれたり感覚が麻痺すると、大事なものを失うような気がして、それはイヤだった。

ずっとMっけがあると自分でも思ってたけど、本当にMなのかわからないです。
っぽいってだけで、違うんじゃないかと思うこともある。
他人に相談できないし、これだけは今でもわかりません。
普通以上M女未満の、Mだと思う。プチM。たぶんM。

私は、スポーツするようにエッチできないし。ペットでもないし。
ベッドの上で支配されたい欲求もあれば、灯りを消した部屋で普通に肌を合わせたい夜だってある。
好きになったら抱かれたい。
Kさんとは順番が逆になったけど、関係したら好きになってしまう。
でも、彼は一人の女で満足できる人じゃないし、私もこの人とは無理だと思うようになった。

半年後、Kさんが異動になり、私も関係を清算するつもりで転職しました。
連絡が来ても無視して、しばらく会うことも無かったのですが、次に失恋したときに一度、
マンションに行ってしまったことがあります。
「自分から来たんだから」って、メチャクチャにされた。
凄く後悔して、もう二度と会わないって誓った。

それがKさんと会った最後。

感情的には、もうとっくにKさんから卒業してますが、体が寂しいとき、ふと思い出して、
一人慰めエチしてしまうことはあります。
自分でもだらしない女になったって思う。

昔のオトコ関係なんて、たいがい忘れてしまうけど、これは無理。
色んな意味で自分を知った夜だったから。忘れようとしても忘れられない。

でも、後悔もしたけど、経験はブレーキにもなってます。
もうあの頃のように流されることはないです。

最後は自分でも、なにを書いているかわからなくなってしまいました。
これでおしまいです。
読んでくれてありがとう。

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