早とちり


私は健康器具のメーカーでOLをしています。仕事は開発設計部で商品の基礎を設計する業務です。

といっても小さな会社なので、他社を真似ることから始まります。ウォーキングマシーンを安く設計して、安価で販売したりなどです。

そこは1課と2課があり、1課は一般向けですが、2課は主に女性向健康グッズの設計をしています。

主に美容ダイエット関係のものです。部署は当然全員女です。いつもみんな友だちのようなので、楽しくお仕事が出来ます。

おおまかな仕事の流れとしては、ヒット商品をいち早く買ってきて、実際に試しながら改良を加えていき、販売します。

バストの形を整える商品や、乳首の色を変える商品などの設計もありました。

一般の売られている商品の効果を確かめるため、私が実験台にならなくてはなりません。そういう恥ずかしい仕事は必ず一番下っ端の私の仕事になりました。

そのため、まずはその器具の使用前の写真を取られます。つまり、もともとの私のバストを写真に撮られます。

もちろん顔の部分は映さないので胸のアップの写真だけをとられました。先輩も昔やったことがあるらしく、「恥ずかしいだろうけど、みんな一度は通る道だからね」と教えてくれました。

全員女だし、恥ずかしいけどまあ仕方ないか、誰かわからないだろうしと思い写真をとってもらい、数日後、その器具の使用後の写真をとって使用前と使用後を比べたりしていました。

もともと私のバストは少し外向きで、乳首もこげ茶がかっていたので、乳首の色を変える器具の実験台になった時は「ちょうどいいわね」と先輩に笑われました。

ホンとすごく恥ずかしかったです。

他社のものは使用前と使用後でほとんど変わりませんでした。乳首の色を変えてくれるクリームは気持ち乳首の色は薄くなったような気がしますが、バストの形を整える器具のほうははほとんど変わりませんでした。

それからしばらくすると今度は、自社開発のものを使用することになりました。私はまた、実験台にさせられました。もちろん、再度使用前の写真をとってもらいました。

それからしばらくして、ある日営業部の部長とその部下の先輩と私の3人で営業に行くことになりました。

大手の流通メーカーでどうしても契約を取りたいので、設計に携わっていた人も同席して欲しいとのことでした。

私は営業は未経験だったけど、しかたなくスーツを着て営業に行きました。営業先の会社はすごい大きな会社で、会議室も一番奥の市場なん綺麗な部屋に通されました。

偉そうな人が何人も座っていてとても緊張感のある雰囲気でした。早速部長が説明をはじめました。

いろんな商品を説明していました。私は何気なく見ていましたが、思わず一点に目がいってしまいました。

後のほうのページで見覚えのあるバストの写真が資料の中に入っていました。すぐに自分のバストの写真だと気付き、顔が赤くなってきました。

しばらくすると部長がその写真資料を手にとり説明をはじめました。「他社の製品では使用後使用前はこの程度ですが、うちの商品はこのとおり効果がはっきりとわかるでしょう、この商品を開発したうちの開発の○○(私のこと)がモニターになっています。」

と私のほうを向きました。私は真っ赤になっていました。何でこの人はこんなことを知っているのだろうか?いや、何で私の裸の写真がこんなところで使われているの?いろんなことが頭を駆け巡りました。

相手の会社の人たちの視線が一気に私のほうに集まりました。

わたしは「えー、あ、あのー」と声を詰まらせていると、向こうの会社の人から「これはあなたの写真ですか?」と聞かれ、「あ、は、はい」と答えました。

私は気が動転してどうしていいのやらわからなくなっていました。そこへ部長が「○○くん、これを説明してもらえる?」と助け舟を出してくれました。

私は「もうどうにでもなれ」と思って、「これは、他社のクリームをつけた後の写真で、こちらは弊社の開発したものです。写真を見てもお分かりのようにその差は歴然です。」と学生のレポートのような中身のないことだけを言って引き下がりました。

その後部長がフォローを入れてくれているようでしたが、もう私の耳には何も入ってきませんでした。頭の中では、ココにいる人たちや会社の人たち全員に裸を見られたのか思って、悔しくて恥ずかしくて泣き出しそうでした。

開発部に戻って上司や同僚に言うと、先輩から「あの写真は外部の人ってことになってるのよ。部長が勘違いして言ったのをあなたが真に受けちゃったんじゃない?」と笑われました。

結局私の早とちりだったようで、とても悔しい思いをしました。その後はもしかしたら営業部どころか、全社内であの写真のことを見られていると思います。

このことはお母さんには話して笑われましたが、お父さんや彼氏にだけは絶対にいえません・・・。

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